本編ですが、相変わらず飛んでますなぁ……
流石ですわ…
最初なんでジャブ程度のやらかしから…どうぞ!!
120-ars est CREPITUS
街の一角にあるマンションのそのロビーにユウはいた。
「あっれ~…おかしいな……和奏さんが出ない…」
彼がマンションのロビーにいた理由はレイヤ。
ユウはもはや仕事になってしまった彼女の世話の為にマンションまでやってきたのだが、ロビーのインターホンを鳴らしても、彼女に電話をかけても一向に出る気配がない事に疑問を感じていた。
「てか、なんで和奏さんも俺の事を憶えてるんだ……?確実に特異点じゃないのに……困ることじゃないからいいけど……」
「こんにちは~」
「こんにちはにゃむちゃん。キャリケース持ってるってお仕事?」
「そうなんですよ~。ユウさんはレイヤさんのお部屋の掃除ですか?」
だが、それ以上に疑問なのは特異点ではない彼女がユウのことを憶え続けていることだったが、それ自体は悪い事ではないと思っていた所にレイヤの部屋の隣に住むにゃむから挨拶をされたことでユウはすぐにその事に関しての思考を停止して彼女に返事を返していた。
「そうなんだけど…和奏さんが出てこなくてね……」
「あ~…そういえば遠征で大阪に行くとか聞きましたけど?」
「俺もそれは聞いてたけど、今日の昼前には帰ってくるからって呼ばれたんだけどね……」
「帰りにトラブルとかあったのかな?」
「大阪なら多分新幹線ですよね。そんなトラブルになるような事ありますかね~?」
ユウはにゃむと2人で連絡の取れないレイヤの事を心配し始めていた。
そんなタイミングでユウのスマホに着信が入ると、彼はすぐにスマホをポケットから取り出して着信相手を確認すると、そこに出てきていたのは話題になっていたレイヤだった。
「和奏さんからだ…!!」
「私にも聞かせてくださいよ」
「良いけど……もしもし」
『もしもし…すいません……連絡貰ってたみたいで……』
「それは気にしないで大丈夫ですけど……和奏さん、何かトラブルでもあったんですか?」
『えっと……あったと言えばあったというか……』
「……言えないような感じなのかな……?事件に巻き込まれたとか……」
『いえ……そう言うのじゃなくて……』
ユウはレイヤとの通話をにゃむにも聞こえるようにしてから電話に出ると、ユウの言葉に煮え切らない答えを返すレイヤにユウは彼女が事件に巻き込まれたのかと心配し始めるがすぐにそれは否定されるも、その煮え切らない態度にユウは不自然さを感じて追及し始めてしまった。
「なら、今はどちらにいらっしゃいますか?」
『えっと…見てもらった方が良いかな……?ビデオ通話にしますね……あれ?にゃむちゃん…?』
その言葉に不信感を感じたユウだったが彼女の居場所を尋ねるとレイヤは困ったような声でビデオ通話に切り替えるとすぐにレイヤの顔が映された。
映ったレイヤは困ったような表情を浮かべていたことは対して問題ではなかったのだが、本当に問題なのは彼女の背後は映り込んだモノだった。
「はぁ……?」
「シー………サー……?」
『えっと……飛行機乗り間違えて……その……今、那覇に……』
「「那覇ぁ!?」」
『はい……』
「なんで…?」
あろうことかレイヤは那覇にいた。
100歩譲って大阪から東京まで飛行機で戻るのはまだいいが、何をどうすれば東京と那覇を間違えるのかが理解不能だったもの、とりあえずは言い訳を聞くことにした。
『その……早く帰ろうとして……その飛行機に乗ろうとしたんですけど…間違えちゃって……』
「レイヤ先輩?流石にチケット取った時点で気が付かなかったんですか?」
『いや……その……うん……』
「「………」」
レイヤの言い訳を聞いた2人だったが、まるで言い訳になっていないその言葉に完全に絶句した。
ワザとやってるとしか思えない所業だが、レイヤの申し訳なさそうな口調からは彼女は大真面目にそれをやってのけたとしか思えない。
『その……すいません……。また今度に……』
「それは構わないですけど…………1人で帰ってこれます?海外行っちゃったりしません?」
『中島さん、パスポートは部屋にあるので大丈夫ですよ…。それに流石に次は間違えないです』
「ヤバい…レイヤ先輩のその言葉に全く説得力がない……」
『にゃむちゃんもそんなに言わなくても……』
「まぁ……心配なんで帰ってきたら連絡ください」
『分かりました。失礼します』
「また間違えて変なとこに行きそうですね」
「パスポートは家の中にあるってのを信じるなら…日本から出ないだけ安心かな…」
その言葉と共にレイヤとの通話が切れた。
にゃむとユウの2人の間には沈黙が流れるが、2人は揃って余りにも失礼なことを口走っていたが、更に失礼な言葉が加速する。
「和奏さん、また間違えそうだね…」
「そうですね…凄い心配です。九州くらいには行ってほしいですけど…」
「逆に奄美大島とか宮古島とかに行っちゃうかもね」
「流石に北には戻ってきますよ~。もし違ったら私にスイーツ作ってくださ~い」
「その位なら和奏さんの部屋を掃除する時に一緒に用意するよ。あっ、今日は豆乳プリン作ってきたんだけど良かったら食べて?」
「へへっ…やったぁー。ありがとーございまーす」
挙句の果てにはレイヤが次に行く先を賭け始めるというとんでもない事をし始めたのだがその事を咎める者は誰もいなかった。
「にゃむちゃん、お仕事大丈夫?」
「まだ余裕はありますけど、そろそろ行きますね」
「気を付けてね~」
「はーい」
ユウはキャリーケースを引いて仕事に向かおうとするにゃむの見送ろうとしたのだが、ここで更なるトラブルが起こってしまった。
「あっ……あれ…?」
「あ~……キャリーケースのキャスター折れちゃったね」
「うっそ~!?」
「これ、本体側がダメだから買い直したほうが早いよ」
歩き出したはずのにゃむだったが、彼女が引いていたキャリーケースのキャスターが突如として折れてしまった。
流石にこれは予想外だったにゃむは声を挙げてしまったが、ユウはすぐに状態を確認するがその横ではにゃむの顔が青ざめていく。
「ヤバい…どうしよう…無理だって…」
「にゃむちゃん?もしかして仕事で使うのが壊れちゃたとか?」
「えっとそれは多分大丈夫だと思うんですけど……単純に荷物が多くて」
「それで重いからケースに入れてたんだね。で、ケースが壊れたから運べないと…」
「はい……ちょっとユウさん!?何やってるんですか?」
「いや、運べないなら俺が持てばいいかなって」
仕事の道具が運べない。
単純だがすぐにはどうしようもない問題に直面してしまった事でにゃむは困り顔を浮かべてしまった。
しかし、そんな彼女を他所にユウは彼女の荷物を難なく持ち上げようとしていた姿ににゃむは驚いて彼を止めようとしていた。
「いやいや!!ユウさんに迷惑になっちゃうんで…!!」
「大丈夫だよ。依頼主がドタキャンしたせいで仕事が無くなっちゃったから予定なくなって困ってるんだよね」
「それに!!そこに撮影の器材も入ってるから、結構重いですし!!」
「平気だって。それに手伝ったほうが空いた時間を潰せるしね…にゃむちゃん、ちょっと離れて?」
「えっ?はい」
にゃむは迷惑になるからとユウを止めようとしたのだが、彼としては急に予定が無くなったせいで出来た時間について考えなくて済むと彼女の手伝いをすることを伝えると、そのまま何事もないかのように中身が詰まったキャリーケースを何事もないかのようにケースを持ち上げているユウの姿があった。
「よっと…!!見た目の割には重いけど、これなら全然大したことないよ。時間もないから行こっか?」
「えっ…でも」
「大丈夫だよ。困ったときは助け合いだからね」
「じゃあ、事務所で仕事するんでそこまでお願いしま~す」
「了解。帰りにはキャリーケース新しいのも買おっか?」
「う~ん……それは無しで。買うなら可愛いの選びたいので!!」
「じゃあ、帰りも荷物持ちだね」
そんな軽い会話をしながらも、ユウは荷物を持った状態でにゃむの後ろを歩き出すのだった。
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