世間ではGWで楽しみムードですが……
この作品はその空気をぶち壊すかのようにヘビーな状況をぶち込んでやりますよ!!
と言う訳で、前回はリサ姉登場と言う特大爆弾が投下されて地獄のカウントが始まってますが……
どうなったかは本編をどうぞ!!
「アタシ、今井リサっていいます」
「……」
ユウは財布の持ち主―――リサの名前を聞いて完全に動きが止まってしまい、自身の運の無さを呪い始めていた。
財布を拾って届けて見れば、その持ち主は自身の事を憶えていない姉で、彼女は紗夜から話に聞いただけの危険人物扱いのユウと幼馴染である友希那から引き剥がそうと躍起になっている本人。
そして、今は別行動をしているがその友希那も彼と一緒にいるという最悪の状況を乗り切ろうとと必至に頭を働かせようとしていたも全く頭が働かない。
「あの…腕離してもらっていいですか?ちょっと前まで右肩を怪我してたので…」
「えっ?あっ…すいません……」
「それじゃ…失礼します」
そんな状態でユウは治ってはいたものの直近で怪我をしていた右肩を気にして離れる様にいう事しか出来ず、それを聞いたリサは言われたままにその右腕を放すとユウはすぐにこの場を離れようとしたが―――
「だから待ってって…!!」
「あの?左だからいいって訳じゃないですよ。連れを待たせてるので放してもらえます?」
「だったら素直にアタシに奢られて欲しいかな~って」
「だから、そう言うお礼とかいらないので…」
「いえ、アタシがしたいだけなので……」
リサから逃げようとしたがユウだったが今度は左腕を掴まてしまい逃走に失敗してしまっていた。
その行動にユウは困ったような表情で、ここまでの親切にされて何もしないと言うのも申し訳ないと言う気持ちで彼を止めていたが、ユウはいち早く彼女と別れて友希那達とこの場所を離れたいと完全に考えが食い違っていた。
「……連れ待たせてるので……だったら、どこかで会えたらその時にお願いします」
「……分かりました。流石に強引過ぎましたね……」
「では、失礼します」
ユウはまたの機会にと言うと、流石に強引だったと反省してその腕を放されたのを確認すると、そのままスルスルと人混みの中へと紛れてリサの視界から完全に消えた。
「……ゆきちゃん達とさっさと合流してこの場所を離れた方が良いな……」
リサから離れたユウはすぐに頭を回してこの後の行動を決めると、人混みの中をスルスルと縫うように歩いて待ち合わせ場所であったカフェへと早歩きで歩き出して建物の外に出るとそのまま階段を下りると、待ち合わせ場所にしていた2階のカフェ前には既に友希那と燈の姿があった。
「ぁ……おにーさん……」
「ユウ。何してたの?」
「説明は後でするけど、今はここを離れるよ」
「ユウ?どういう事?一体何が―――――」
ユウはカフェの前にいた2人に急いでこの場を離れようと伝えたのだが―――
「あれ~友希那じゃん!!それに燈まで…!!」
「えっ……リサさん……?」
「リサ…っ!?」
そんな努力も虚しく、ユウが降りてきた階段の上から先ほど別れたはずのリサがこちらを見下ろしながら友希那と燈の姿を見て嬉しそうな声を挙げて手を振り、にこやかに彼女達の元へと歩み寄ろうとしていた。
「えっ……へっ……?なんで……?いや、さっきみたいに何か親切心で……話してただけで……」
しかし、自身の財布を届けて礼も断って別れたはずのユウが友希那達のそばにいる状況に気が付いてしまったリサは困惑の言葉を漏らして固まってしまうも何とか状況を理解しようと考えを巡らせていた。
先ほどの自身にしたのと同じ様に彼女達にも何かの親切心からの行動をしていたのだろうと納得しようとしたのだが、ここで彼女は先ほどユウが言ったある言葉を思い出してしまった。
「そう言えば……さっき右肩を怪我してたって……っ!!」
ユウは右肩を怪我していたという事をリサに言ってしまっていたが、その言葉を思い出した彼女はあることに気が付いてしまった。
今、友希那達の横にいるユウこそが、以前に紗夜が話していた男であるという事を―――
「友希那!!燈!!」
「リサ……」
「その人から離れて!!」
「えっ……?」
「リ……リサ…………?」
それに気が付いたリサは先ほどの恩を完全に捨てて、急いで友希那達の元へと駆け寄って強引にユウから引き剥がした。
突然の状況を呑み込めない友希那は驚いた表情でユウから引きがはしたリサに視線を向けたが、その表情は完全に怒気を含んでいた。
「友希那!!前に言ったでしょ!!この人と関わらないでって!!なんで一緒にいるの!!」
「それは私が誘ったから―――」
「普通じゃあり得ない怪我してた危ない不審人物を自分から誘うって何考えてるの!!」
「あの……リサさん……おにーさんは……」
「燈も騙されてるんだよ!!知ってるんでしょ!!」
「ぅぅ………」
友希那としてはユウは自身にとって大切な人間で今日のことも自身から誘った事に何も問題ではない。
しかし、今のリサからすればユウは自身の幼馴染を危険に巻き込む害悪以外の何物でもなく、そんな人物を自分から誘ったと言われたリサは鬼の形相で友希那を睨みつける。
そんな状況で燈もユウのことを庇おうと勇気を振り絞って声を挙げるもその圧に負けて完全に委縮してしまった。
「リサ、ユウはあなたが思っている様な人間ではないわ」
「友希那!!何言ってるの!!」
友希那の記憶ではユウとリサは血の繋がった姉弟であり、例えリサがその事を一切憶えていないとしても彼女が彼を悪く言う姿など見たくはない。
友希那はその一心でリサのユウに対する言葉に食って掛かっていたのだが、そんな彼女の想いを一切知らないリサは怒ったままの口調で友希那に詰めていた。
「そもそも、なんで人の話を聞かないの!!こっちが心配して忠告してるのに…!!」
「だから、ユウはリサが思っている様な人間ではないわ」
「なら、前に紗夜が見たって言う大怪我はなんて説明するの!!」
「それは……でも、アレはユウが―――」
「説明できないんでしょ!!じゃあなんで――――――」
だが、友希那ではリサを口で勝てるわけがなかった。
そもそもとしてイマジンやゼロノスの事は友希那達以外は誰も憶えていない。
仮にそんなものを説明したとしても、フィクションか何かと一蹴され微塵も理解される訳がないと分かった友希那は言い淀んでしまったが、そのことを攻められてしまうと友希那はそれ以上何も言うことが出来ない。
その姿を見たリサは友希那を言いこめようと語気を強めて更に詰め寄ろうとしたのだが――――
「ストップ。落ち着いて」
「ユウ…!?」
「なっ…!?友希那から離れてって言ったでしょ!!一緒に居て友希那が危ない目に―――」
この2人の間に言い合いの原因になっていたユウが割って入って強引に話を止めさせていた。
友希那もリサもここに割って入ってこられる事を考えていなかったのか驚いた表情を浮かべるも、リサはすぐに我に返ると今度はユウに詰め寄っていた。
「とりあえず落ち着いて。周りが凄い目で見てるので」
「えっ……」
「それじゃ…」
「ぁ……おにーさん。待って……」
だが、ユウは周囲を指差しながら状況を伝えるとリサもそれを見て少しだけ落ち着いたのか先ほどまでの怒声が嘘かの様に声量が下がっていくのを見たユウはこの場を離れようと階段へと向かい、居心地の悪かった燈もユウの横に並ぶも、リサはその姿を見ても周囲の目を気にして動く様子を見せない。
これで一旦はどうにか終わりそうだったのだが―――
「ユウ。甘いものが食べたいから行きましょう」
「えっ……?」
この場を離れようとする2人を追いかけるように友希那がユウの横に小走りで駆け寄って、そのままリサから離れていく。
友希那としてはユウと一緒に出掛けていて、途中で出会ったリサを別れただけでしかなかったのだが、今の混乱していたリサは友希那が離れていく姿を見て素直に状況を受け止めることが出来なかった。
「ま……待って………。Roseliaが終わっちゃう……」
友希那が自分から離れていくその姿を見たリサは友希那とここで別れたらこのままRoseliaすら終わってしまう。
そんな錯覚に陥ってしまい正常な思考を完全に失ってしまったリサはその場の衝動に駆られて―――
「私から友希那を盗らないで…!!」
リサは声を挙げながら友希那を捕まえようと腕を伸ばしていた。
「な……っ!?」
「えっ……」
「ユウ…!?」
だが、友希那に狙いを定めていたはずの腕はリサの意思に反して、彼女ではなくその横にいたユウの背に腕が伸びてその背中を押していたが、その事に気が付いた時にはもう手遅れ。
リサの目に飛び込んできたのは――――――――
「えっ……?あっ………あれ…………?」
自身によって背を押されて階段を転がり落ち、地面の上で真っ赤な華の様に血を撒き散らして地面に転がったユウの姿だった。
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