ただでさえカオスになってたのに……
最後の最後でカオスにカオスを投げ込まれてしまった……
そう言うことで投稿ですが……
まだ、投げられるカオスが残ってるんだよなぁ……
「ふぁああああ……」
「燈、おはようございます。大分遅いですわね」
「ぉ……おはよう……」
「ほら、早く顔を洗って着替えてらっしゃい」
事件のあった翌日の朝。
燈は長崎家で目を覚ますと横には既に準備を終えた祥子が身支度をするように急かされたのだが、燈は寝起きであるにもかかわらずあることに気が付いてしまった。
「……そよちゃんと初華ちゃんは……?」
「……キッチンに居ますわ。そよのお母様もリビングにいらっしゃいますわ……」
「………?どうしたの?変な顔してる…」
この場には同じ部屋で寝ていたはずのそよと初華の姿は既にない。
その事を祥子に尋ねたのだが、答えを返した祥子の顔は苦虫を噛み潰したかのような表情を浮かべて答える姿に疑問を感じると、寝間着姿のまま燈はキッチンの方へと向かっていくと、ダイニングにはそよの母がキッチンを眺めており、その視線の先にはユウがそよと初華の2人に挟まれていた。
「おにーちゃんは私が手伝うから……」
「私が手伝う~…!!パパは私の方が良いよね?正直に言って」
「うん。正直言うと2人とも邪魔かな。2人とも向こう行ってて?」
「「えっ……?」」
「今から火を使うから危なくないように……ね?あっ燈ちゃん、おはよう。もうすぐ朝ごはん出来るから準備しておいで」
ユウは2人に挟まれるも、2人を邪魔と言い切ったことで2人の目から光が消えた。
しかし、その後に続いた言葉ですぐに目に光が戻るとそのまま2人はキッチンから押し出されると、そよの母がいるリビングへとトボトボ歩き始めていく。
それを他所にユウはフライパンを取り出して火にかけたところでキッチンを除く燈の存在に気が付いて声をかけると、燈は少しだけ急ぎ足で制服に着替えて身支度を整えてリビングに出てくるのと殆ど同じタイミングで準備を終えたユウが朝食と共に現れた。
「お待たせしました。
本日の朝食のメニューはフレンチトーストとコーンスープです。かなり軽めの朝食にしたけど大丈夫かな?」
「「わぁ……!!」
「えぇ……量は問題ありませんわ」
「いただきます……!!」
ユウは持ってきた朝食にそよと初華が目を輝かせていた横で祥子がユウの質問に答えると、燈の声を合図に彼女達は朝食をとり始めたが――――――
「「美味しい……!!」」
「片手間でこれほどの……お爺様の屋敷で食べた物より遥かにおいしいですわ……!!」
「うん……美味しい……」
「それは良かった……ふぁ~……」
「おにーさん?眠いんですか?」
「昨日からアレで、夜中に2人の様子を確認してたから寝れてないだけだから大丈夫…」
彼女達はユウの朝食を口にするとその目を輝かせていたのを見たユウは若干眠そうにあくびを漏らす珍しい姿を見た燈は思わず声をかけてしまったが、ユウは眠そうにしながら答えていたが、彼としてはそこまで問題にしてはいなかった。
「そよちゃんのお母さんの代わりに2人を病院に連れて行ってから学校に送って、そこから迎えに行くの間に寝るから平気だよ」
「送迎までするのは過保護すぎませんこと?」
「豊川さん、怪我人に過保護も何もないよ。それに迎えに行くって言ってもそこからの予定もないから――――」
ユウとしてはそよの母親の代わりにそよと初華の2人を改めて病院に連れて行って学校に送ったら寝ると笑っていたが、その言葉に祥子が刺を刺していくも彼はそれを笑って受け流していた。
が、予定がない。とそう言ったのがいけなかった。
「おにーさん……電話が……」
「この音は聞きたくなかったかなぁ~……聞かなかったことにしよ……」
「出ないとダメだよ?」
「ちょっと初華ちゃん、取らないで…!!」
ユウのスマホに突然の電話が鳴り始めるが、その音を聞いたユウは一瞬顔を顰めてしまうもあえて放置して電話に出ない事を決めようとしたのだが、初華から無視するのは良くないと言うド正論を叩き込まれると彼女にスマホを取ってその電話に出てしまった。
『もしも~し?』
「その声……にゃむちゃん?」
『えっ……?ウイコ?あれ?ウイコにスマホにかけたつもりなかったんだけど……』
「うん。私のじゃなくておにーちゃんのだから……」
『はぁ?ウイコ?何言って……あぁ~……サキコが言ってた奴ね……はいはい。なんでもいいからとりあえず変わってもらえる?』
「うん……」
電話の相手は初華と祥子と同じバンドに所属しているにゃむ。
だが、そんな相手がユウに電話をかけてきたことに驚いていた初華だったが、彼女はおずおずと言った様子で持っていたスマホをユウに差し出すと、そのまま嫌そうな顔をしながら受け取っていた。
「もしもし?もしかして……”アレ”ですか?」
『はい……”アレ”です………。16時からお願いします。もう話はしてあるので……』
「……分かりました。では16時から伺います。それでは……」
「おにーさん……?」
「どうして休めると思ったら予定が出来るんだろうね……」
ユウはにゃむからの要件を聞くとゲンナリとした表情を浮かべながら答えると、そのまま電話を切ったが、その顔は悲しい表情を浮かべていた。
彼としては休む気満々だったのだが、急に出来た用事にテンションは一気に落ちてしまっていたが、燈とそよの母以外の目は鋭い物に変わっていた。
「おにーちゃん?浮気?」
「パパ?……浮気?」
「違います」
「……では、あなたがどうしてにゃむさんの連絡先を知っているんですの?」
「仕事です。授業終わってすぐに迎えに行けそうにないな………」
「「えっ……?」」
そよと初華の2人はユウが他の女に手を出していると疑念を抱いていたが、彼は即座にそれを否定していた。
2人は恋愛と言う浮ついた関係を疑っていたが、実際はそんな生易しい物ではなく仲良く地獄を共有している関係であり、キッパリとそれを否定した。
しかし、祥子はにゃむとの関係を気にしており、それを聞かれて素直に答えるも彼女の目から疑念が消えることはなく更なる追及が待っていた。
「にゃむさんがあなたに仕事を……?理解できませんわね」
「まぁ……正確に言うと、にゃむちゃんに対してではなく、にゃむちゃんとの共通の知り合いに対しての仕事ですけどね?」
「ますます意味が分かりませんわ……」
「だったら、おにーちゃんのお仕事手伝うよ……!!」
「私も!!」
「駄目です!!」
ユウはにゃむとの関係をハッキリと伝えたが、その説明を聞いた祥子はますます理解に苦しみ困惑し始めていたが、反対に2人は嬉しそうにユウの仕事を手伝うを言い始めるも即答でそれを拒絶してしまった。
だが、その拒絶を聞いた2人はいきなり泣きそうな表情を浮かべ始めていた。
「おにーちゃん……?なんで……?」
「私、いらない子なの……?」
「昨日のこともあるから、2人は安静にしていなさい」
「「ヤダ!!」」
「あんな場所行かないほうが幸せです!!燈ちゃんも何か言ってくれる?」
2人はユウから嫌われたと勘違いしていたのだが、ユウとしてはそんな気は全くない。
むしろあんな地獄のような場所に2人を連れて行かない方が幸せであり、その地獄を見たことがある燈にすら助けを求めて説得しようとしていたのだが、それが失敗だった。
「燈ちゃん?」
「どういう事?」
「えっと……アレは見ない方が……その……良いと思う……」
助けを求められた燈は2人の視線に耐えられなかったのかなんとも煮え切らない答えを返してしまう。
だが、その答え方が行けなかったのか2人はカタカタと震え始めてしまった。
「なんで燈ちゃんが良くて私はダメなの……?いらない子なの……?」
「おにーちゃん私の事嫌いなんだ……だから……連れて行きたくないんだ……」
「……これ、どう答えても地獄しか待ってなくね?」
「……何か都合が悪いとでも?」
自分が嫌われたと勘違いして震え始めてしまったが、ユウにはにゃむの隣人あるレイヤの生活力0の地獄に連れて行くか、地獄を見せないために断って置いて行くかの2択しか残されていない。
が、どちらを選んだとて精神ダメージは必須のこの状況に頭を抱えざるを得ななかったが、それを知らない祥子はユウに怪訝な表情で睨みつけて始めると、燈が祥子の横で彼女にだけ聞こえるように耳元で囁き始めた。
「えっと……祥子ちゃん……誰か尊敬する人っている?」
「急にどうしましたの……?しいてあげるならば……。Morfonicaの倉田先輩でしょうか……?」
「じゃあ……例えばだけど……その人の部屋がとんでもなく汚い部屋だったら……どう?」
「燈ちゃん、それ例えじゃなくて答えだよ……」
「そう言う事ですのね……」
「今ので伝わるのか……」
燈は彼女なりの例え話で祥子に理由を伝えようとしたのだが、残念なことに燈の話は例え話ではなく紛れもない事実でしかなかった。
それをユウにツッコまれてしまったが、祥子は燈の話から初華と同棲する以前にボロアパートの一室で実の父親と生活をしていた頃と状況を重ねて彼女の話を即座に理解していた。
何とも頼りになり理解力だが、今の話で全てを理解していたことにユウは軽く引いていたものの、こうなった祥子は強かった。
「そよ、初華。着いていくのはおやめなさい」
「「なんで!!」」
「仕事の関係上、個人情報などの守秘義務と言うものがありますの。あなた達がついて行ってしまったことで責任を取って仕事をクビにされてしまったらどうするつもりですの?」
「「………」」
「迷惑になりますから今回は諦めなさい」
「祥ちゃんがそこまで言うなら……」
「今回は諦める………」
「なら、早く食事を食べてしまいなさい。病院に行くとは言えども、遅刻する時間が増えてしまうのはいけませんわ」
そして、全員の食事が終わってから再び身支度を整えている間にユウは速攻で食器の片づけを終えると、そよと初華の2人を連れて病院に連れて行ってからそれぞれを学校まで送り届ける。
これで後は時間になるまで休憩が取れるはずだったのだが―――――――
「あっ///ゆうくんだ~///えへへ~。おねーちゃんに散歩してもらってるんだ~///」
「死にたい………」
「どうあがいても地獄かよ………」
そよと初華の2人を送り届けたユウに待っていたのは、
ユウを見つけて嬉しそうな日菜に対して、こんな地獄のような光景を見たユウの目は紗夜と同じように死んだような目へと変わってしまったのだった。
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