忘却の唄・消えかけのアルタイル   作:ツナ缶マン

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おはよーごぜぇます
何とか投稿出来ました。
次回でこの章も終わり予定
長かった……ムジカの設定はギスギスですなぁ……
これに今度新バンドが来る……?ギスギス系なのかな…
とか考えながらも投稿です


131-Volo servare saltem unum.

ユウ達を載せた車は祥子の一言で弦巻の屋敷から豊川の屋敷へと進路を変えていた。

そして、目的地が近づいてきたその車内では―――――――

 

「うーん……コンビニって考えると値段相応って感じかな…。このサラダチキン冷たいな……これなら自分で作った方が美味く出来るよ」

 

「ユウ、だったらこっちの温かいから揚げにしなさい」

 

「おにーさん、こっちの卵焼きもどうぞ……」

 

 

 

「どうして、この状況で食事をしてますの……」

 

ユウはその道中に寄ったコンビニで買い込んだ大量の食事を取り、その横では友希那と燈の2人が次々と料理を差し出していく。

 

傍から見たら微笑ましい光景なのだが、この後に控えているのは初華の襲撃を指示している可能性が最も高い祥子の祖父がいる屋敷へのカチコミだと言う状況を考えればその光景は完全に異質な光景にしかなっていなかった。

 

「お………お兄ちゃん。その………お…お茶……」

 

「三角さん、ありがと」

 

「初華!?何時まで兄妹設定をやってますの!?それに食事と言ってこんな肉と少しの卵料理なんて………」

 

「傷を治すのに動物性たんぱく質が一番効率良いから」

 

「………もう何も言いませんわ」

 

「市ヶ谷さんならもっとツッコんでくるのに」

 

しかも食事の内容も完全に肉類と卵と言う偏食を疑うような物であり、そんな中で初華も朝についた嘘の設定のままユウにお茶を差し出している光景を前に、祥子はツッコミを諦めてしまった。

そんな彼女を見て朝の有咲を思い出しながらもユウの手は止まることはなく、買ってきた食事を全て食べ終えたのとほぼ同じタイミングで豊川の屋敷が視界に入ってきた。

 

 

「おっきい……」

 

「それじゃ、行くわよ」

 

「えぇ……。待ってください。湊さんはともかく高松さんが来るのは―――」

 

「全部おにーさんに教えてもらったから…それに、おにーさんの近くが一番安全で……」

 

「もういいですわ……」

 

そして、全てを諦めた祥子は屋敷の門の目の前で止まった車から降りるとユウ達一行を引き連れて正門の前へと悠然と歩きだしていく。

 

だが、彼女が門に差し掛かると同時に門にいた警備員が彼女とその後ろにいた初華の存在に驚きながらも彼女達の前に立ち塞がる。

 

 

「豊川の後継者として、総帥―――いえ、お爺様に会いに来ましたわ。退いてくださるかしら?」

 

「……失礼ですが、総帥は多忙の為、すぐにお時間を作るのは」

 

「そうですか。では中で待たせていただきますわ」

 

祥子は先ほどツッコミを入れていた人物とは思えないほどに凛々しい態度で警備員に要件を伝えたが、警備員は祥子の祖父は多忙だと言って追い返そうとしたものの祥子は退かずに中で待つと言い始めていた。

 

「ですが、総帥は多忙の為―――」

 

「時間が取れないのを確認出来たら帰ります」

 

「ですから、総帥は多忙の為―――」

 

「後継者と総帥―――と言う関係である以前に豊川さん―――あぁ~…祥子さんは総裁の孫ですよ」

 

「そうですわ。孫が祖父に会いに来ることに何か不都合でもありまして?」

 

「………ですから、総帥は多忙の為―――」

 

同じ言葉を繰り返すだけの警備員にユウのアシストを受けて、孫が祖父に会いに来たと形を変えると、警備員の反応が僅かに変わったのをユウは見逃さなかった。

 

「なるほど……多忙云々ではなく、今見られたら困るものが中にあるという事ですね?だから祖父に会いにきた孫を強引に追い返すと…?」

 

「で……ですから、何度も言ってますが総帥は―――」

 

「豊川の後継者としての言葉です。すぐに門を開けてそこから退きなさい」

 

 

 

「それは……」

 

「……退かないというならば実力を行使させていただきますわ。中島さん、極力穏便にお願いします」

 

ユウはその僅かな変化を見てそれらしいことを語ると、警備員は困ったような表情を浮かべながら先ほどと同じ言葉を繰り返すが、その反応を見れば祥子達に見られたくない何かがあることは明白。

そこで祥子は自身の立場を使って警備員に命令を出すが、警備員は全く動く気配を見せないのを見た祥子は穏便に最大の暴力で解決する選択を取ると、ユウは悠然と門の前まで歩み寄り―――

 

 

 

 

 

「らぁ!!」

 

「「えっ………?」」

 

「門蹴り倒したけど、人が死んでないから穏便だね!!」

 

「凄い……」

 

「ユウ。凄いけれどやり過ぎよ」

 

ユウは彼女達の目の前で文字通りに屋敷の巨大な門を蹴り倒してみせると、友希那と燈は感心していた横で、流石にこれは予想外だったのか祥子と初華から困惑の声が漏れる。

 

その門を蹴り倒されたのを見た警備員はそれが自身に飛んで来たことが思い浮かんだのか一目散にその場から逃げ出していくと、この状況を作った張本人であるユウは平然とその敷地内へと入っていこうとしたのだが―――

 

「豊川さん、道案内お願いします」

 

「えっ……えぇ……お爺様の部屋はこちらですわ……」

 

すぐに彼は振り返って後ろで呆然としていた祥子に声をかけると、我に返った祥子の案内で一行は屋敷の中へと入っていくが―――

 

 

 

 

「あれ…?屋敷の中なのに……誰もいない……?」

 

「高松さんの言う通り、人の気配がないわね……」

 

「さっきのでお兄ちゃんが…全部倒したんじゃないの?」

 

「俺も結構な数を倒したと思うけど、流石に自分の警護分まで使うなんてありえない……あぁ……そう言う事ね……」

 

入った屋敷の中には人間の気配が一切感じられない。

それ息が付いた燈達が不思議そうにしていたが、流石にこの屋敷にいるのが警備員だけという事は考えにくいがユウにはハッキリと匂いで感じ取った。

ここには間違いなくイマジンが居るという事を―――

 

「……気を付けてね。人間はともかく―――敵は間違いなくいるよ…匂いで分かる」

 

「「……っ!?」」

 

「……?」

 

「何を言ってるか分かりませんが、とにかく行きますわよ……!!」

 

ユウの言葉に状況を察した友希那達だったが、祥子達は言葉の本当の意味が分からないまま祥子の祖父がいるであろう部屋まで辿り着いた。

 

 

 

「ここですわ……」

 

「では……お邪魔しますよ~っと!!」

 

祥子の言葉を聞いたユウはそのまま一気に扉を蹴り飛ばすと、蹴られた扉はそのまま部屋の中へと吹き飛んでいくが、その時不思議なことが起こった。

 

「えっ……?」

 

「扉が切れた……?」

 

ユウが蹴り飛ばした扉が砕けることなく空中でそのまま鋭利なものによって斬り裂かれた。

蹴り飛ばされた扉が切れるなどあり得ないが、その斬られた扉の向こうにはさらにあり得ないモノがあった。

 

「お爺様と一緒にいるのは……何ですの……?」

 

「ライオン……?」

 

「ユウが言った通りだったわ……」

 

切られた扉の向こうにいたのは右手の鉤爪とメイスのようなロッドを持ったレオイマジンが祥子の祖父と共にいた。

ユウが言った通りだったことに友希那達は驚き、イマジンを知らない祥子達はレオイマジンの姿に驚いていたが、ユウが即座にイマジンと向かい合って構えていた。

 

「やっぱりイマジンが居たな……」

 

「お前がゼロノスだな……」

 

 

 

「「……」」

 

 

 

「はぁ!!」

 

「ちっ!!」

 

互いの存在を認識して見合ったが、すぐにイマジンがロッドをユウに振りかぶるが、彼はそれを見て即座に懐に潜り込んで生身で戦闘を始めると、そんな彼らを他所に祥子が自身の祖父を睨みつけていた。

 

「お爺様、どういう事ですの?」

 

「祥子……初音……何のことだ?」

 

「先日から初華が襲われましたわ。その中の1人に以前にお爺様のボディガードとしてパーティーに参加していた方がいらっしゃいました。どういう事か説明してください」

 

「……っ!!」

 

 

「コイツが望んだことだ…!!」

 

「えっ……?」

 

祥子は祖父が誤魔化そうしたものの、すぐさま祥子が先日の出来事とそこで見たものを告げるとその顔が一気に驚愕に染まっていく中でユウと戦っていたイマジンの口から今回の黒幕が祥子の祖父であることを告げられた。

そして、それは初華にとっては本当の父親から命を狙われていたという事を突きつける言葉でもあった。

 

「孫を自分の後継者にする。それがコイツとの契約だ…」

 

「だから直接の血の繋がってる三角さんを―――いや、豊川さん以外の血縁を全員消すってことか…!!」

 

「そして、コイツと血がつながってるのはそこの2人だけだ。コイツが生きてたら地位は譲れてもそれ以外の金や物は孫に行かない。そして、契約者を脅して家の人間にも襲撃させたという訳だ」

 

「お爺様、今の話は本当ですの?」

 

「………」

 

「……沈黙は肯定と受け取りますわ」

 

祥子に豊川の後継者にする。

その契約に従って初華を襲撃して亡きモノにしようと動いていて、そしてそれに祥子の祖父までもが加担していたという事実が初華の心を抉られ――――

 

 

 

 

遂に初華の精神が決壊した。

 

「――――――ない……」

 

「初華……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いらない!!お金も物もいらない!!祥ちゃんと一緒に居られるなら!!そんなの全部いらない!!」

 

初華は自分の口で豊川の遺産を全ていらないと狂ったように叫び出す。

 

確かにイマジンの契約内容を考えれば初華を殺すのが確実な手段ではあったが、今回の契約では彼女を殺すことだけが正解と言う訳ではなかった。

 

「契約成立だ……!!」

 

「ちっ!!」

 

今回の契約では初華を殺す以外にも豊川の遺産を手に出来る立場にいる初華にそれを放棄させる。

ただそれだけでも契約を成立させるに足る条件であり、そして初華がそれを宣言したことでイマジンは契約を完了して初華の祖父の中へと消えていってしまった。

 

 

「……行くか…何だこの日付――――――」

 

「っ…!?初華の誕生日ですわ」

 

「……」

 

ユウはイマジンが消えた祥子の祖父の元へと駆け寄ってチケットを翳すと、そこに浮かび上がった日付を何気なく読み上げた日付は初華―――いや、初音が生まれたその日であり、それを聞いたユウは怒りの余り拳を握りしめ――――――

 

 

 

 

「ごふっ!?」

 

「お爺様!?あなた何を―――「身勝手で自分の子供を殺す?ふざけるなよ…!!」っ…!!」

 

 

「……」

 

「おにーさん、私達も行きます……」

 

「ここに居ても危険な可能性もあるわね……」

 

「分かった」

 

その拳を祥子の祖父の顔面に叩きつけていた。

その行動に祥子が声を挙げようとしたが、ユウの叫びを聞いてそれ以上何も言えなくなってしまい、完全に固まってしまうとユウは友希那と燈と共にやってきたゼロライナーに飛び乗ってそのまま時間の狭間へと消えていくのだった。

 




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