忘却の唄・消えかけのアルタイル   作:ツナ缶マン

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おはよーございます。

これは滅茶苦茶になってきた……
ライブ感で書いてるから仕方ないですが、どうやって収集付けるんだよと作者は頭を抱えてしまった
こんな緩い中でも主人公は虐められるんですね……ドンマイ
という事で投稿です


128-信頼は時に猛毒になる

初華を学校まで送るはずのユウだったが、そんな彼らの元に初華と勘違いされたことで襲撃されてしまった有咲と一緒にいたことで巻き込まれた香澄が合流して学校まで歩いていたが――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「下手糞だな…尾行してるのに殺気駄々洩れだ…」

 

「ふぇ……?」

 

「後ろから狙われてるのでちょっと止めてきますね」

 

「またかよ……」

 

背後からの殺気を感じ取ったユウは彼女達にその事を伝えると、その初華から間抜けな声が聞こえたのを聞き流しながらすぐに後ろに歩き出すと、その殺気を出していた張本人に向かって平然と歩きだしていく。

 

「……寝てろ」

 

「~~~~!?」

 

 

「ひぇ~…痛そう……」

 

「戸山さん。殺そうとしてくる相手を気絶で済ませてるだけまだ優しいですよ」

 

「って、なにやってんです?」

 

「調べてるだけだよ。あら、ご立派に刺青が入ってまぁ…」

 

そして、ユウは一言呟くと同時に相手の股間を蹴り上げると、相手がそのまま前のめりになったタイミングに合わせて顎を膝で蹴り上げてそのまま意識を刈り取ってみせた。

その目にも止まらぬ早業に香澄が慄いていたが、ユウはそんな彼女に笑みを浮かべながら答えると慣れた手つきで襲撃者の身体を調べ始めていくと相手の持っていた凶器を即座に見つけ出してみせた。

 

 

「雇われたチンピラにしては物騒なモンもってんな……どこから持ってきてんだよ」

 

「それ!?銃!?初めて見た…!!」

 

「静かにしてください戸山さん。これはちゃんと本物ですよ」

 

「うぇえええええ!?」

 

「また……?」

 

ユウは襲撃者の胸元に入っていた凶器を取り出して怪訝な表情でそれを見るが、後ろから覗き込んでいた香澄が驚いていた横では初華が昨日と同じ様に銃を持っていたという事に困惑の表情を浮かべていたのだが、有咲は初華が放ったその言葉をハッキリと聞いてしまっていた。

 

「はぁ!?なんでそんなもん持ってんだよ!?それに”また”ってなんだ!?」

 

「昨日も同じ様に襲撃されてたんですよ。……銃の方はもう分解したから使えなくしましたから大丈夫…いや、トリガーをパクっておくか…」

 

「って今の一瞬でバラしたのかよ!?」

 

「市ヶ谷さんツッコミ多いですね……」

 

そんな事を平然としている彼に有咲の怒涛のツッコミが炸裂するが、ユウ自身はそれを聞き流しながらその場で銃を解体して組み立てられないようにパーツを奪って懐にしまい込んでから歩き出すと、チラホラと同じ制服を着た生徒達の姿が見える大通りまで差し掛かろうとしていた。

 

「さてと、ここから大きな通りだけど気を付けないと行けないですね…」

 

「……?どうしてですか?色んな人に見られてますし……それにここから校門まで真っすぐで、走れば1分かかんないですよ?」

 

「三角さんの考え方も出来るけど、木を隠すなら森の中って言うでしょ?襲撃犯が人混みに紛れる可能性もあるから」

 

「……?うちの生徒達ばっかりだけど……?」

 

「戸山さん、それに人が多ければそれだけ動きにくくなりますからね」

 

初華を始めとした面々は人通りの多い大通りに出るという事で安心し始めていた一方で、ユウは嫌そうな表情を浮かべていた。

 

 

 

 

 

周囲に見られることで襲撃犯が襲いにくくなる半面、襲われれば人が多くなって身動きが取れなくなる。

 

「じゃあどうやって襲うって言うんですか?こんな人目につく中で…」

 

「もしも俺が襲う側なら単独なら狙撃するか、周囲を気にしないなら今みたいに気の抜け始める大通りから部外者が入りにくくて比較的安全な学校の校門を通過するまでの間で車を突っ込んで轢殺します。

複数で組むなら失敗した時のカバーで仲間を複数配置して―――ってなんで聞いてきた市ヶ谷さんはそんなヤバい人を見るような視線を?」

 

「いや!!その発想が瞬時に出てくる時点でヤベーだろ!?」

 

その両方の考えは間違っていないが有咲はどういう襲撃が想像できるのかを聞いたが、ユウの口からはスルスルと襲撃パターンが出てくることに有咲はドン引きしてしまったのだが―――

 

 

 

 

「……ユウ……さん?」

 

「あっ!!さーやだ!!」

 

「おい、沙綾の奴。顔は笑ってるけど、声がいつもより低いんだけど?」

 

「どういう事……?」

 

このタイミングで沙綾も通学しており、何も知らない沙綾が彼らの元へと歩み寄ってきた。

しかし、その笑顔だが表情とは全くの正反対の怒りを感じる様な低い声に有咲と香澄は異変を感じたのだが、ユウと初華の2人はその事に全く気が付いている様子はなかった。

 

「沙綾ちゃん。おはよう」

 

「えっと……おはようございます……」

 

 

「それで……なんでユウさんはこんなとこに?」

 

「いや~……ただの送迎だけど?」

 

「へぇ~……香澄と有咲とその子をですか?」

 

「うん。戸山さんと市ヶ谷さんは成り行きだけど…」

 

 

 

「さーや!!聞いてよ~!!実は―――!!「ちょ!!香澄待て!!」―――有咲、なんで?」

 

「事情も知らないのにいきなりそんな話してみろ?心配かけるだろ?」

 

「……香澄。どうしたの?」

 

事情を知らない沙綾はユウが香澄や初華達と一緒にいることを直球で尋ねると、ユウはとりあえず彼女の質問に答えるが、彼女の疑惑の視線が止まらない。

そんな中で考えなしに香澄が沙綾に先ほどまでの事情を説明しようとしたが、何も知らない沙綾を巻き込む訳にもいかないと有咲が即座に止め丁と割って入ったものの、その行動は逆に沙綾に不信感を強めてしまっていた。

 

「バイトのシフトと私との約束が被ったって言おうとしたんだよ!!なっ!!」

 

「えっ……違―――「なっ!!」―――うん。有咲の言う通りなんだ~」

 

「香澄、なんか隠してない?」

 

「えっと…それは~……」

 

 

 

「心配かけるから言いたくなかったんだけど、実は香澄と登校中に不審者に出くわしたんだよ」

 

沙綾は香澄に詰め寄るが、当の本人は彼女の圧に負けて思わず視線を逸らし始めてしまった。

それは沙綾に更なる不信感を覚えさせる結果になってしまったことを察した有咲は諦めて事情を話さないまでも実際に起こった出来事を伝えると沙綾は驚きの余りその目を見開いていた。

 

「えっ!?大丈夫だったの!?」

 

「ちょっと肩を掴むなって!!…まぁ、逃げてる最中に中島さんと三角さんと会ったんだけど、そしたら中島さんが一瞬で不審者を叩きのめしちまったんだよ」

 

話を聞いた沙綾は思わず有咲の肩を掴んで揺さぶり始めたが、彼女から追加で話を聞いたことで有咲からすぐに手を放すとその顔をユウの方へと向ける。

だが、その表情には不信感や驚きと言ったものは一切感じられず―――――

 

「流石ですね!!」

 

「いや、大したことはないよ」

 

「カッコいい……!!見て見たかったな~」

 

「そこまで褒められることでもないし、見てて気分のいい物でもないよ?」

 

 

 

 

 

「どういう事……?」

 

「さーやの顔がトロトロになってる……」

 

「……目にハートマークが出そうなくらいの空気だな…」

 

それどころかユウに対して目が甘々な視線を向け始めていたことに初華や香澄達が呆気に取られてしまったが、視線を向けられた本人はそれに全く気が付いておらず彼女の言葉に対してやんわりと答えを返していたのだが、すぐに沙綾は目を細めてユウに視線を向け始めていた。

 

「あの~?ユウさん?」

 

「沙綾ちゃん?どうしたの?」

 

 

 

 

 

 

 

「香澄達と一緒にいる子―――三角さんとはどういう関係なんですか?」

 

「そう言えばどういう関係か聞いてなかったな……」

 

「確かに!!」

 

「いや、どうってことはない知り合いだよ?」

 

ここで沙綾はユウと初華の関係について問われてしまうと、この言葉に沙綾だけでなく香澄と有咲までのがユウと初華の関係について気にし始めてしまう。

そんな3人にユウが差し障りのない回答を返したのだが、それでこの3人が納得することはなかった。

 

「友希那先輩みたいな関係ならともかく…どうってことない知り合いだったら、朝から一緒なんておかしいですよね?」

 

「さっきはボディガードみたいな動きしてたけど、事務所のスタッフさんとか?」

 

「ただのスタッフがそんな事するか?もっとこう……特別な関係だろ」

 

 

 

「う~ん……どうしよう……」

 

「そっちの三角さん?ユウさんとはどういう関係なの?」

 

ユウは本当のことを言ったのに一切信じてもらえていないことにどうしようかと考え始めるも、沙綾は友希那との関係を憶えている事もあって下手に嘘をついてボロが出る。

ユウはどう説明しようかと頭を回し始めたがところで沙綾は初華に問いかけると、その状況を見たユウはこれは完全に本当のことを言わないと信じてもらえないだろうが、その真実が現実離れしてしまっている内容出会ったことが足を引っ張ってしまう。

 

完全に説明の使用が無いと思っていたのだが―――――――

 

「えっと…実はこの人は………

 

 

 

 

 

私のお兄ちゃんなんです」

 

「えっ……?」

 

「「「えぇー!?」」」

 

初華はこの土壇場でとんでもない嘘を投下した。

流石のユウも困惑の言葉を漏らしてしまったが、それを聞いた3人はその言葉を掻き消さんばかりの大声で驚いていた。

 

「えっ……」

 

 

「嘘!?この2人が兄妹!?だから一緒にいたんだ…!!」

 

「ウッソだろ!?似てねぇ……。付き合ってるって言われた方が納得…でも、さっきの事を考えれば体を張る理由も納得が―――」

 

未だに困惑する沙綾とは対照的に香澄と有咲の2人は兄妹と言われたことで先ほどまでのユウの常識外れに体を張っていた行動理由にも納得しそうになってしまっていたのだが、ユウとしては彼の”兄妹”と言われたことで苦虫を噛み潰したかのような苦々しい表情を浮かべてしまっていた。

 

 

ユウには(リサ)はいても妹はいない。

それが例え姉の記憶から一切が消えていたとしても、彼からすればそこだけは変わらない現実。

彼の事情を知っている友希那がこの発言を知れば、初華がユウの大切な部分を土足で踏み荒らすような行為に憤慨するだろうが、ユウはその嘘を利用しようと表情を誤魔化した。

 

「………実はそうなんですよ」

 

ユウは本心では拒否したかった初華の嘘だったが、この場を誤魔化すためにそれに乗った。

とは言ってもこんな見え透いた嘘に誤魔化されるような事はないだろう。

そうなれば差し障りのない範囲で真実を語ればいいと思っていたのだが―――

 

 

「そうだったんですね!!」

 

「中島さんと初華ちゃんは兄妹だったんだ!!」

 

 

「あれ……?」

 

「でも、名字も違う?」

 

「そりゃ、離婚して――――――すいません。無神経でした……」

 

「……市ヶ谷さんは気にしないでください」

 

だが、ユウの予想に反して沙綾と香澄はその言葉に完全に納得してしまっていた。

完全にこれには予想外だったユウは困惑してしまうのだが、ここで香澄が当然の疑問を口にするも、それらしい理由が有咲から飛び出したことで彼女達は完全に初華の嘘を信じ込んでしまった。

 

 

 

 

「それじゃ、よろしくね!!義妹(いもうと)ちゃん!!」

 

「えっ……あっ……はい……。えっと……沙綾先輩?」

 

「先輩も敬語もいらないよ~!!ほら!!もうすぐHRの時間だから行こ!!」

 

「さーや!!待ってよ~!!」

 

「市ヶ谷さん?」

 

この中で一番疑っていたはずの沙綾が一瞬で初華を信用すると彼女の手を取ってそのまま校門まで駆け出して行ってしまったこの光景に唖然としてしまったユウだったが、ユウはこの嘘を見抜いてそうな有咲に期待の籠った視線を向けてしまった。

 

 

 

「…とんでもなく嘘臭いですけど、中島さんが肯定したってことは本当なんでしょうね」

 

「えっ……」

 

しかし、そんなユウの期待は一瞬で裏切られてしまった。

確かに彼女の言うように今の発言はとんでもないデタラメなのだが、彼の誤算は襲撃者を撃退していたユウの行動のせいで、完全なデタラメでも彼が肯定したことで有咲にとっては信じるに値する言葉になってしまっていた。

 

 

「有咲~!!」

 

「それじゃ時間も無いので失礼します」

 

「あっ……」

 

そうして有咲は香澄に呼ばれた事で走り出していき、固まってしまった彼の視線の先では初華と香澄と有咲の3人が校門を通って校舎の中に消えていく。

それを見届けたユウはどうしようかと考えたがその場でスマホを手にし――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「高松さん、ごきげんよう」

 

「祥子ちゃん…おはよう……あれ…?おにーさんから……えっ……?」

 

「高松さん……?どうかされまして?」

 

「おにーさん―――えっと……昨日祥子ちゃん達と一緒にいた人のことで…」

 

「中島さんですか?あの方がどうされたんですの?」

 

 

 

「初華ちゃんのお兄ちゃんになっちゃった……」

 

「は…?」

 

思わず連絡してしまった燈とたまたま出くわしていた祥子をパニックに陥れてしまうのだった。

 

 




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