忘却の唄・消えかけのアルタイル   作:ツナ缶マン

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おはよーございます
意味深なことを言ってましたが一気に話を進めますが……
今回進むってことは次回から亀進行になるという事ですね!!

やっと次回でSが復活できそうです…!!
と言いながら投稿です


134-事件のRiNG

「燈ちゃんからの情報を無駄には出来ない……」

 

燈から出てきた情報を元にユウもアレの持ち主を探すべく街を歩いていた。

 

「だけど、ここからやれることは限られてるよな………とりあえずRiNGに張りこむか…?」

 

しかし、情報を得られたのは良かったが自体が一気に進む訳もなく、ユウは地道にRiNGで張り込んでみることを考えてたはみたものの――――――

 

 

 

「ライブハウスを使う人が多すぎるから絞り込めるか怪しいな……。」

 

ライブハウスは利用者が多すぎる。

そんな状況で張り込んでも望み薄なのは明らかで、だからと言って何もせずに情報が入ってくる訳もなく完全に手詰まりになってしまったユウ。

 

「果報は寝て待て…って言ってもこれは無理だろうな。とりあえずRiNGに行こう。カフェで見張りつつ今後を考えればいいか……」

 

そんな望みがない状況だが動かなければ始まらないと結論付けたユウはその足でRiNGへと歩き出して、その中に併設されているカフェへと足を運ぶ。

 

「あれ?誰もいない……。とりあえず座って待ってるか…」

 

しかし、そこには客はおろか店員すらいない状況にユウは首を傾げてしまったが、とりあえず窓側のテーブル席に座って不自然にならない程度に入口から出入りする客を観察し始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ…!!いらしゃいませ―――ユウさん!!」

 

「えっ……?」

 

「あれ?どうかしました?」

 

「いや、なんでもないよ沙綾ちゃん。ブレンドコーヒー貰おうかな?」

 

「はいっ!!」

 

入口を時折観察していたユウだったが、そんなタイミングでカフェに人が入っていることに気が付いた沙綾が駆け足気味でユウの元まで駆け寄って挨拶をしてきた。

だが、彼は一瞬だけ反応に遅れてしまったものの平静を装ってそのまま注文をすると、沙綾は早速キッチンの方へと引っ込んでいくのを見てから彼は再び今後について考え始めていた。

 

 

「―――どうするか…」

 

「ユウさん?どうかしましたか?」

 

「なんでもないよ?それにしても早いね、沙綾ちゃん」

 

「いや、何回か声かけましたけど…」

 

「ちょっと考え事しててさ…ごめんね」

 

「いえ……気にしないでください」

 

ユウは今後について考えていたが、気が付けば沙綾が注文のコーヒーを持って来ていたのだが、ユウは思考に耽っていたせいで彼女の声に気が付くのが遅れてしまった。

 

それについて謝罪しながらユウは沙綾からコーヒーを受け取ると、テーブル席の向かいに沙綾はさも当然と言った様子で座っていた。

 

 

「あれ?沙綾ちゃん仕事は?」

 

「今出来る仕事が終わっちゃって、時間が来るまで半分休憩みたいな感じなんですよ」

 

「………何かあるの?」

 

「機材の搬入なんですけど、業者が遅れてるのと別のバイトの子が風邪で休んじゃってるから大変そうで………」

 

 

「……因みに機材って何か聞いてもいい?」

 

「ライブ用のおっきい照明とおっきいスピーカーですよ。特に照明なんて重くて大変なんですよ~」

 

ユウは沙綾が自分の向かいに座った理由を尋ねると沙綾がこの後の仕事について話始めていた。

 

彼女に待っているのは機材の搬入―――ありふれた仕事だったが、ここはライブハウス。

機材の一部は女の子が持つには余りにも重すぎるものであり、その重労働を思い浮かべた沙綾は困ったような表情を浮かべてボヤくように呟いていた。

 

しかし、これはユウにとってはチャンスだった。

 

 

「手伝おうか?照明なんて女の子には重いだろうし大変でしょ?」

 

「えっ?」

 

「身体動かすのは苦じゃないし、それにやることなくて暇なんだよね」

 

「でも………タダ働きさせるのは………」

ユウは沙綾の話を聞いてこの重労働の手伝いを名乗り出た。

そんなユウに沙綾は困惑していたが、ユウは本当の狙いを悟らせないようにほんの僅かな親切心でそれを隠していた。

 

―――ここで手伝って裏に入れれば燈からの情報に関する何かが掴めるかもしれない。

 

ユウにあるのはそんな打算のみだった。

 

 

 

「そんな事気にしてるの?……だったらコーヒー1杯でも奢ってもらおうかな?」

 

「そうですね……それじゃあお願いします!!」

 

「気にしなくていいよ。最近バイトはどう?」

 

「はい!!楽しいですよ!!」

 

打算だけで動いていたユウはその狙いを完璧に隠きって沙綾に柔らかい笑みを浮かべると、無償で働かせる罪悪感を薄れさせるために軽い対価を要求すると沙綾もそれに釣られて簡単にOKを出した。

 

それを聞いたユウは内心でほくそ笑みながらも悟らせないようにさりげなく話題を変えて沙綾の話を聞き流した所にカフェの方に向かう人影がやってきた。

 

 

 

「沙綾ちゃん、業者が来たから搬入を―――」

 

「凛々子さん、お疲れ様です」

 

「あら?接客中だったの?だったら、接客が終わってからで―――」

 

「凛々子さん。待ってください」

 

カフェにやってきたのはRiNGの店長である凛々子。

彼女は直々に沙綾を呼びにきたのだが、ユウと話してる姿を見て接客中だと思ってその場を去ろうとしたところを寸の所で沙綾が呼び止めた。

 

 

 

「この人、私の知り合いの人なんですけど、搬入の話をしたら手伝ってくれるって言ってくれたんですけど………」

 

「そうなの?でも大丈夫ですか?機材は重いですから、手伝ってもらう訳には―――「大丈夫ですよ。ジブン、鍛えてますから!!」えっ…?」

 

沙綾はユウが手伝いを名乗り出たことを伝えるが、凛々子としては女所帯のRiNGの従業員で機材を運び込むのはかなりの重労働で手伝ってもらえるのは非常に助かる。

しかし、流石に部外者に重労働をさせられないと言う常識的な考えが勝ってそれを断ろうとしたが、そんな凛々子の断りの言葉にユウが言葉を被せていく。

 

その言葉に凛々子は驚いたが、沙綾がそれに簡単に釣られていた。

 

「ユウさんって体鍛えてるんですね!!……じゃあ、私をお姫様抱っこしてみてください!!」

 

「別にいいよ?ちょっと失礼するね」

 

沙綾はその話を聞いて確かめようとユウにお姫様抱っこを強請ると、ユウはそれに何事もないかのように答えるとそのまま軽々と抱えてしまったが、その姿に沙綾も凛々子も目を丸くして驚いてしまった。

 

「えっ……と、大丈夫ですか?」

 

「店長さん、正直沙綾ちゃんが軽すぎて驚いてるくらいですよ。

昔にブレ―――120キロオーバーの奴を長時間担いでたりもしてたから、沙綾ちゃん程度なら1日中抱えても体力的には全然問題ないですね」

 

 

「……ならお願いしてもいいですか…?臨時でお給料は出しますので―――」

 

「沙綾ちゃんにコーヒー1杯で手伝うって言ったので構いませんよ」

 

 

沙綾を抱えたユウの姿に何とか我に返った凛々子が声をかけるも、ユウは沙綾を抱えているという事を全く感じさせない余裕の笑みを浮かべて答える姿を見ると本当に余裕なのだという事を感じ取った彼女はユウに手伝いを頼むと、涼しい顔でユウはそれに答える。

 

 

「凛々子さん、機材の場所まで行きましょう!!」

 

「えっ?沙綾ちゃん…?降りないの…!?」

 

「ユウさんのウォーミングアップですよ!!」

 

「まぁ……俺は構いませんよ?正直に言っちゃうと、軽すぎて準備運動にすらならないですけど…」

 

「あはは……それじゃあこちらに……」

 

そんな状況でユウに抱えられたまま沙綾がそのまま急かし始めた事と全く気にしていないユウの姿に困惑しながら凛々子が2人を機材の場所まで案内するが、そこには搬入されたばかりの機材が鎮座していた。

 

 

 

 

「照明結構多いな……。沙綾ちゃん、下ろすよ」

 

「は~い…」

 

「店長さん、これをどこに運ぶのか教えてもらえますか?」

 

「えっとこれは全部ライブ用のスタジオで…ちょっと待ってください。私も持っていくので―――」

 

ユウは機材を前にして沙綾をその場に降ろしてから照明を持ち上げ、凛々子に機材を運ぶ先を尋ねると、それを聞いた凛々子は慌てた様子で置かれた機材を持ち上げようとしたが―――

 

 

 

「うわっ……!?」

 

「凛々子さん…!?」

 

急いだ凛々子は置かれた照明を持ち上げたのだが、慌てたせいで手を滑らせてしまい、照明がそのまま凛々子の足へ向かって落ちていく光景に沙綾の頭の中でこの後に来るであろう悲劇的な状況を、凛々子もこの後に来る痛みを想像してしまい、その恐怖から目を背けようと2人して目を閉じてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ……?痛くない……?」

 

「落ちた音がしない…?」

 

しかし、凛々子の予想に反して何時までも痛みが来ないし、照明が落下した音も響かない。

そんなあり得ない状況に困惑した彼女達は恐怖で閉じたその目を開くと、そこには予想もしていなかった光景が広がっていた。

 

 

 

 

 

「危な……」

 

「ユウさん…!?」

 

「えっ?えぇ!?」

 

2人が目を開いたその先には、若干不安定になりながらも自身が持ち上げていたモノと凛々子の手から滑り落ちた2つの照明をそれぞれ片手で持ち上げるユウの姿が映っていた。

 

完全に想像していなかったこの状況に沙綾達は驚いていたが、ユウはそのまま体勢を整えて2つの照明を地面に置いていた。

 

「あっ……ありがとうございます」

 

「いえ、気にしないでください。1個5キロくらいですけど、これを足に落としたら危ないですから俺が持ちますね?」

 

「わ……分かりました……」

 

「沙綾ちゃんは軽いのでいいから」

 

「分かりました!!私が案内しますね!!」

 

そうしてユウは片手に5キロ程の照明をそれぞれの腕で持ち上げるがその姿は先ほどの凛々子のような危なげなど一切感じず、沙綾の案内に従いながら数回の往復を経て、ユウは全ての機材の搬入を終えると、受付の前で休みながら沙綾と凛々子の2人と話していた。

 

 

 

 

 

 

 

「沙綾ちゃん、大丈夫?」

 

「はい。重いのはユウさんが持ってたとは言っても、ちょっと疲れちゃいました」

 

「店長さんもお疲れさまでした」

 

「いえ…私は軽いのしか持ってなかったので……」

 

沙綾と凛々子はユウに比べたら沙綾達は軽い物しか持っておらず疲労度はそこまで高くないのだが、重い物を持っていたユウから労いの言葉をかけられたことに困惑しながら答えていた。

 

「ステージ袖に運んだ奴の設営の方は大丈夫ですか?良かったらそちらも…」

 

「いえ!!後はライトをスタンドに取り付けるだけですからこちらでやりますので!!」

 

「そうですか」

 

ユウはこの後にある設営まで手伝おうとしたが、流石の凛々子もそこまでやってもらう訳にもいかないと断固拒否の構えを見せると、ユウはここで無理に手伝うことを諦めてすんなりと退いていた。

 

ここで本来ならば退くべきではないのだが、彼は目的を果たすため下準備は完了していた。

 

「そういえば、店長さん。さっき荷物運んでる最中にこれ拾ったんですけど……落とし物ですよね?」

 

「ギターのピック?」

 

「これ、売店で売ってるRiNGの名前が入ってる奴ですね。でも、ピック落とした人が出てくるかな……」

 

ユウはステージ袖のマイクスタンドのピッククリップからくすねたRiNGのロゴが入ったギターピックを落とし物と言いながら堂々と2人に見せる。

しかし、ギターピックと言う消耗品に落とし主が出てくるか怪しいと凛々子は困ったような表情を浮かべるが、ユウはこのピックを見せることが重要だった。

 

 

 

 

「これ黒で売店には白いのもありましたけど、他にもここのライブハウスのピックってあったりするんですか?」

 

「そうですね。一般販売してるのはその2色だけですね」

 

「一般販売しているのは…?と言うと、特別な色があったりするんですか?」

 

「そうですね。RiNGでライブしてくれた人には記念で赤、青、黄色のをプレゼントしてたりもしてますよ!!」

 

ユウは話の流れて特別な色があるのかと聞いてみると、沙綾が嬉しそうにユウの疑問に答えていた。

一般販売とは違った特別な色がある。それが聞けただけで大きな前進だが、そこでユウは止まらずに一気に踏み込んだ。

 

「その並びだとピンクとか緑とかもありそうですね」

 

「ピンクとか緑は私は見たことないですね」

 

ユウはさりげなく別の色を挙げながら燈が過去で拾ってきた色について尋ねるも、沙綾は見たことが無いとハッキリと言われてしまった。

そうなると先日燈が見つけた物の正体は完全に闇の中に消えてしまうことになってしまうのだが――――

 

 

 

 

 

「沙綾ちゃん、実はRiNGのピックには緑色もあるんだよ~」

 

「…っ!!」

 

「えっ?見たことないですけど?」

 

「実は緑色のピックはね――――」

 

このタイミングで燈が過去で拾った緑色のピックが実在すると言う凛々子の言葉にユウは驚きを隠せなかったが、それに沙綾は流れでその存在について尋ねると凛々子がそれについて語ろうとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁああああああああ!?」

 

「「えっ……?」」

 

「上のカフェから…!!」

 

しかし、それを語ろうとした凛々子の言葉はカフェがある2階から響いてきた悲鳴によって掻き消されてしまったのだった。

 




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