忘却の唄・消えかけのアルタイル   作:ツナ缶マン

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おはよーございます!!
多分2025年最後の投稿です!!
うーん最後の予定なのに後味の悪い投稿ですね……
来年には完結する予定で進めるのでよろしくお願いします
という事で投稿です


116-悔いろ。地獄の岐路

りみからの連絡を受けた友希那は沙綾を引き摺るユウを連れて彼女がいるという病院の近くまでやってきた。

 

 

「…そう言えば、どうして病院になんているのかしら……?」

 

「さぁ…?俺に聞かれても…予防接種とかそう言うのかな?」

 

だが、ここで2人はりみがこんな所にいる理由が分からずに互いの顔を見合っていたが、ここで考えたところでどうしようもない。

2人はそのまま歩いて病院の前までやってくると、その入り口の前にりみだけではなかった。

 

「あっ…友希那先輩…!!」

 

「おにーさん…!!友希那さんも…」

 

「牛込さん。こんにちは」

 

病院の前にいたのはりみと燈。

2人はやってきた友希那達に声をかけると、そんな中で燈に憑いていたデネブがりみに気づかれないようにユウへと憑く先を変えると、彼の中から血相を変えたようなデネブの声が響いていく。

 

『ユウ。何があったんだ!?そのケガ…!!』

 

『もう塞がってるけど、イマジンだよ。逃げられたけど…』

 

『何っ!?』

 

『ほぼ確実に契約者は昨日倒れてたバカだよ。契約内容は分からない。多分同じバンドの戸山さんが殺されたからバンド絡みだと思う』

 

『それについては…』

 

『何も伝えてない。それよりも特異点の可能性がある牛込さんの保護を最優先。それに全員で集まってから説明したほうが良いから』

 

『……そうか。ユウ、みんなが行くみたいだから俺達も…』

 

この短い時間で状況を説明したユウはデネブの言葉を聞いて友希那達の後に続いていくと、先頭に立っていたりみがある一室の前で立ち止まった。

 

「市ヶ谷さんの名前……」

 

「まさか………」

 

「………」

 

そこに書かれていたのは有咲の名前。

友希那はこの状況に嫌な予感を感じていた友希那と燈は息を呑んだが、その状況でりみが無言のまま病室に扉を開けた。

 

 

「りみ……?って友希那先輩達も……?って沙綾?なんで引き摺られてんだ……」

 

「っ!!有咲!!」

 

「戸山さんとは違って無事だったのね……」

 

「良かった……」

 

 

「無事じゃないよ。何も変に思わないの?」

 

「ユウ?」

 

「どういう……」

 

無言で病室を開けたりみだったが、中にいた有咲は友希那達の予想に反して上体を起こした状態でしっかりとした声で友希那達の姿を見て反応を示すと、それを聞いた沙綾は引き摺れた状態から再起動してすぐに有咲の元へと駆け寄っていく。

それ光景を見た友希那達は安堵の表情を浮かべていたのだが、ユウだけは違和感に気が付いていた。

彼が言ったその言葉に友希那達は不思議そうにしていると、ここで彼はその正体を口にした。

 

「市ヶ谷さんがベットで寝てるけどさ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

足の膨らみが短すぎると思わない?」

 

「「っ!?」」

 

「あのイマジン、殺したのは1人(・・)って事だったのかよ……!!」

 

「それで友希那先輩…。どうして連絡を……?」

 

ユウが口にしたその言葉を聞いて友希那達は有咲のベットに視線を向けると、ベットの上で有咲が泣きつく沙綾を宥めていた。

 

だが、そんな彼女のベットの上では本来ならば両足があるべきである部分の膨らみが完全にないことにここでようやく気が付いて友希那達は言葉を失っていた。

その横ではユウは先ほどのイマジンの言葉を思い出して苦々しい表情を浮かべていると、ここでりみから本題を切り出されると、友希那は有咲のこともあって困ったような表情を浮かべ始めてしまった。

 

「牛込さん…それは……」

 

「俺が話すよ」

 

「あなたは…昨日の……?」

 

困っていた友希那に変わってユウが代わりに話す事を伝えると、りみの視線が刺さるのだが、ユウはそんな視線を無視して話始めていた。

 

「単刀直入で言うけど、さっきRiNGで戸山さんが殺された」

 

「えっ……!?」

 

「………」

 

「おいっ……なんの冗談だよ……香澄が…?」

 

「市ヶ谷さん。冗談でこんなこと言わないよ。

それで、彼女の遺体からは心臓が抜き取られたらしい………

 

 

 

 

 

 

 

 

あなたの両足みたいにね?」

 

「なっ………!?」

 

「はっ…?」

 

「ユウさん?何言って……?」

 

ユウは最初から香澄の事から切り出し始める衝撃的すぎる話の始め方に有咲とりみは状況が呑み込めず、有咲に至っては質の悪い冗談だと切り捨てようとした。

しかし、彼女は自身の足の事を口にされたことに驚いて目を見開いたが、その言葉に今度は沙綾が首を傾げるとそっと有咲の足があるべき場所まで手を伸ばし始めていた。

 

「有咲は寝てるだけで足が見えてないだけでここに………あれ……ない…?有咲の足が……!!ない!?」

 

「沙綾ちゃん!!あかん!!落ち着いて!!」

 

「嘘…!!嘘だよ!!こんなのって…!!」

 

「牛込さん、沙綾ちゃんが落ち着くのは無理だと思うよ…デネブさん頼んでいい?」

 

「分かった」

 

沙綾は今になってやっと有咲の足が無くなっている事に気が付くと布団をまくり上げると、有咲の両足は太ももの中から先が綺麗になくなっていた。

それを見た沙綾は取り乱して本来は足があるべき場所に手を伸ばして彼女の足を探し始めるが、それを後ろからりみが強引に引き剥がそうとしていたものの力が足りずデネブの力も狩りて何とか沙綾を有咲から引き剥がす。

 

「話を続けるね?それで、戸山さんと市ヶ谷さんを襲われて、俺が庇って無傷だけどさっきは沙綾ちゃんが襲撃された。

そうなると次の標的は牛込さんですよ」

 

「わっ…私!?」

 

「でも、戸山さんと市ヶ谷さんに沙綾ちゃん。

この3人が襲われたら次は牛込さん以外ありえないんですよ。もしかしたら沙綾ちゃんへの2回目の襲撃があるかもしれないですけど……」

 

「おたえは…?おたえだっているじゃないですか!?」

 

 

「沙綾ちゃん、アイツはあり得ないよ」

 

「なんで……!!」

 

「………勘、かな…」

 

ユウは今までの事から次に狙われるのはりみだと断言すると、その言葉を聞いたりみは恐怖で顔が歪みだしていくが、沙綾がここでたえの名前を出すもユウは沙綾の言葉を否定するが、その理由をハッキリと口にすることはせずにはぐらかしていた。

 

そんな態度に沙綾とりみは不信感を憶えていくが、聡い有咲はこの場ではぐらかした意味を理解してしまった。

 

「それって……おたえが犯人かそれに近いって言ってんのか……?」

 

「有咲!!そんなのないよ!!」

 

「………」

 

「とりあえず、落ち着いてくれるかな?」

 

「あら?誰か来たのかしら?」

 

「私が出ます!!」

 

今回の犯人かそれに近い位置にたえがいる。

有咲はそれをあえて口にすると沙綾が有咲の言葉に反論を返すとそんな彼女達が落ち着くように口にしようとしたところで病室の入り口から人の気配。

それに気が付くとりみが急いで病室の入り口に駆け出して、病室の前にいる人物を確認するためにその扉を開けると―――

 

 

 

 

 

「りみ、来たよ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

「おたえちゃん!!」

 

「「「っ!?」」」

 

「こっちだよ」

 

そこに立っていたのはユウ達が犯人だと言った人物―――たえが呑気な表情で手を振りながらその場に立っていた。

その姿を見た友希那達は思わず固まったが、同じバンドの面々はそんなたえのいつも通りな姿を見てユウ達の話が嘘だったのだと思い込んで一気に安堵していくと、りみが彼女に背を向けて有咲の元へと案内しようとしたが、たえは―――――――

 

「うん……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イタダキマス……」

 

あろうことか彼女はそのまま背を向けたりみの首筋に噛みつき、そのままりみの首筋を食い千切っていた。

 

「あぁあああああああ!?」

 

「「おたえっ!?」」

 

 

 

「らっ!!」

 

たえの凶行に沙綾と有咲が困惑していたが、その場でユウが即座に動いてりみからたえを引き剥がすとそのまま病室の壁目掛けて文字通りの全力で彼女を壁まで蹴り飛ばしてからりみに視線を向けるが、かなり危機的な状況だった。

 

「ヤバい…!!頸動脈食い千切られてる…!!急がないと出血多量で死ぬぞ!!」

 

「えっ……」

 

 

「あはっ……りみのお肉……ちょっと甘い感じがして美味しいね……」

 

りみは現状はかろうじで生きていたが、首を食いちぎられて既に虫の息で何時このまま事切れてもおかしくはない状況。

そんな状況になっているが、ユウに蹴り飛ばされたたえはフラフラとしながら立ち上がると口を血まみれにしたまま嬉しそうな笑みを浮かべてりみの肉の感想を口走っていた。

 

その一言で病室の全員が固まってしまったが、それでもたえの独白のような言葉は止まらない。

 

「でも、香澄の心臓が見た目もキラキラしてて一番美味しかったな…」

 

「おたえ……?何言ってるの……?」

 

 

 

「有咲の足も柔らかくておいしかったよ?」

 

「っ!?おたえ…お前が…!!」

 

「これであと1人で契約成立だ……!!」

 

たえはりみのだけでなく香澄と有咲の事まで口にし始めると、有咲は全てを察してしまった。

ユウ達が言ったようにこの事件の犯人はたえなのだと―――

そして、それと同時にたえの身体からは今度は砂が噴き出して、先ほど沙綾を襲ったラビットイマジンが姿を現した。

そうなれば残るのは沙綾1人だとイマジンが視線を向けるとデネブが即座に沙綾を守るように立ち塞がったが、沙綾はそんなデネブの横から顔を出してたえに声を張り上げていた。

 

「おたえ!!なんでこんなことするの!?」

 

「ポピパのみんなにオッちゃん達家族もみんな大好きだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

知ってる?自分が大好きな物って美味しいんだよ?だから、大好きなみんなを食べたいんだ」

 

「はっ……?何言ってるの……」

 

沙綾はたえがこんなことをする理由を問うが返ってきた答えは完全に異次元のモノで殆ど理解することが出来ずに困惑しか出来ないが、その言葉と共にたえがイマジンとした契約が見えていた。

 

「好きな物で腹を満たす……それが契約か……!!」

 

「正解だよ!!」

 

「ちっ!!」

 

イマジンはユウが言い当てた契約の内容を肯定するとその手に持っていた鎌でユウに斬りかかるがユウはそれを紙一重で躱すとそのまま鎌の柄を蹴って奪い取るとそのまま鎌同士で斬り合いに興じると、この悲劇の原因を考えていた。

 

「好きな物………だから花園さんが好きなウサギと、バンドメンバーを……!!」

 

「酷い……」

 

「酷い?コイツが契約した時に空腹で放置したのはお前らだろ?」

 

「あの時……っ!!」

 

「その後に追い詰めすぎて壊れてしまったのね……」

 

 

 

 

「でも、人間を食って美味しいなんて感想が出るなんてな…!!」

 

「自分の契約者ながらキモイな…!!」

 

「人間が美味いなんて思うこともないけどな!!」

 

「なら、コイツの元々の素質だろ!!」

 

イマジンは好きな物を集めて空腹を満たすという望みで彼女の身近で好感を持っている人物やペットを食べさせていた。

そして、その契約を結ぶことになった原因はユウ達が先日に空腹で倒れていた彼女を放置したせいだと告げられてユウは自身の軽率な行動を後悔したが、人間の血肉を美味に感じるのは彼女自身の素養だと言われるとイマジンが振り抜いた鎌によって弾き飛ばされる。

 

「後は…」

 

「ひっ…!!」

 

「彼女に手出しはさせない!!」

 

「ってぇな……」

 

イマジンは沙綾に視線を向けたが、その前にはデネブが立ち塞がっており、それに吹き飛ばされたユウもすぐに復帰するだろう。

だが、周囲に人がいる状況では巻き添えを考えると全力で動けないユウ達は不利を背負ったのだが―――

 

「沙綾のは前に指を間違えた噛んだ時に知ってるけどパンみたいでいい匂いなんだよね」

 

 

「前に食ったのか…ならこれで契約成立だ!!」

 

「なっ!?完了された…!?」

 

たえが沙綾の指を間違えて噛んだ時の感想を零すと、イマジンは好きな物で腹を満たすという契約を完了としてたえの中に飛ぶとそのまま過去へと消えていく。

 

「デネブ!!チケットで追いかける!!ゼロライナーを呼べ!!」

 

「分かった!!」

 

イマジンに飛ばされたユウは若干の痛みを感じながらも、過去に消えたイマジンを追いかけるべくたえの元へと歩み寄ってチケットを彼女の額に当てると、そこに浮かび上がった日付を確認し始めた。

 

「この日は……去年の文化祭ね。彼女、RASのサポートギターをしてたせいで文化祭のライブに出れなかったのよ」

 

「なるほど…大体分かった…行こう」

 

その日は羽丘と花咲川が合同で開催した文化祭の日。

そして、たえがRASのライブに参加したせいで文化祭のライブに参加できなかった日。

それが分かったユウは急いで過去に飛ぼうとしたのだが―――

 

「りみ、次は目と腕を食べるね…」

 

「花園さん…!?」

 

「沙綾と有咲も一緒に食べるから」

 

あろうことか彼らの目の前では瀕死のりみへと虚ろな目で歩み寄りながら、後で沙綾と有咲も食うと呟くたえがいた。

 

この状況ならば無視して過去に飛んでイマジンを倒せばそれで解決する。

しかし、それをすればこの時間が修復されるまでの間に確実にりみが死に、両足が欠損してしまっている有咲も逃げ切れずにたえに食い殺され、沙綾ももしかしたら死ぬかもしれないし、最悪の場合はそれで止まらずにたえと仲のいいレイヤや他の大勢も巻き添えになるかもしれない。

 

そう考えたユウは瀕死のりみに歩み寄るたえの元へと駆け寄って―――

 

 

 

 

 

 

「死ね……」

 

「「っ!?」」

 

その呟きと共にイマジンから奪っていた鎌でそのままたえの首を跳ね飛ばした。

たえは自身が斬られたことなど感じられなかったのか首のない自身の身体を見たことで戸惑ったような表情を浮かべると、そのままの表情でたえが絶命してからだもりみの横に倒れこんでいく。

 

「ゆきちゃん達、行くよ。デネブ!!」

 

「…わかった」

 

たえが確実に絶命したのを確認すると、ユウは友希那達に声をかけながら友希那と燈を抱えてデネブと共に病室の窓をぶち破って飛び降りると、そのまま空中を走ってきたゼロライナーの屋根の上に飛び乗ると、4人で時間の狭間へと消えていくのだった。

 




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