本作品では悲惨な出来事が起こるデート回です。
最初の時点でかなり悲惨なスケジュールになったのを軌道修正しましたが……
これだけでは終わらんよ!!
という事で酷いデート回続きをどうぞ…!!
「ここよ……!!」
「ここか……行こっか……」
「えぇ……!!」
友希那とのデートに出たユウは彼女が行きたかった猫カフェの前までやってきた。
猫カフェに来た嬉しさが隠せずに口角が上がっている友希那に対して、ユウの方はそんな彼女を見ると店の中に入るように伝えると、それを聞いた友希那はいつもよりも早足で歩いて店の中へと入っていく。
そして、その中の光景に彼女は目を奪われていた。
「にゃーんちゃんが……いっぱい……!!」
キャットタワーに登ったり玩具で遊んでいる猫や、クッションの上で気持ちよさそうに寝ている猫がいたり、猫だらけのこの空間は猫好きの友希那にとっては正に夢の国。
そんな空間を見た彼女は嬉しさが声色からも漏れ出し、猫を怯えさせないように静かに猫の元へと歩み出していくが――――――
「うん。良かったね。ゆきちゃん」
その後ろにいたユウが言葉を発したその瞬間に寝ていた猫は跳び上がり、遊んでいた猫たちも一瞬でそれを止めると、飼いならされた猫たちにほんの僅かに残った野生の本能がユウから危機を感じ取り、そのまま逃げるようにして店の隅へと一斉に駆け出して行ってしまった。
「あっ………。にゃーんちゃんが……」
「……言ったでしょ?俺が猫から嫌われるって」
「………………し………………仕方ないわ」
「うん。今にも血の涙を流しそうな表情じゃ説得力ないよ?」
夢の空間が崩壊していく光景に友希那は絶望の表情を浮かべる後ろでユウは申し訳なさそうにしていたが、友希那は悔しさを噛み殺してなんとかユウに声をかけるも今にも血の涙を流しそうな程に悔しがっている彼女のその言葉になんの説得力もない。
「どうする?」
「……もう少し粘るわ。すいません。餌付け用のおやつを…」
だが、猫好きの友希那はそれで諦めることはせずに、店員に餌付け用のおやつを注文してそのまま怯えている猫の元へとゆっくりと進み始めていく。
「ほ~ら………おやつよ………」
そうしてユウから離れて少しずつ猫に近づいていった友希那は餌付け用のおやつをそっと差し出しだすと―――
ニャーーーーーーーーーーー!!
「ふへへ……にゃーんちゃん達がいっぱい……!!」
おやつを持った友希那が猫たちの視界からユウが隠れたタイミングで、彼女が持つおやつを貪ろうと一斉に友希那に飛び掛かる。
普通なら猫の大群に飛び掛かられるなど恐怖すら感じる様な光景だが、猫好きの友希那にとって自身が猫に求められている様に感じて悦に入りながらも、猫の大群に押し倒されると彼女が持っていたおやつを食べる猫の姿に破顔していた。
「にゃー……にゃーん……」
「猫語になってる……。とりあえず店の端に移動しておくか……」
猫に埋もれて倒れる友希那は人間の言葉を捨てて猫語になってしまっていたが、そんな姿を見たユウは呆れたものの楽し気な彼女を見て邪魔をしないように店の隅に移動しようとしたが――――
ニャ―――!!
「………何やってんだ?」
――――――!!
「あっ……」
そんな状況で友希那が持っていたおやつがあまり食べれなかったのか、1匹の猫が怒ってその爪を寝ている友希那の顔に突き立てようとしていた。
だが、その猫はユウに睨まれたことでマトモな受け身も取れずに床を転がると、友希那とユウから逃げるように店の奥へと逃げて行ってしまった。
「1匹に……逃げていく…………にゃー……」
「……店員さん。すいません。アイスコーヒーを1つ。
後、撮影って大丈夫で―――フラッシュ炊かなければいい?ありがとうございます」
逃げられた事に友希那はショックを受けたが、他にも大量の猫に囲まれていたことで彼女はすぐに機嫌を取り戻すと、幸せそうな表情を浮かべながら猫の中に埋もれていく。
そんな光景を見たユウは友希那と猫から最大限距離を取りながら、その光景を遠目で眺めつつも、猫と戯れている友希那を遠巻きに撮影し始めていく。
1時間後―――
「にゃーん………」
「さっきと違う猫みたいだけど…、ゆきちゃんがどんどんポンコツ感が出てるね」
2時間後―――
「にゃ~~~」
「こういう店だから仕方ないけど軽食は冷凍だし、パンケーキのシロップのかけ方雑だな。
猫の顔でも描くだけで雰囲気出て変わるのにもったいないな…」
4時間後―――
「にゃ~~~~~~ん」
「いや、なげーよ。 4時間も猫に囲まれるゆきちゃん見てるとか、もはやデートではなく子守のそれじゃん」
友希那が猫に囲まれて4時間が経ったのだが、あろうことか彼女は今までずっと猫に囲まれて、その中心で猫語を口にしながら幸せそうにしていた。
流石のユウもここまで長時間になると思わずツッコんでしまったが、これでは完全にデートではなく子供の子守にしか感じられない。
流石にこのままなのも如何なものかと考えたユウは――――――
「……猫たち、ちょっと離れててくれるかな?」
―――!!
「あっ……」
ユウが猫を少しだけ睨みつけると、その威圧に負けた猫たちはすぐさま友希那の元から離れていく。
友希那はそれを見て悲し気な表情を浮かべ、ユウはそれにほんの少しだけ罪悪感を感じたが
声をかけることにした。
「ゆきちゃん、俺のこと忘れてない?デートするって言ったのゆきちゃんだよね?」
「はっ……!!わっ……忘れてないわ……。ただ猫に囲まれてただけよ」
「それ、忘れてるって言うんだけど?……まぁいいか……お昼とっくに過ぎてるけど、食べなくていい?」
「……お腹が空いたわ」
友希那は猫に夢中でユウとのデートという事を忘れて猫に没頭していた。
その事を指摘された友希那は冷静を装ってそれを否定したが、流石に無理があるとツッコんでから昼食の事を指摘する。
その言葉を聞いた友希那はようやく空腹を実感し始めるが、別の問題があった。
「ここの軽食で足りる?こう言いたくはないけど値段の割に味も量もイマイチだよ?」
「うっ……。でも、にゃーんちゃんが……」
「俺はどっちでもいいよ?食べ終わった後も俺はゆきちゃんが猫と戯れてるの見るだけだから」
ここの軽食は量も味も値段不相応だとユウが辛口の言葉を投げたのだが、お腹が空いているが猫と離れたくない友希那はどうしようかと悩みだしてしまった。
そんな彼女にユウはここで食べた後についてのも話始めると友希那は苦い表情を浮かべていた。
ここまで自分だけがこの空間を堪能してユウはそれを見ているだけだった。
そして、ここに居座ればユウが声をかける前と同じように猫と戯れ続ける姿を見るだけになってしまう事に気が付いた彼女は―――――――
「…………………………出ましょう」
「うわっ……さっき以上に血の涙を流しそうな表情してるけど……」
「いい……のよ………」
「うん。そこまで言うなら……」
断腸の思いでこの猫カフェを後にすることを決めた。
だが、ここを離れたくないという表情を浮かべてしまいその事をユウに指摘されるも、彼女はそんな彼の誘惑を全力で我慢してここを離れることを決めたが、その表情は今までで一番険しいモノになってしまっていた。
ユウもそんな彼女に困惑しながらもそのまま会計まで済ませて店を出ると、友希那も後ろ髪を引かれる思いをしながらもユウを追いかけて店を後にした。
「にゃーんちゃん……」
「……ゆきちゃん、戻る?」
「………いいわ。ご飯にしましょう。どこか行きたいところはあるかしら?」
「俺はゆきちゃんが猫に囲まれてる間、軽食を摘まんでたからそこまで腹減ってないんだよね」
「なっ……なんですって……!?さっきは私が行きたいところに行ったから今度はユウの行きたいところにしようと思ったのに……!!」
「次の事考えてるとか予想してなかった」
友希那は猫カフェの事を引きずりながらも次の食事についてどうするかユウに尋ねるが、彼は友希那が猫と戯れてる間に軽食を取っていたこともあってそこまで腹は減ってない。
それを聞いた友希那は困ったが、さりげなく次の行く場所でユウの行きたい場所を行こうと考えていた事にユウは驚いていたが―――
「それなら、食事はどこでもいいからゆきちゃんが選びな」
「でも、ユウは…」
「それなら食事が終わった後に行くとこ決めるよ」
「そう…どこか行きたいところはあるの?」
「うーん。行きたいって言うとそこまでだけど、一旦ゆっくりしたほうが良いよね。ちょっと調べてみる」
ユウは食事の後に行く場所を決めると言ったそのその言葉に友希那が驚きながらも彼が行きたいところについて聞くと、ユウはスマホを取り出して少し考え始めていた。
「映画…とかはゆきちゃんはそこまでだし……。観劇とかも考えたけど当日チケット取れるのも怪しいな……」
「ゆっくりするなら家に行くのかしら?」
「デートって言ってたのにそれもどうかな……」
ユウはスマホで情報を漁りながらこの後の予定を考える。
だが、猫カフェに長時間いたこともあって、どれをするにも時間が中途半端になってしまう。
移動することもあまり出来ないと近場で探し始めたが、ユウの目にはその中にあったあるものに目が留まり――――
「そうだ。プラネタリウム行こう」
そうして、この後の事を友希那に伝えたのだった。
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