あの…なんでこんなにお気に入りとか増えてるんですか…(困惑
こんなことになってる理由の記憶ないぞ?
おのれクライシス…!!
と言うことで投稿です
ライブハウスRiNG―――
そこでは沙綾と同じバンドの香澄と学校の後輩である立希がバイトに勤しんでいた。
「凛々子さん。スタジオの清掃、終わりました!!」
「こっちもカフェの備品確認終わりました」
「ありがとう香澄ちゃん、立希ちゃん。ちょっと早いけど休憩入ってもらえるかな?」
「分かりました!!」
「分かりました…沙綾先輩は昼からでしたっけ?」
「そうだよ!!あと少しで来ると思うけど…」
彼女達は店長である凛々子の指示に従って香澄はカフェ、立希はバイトを上ろうとしていた。タイミングでそれは起こった――――
「おはよーございます!!」
「この声…さーやだ!!」
「みたいですね…なんかテンション高いみたいですけど…」
「沙綾ちゃん、おはよう。いつも早いわ…」
「「「へっ…?」」」
凛々子の指示でそれぞれが動こうとしたタイミングでRiNGの正面から沙綾が入ってきた。
テンションが高いのは良かったのだが、それ以上に沙綾の今の状況に働いていた3人は戸惑わずにはいられなかった。
「ユウさん!!ここが私のバイト先です!!」
「へぇ~…」
バイトに出勤してきたはずの沙綾だが、沙綾は男と一緒にバイト先に姿を現れただけでなく――――
「あの~…山吹さん?バイト先に着いたんだったら、腕から離れてもらえると嬉しいかな…」
「えっ…さっきまで見たいに名前で呼んでくれないんですか…?」
「えぇ~…あぁ~…その…沙綾さん…?出来れば離れてもらえると……」
「ダメ……ですか?」
「「「へぇ~!?」」」
沙綾が一緒に出てきた男の腕に抱き着き身体をユウに押し付けていたことに驚いていた一同だったが、その中で身体を押し付けられていたユウは困ったような表情を浮かべて離れるように頼むも、沙綾は上目でユウの顔を覗き込んでいた。
その表情を見たユウだったが彼はブレることはなかった。
「ほらバイト先の人に見られたら勘違いされちゃうでしょ…?」
「えへへ…恥ずかしいですけど…私は…その…そっちの方が良いって言うか…」
「ほら?お仕事なんでしょ?そんな調子だと他の人に迷惑かかっちゃうよ?」
「でも…まだバイトの時間まで…余裕はありますから……」
「「ほえぇええええ!?」」
「…戸山先輩も凛々子さんも…餅ついて…じゃなくて、落ち着いてくださっ…うっ…」
しかし、沙綾もここで引かずに未だに腕に抱きつく光景に凛々子と香澄が驚きの声を挙げる横で何とか立希は冷静を装いきれぬまま落ち着くように声をかけるも、沙綾の余りにも勢いのある行動にそんな事が出来る訳もないが―――
「俺は、沙綾ちゃんが頑張って仕事してるところが見たいな?」
「…っ!!」
ユウはそんな沙綾に満面の笑みを向けた途端に、沙綾の頭の中では電流が走ったかのような衝撃と脳が焼かれるような感覚を覚えていた。
そんなユウの言葉に沙綾は――――
「はい!!山吹沙綾!!頑張ります!!」
「うん。その意気だよ」
「じゃあ、着替えて準備してきますね!!」
「「「……」」」
沙綾は完全に撃沈し、勢いよく彼から離れて即座にスタッフ用の控室へと消えていった。
それを見ていた外野は下手な夢とも思えるような出来事に呆気にとられながらも、その状況を作り出した1人であるユウに視線を向ける。
そして、ユウもそんな視線を向けられたことに気が付いて申し訳なさそうな表情を浮かべながら3人に視線を返していた。
「あ~…えっと…お姉さん…その…ごめんなさい…」
「え~…あ~…大丈夫ですよ…?沙綾ちゃんの見たことのない様子に…その…驚いてたって言いますか…。そうだよね?香澄ちゃん…立希ちゃん…」
「山吹先輩のあんなの見たことなかったんで…」
「そうだったんですね…」
ユウは3人に対して謝罪し、今までの光景を見ていた凛々子が言葉を詰まらせながらも彼の言葉に答えるが、何とも言えない空気が流れる中でユウはあることに気が付いた。
「それで…そっちの人は大丈夫ですか…?」
「「えっ……」」
「ふへへ…さーやが…」
「香澄ちゃん!?」
「これ…どうするんですか?山吹先輩が来たから、ギリギリで回そうですけど…」
「明日のライブで使う機材の調整に手が回らなくなっちゃうわね…」
今までのやり取りに凛々子たちと一緒に見ていた香澄だったが、彼女にとっては刺激が強すぎたのか現実逃避から未だに戻ってこれていなかった。
沙綾がおかしくなったと思えば、今度は香澄が機能を停止してしまい、このままでは営業に支障が出かねない。
凛々子は困り顔を浮かべ始めていたが、ユウの口からは予想外の言葉が飛び出してきた。
「えっと…カフェで良ければ手伝いしましょうか…?俺にも原因の一端はあるんで…」
ユウからの提案を受けた凛々子は藁にも縋る思いでその提案に真っ先に飛びついたが、これがある意味では悲劇の始まりだった。
「追加のご注文ですか?それではこのままお伺いします」
「こちら、カモミールとダージリン、アイスコーヒーになります。ご注文は以上でお間違いないですね?…それではごゆっくりどうぞ」
「いつもより忙しい…!!」
「かしこまりました、少々お待ちください。椎名さん、次はカフェラテ2つとストロベリーパフェをお願い出来るかな?」
使い物にならなくなった香澄の代わりにカフェで仕事を始めたユウだったが、珍しい男の店員とそのビジュアルに惹かれていつもでは考えられないほどの忙しさに立希の口からは思わず悪態をつきながらバイトに勤しんでいた。
だが、彼女の苛立ちの原因はそれだけはなく、仕事をしながら視線を横へとズラしていた。
「ふふっ…かっこいいなぁ~…」
「山吹先輩、見てないでちゃんと仕事してください」
「私もあんな感じにしてもらいたいなぁ~…」
バイトに入った沙綾だったが、彼女は接客されている客と同じようにユウが働いている姿を目で追ってまともに仕事が出来ておらず、そのしわ寄せが全て立希に向かっていた。
流石に目に余る沙綾に立希は注意するも、立希の言葉は聞き流されているのかあまり変化がないことに更にイラつき始めたが――――
「沙綾ちゃん、アイス珈琲とカフェラテお願いできるかな?」
「ふふっ…は~い」
「……」
「これじゃ山吹じゃなくて、ピンクじゃん…」
何故かユウの言葉には語尾にハートがついているのではないかと疑いたくなるような声で反応して仕事をしている。
立希がそのせいでイラ立っていくが―――
「椎名さん。注文に入ってるオムライスとサンドイッチとかの食事メニューだけど、こっちで作っちゃってもいいかな?
まぁ、忙しいから答えは聞かないけど」
「えっ…お願いします…」
「オムライスは冷凍…時間かかるからサンドイッチ先に仕上げちゃうか…」
それ以上に普段の沙綾以上の仕事量を難なくこなして立希のフォローしている仕事ぶりに何とも言えない気持ちになっていた横で、ユウはキッチンに入ると慣れた手つきで調理を始めていく。
立希としても調理系はあまり得意ではないのでありがたいが、それ以上に沙綾がポンコツになり過ぎている点が看過できなくなってきていたタイミングで更なる燃料がカフェにやってきた。
「りっきー、遊びに来た…って何これ…」
「凄い混んでる…」
「燈、いらっっしゃい。…愛音、忙しいから帰れ」
「えぇ?それお客さんに対する態度じゃないよね?私はともりんとカウンターの端っこにいるから~」
このタイミングでカフェに顔を出してきたのは立希と同じバンドの燈と愛音だった。
ただでさえ忙しい上に沙綾が使えない以上、立希は精神衛生を保つためにめんどくさい愛音だけを追い返そうと試みたものの、愛音の正論をまともに受けて運よく空いていたカウンター席の端に陣取っていた。
愛音は兎も角、燈が近くに座っているだけで少しだけだが精神的な余裕が生まれた立希は仕事をこなしていく。
「ねぇ、ともりん。あのキッチンに誰かいるよ?見たことないけど新しい人かな?」
そんな立希を目で追いかけて始めた燈と愛音だったがその最中、愛音はキッチンの奥にいた人物に気が付いて燈の声をかけると、燈もその言葉に釣られるように視線をキッチンで働いているユウに視線を向ける。
そして――――
「あっ…花冠のお兄さん…」
「えっと……それってライブの前に持ってたアレをくれたって人?」
「うん…シロツメクサの花冠」
「「…っ!!」」
「どんなのだっけ?ちょっと調べるね」
燈はキッチンにいたユウの姿を見て”花冠を貰った”という言葉を口にした途端、仕事中のはずの立希と沙綾の動きが完全に止まった。
そんなことを気にすることなく、愛音はスマホを取り出して何かを調べ始めていた。
「シロツメクサ…そうだこれこれ…!!へぇ~クローバーのことなんだ~えっと…なになに…葉っぱの数で意味が変わってくるんだって~」
「そうなんだ…」
「1枚で”初恋”、2枚で素敵な”出会い”…3枚目が…嘘っ!?そんな意味なの…!!」
「あのちゃん?どうかしたの?」
「「……」」
愛音がシロツメクサについて調べ始めたことを読み上げるが、彼女はそれを読み上げる前に目を通した内容に驚きの声を挙げ、沙綾と立希の2人は愛音の言葉に耳を傾ける。
そんな中で愛音は意図せず
「3枚で”愛”。それで4枚が――――
”私の物になって”だって」
「「っ!?」」
当然だが、ユウはそんな花言葉など全く知らないのだが、愛音の言葉にそれを聞いた沙綾と立希には関係がない。
そんな言葉を持つ花を”燈へと送った”と言う事実だけが、2人の脳を破壊するには十分で―――
「「あはははは……」」
「立希ちゃん…!?」
「あっ!?りっきーと沙綾先輩の意識が飛んだ…!!」
「2人とも、注文が出来たから…って何これ…?」
脳を破壊された沙綾と立希は完全に意識が飛んで壊れた様な笑い声をあげて動きが完全に止まってしまった。
そんな中で、注文の料理を仕上げたユウがカウンターにいる2人の元へと戻ってきたが、完全に機能を停止した2人に困惑し始めていたが―――
「やっぱり花冠のお兄さんだ…」
その中で燈だけはキッチンから出てきたユウを見て、記憶の中にいた人物と同じだと笑みを浮かべるのだった。
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