忘却の唄・消えかけのアルタイル   作:ツナ缶マン

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おはよーございます!!
どうして紗夜さんがこんな辛い目にあうん……?

これ、事情知ったら他の連中暴走しそう……と思いながらも投稿です


156-迷い星が紐解いて

ユウと友希那が現場を離れ、彼に言われた通りにリサと一緒にいた燈だったが――――――

 

「…………………………」

 

「ぅぅ………気まずい………」

 

 

 

「……お待たせしました」

 

「あっ……氷川さん……こんにちは……」

 

「紗夜…………」

 

あんな出来事があった直後で2人の間に流れる沈黙に燈は思わず言葉を漏らしていたが、それでもリサは沈黙し続けていた。

そんな中で友希那に呼ばれた紗夜は当の本人がいない上にリサのいつもとはかけ離れた雰囲気を前にただ事ではないことを理解していた。

 

「高松さん。確認ですがどういう状況ですか?」

 

「えっと………」

 

「………家の車を借りてきたのでそちらで私の家に移動しますがいいですね?」

 

「ぇ……ぁ……はい……」

 

紗夜は早速燈から事情を聞き出そうとするが、彼女の様子を見て周囲に聞かれるのは不味い内容だと察し、この場から移動するために紗夜が乗ってきた車へ乗り込むとそのまま車が走り出すと早々に話を切り出した。

 

「高松さん。湊さんから呼ばれて今井さんの迎えにと言われたのですが、今井さんがこんなことになっている理由が分からないのですが……」

 

「それは……あの……えっと……」

 

 

 

 

「なるほど、私が相手では話せないと…」

 

「いえ、そう訳じゃ……」

 

走る車内と言う完全な個室で人の目を気にすることもない。

人目を気にすることがないという条件は話す場所としては最高の場所だが、如何せん先ほどのことは車を運転している相手に話せるような内容ではないと困った顔を浮かべていたのだが、その燈の姿を見た紗夜はすぐに状況を察した。

 

「……冗談です。おそらくは運転の片手間で話せる内容じゃないと言う事でしょう?だったら車で家の近くまで移動しますからそこで話を聞かせてください」

 

「わ……分かりました………」

 

紗夜にしては珍しく場の空気を和ませようという気遣いからの言葉だったのだが、燈からしたら余りにも質の悪い冗談でしかなく困った表情を浮かべたまま車内には走行音だけが響かせて少しの間走ると目的地である紗夜の家に辿り着き、燈はリサと共にリビングまで通された。

 

 

「高松さん。コーヒーでいいですか?ミルクと砂糖もあるので心配しないでください」

 

「ぁ……ありがとうございます……」

 

「では、話を聞かせてもらいます。何があったんですか?」

 

若干ぎこちない手付きで紗夜が燈へコーヒーを入れて差し出れると、それを受け取った燈だったが、彼女はどうしようかと困った表情を浮かべていた。

 

燈としては紗夜にリサを引き渡したらそのままユウの元へと行くつもりだったのだが、流されて紗夜の家にまでやって来てしまい、目の前の紗夜に話を聞かれるという状況になってしまっていた。

 

「ぁ……その……あそこにいたけど……その……ちゃんと見てた訳じゃなくて……」

 

それにあの現場にはいたものの、被害者であったユウの隣にいた燈は決定的な場面を見ていない彼女の話は現場の状況からの憶測が混ざってしまい正確な話が出来る自信もないと俯いてしまった。

 

 

「高松さん。あなたを責めてる訳ではないんです。湊さんと会ってからの事を分かる範囲で構いませんので教えてもらえますか?」

 

「えっと…友希那さんとおにーさん―――ぁ………その…」

 

「高松さんが言う”おにーさん”…と言うのは先日湊さんと高松さんといた男性の事で合ってますか?」

 

「はい……」

 

「あなたが話しやすいようにして構いませんよ?」

 

燈は状況を話し始めた。

しかし、彼女はユウのことをいつものように話していたことを口にしてから思い至ると紗夜に説明をしようとしたが、紗夜はユウのことを知っている事を伝えて話しやすいように話せばいいと諭されると、燈は少しだけ頭の中を整理してから正直に紗夜に話すことにした。

 

 

「えっと…その…昨日湊さんがおにーさんをデートに誘って……」

 

「デ……デートっ!?それに昨日!?高松さんが居る目の前で湊さんが誘った!?……んんっ!!……すいません。取り乱しました。続けてください」

 

「……それで私はさっきの所にあったプラネタリウムに1人で行ったんですけど、そこでおにーさん達に会って一緒にプラネタリウムを見ることになって……」

 

「っ……!!」

 

「デート中に他の女性を誘うなんて破廉恥です……!!ん?一緒にという事は湊さんが了承した……?どういうことなの……?」

 

「あの………?」

 

燈は紗夜に言われたままに彼女が友希那達と会ってからの事を伝えた。

 

その話を聞いたリサは燈の話に反応するように小さく震えていたが、友希那が燈の目の前でユウをデートに誘うという奇行も、そのデート中に燈も加えて3人で行動をすることを了承したこともその内容は紗夜の理解を超えて頭を抱え始めていた。

 

リサが出て来ていない状況で頭を抱えられてしまったが、その光景に燈は話を止めてしまった。

 

一度燈としても説明する内容を考える時間が欲しかったこともあって話が止まるのは彼女にとっても悪い事ではなく、少しだけ話す内容を整理していくと紗夜は何とか復帰することに成功した。

 

「すいません……。まだ今井さんが出てきてないですね……。続けてください」

 

「はい……。プラネタリウムを見終わってからカフェに行くことになったんですけど……友希那さんとトイレに行くから一度別れたんですけど……ここからがよく分かんなくて……」

 

「分からない?……いえ、まだ続きがあるのね?」

 

「……はい……友希那さんとカフェに行ったんですけど、先に行ってたおにーさんがいなくて2人でどうしたんだろう?って話してたらおにーさんが来てすぐに移動するって言い始めたらリサさんが来たんですけど……何か呟いたら急に怒りだして………」

 

 

 

 

「トイレに行く為に別れてた時に何か起こったという事でしょうか……。今井さんが何を言っていたか分かりますか?」

 

「えっと………確か……親切心…が何とかって……それで、怒る前には右肩を怪我してるって言って………」

 

「………状況は分かりました。でも、今井さんがここまで憔悴してる理由には繋がりませんね……」

 

リサが出てくるまでの話を聞いた紗夜はリサが怒りだした原因の一端が自身のせいだという事を察したものの、未だに彼女の中ではリサがこれほどまでに憔悴している理由に全く繋がらないことに疑問を感じた。

 

おそらくはここで話は終わらないと考えた紗夜は燈が話を切り出すのを待つために自身で淹れたコーヒーを口につけて話が続くのを待ち、何口か付けた時に燈が続きを語り始めた。

 

「それで私達がカフェから別の場所に移動しようとしたら……おにーさんが階段から落ちて……凄い血が出てて……」

 

「なっ……!?そんな事が!?もしや……それで……意識不明で最悪の事態が……」

 

「いえ…私と友希那さんがおにーさんに声をかけたら起きたんですけど……

でも、おにーさんが滑って転ぶなんておかしいって思って………それで上を見たら……階段の上でリサさんがその……腕を伸ばした状態で固まってて……」

 

「はっ………?」

 

 

そして、燈が続けた内容に紗夜は驚愕してしまったが、階段から落ちて大量出血する光景を見たならば普段なら明るいリサもここまで落ち込むのだろうと納得するも、燈は意図せずに紗夜に対して最大級の衝撃を叩き込んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「多分ですけど………リサさんがおにーさんの事を突き飛ばしたのかも……」

 

「あり得ません!!今井さんもここまで言われて何も言わないんですか…!!」

 

燈が嘘を言っているようには見えないが、彼女の知るリサがそんな凶行に走るなど微塵も考えられないし、流石に状況的にそう見えたとしても同じバンドメンバーに対してそんな事を言われて黙っていられず、流石の紗夜も反論してリサに確認を取るように彼女に視線を向けたのだが―――――――

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

「………今井さん!!あなたなんてことを…!!あなたもですが、湊さんやRoseliaがどうなるか考えなかったんですか―――!!」

 

「待ってください……まだ話が……」

 

「………続けてください。そのまま最後まで…」

 

リサは何も語らずに俯いたまま。

その姿を見た紗夜は燈が言っていることが真実だと理解させられてしまい、そのままリサに詰め寄ろうとしたが燈がまだ話が終わっていないと告げると紗夜は何とか冷静さを取り戻して最後まで話を聞こうと耳を傾けた。

 

「階段から落ちたおにーさんが起き上がって……リサさんの所まで行って”落ちそうな自分を助けようとした”って言って……後から来たお巡りさんと救急車の人達をそう言って返ってもらった後に友希那さんと2人で帰って………それでリサさんと……」

 

「……私が来るのを待っていた……という事ですね……」

 

「はい……」

 

「どうして……こんなことに……」

 

燈はここで紗夜が来るまでの事を全て伝えたが、それを聞いた紗夜は頭を抱えずにはいられない。

 

リサが何か恩を着る様な事をしてもらったのを命を奪うような最悪の仇で返した挙句に、リサの行動について被害者であるユウ自身にフォローしてもらって事実とは正反対の命を救おうとしたと言う美談に変えられていた。

 

それだけでも頭が痛いのだが、リサの行動の大元を辿って行けばその原因は自身がしてしまったせいで迂闊な発言。

いくらリサ達に乗せられてしまったとは言えども、大元が自身の迂闊な言動がRoselia終了と言う爆弾の導火線に火をつけていたと言う事実に紗夜までもが罪悪感を感じ始めたが、それと同時に1つの疑問に行きついた。

 

 

 

 

「ですが……何故あの方はそんな事を……?」

 

話を聞いた紗夜からしたらいくら友希那と知り合いと言えども、ユウがリサを庇った理由が分からない。

それにいくらお人好しだとしても命を狙った相手を庇うような発言をするなど正気の沙汰ではなく、理由を考えるも紗夜には答えが見いだせなかったのだが――――――

 

 

 

 

「多分ですけど……リサさん……じゃなくて……えっと、Roseliaが終わってほしくなかったんだと思います……」

 

「どういう事ですか?」

 

「えっと……おにーさんは……Roseliaが好きなので……」

 

燈はリサとユウの関係を知っているが、それを言えない燈は必至に考えて遠回りな言葉で答えると、それを聞いた紗夜は自身の中の感情を呑み込んで静かに燈に頭を挙げていた。

 

 

 

「高松さん。今日はご迷惑をお返して申し訳ありませんでした。

後日、今井さんと一緒に謝罪に伺わせていただきたいと、あの方に伝えてもらえますか?」

 

「えっ……分かりました」

 

「本当なら家まで送りたいのですが、今井さんと話さないといけないので玄関まで……」

 

「ぁ……ここで大丈夫です……」

 

「申し訳ありません」

 

「失礼します……」

 

頭を下げる紗夜に燈は驚きながらも彼女の言葉を聞き入れるとリビングを出て1人で玄関まで歩いていくと、リビングの方を一瞥して紗夜達が玄関を視界に捉えていないことを確認して燈はそのまま玄関の扉をゼロライナーに繫げて扉を潜り、ユウ達がいるであろう客室に入っていくと――――

 

 

 

 

「デネブさん。唐揚げとステーキおかわり…!!」

 

「分かった…!!」

 

「ユウ、食べすぎよ。太るわよ」

 

「食ってすぐに傷を塞ぐのにエネルギー使うから太らない。むしろ傷塞ぐには足りないくらい―――燈ちゃん、お疲れ様」

 

 

 

「………」

 

自身が先ほどまで置かれていたギスギスしていた重い空気とは打って変って、何とも軽い空気をしてる客室内に燈はジト目を向けてしまうのだった。

 

 

 




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