忘却の唄・消えかけのアルタイル   作:ツナ缶マン

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おはよーございます()
この章、ライトな感じにしあげたかったんですが………
地獄絵図になって来てる様にしか感じられないのですが…それは……
うん。突っ走るしかねぇ……!!
という事で投稿です


141-問題児が集い。それでも悪夢が終わらない

初華の部屋での1件があって翌日。

 

 

 

「燈ちゃん」

 

「おにーさん、どうしました……?」

 

「学校までそよちゃんの迎えに行くのに俺、必要かな?」

 

「それは……その……」

 

「今日がライブで色々と心配なのは分かるけどね?」

 

ユウは燈と2人でそよを迎えに行くべく月ノ森へと歩いていたのだが、ユウは自身の必要性に疑問を感じていたが燈の顔を見てすぐに彼女にやさしい言葉をかけて重くなりそうな空気をなんとか戻す。

 

そんな中で2人は月ノ森の正門前までやってきたのだが――――――

 

「パパ~!!」

 

「ごふっ!?」

 

「そよちゃん……!?」

 

学校内から出てきたそよが迎えに来ていたユウに跳び込み、その予想外の行動にユウが対応できずにそのまま地面に押し倒されてしまったが、そこんそよからの更なる追撃がかけられていた。

 

「パパ!!もう!!なんで昨日は来てくれなかったの!!」

 

「ちょっと…離して…!!」

 

「いや!!今日はもう放さないんだから!!」

 

「ちょ…苦し……」

 

 

 

「そよちゃん……離れた方が……」

 

「燈ちゃんもパパを盗ろうとしてるの?」

 

「ぇ…ぁ……そういう訳じゃ……ぁぅ……」

 

そよはユウが若干苦しそうな声を挙げていたが、彼女はユウを放そうとせずにさらに力を入れて抱き着いていく。

 

流石の燈もユウが苦しそうにしているのを見てそよに止めるように声をかけたものの、彼女の睨みに怯んで言葉を詰まらせるのもお構いなし。

しかし、ここは月ノ森の正門前と言う場所であったことが問題であった。

 

「あなたは……長崎さん?」

 

「八潮先輩、ごきげんよう」

 

「……何をしてるのかしら?」

 

「お気になさらず!!」

 

「ぐぇ…」

 

このタイミングで月ノ森の生徒会長である瑠唯がこの場にやって来てしまい、目の前の状況に困惑顔を浮かべながらも平静を取り繕ってそよに声をかけていた。

だが、今のそよは彼女の言葉程度では全く止まる訳もなく、より一層ユウを捕まえる力を入れて行ってしまった。

 

「他人の人間関係に関して、余りとやかく言いたくはないけれど……ここは学校の目の前よ?何を考えてるのかしら?」

 

「私はパパと一緒にいるだけです!!」

 

「……パパ?父親と言うには若すぎると思うのだけれど?」

 

「それ、関係あります?」

 

そよの説明を聞いた瑠唯はユウに視線を向けるも、彼の見た目で高校生の父親と言うには明らかに無理がある。

瑠唯はその事を冷静にツッコんでいたのだが、その言葉を聞いたそよは上級生である瑠唯を鬼の形相で睨みだしていたことで、この場の空気は正に修羅場の様な物へと変わっていくが―――

 

「るいさん。RiNGまで一緒に…えっ……?」

 

「これは……修羅場って奴だね~」

 

「ルイとそよが男を取り合ってる……コスプレした人妻が男取り合ってるように見えてくるんですけど…」

 

「透子ちゃん!?何言ってるの!?」

 

 

 

「……そよ?燈……?」

 

「ぁ……睦ちゃん……これは……あの……」

 

「長崎さん、そろそろ放したほうがいいわよ?」

 

「いくら八潮先輩に言われても絶対に嫌です!!パパは絶対に渡しません…!!」

 

しかも、この最悪の状況で2人の事を知る面々まで集まりだして、この状況について行けなくなった燈も説明がおぼつかなくなってしまい完全に収拾がつかなくなり始めていた。

だが、瑠唯は空気を読まずにユウを話すようにそよに言うも彼女は全く聞く耳を持っていなかったが、今回ばかりは引き下がる訳にもいかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「胸に埋もれて息が出来なくて顔色悪くなってきているのだけれど……」

 

「っ!?パパ!!死んじゃダメ!!」

 

そよはユウを抱き着いていたが、彼の顔はそよの胸に押し付けられてマトモに息すら出来ていない。

そのせいで顔が徐々に青くなってきていたのを見せられていた瑠唯は簡単に引き下がるのも悪いと思って苦言を呈したが、そよは瑠唯の言葉にパニックになったせいで力を緩めるどころか今まで以上に力を込めてユウを自身の胸へと更に押し込んでしまっていた。

 

「はな……して……」

 

「パパー!!」

 

「「「「「なにこれ……」」」」」

 

そして、流石のユウも呼吸が出来なければ意識を保つ事は出来ない。

最後にそよに放すように言いながらユウは彼女の胸の中でそのまま意識を飛ばしてしまい、それを見たそよはパニックで叫び出し、事情を一切知らないモニカや睦はこの状況が完全に理解できずに困惑の言葉を漏らしてしまうのだった。

 

 


 

「はぁ……酷い目にあった……」

 

そして、意識を取り戻したユウはRiNGのカフェでコーヒーを片手にボンヤリとしていたのだが、そんな彼に鋭い視線が突き刺さった。

 

「酷い目?初華のこともですが、随分と羨ましい思いをしている様に思いますが?」

 

「豊川さん、呼吸止まってるのが良い思いだと思う?それに普通に考えて起きて目の前に裸の人がいたら困惑の方が勝つに決まってるでしょ?……ったく、風都並みにマトモな女が少ないな……」

 

「ふう……?」

 

「気にしないで」

 

「……はぁ」

 

ユウに先ほど起こった出来事について祥子が先日の初華のことも含めて苦言を呈していたが、彼としてはそんな事を気にしておらず彼女の言葉をバッサリと切り捨てた。

そんな彼の反応に祥子は呆れたような表情を浮かべていたが――――――

 

 

 

「あぁ~!!こっちは色気なんか全然なかばい!!介護たい!!介護!!

今日もレイヤ先輩が部屋で寝とったとを、ライブの風呂入れてから着替えさせてここに連れてきたばい!!」

 

「和奏さん達も燈ちゃん達と同じライブに出るのなんて初めて知りましたよ」

 

「……にゃむさん、落ち着いたらどうです?」

 

「落ち着けて?ダメ人間の被害者っちゃろに、なんでこぎゃん差の出るとね?嫌なこつにも、だいぶ慣れてきたばい……!!」

 

 

 

「方言出されると私が理解出来ないのですが……」

 

だが、ユウに起こったことを聞いたにゃむがキレた。

彼女からしたら色気皆無でレイヤの世話を偶にしていて、今日もRiNGでライブをするという事で部屋からここまで連れてきただけでぐったりとしていた。

ユウはそれを聞いて頷いていたが、祥子は方言を出されるとちゃんと理解できないようで首を傾げていたが、ユウは改めて方言を翻訳してから祥子に伝えると先ほどよりも苦々しい表情を浮かべていた。

 

「随分と嫌な慣れですわね…」

 

「問題児2人が集まってるとか考えたくないですね……それにしても豊川さんはどうしてここに?」

 

「Morfonicaさんのライブがあるので来ましたわ!!」

 

「あ~桐ヶ谷さんの所がそんな名前でしたね」

 

方言の意味を聞いた祥子は悲しそうな表情をにゃむに向け始めたが、その空気ではダメだと感じたユウが話を切り替えて祥子がこの場所にいる理由を聞くと、彼女は嬉しそうな表情をしながら理由を語る。

それで空気が多少和らいだのだが――――――

 

「初華ちゃんはどうしたの?」

 

「……初華は今日はsumimiの仕事で居ませんわ」

 

「あれ?」

 

初華の名前が出た途端に祥子の顔から喜びの感情が消えてしまい、途端の初華の事を答えながらもその顔を両手で覆うように隠し始めてしまった。

 

そして、これを見たユウは自身の口から出てしまった余計な一言がこの場の空気をぶち壊してしまったのだと思ったのだが―――

 

 

「……今日は自由……!!自由ですわ…!!」

 

 

「泣きながら拳握りしめて喜ぶって……情緒不安定すぎない?本当に何があったの?」

 

「先日、初華に説教をしたのですが、お爺様と違って初華からの誘惑に勝って噛み締めるこの時間は至高ですわ……!!」

 

 

「………うん。そう……メンタルカウンセリングは専門外ですから」

 

初華がいないと告げた祥子は涙を零しながら震えていたが、その顔からは悲しみが一切感じられず、先ほどよりも喜んでいるのが一目で分かるほどに喜んで今の自由を噛み締めていた。

 

その言葉をにゃむは完全に聞いていなかったが、初華と祥子の関係についてユウは知っていた。

彼は女性同士と言うのはそこまで気にしてはいなかったが、同い年の叔母と姪と言う余りにも歪みまくっている状況で、互いに誘惑し劣情を憶えているという様にも聞こえてしまう言葉に完全にドン引きしながらも社交辞令にもならないような下らない言葉を返してこの場を乗り切ろうとしたのだが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ!!ユウくんだ~!!」

 

「死にたい………」

 

 

 

 

「げっ…!!氷川…!?って紗夜さん!?問題児が3人に増えやがった…!!」

 

「人に首輪をつけて鎖で繫いでますわ……!?」

 

「てか、鎖!?犬用のリードより悪化してるじゃねぇか!?しかも、鍵付きで首から取れないようになってる!?」

 

「えへへ。今日は燈ちゃんと七深ちゃんから誘われたから新しいの用意したんだよ///おねーちゃんは透子ちゃんから誘われたから一緒に来たの///」

 

このタイミングで氷川姉妹がRiNGのカフェに姿を現したが、残念なことに紗夜はまた日菜の趣味に巻き込まれて目が死んでいた。

しかも、彼女の趣味はエスカレートしていて紗夜の目は昨日よりも更に光が消えて今にも消えてしまいそうだと錯覚しそうな程。

流石にこの光景は見ていられないとユウは即座に席を立って紗夜へと駆け出していた。

 

「紗夜さん。これ貰います」

 

「……えっ」

 

「あんっ///いきなり引っ張るなんて///ユウくんは強引なんだから///でも、そう言うの好き///」

 

ユウは即座に紗夜から日菜の首輪と繋がっている鎖を強奪して日菜を引き摺りだしたが、それを見た日菜が熱の籠ってうっとりとした表情をユウに向けて期待感に胸を膨らませる。

 

 

「氷川、鍵」

 

「はい///これ///」

 

「……なんで首輪の鍵じゃなくて新しい南京錠が出て来るんだよ……」

 

そして、ユウは日菜を階段まで引き摺ってそのまま1階まで降りていって、首輪を外そうとそれを止めている鍵を要求したのだが、日菜が出したのは新しい南京錠だったことにユウは驚きはしたがすぐにそれを奪い取った。

 

「こっちの方が都合がいいか…」

 

 

 

「あっ///階段に繋がれちゃった~///」

 

「お前、ライブ始まるまで黙ってろ」

 

「ワンッ///」

 

ユウは階段の手すりに鎖を巻くとそれを南京錠で止めて日菜の身動きを完全に封じ込めた。

ここならば自分達がいるカフェから見えるところではないという事で選んだのだが、この状況ですら日菜は楽しみ始めると、ユウは完全にそれを無視して一言残してカフェへと戻っていく。

 

とりあえずはライブが始まるまでは落ち着けると思っていたのだが、現実は無常だった。

 

「中島さん…………」

 

「豊川さん、どうしました……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「初華が……!!初華がここに来てしまいますわ……!!」

 

「えっ?仕事だったんじゃ?」

 

「先方の都合で急遽キャンセルになったと連絡が来ました…!!」

 

日菜の酷い登場でメンタルが削られてしまった状況だが、これに加えて仕事が入っていたはずの初華がここにやってくると言われた事でユウは完全に困惑していると、目の前で祥子がプルプルと震えだし――――――

 

 

 

「こんなの……あんまりですわー!!」

 

「……地獄だ」

 

祥子が受け入れがたい現実を前に思わず絶叫したが、ユウはこの後に起こることを思い浮かべるとゲッソリとした表情を浮かべてしまうのだった。




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