これは大分不穏な感じなりますた(当社比)
最悪の事態が起こる一歩手前で主人公たちはどうなるのか私にも分かりません。
という所で本編どうぞ
「三角さんと豊川さんの関係は同い年の従姉妹じゃなくて、同い年の叔母と姪だよ」
「「はぁ……?」」
「「…………」」
「えっ……?言い返さない?……って事はマジ……?」
「…そうですわ。初華は血縁上では私の叔母に当たりますわ」
ユウが辿り着いた結論に友希那とにゃむの2人が揃って声を挙げてしまった。
だが、同い年の高校生で親族と言われれば普通に考えれば従姉妹と言う関係に思い至るのが普通であり彼女達が声を挙げたことにはなんら間違いではなく、むしろユウの言葉の方がおかしいと笑われる状況。
しかし、初華と祥子の2人が沈黙しているという状況がユウの言葉が真実であるという事をほぼ確信させ、祥子が遂にユウの言葉に同意を示した。
「ユウ…?どういう事よ?」
「ゆきちゃん、さっき話したのは覚えてる?」
「えぇ…遺産を貰うって話よね?」
「そうだよ。奥さんと子供が亡くなってるから孫である豊川さんに全部が流れるはずだったところに隠し子である三角さんが出てきたら?」
「ウイコの独り占め!!だから襲われたんだ…!!」
「にゃむちゃん、正解。臭い物には蓋を―――いや、女の子に臭いは失礼か……?まぁ、超特大の爆弾ってことだよ」
豊川の家にとって初華の正体は正に爆弾であり、それが爆発しようものなら今まで築きあげた全てが消し飛ぶ可能性すら秘めた超特大の危険物。
その事をユウはやんわりと伝えるが、初華は震えながらも気まずそうに手を挙げる。
「待ってください……私はお父さん―――祥ちゃんのお爺さんとは書類の上は……」
「でも、遺言とかで初華の存在が表になったらどうなります?書類上は関係無くても、調べようとすればいくらでも出来ますわ……」
「もしも三角さんの事が表になる可能性があるなら、出てくる前にいなくなれば面倒が減るよね?って言う汚い理屈だよ。気分のいい話じゃない」
初華は書類上は関係無いと都合のいい事を口にするが、今のご時世では書類を偽造したところで調べる方法などいくらでもあると祥子が初華の言葉を否定するとユウも先ほどの祥子に対するものに比べて大分柔らかい表現で彼女に伝えるも初華はショックで肩を落としてしまった。
「ユウ。それでどうするのよ?ここまで滅茶苦茶にした責任はどうとるのかしら?」
「ゆきちゃん滅茶苦茶って…まぁ、ある程度は手を貸す…って言ってもボディガード程度だけど」
「さっきのユウさん見てたらかなり安心感ありますね~」
「……相手が可哀そうになるわね」
ユウはショックを受ける初華に対してボディガードと銘打って彼女の事を助けると伝えると、にゃむと友希那が安心したような表情を浮かべる一方で初華の方は困惑の表情を浮かべていた。
「えっ……でも……危ないんじゃ……」
「確かに危ないけど、俺も相手をボコボコにしたでしょ?報復とかされるかな~って思ってるからね」
「あの?初華とあなたが一緒にいるとより危険では?」
「相手に的を絞らせた方が動きを読みやすいし、周囲の被害が出にくいからそっちの方が良いよ。まぁ、豊川さんの近くが一番安全だけど、危険なのは学校行くときとかに別れる時だけだよ」
「……もう何も言いませんわ。初華の事お願いいたします」
「今日はにゃむちゃんの家に泊まったほうがいい。明日の朝、学校行くときには迎えに行くから」
「私もこれで失礼するわ」
ユウは明日から少しの間だけ初華のボディガードとして行動を共にすると伝えると、そのまま友希那と2人でにゃむの部屋を後にする。
そうして翌日の朝を迎えた彼は初華と祥子の2人と合流して簡単な話をしながら通学していき、羽丘と花咲川との分かれ道までたどり着いたのだが――――
「祥ちゃん……祥ちゃん…………」
「初華、しっかりしなさい。ではお願いします」
「ほら、三角さん。行きますよ~」
初華は祥子と別れるタイミングになっていきなり情緒不安定になってしまった。
しかし、祥子はそんな初華をあえて無視してユウに引き渡すと、それを受け取ったユウはズルズルと彼女を引き摺って花咲川への道のりを歩きだしていくも、初華はいつまでたっても元に戻らない。
「祥ちゃん……祥ちゃん…………」
「こいつマジか……。あっ…隠れてるけど殺気だった感じがするな……三角さん?とりあえずここで待ってて?」
「えっ……?」
何時までも回復しない初華にユウは呆れた表情を浮かべていたところで、ユウはこちらを殺気だった視線で見ている存在を感じ取ると、彼女を置いて即座に殺気を感じた曲がり角に平然と歩いて行き――――――
「はい。まず1匹目」
「―――っ!?」
「雇われたチンピラか…?」
ユウは曲がり角を出た瞬間に殺気だった相手を即座に捉えると一瞬で顎を撃ち抜いて意識を狩りとって地面の端へと蹴り飛ばしてから何食わぬ表情で初華の元へと戻っていく。
「ぁ……あの……」
「離れてごめんね?そこの角に三角さんを殺そうとしてた野郎が1匹いたから寝かせておいたよ」
「えっ……?」
「とりあえず行くよ」
ユウの何気ない言葉に困惑する初華だったが、彼はそんな彼女を気にすることなく腕を引いてそのまま歩き出していく。
その際に初華はユウがほんのわずかな時間入っていった角に視線を向けると彼が言ったように本当に野郎が1匹気絶していた光景に唖然としていたが、昨日と今日の動きを見たことで多少の安心感を感じていたのだが――――――
「「うわぁあああああああ!!」」
「悲鳴…!?」
「この声…後ろの曲道から近づいてきてるね」
初華が安心したこのタイミングでユウ達の元へと悲鳴が近づいてくる。
その声に初華は本能的な恐怖で震えてしまったがそこはユウが悲鳴の聞こえる方向から彼女を隠すように立つと、ユウが言った曲がり角からは人影が飛び出すとその姿を見たユウは驚かずにはいられなかった。
「アンタは…っ!?」
「市ヶ谷さんに戸山さん?」
「って言ってる場合じゃねぇ!!変なのが追ってきて―――」
「……失せろ」
悲鳴を挙げながら飛び出してきた人影の正体は有咲と香澄
最初こそ2人は互いに驚いていたのだが、有咲は一瞬で我に返って後ろから追われていると伝えると、曲がり角から彼女達を追いかけていたであろう人物が姿を見せる。
そして、有咲のことを見つけると相手はユウのことなど視線に入れずに一気に彼女に詰め寄ろうとするもが、ユウが華麗な回し蹴りで相手の側頭部へと叩き込んで吹っ飛ばすと、その身体はブロック塀を粉砕し、そのままピクピクと体を震わせるだけになるとユウは心配そうに有咲達に視線を向けていた。
「えっ…?あんな風に壊れるの……?」
「えぇ~!?どういう事!?」
「え……えげつねぇ……」
「いや~相手が勝手に倒れてブロック塀破壊するなんてね~!!あっ、市ヶ谷さん達、大丈夫?」
「「あっ……はい」」
「色々と気になることは歩きながら話すから、行こっか」
粉砕されたブロック塀とマトモに動かなくなっていた相手に困惑の表情を浮かべた香澄と有咲だったが、そんな2人に対してユウはワザとらしいくらい大きな声で嘘を言いながら彼女達を気にかける。
状況について行けなかった2人は何とも言えない返事を漏らすと、そのままユウと初華と共に学校に向かって歩き出していたのだが、すぐに香澄がユウに声をかけていた。
「あの!!さーやの知り合いの人ですよね!!どうしてこんなとこにいるんですか!!それにその子は?」
「いや、最初に聞くのそれかよ……」
「この子は三角さん。アイドルとバンドをやってるんだけど―――」
「は……始めまして……」
「アイドルってイヴちゃんと一緒だ~!!」
「あぁ…そう言えば、1年生でそんな子がいるって聞いたことあるな……沙綾の知り合いがなんでそんな子と一緒に?」
香澄の言葉に対して、最初に聞くべきことではないだろうと呆れてしまった有咲に何事もないかのように話すユウと香澄の勢いに負けてオロオロとし始める初華。
その言葉を聞いて香澄は大きな声で驚く横で有咲は落ち着いた雰囲気で以前に話に聞いていた事を思い出していたのだが、彼女からすれば沙綾の知り合いという認識しかなく、そんな相手がアイドルをしている後輩と一緒にいるのかが結びつかずにその事を口に出した。
それを聞いたユウは有咲に対して、祥子たちと合流した後に軽く話した設定を語り出す。
「平たく言えばボディガードですね。市ヶ谷さん、この子がアイドルとバンドをやってるって話をしましたよね?」
「あぁ…sumimiの初華でAveMujicaのドロリス…ですよね?どっちも有名ですよ」
「それなんですけどね。2つのグループで活動してるせいか、過激なファンのグループが暴走しちゃって襲撃するって犯行予告まで出されちゃったので」
「有名税って奴ですね……って、本人の前でこういうのも失礼か……」
「いえ……」
「でも、なんで…えっと市ヶ谷さん?が?」
ユウが語った設定を聞いた有咲はそれとなく納得した事で、初華は初華で有咲が追い掛け回されていた理由が分かっていない。
それを口にした彼女だったが、その答えは予想外の人物から飛び出した。
「アレだよ!!有咲と初華ちゃんって髪色似てるから!!」
「んなアホな……。どっちかと言えば三角さんの髪色が似てるのは卒業した白鷺先輩だろ…」
「市ヶ谷さん。襲撃してくる頭の連中はアホでいいんですよ」
髪色が似ていた。
襲われた理由にそんなアホみたいな答えを口にした香澄に有咲はまた呆れてしまったが、ユウはそんな事をする相手は総じてアホだと言い切って見せたのだが香澄は更に斜め上に方向に話を飛ばしていく。
「有咲と一緒だと、こころんも似てるよね!!大丈夫かな?」
「弦巻さんって…あそこには黒い服着たSPがついてるだろ」
「そっか!!」
「やっべぇ……これは……」
「弦巻って…?噂で聞いたお金持ちの…あれ?中島さん?どうしたんですか……?」
香澄は有咲とこころの髪色が似ていると口にするが、彼女の場合は近くには黒服達が控えている。
そんな相手がいる彼女には危険が及ぶわけもないと有咲が口にすると香澄はそれで納得していたが、それに対してユウの表情は一瞬で凍り付いてしまい、それに気が付いた初華がユウにだけ聞こえる様な声で囁いたのだが――――
「豊川さんのとこのアホ共が弦巻さんに手を出したとマジものの戦争になるかもしれない……」
「えっ……?」
ユウから返ってきた答えを聞いて初華も彼と同じように表情を凍り付かせてしまうのだった。
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