忘却の唄・消えかけのアルタイル   作:ツナ缶マン

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おはよーございます。

この章、生身の戦闘多いな……
主人公の暴力スペックで遊べるドン!!
って思ってましたが、この主人公メンタルヤバいな……
そんなこと思いながら初投稿です


129-そうして彼の逆鱗に触れた

 

「授業終わったら連絡しろって言ってたのに、どうして電話に出ないの……」

 

大学の授業を終えた友希那。

彼女はその事をユウに伝えようと電話をかけたのだが彼に電話が繋がらない。

 

「ユウなら大丈夫だと思うけれど……やっぱり心配だわ………花咲川で何かあったのかしら…?」

 

電話に出ないことなど普通に考えれば手が離せないのかと考える程度で済むのだが、彼がおかれている現状を考えれば出ないことに友希那の不安が募っていく。

 

「……あまり使うと怒られるけれど、仕方ないわね。家…いえ、花咲川の近くまで行けば―――」

 

そして彼女は決断した。

大学のどこかの扉からゼロライナーを経由して一気に移動する。

 

普段にこんなことをすればユウに怒られるうえにデネブにも窘められてしまうが、ユウの非常事態という事を考えればこの選択肢を取ることは仕方がないと考えた彼女は大学の正門から校舎の方へと振り返ろうとしたのだが――――――

 

 

 

 

 

「ゆ~……きな!!」

 

「リサ」

 

「授業終わったはずなのに…どこ行くの?」

 

「いえ、帰ろうとしたのだけれど…そのお手洗いに行こうと……」

 

あろうことかこのタイミングでリサと遭遇してしまった。

同じ学校に通っている彼女と会うのは何ら不自然ではないものの、この状況を考えるとあまり喜ばしい状況ではないが、そんな事をリサが知る由もなく彼女の手を取ったが、この状況に友希那は咄嗟に嘘をついて彼女から離れようとした。

 

 

 

 

 

 

 

「なら、私も一緒に行こうかな~。一緒に帰ろ?」

 

「……………やっぱり大丈夫だわ。リサ、私これから行くところがあるのだけれど…」

 

「アタシも着いていくよ~。今日は練習もオフでバイトも無いから暇だし」

 

しかし、リサからは逃げられない。

お手洗いに行くならばそのまま諦めるだろうと思ったのだが、あろうことかリサは彼女と一緒に帰ろうとそこまで着いてくると言い出した。

 

普段ならば一緒に帰ることは何も問題はないが、リサが一緒にいる手前ゼロライナーを経由して移動することが出来なくなってしまった友希那は予定があると言って彼女から離れようとしいたのだが、それでも友希那はリサからは逃げられなかった。

 

「これから人と会うのだけれど……」

 

「へぇ~誰と会うの?」

 

「高松さん達よ」

 

「あぁ~最近よく一緒にいる後輩の子ね~…ねぇ、アタシも着いて行っていい?」

 

「……今回は止めて欲しいわね」

 

「もしかして……昨日の人も一緒だから?」

 

友希那は正直に人と会う約束をしてることを伝えるとリサは燈の名前を聞いて納得していた。

リサからしても友希那の交友関係が広がること自体は歓迎しているようでニコニコしていたが、着いて行くと言われた事で友希那の表情が強張ったものの彼女の申し出を断ったのだがリサがそれでも退こうとしなかった。

 

「そうよ。だからついてきて欲しくないのだけれど……」

 

「……」

 

普段ならば憶えていないとは言えども姉弟の時間を作ろうと嬉々としてユウに確認を取るのだが、今回は違っていた。

 

ユウが置かれている状況は文字通りに体を張っている状態で、朝の段階で襲撃があったことを聞いていた友希那としては、以前の遊園地のときの様に目の前でリサが死んでユウが傷ついてしまう事も考えると余計に連れて行くことなど出来ない。

 

だが、それを正直に伝えることが出来ない友希那はリサに着いて来て欲しくないと言うことだけを正直に伝えていたのだが――――

 

 

 

 

 

 

 

「………やっぱりついてく!!友希那が大人の階段を登るのはまだ早いよ!!」

 

「……はい?どういう意味?」

 

「行くよ!!まずは羽丘!!タクシー!!」

 

だが、リサに対しては言葉が全く足りておらず、あらぬ勘違いをしてしまったリサは友希那に着いていくと頑なになってしまい、友希那の腕を掴んでそのままタクシーを捕まえて一気に羽丘に向かう。

 

 

 

そして、すぐに2人は羽丘まで到着すると、そこの校門の前には燈と一緒に祥子の姿があった。

 

 

「友希那さん……えっ…?」

 

「湊さんに…今井さんでしたわね。ごきげんよう」

 

「やっほ~」

 

 

「友希那さん……えっ…?」

 

「リサが強引に着いて来てしまったのよ……。本当は連れて来たくなかったのよ……」

 

「ぁ……その……」

 

「皆まで言わなくていいわ……」

 

リサと友希那はそのままタクシーから降りて燈達に挨拶をしていたが、全てを知っている燈は本来いるはず―――いや、いるべきでないリサの登場に困惑の言葉を漏らして友希那の方に視線を向けるが、返ってきた答えに何も言えなくなってしまった。

 

だが、この場には祥子がいた。

 

「今井さん。それでどういうご用件ですの?」

 

「いや~、友希那が後輩と会うって言うからさ~。気になって着いてきちゃった」

 

「はぁ……それに急に来るなんて、相手側の都合を考えたりしませんの?」

 

「そう言う固いのはナシだって~」

 

「今帰られた方が良いでは?こちらも人が多いと困りますから」

 

「も~…そんな言い方しなくても良いじゃん~」

 

 

 

 

「はぁ……。この問答も無駄ですわね。高松さん、湊さん、花咲川に行きますわよ」

 

「友希那とどういう関係かちゃんと聞きださないとね~」

 

正論で祥子が殴りつけてるも、リサの方はノラリクラリと彼女の正論を聞き流していく。

彼女としても無関係のリサに居られても面倒なことにしかならないことは理解していたのだが、彼女が引く素振りを一切見せないことに祥子は即座に諦めて彼女を先頭にして花咲川まで歩いていく。

そんな中でリサはユウと友希那の関係を聞き出すことに意識が傾いていたが、周囲は明らかに異質な状況になっていた。

 

「変ですわね……下校時間なのに誰もいませんわ」

 

「ぁ…確かに……花咲川の人もだけど…他の人もいない…」

 

「学校はもうすぐなのに…変ね」

 

 

 

「単純にもう帰ったんじゃない?」

 

花咲川に向かっていた彼女達だったが、彼女達が通ってきた道には今まで誰の姿も見えてこない。

この状況に友希那達は嫌な予感を感じていたが、事情を全く知らないリサだけが能天気なことを口にしながら平然と歩いて行き、花咲川の前の通りに出て行こうとしたその瞬間、普通では考えられないことが起こった。

 

 

 

 

「何なんですの…いきなり人が飛んできましたわ―――…!?」

 

「爆発した!?」

 

「2人とも、あれは人じゃないわ……」

 

リサが大通りに出ようとしたその瞬間、彼女の目の前には人―――ではなく、人の形をしたレオソルジャーが飛ばされて彼女達の目の前を通過してから爆発していった。

 

その光景に戸惑う祥子とリサだったが、友希那と燈は一瞬だけ驚くとすぐに大通りに顔だけ出し、それに続いてリサと祥子も大通りを覗き込んだのだが――――

 

「なに……これ……みんな怪我して……っ!?」

 

「皆、息はあるようですけれど……どうなってますの……?……初華達ですわ……!!」

 

 

 

 

 

「すごい!!また悪い人をやっつけたわ…!!」

 

「弦巻さん、危ないから下がって…!!」

 

「市ヶ谷さんの言う通りなんだけど市ヶ谷さんも標的っぽいんですけど~?」

 

「美咲の言う通りだよね~。義妹ちゃんは私の後ろに隠れて」

 

「えっと…義妹じゃないです………」

 

「弦巻さんに市ヶ谷さん…巻き込まれたのね…」

 

「おにーさん…!!」

 

彼女達が覗き込んだ大通りにすぐには数えきれないくらいの人間が倒れて、標的にされている初華や巻き込まれてしまったこころや有咲達一緒にいた守るように立っている黒服達の前では生き残っていた数人の襲撃者がユウを取り囲んでいた。

 

それだけでも恐怖だが、倒れている人に怪我の無い人間が圧倒的に少なく、周囲にはバットや鉄パイプと言った武器に使えそうなものから刀や銃と言った正真正銘の武器まで転がり、その殆どには血が付いていると言う光景が彼女達の恐怖を加速させていく。

 

こんな光景を前に祥子とリサは恐怖を感じて震えあがったが、その恐怖は一瞬で上書きされていく。

 

「おにーさんがまたやっつけて…………っ!?」

 

「ユウ!!後ろ!!」

 

「ゆきちゃ―――がぁ…!!」

 

 

 

「ひっ……っ!!」

 

「バットで…頭を……殴られ―――!?」

 

 

 

「痛ってぇな…!!」

 

「ど……どうしてですの……?」

 

「なんで…頭殴られて立ってるの………」

 

燈と友希那はその惨状のど真ん中に立って迫ってきている黒服達を相手にしているユウが1人倒したが、それと同時に彼の後頭部にはバットで殴られて苦悶の声が漏らしながらも、自身を攻撃した人間の顎を蹴り抜いて骨が砕いて地面に転がす。

 

その光景を見た祥子とリサが恐怖から言葉を漏らしてしまったが、この惨状の恐怖もさることながら普通なら死ぬような暴力を受けたユウが平然と立っていることが更に恐怖を加速させていく。

 

「逃げた……っ!!」

 

「……」

 

しかし、その恐怖は彼女達だけではなくユウを襲っていた相手達も感じていたのか勝てないと考えてユウを襲っていた相手はクモの子を散らすように彼から離れていく。

その中でも玉砕覚悟で花咲川の初華を襲撃する者とこの場から離脱する者で別れていくが、この状況化でもイレギュラーが現れた。

 

「っ!?こっちに来てますわ…!?」

 

「ちょっと…!!銃持ってるよ…!!アタシ達も逃げ―――!!嘘…こっちに向いて―――」

 

 

あろうことか逃げる者と玉砕する者で別れた中で1人だけが得物を握りしめながら友希那達の方へと駆け出してきていた。

それを見たリサは逃げようと叫ぼうとしたが、逃げてきた襲撃者の銃口はリサの方へと向けられてしまい、彼女はその銃口を向けられた恐怖で完全に体が固まってしまい身体が動かなくなってしまったその瞬間、その銃口からリサ目掛けて1発の凶弾が放たれた。

 

 

 

「えっ……」

 

狙われてしまったリサは自身が狙われているといる余りにも現実離れしたその光景に状況に完全にフリーズしてしまい、その凶弾は彼女目掛けて飛来していくが――――――

 

「きゃ…!!……あれ………?」

 

 

 

 

「ぐっ……!!」

 

「ユウ!!」

 

「いつの間にこっちに来ましたの……?」

 

「おにーさん…お腹に……!?」

 

「ダイジョブ……ね?」

 

リサに飛来してきた凶弾はほんの一瞬で駆けつけてきたユウが突き飛ばしたことで彼女に当たることはなかったが、リサが無傷だった代償としてその凶弾はユウの腹を貫いていた。

その状況に彼女達は困惑したが、そんな彼女達を安心させようと軽い口調で語りかけていたが、その表情は軽い口調とは正反対に冷めきった物へと変わっていく。

 

そして、リサ達に迫っていた襲撃者が負傷したユウを仕留めようと銃を構え直したのだが―――

 

 

 

「遅い………」

 

「――――――!?」

 

相手がその引き金を引く前にユウがその銃を持っていた手を握って骨を砕いてから足を蹴ってその骨を砕くと、リサを狙った襲撃者は骨が砕かれた激痛でその場に倒れこんでいく。

 

「おにーさん……その……」

 

「……逃げんじゃねぇよ」

 

 

 

 

「「ひっ……!!」」

 

「……」

 

燈が撃たれたユウを心配して声をかけたがユウはそれでは止まることはなく、足を折られた襲撃者は腕で地面を這うようにして逃げようとしていたが、ユウはその両腕を掴んでから背中を蹴り込んでそのまま両肩の関節を外して完全に逃げられないようにして地面に相手を転がす。

その光景に周囲から小さな悲鳴が挙がるが、ユウは完全にキレてしまった。

 

 

「――――――」

 

「黙れ。その汚ねぇ口を開けんな」

 

「……」

 

「寝てんじゃねぇよ」

 

襲撃者が何かを放そうと呻くような声を挙げるするも、ユウはそんな相手の後頭部を踏む抜いてその言葉を強引に遮るが、踏み抜く力が強すぎたのか相手の意識が飛びそうになってしまうとユウはその相手の頭を踏み躙ることで強引に意識を繋ぎ止めていた。

 

 

 

 

 

「人間は誰も殺すつもりはなかったから、治る程度のケガだけで済ませてたけど………お前だけは殺す」

 

「えっ……」

 

「ころ……す………?」

 

 

「……てめぇ……誰狙ったと思ってんだ……」

 

「ユウ……」

 

「おにーさん……?」

 

今回の襲撃ではそこに加わていたレオソルジャーが消滅していった以外に人間に死人はいなかった。

それもユウが全て器用に加減してケガだけで住んでいたのだが、、この襲撃者は逃げるだけならまだしもユウの目の前でリサに銃口を向け、あまつさえそのまま撃ったことで彼の逆鱗に触れてしまった。

 

彼の事をほとんど知らない殆どの人間はユウが訳も分からず殺意むき出して怒っているようにしか見えずに震え始めるが、事情を知っている友希那と燈はその怒りの理由を知っていた。

 

 

「生まれたことを後悔させてやる……楽に死ねると思うなよ……」

 

相手はユウの目の前で目の前で姉であるリサを殺そうとした。

 

彼女達は時間が修復される前の時間でリサが2回も死ぬのを見ていて、今回はユウが助けなければ確実にリサが死んでいたことは理解できてしまった。

それだけでユウが起こるには十分すぎる理由になるが――――――

 

 

「おにーさん……!!ダメ!!」

 

「止めなさい、ユウ!!」

 

自分達の前でユウに人殺しをして欲しくはないが、それ以上に姉であるリサの前でユウに人を殺させる訳にはいかない。

その気持ちが強かった友希那と燈は殺意剥き出しのユウを止めようと必死になってその身体にしがみ付く。

 

「ゆきちゃん?燈ちゃん?何で止めるの?」

 

「ユウ、あなた何をしようとしてるのか分かってるの?」

 

「勿論。コイツを殺すだけだよ?」

 

「ダメ……です……」

 

「燈ちゃん、なんで?」

 

 

 

「私達はそんなユウを見たくないわ。それに……」

 

「あの人もそう思ってると思います……」

 

 

「………」

 

ユウは自身を止めようとする友希那達に視線を向けるが、2人は何とか彼を説得しようと言葉を口にしながらリサに一瞬だけ視線を向ける。

周囲はリサを見たことには気が付かなかったが、ユウだけは彼女達が言おうとしていた言葉に意味を理解して言葉を詰まらせた。

 

「そう……かもね……」

 

「ユウ…」

 

「おにーさん」

 

「……でも殺してやりたいのが収まらない」

 

「「えっ………」」

 

2人の言葉でユウは少しだけ冷静さを取り戻していた。

その姿を見て2人は安堵していたが、ユウはその殺意を抑えきれずに地面に這いつくばっていた襲撃者の顎を蹴り飛ばして完全に意識を刈り取った。

その行動に2人は困惑したが――――――

 

「意識あって痛がり続けるより意識ない方がいいでしょ?俺に殺されると意識飛ばさせないで続けただろうし、寝てる状態から起きて生きるかそのまま死ぬかの運に任せることにした」

 

 

「「………」」

 

「さてと……2人ともこの後はあっちの人達と事情説明―――もとい、戦争を止める説得するから、着いて来てね?」

 

「「戦争……?」」

 

彼の言い訳に2人は納得は出来なかったが、それ以上に納得できていないユウが限界まで譲歩していることにそれ以上何も口を挟めずに沈黙するが、そんな状況でユウは純粋な好奇心で目をキラキラさせるこころと、事情を多少知っていて心配してくれる初華や有咲達。

 

そして、目をハートマークを浮かべている沙綾と、ユウに警戒の視線を向けている弦巻家の黒服や美咲達に対して、お話と言う名の豊川と弦巻の戦争を止める為の戦いが始まるのだった。

 




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