忘却の唄・消えかけのアルタイル   作:ツナ缶マン

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おはよーございます
本編です!!
そろそろ完結に向けて走り出します!!
前回のアンケみたいな内容に入る前のジャブですが……
どうぞ!!


Kapitel-13
133-真相が覗く


ゼロライナーの車内――――

 

「ふんふんふ~ん」

 

「上機嫌だな……」

 

デネブが鼻歌交じりで客室を掃除する横でユウは座席に寝転がって呆然とその天井を眺めながらそっと懐からケースを取り出した。

 

「……」

 

「デネブさん、どうしたの?さっきまで上機嫌に鼻歌歌ってたのに」

 

だが、ユウがケースを取り出していた姿を見てデネブの鼻歌がいきなり止まり、深刻そうな声色で彼に話しかけると、ユウはそんなデネブとは違って軽い口調でそれに答えたのだが――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ユウ、もう変身するな。みんなから記憶が…」

 

「………デネブさん、それは無理だよ」

 

デネブら出てきた言葉にユウは答えを返せず沈黙した。

戦いから降りれば皆の記憶から消えることはなくなるが、それはこの時間軸の終わりを見過ごすのと同義でそれをユウは許すことは出来ないが、デネブがこれで退くことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「だが、もう赤いカードしか残ってないじゃないか…!!」

 

「……そうだね」

 

そう呟いたユウはケースから静かにカードを取り出して眺めたが、ユウの目に映っているのはゼロノスカードの溝は全てが赤く染まっていた。

そんなカードを見たデネブはカードを持つユウの手を掴んでいた。

 

「みんなの記憶から消えるんだぞ!!」

 

「記憶が消えるだけだったらまた作ればいい」

 

「でも……!!」

 

「それに今はモモタロス達も幸太郎もいない。時間を守るためにはやるしかない」

 

 

 

「………最後の1枚は絶対に使っちゃダメだ」

 

「分かってるよ」

 

デネブが必死に説得しようとするも、ユウの言葉を聞いて何も言い返せずに最後の1枚を使わない様に念押しして掴んでいたその手を放して掃除に戻っていく。

 

その必死な説得を聞いたユウはそのまま手に持っているカードをボンヤリと眺めていた。

 

 

 

 

 

 

「……後3体」

 

そう呟くとユウはそのまま手に持っていた4枚(・・)のカードをケースに戻した再び天井を眺めていた所で客室の扉が開かれた。

 

 

 

 

 

 

「あの……おにーさん……いますか?」

 

「燈ちゃん?どうしたの?」

 

「えっと……おにーさんに話したいことがあって……」

 

「だったら待ってろ。俺が燈とユウのお茶を入れて来るから」

 

「ありがとうございます……」

 

客室にやってきたのは燈。

彼女はユウに話があると言うと、デネブがそそくさと客室を出てお茶を用意し始め、デネブがお茶とお菓子を持ってきたところでようやく話が始まった。

 

「燈ちゃん。どうしたの?」

 

「えっと……おにーさんに言わなきゃいけないことがあって……」

 

「言わないといけないこと?」

 

「ぅ……その………この間の初華ちゃん達の時のことで……」

 

燈はユウに話したかったのは初華が狙われていた先日の事件のことを切り出したが、ユウの中ではそれは完全に終わったことになっていた。

 

「……あぁ、あの時ね。あの後は特に問題も起こってないでしょ?」

 

「おにーさんが初華ちゃん達から忘れられた以外は………」

 

あの事件でイマジンを倒した後、時間が修復されて初華が狙われることは無くなったのと同時に、ユウの記憶も彼女達の中から完全に消え去っていたことはユウとしては当然の展開だったのだが、思わぬ展開がそこに待っていた。

 

 

「沙綾ちゃんと和奏さんはまだ覚えてた時は衝撃受けたけどね」

 

「それは……そうですけど………ちがくて……」

 

ユウがボヤいた通り、何故か沙綾とレイヤだけはまだ記憶が残っていた。

だが特異点でもない彼女達がどうしてユウのことをまだ覚えているのかは最大の謎だったが、今話したいのはそれではなかった。

 

「ん?ならあの時の事がどうしたの?」

 

 

 

「実は過去に飛んだ時なんですけど……病院で落ちてたモノを拾ってきちゃって……」

 

「何だって!?」

 

「燈ちゃん?駄目って前に教えたと思うんだけど?」

 

「それは……その……そうですけど………」

 

「ユウ、怒るのは分かるが一旦燈の話を聞こう。燈は駄目って言われたことを考えなしにやるような子じゃない」

 

「………ごめん。それもそうだね」

 

 

燈は過去からあるものを持ち帰ってきてしまった。

その告白を聞いたデネブは驚いた声を挙げた一方でユウの顔は険しい物へと変わっていくが、デネブが説得されたユウは一旦落ち着こうと深呼吸をして何とか落ち着こうとしてから燈に視線を向け直した。

 

「それじゃ聞くけど……病院で何を持ってきちゃったの?」

 

「えっと…ギターのピックです。緑色の……」

 

「俺はギターはよく分かんないんだけど、弾くときに持ってる奴だよね?そんなものを何で病院で?」

 

「誰かのお見舞いの品だったんじゃ?」

 

「楽器弾けない場所にそんな見舞いの品持ってくる?」

 

「お守り代わりってことか?」

 

「あり得なくはないけど……俺達がいたのは初華ちゃんが生まれた時で場所も病院の産婦人科だよ?そんな誤飲される可能性のあるモノを持ち込むなんてありえないと思う……

燈ちゃん持ってたりする?」

 

「それが……これなんですけど……」

 

「借りるね」

 

燈はユウに何を持ち帰って来たのかと問いただされると、素直に持ってきたものを答える。

しかし、帰ってきたのはギターのピックと言う余りにも病院とは不釣り合いなモノにユウとデネブは頭を捻って考え始めてしまったタイミングで燈はそっとそれを差し出すとユウはそれを摘まんで観察し始めていた。

 

 

「これは……燈ちゃん達が行くRiNGの名前が入ってるね?」

 

「こういう名前が入っている物なのか?」

 

「俺は詳しくないから分かんないけど、ありそうな気がするね」

 

「この前RiNGで同じようなのを売ってるのは見ました……」

 

ユウとデネブが燈が差し出したピックを観察するが、そこにはRiNGの文字が刻まれているだけで彼らの目で見ても何も特別なものではないのが分かる。

バンドをしている人たちからしたらありふれたモノではあるのだが、燈がわざわざ拾ってきた意味がユウ達にはまるで分かっていなかった。

 

「だが、どうして拾ってきたの?どこにでもありそうなのに」

 

「えっと……そこにあることがおかしくて……」

 

「おかしい?燈、どういう事だ?」

 

「病院にあった点を除けば不自然ではないけど……」

 

状況がまるで呑み込めないユウとデネブ。

彼らは思わず燈が言った”おかしい”と言う言葉について思わず聞き返してしまった。

その言葉に燈は困ったような表情を浮かべてしまったが、何とか落ち着いてからその理由を口にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「RiNGが出来てから1年経ってないから……。初華ちゃんが生まれたあの時にRiNGはまだないはずで……」

 

「なんだって!?」

 

「……燈ちゃんかゆきちゃんの荷物に紛れてて持ってきたってことは?」

 

「私達は使わないから……持ってないです……。それにあのちゃんはあの日ギター持ってなかったから紛れることもないし……」

 

あの時間にはRiNGは存在していないにも関わらず、そこでしか売られていないはずのピックが落ちていた。

それだけで2人は驚き、デネブに至っては驚きの声を挙げてしまったものの、ユウは何とか平静を保ちあり得そうな可能性を口にしたが、それも燈によって否定される。

 

友希那も燈も持ってないし、当然ユウもデネブもそんなものを持っている訳はない。

完全に理解不能な状況になっているが、この4人が持っていないのならばあの時代にこれがあった理由がない。

そうこの4人が持っていないというなら残されている可能性はただ1つ――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……この時間で俺達以外に時間を移動する術を持ってて、RiNG関係者か使った事のある人間が落とした……?」

 

「なっ!?」

 

「えっ……!?」

 

ユウ達以外に時間を行き来する方法を持っている人間が存在してその人物がそれを落とした。

 

普通に考えれば完全に荒唐無稽な話だが、燈達のモノではない以上考えられるのはそれ以外にはあり得ない。

 

ユウが呟いたその推論に客室内が完全に凍り付いたが、考えれば考えるほどにその結論以外あり得ないといった空気へと変わっていく中でユウの顔には恐怖を感じる様な笑みが張り付いていた。

 

「これが手掛かりだ……やっと見つけた……!!」

 

「手掛かり?おにーさん?手掛かりってなんの………?」

 

ユウが言った”手掛かり”と言う言葉。

他の2人はその意味が分からずに首を傾げていると、ユウはその顔に笑みを張り付けたまま嬉々とした口調でその理由を語りだした。

 

 

 

 

 

 

「これを落とした人物が俺がこの時代から消した理由を知ってる可能性があるってことだよ」

 

「「っ!?」」

 

ユウが笑ったその理由。

それはこれの持ち主がユウがこの時間から消えることになった真相に近づくための鍵。

それを聞いたデネブと燈の2人は驚いた表情でユウに視線を向けるのだった。





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