忘却の唄・消えかけのアルタイル   作:ツナ缶マン

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おはよーございます
ギスギスこってり多めの内容になってましたが、今回は薄目でお送りします
ここから先はギスギス薄めが無くなってしまうかもしれませんが……
そんな前置きはともかく、本編どうぞ…!!


157-たとえ記憶に居なくとも――――

 

「食ってすぐに傷を塞ぐのにエネルギー使うから太らない。むしろ傷塞ぐには足りないくらい―――燈ちゃん、お疲れ様」

 

 

「………」

 

「高松さん?どうしたのかしら……」

 

「さっきまでとの……その……落差が……」

 

燈は客室内の空気にジト目を向ける。

自分は紗夜達とのギスギスに巻き込まれていたのに、ユウ達が和気藹々としている光景に不公平を感じていた所を友希那に指摘されると、彼女は少し言葉を濁して先ほどまでの状況を伝えると、それを聞いたユウは一度食べる手を止めて燈に申し訳なさそうな表情を向けていた。

 

「ごめんね燈ちゃん。面倒事押し付けちゃって……。でも、俺とゆきちゃんがいたらもっと面倒になったからこうするしかなかったんだよ……」

 

「それは………」

 

「こう聞くのもあれだけど……大丈夫だった?問題あったりしなかった?」

 

「えっ……?特には何も……問題になるようなことは……」

 

ユウは燈の謝罪しながらも何があったかを彼女に尋ねる。

その問いに燈は何もなかった。と答えようとしたが――――――

 

「あっ……」

 

「何かあったのね?」

 

「えっと……その……はい……ごめんなさい……」

 

「いや…燈ちゃんは悪くないよ?俺が無理やりやらせたんだから俺が責任取らなきゃだからね」

 

「でも、どんなことを話したのかは教えて欲しいわね……」

 

燈は先ほど紗夜に話した内容を思い出して謝罪したが、元々はユウが面倒事を燈に押し付けたのが原因であって彼女に何も非がないと諭す横で友希那が紗夜に何を話したのか尋ねると燈は素直に答えたことを答えて始めていた。

 

「えっと……リサさんがその……おにーさんを階段から落としたって……」

 

「まぁ、状況的には間違いないね。流石に戦った直後で消耗してる状態でもなければ何もない階段で転ぶなんてありえないし」

 

「……言いたくはないけれど、リサが落としたとしか考えられないわ」

 

 

「ユウ………。実の姉からそんな事を……!!」

 

「デネブさん。相手が憶えていない以上は”姉弟だから”ってのは意味がないよ」

 

 

「後は……おにーさんがリサさんを庇った理由を聞かれて……」

 

「ユウ、私もそれが知りたかったのよ」

 

ここでデネブはユウがケガをした理由がリサからによるものだと知って彼を心配しはじめるが、リサからしたら自身の事を憶えていないから”姉”と言う関係に何の意味もないと割り切った言葉を返すと、デネブは言葉に詰まって何も言えなくなってしまって客室内の空気は重苦しくなる。

そんな中で燈は話を続けたが、そこで切り出した内容は友希那も聞きたかった内容でありユウに視線を向けていた。

 

友希那としてもリサ()ユウ()に対する暴挙は思い出しただけでも怒りが蘇ってくる。

それに加えて先ほど彼が姉弟であることは理由にならないと言ったことで、あの場面でユウ()が強引にでもリサ()を庇ったがその理由が分からくなってしまった。

 

 

「まぁ……”ゆきちゃんの音楽を終わらせたくない”ってのと姉だからって理由かな?」

 

「ユウ、さっきは姉弟だからと言うのは意味がないって……

 

「姉さんは憶えてないけど、俺は憶えてるから……」

 

「「……」」

 

そんな中でユウの答えは”友希那の為”に加えて、先ほど否定したが”姉弟だから”と言う理由を平然と答えるとその言葉を聞いた友希那と燈は思わず言葉を失ってしまった。

 

相手が憶えていなくても自分が憶えているから自分を犠牲にしてでも姉を守ったというその姿が、いつも戦っている時とは違って打って変ってその姿は弱弱しいとすら感じてしまっていた。

 

「ユウ……!!」

 

「デネブさん。感極まって俺の方に来るかもしれないけど、今の俺がデネブさんの力で腕とか引っ張られたら怪我が開きそうだからやめて」

 

「むぅ……!!それはいかん……!!よし!!だったら俺はおかわりを用意してくる!!」

 

 

 

「ユウ………」

 

「ん……?ゆきちゃん?どうしたの?」

 

そんな中でユウの言葉に感極まったデネブが彼に駆け寄ろうとしたが、今のユウではデネブのパワーに身体が耐えられないと言われると、一瞬落ち込んでから料理のおかわりを準備すると言い残して上機嫌で客室を後にしていくと彼と入れ替わるように今度は友希那がユウの方へと歩み寄り――――――

 

「頑張ったわね……」

 

「……?なんで頭撫でてるの?」

 

「頑張ったあなたを褒めてるのよ」

 

突如としてユウの頭を友希那が撫でながら彼の事を褒め始めていた。

普段の彼女を知っている人間からすれば考えられない様なその行動をユウは――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゆきちゃん?俺、階段から落ちて頭打ってるんだよ?頭揺らすのはダメだよ」

 

「えっ……」

 

「それと燈ちゃんもだけど、いくら気が動転してたと言えども、俺が落ちた直後に身体揺すってたのも本当はやったらダメだよ?あれも頭に衝撃が行くから。

でも、気が動転してたなりに頑張ったのは分かったから次に活かそうね?…って次はない方が良いか……」

 

「「………」」

 

全く空気を読まずに友希那にダメ出しを返したが、それだけでなく彼が階段から落ちた直後の行動に対して燈にすらダメ出しをして完全に空気をぶち壊していた。

 

流石の2人もユウがリサに突き飛ばされた直後は気が動転していたとフォローをしていたが、その分を加味してもダメ出ししてくるなど彼女達にとっては完全に予想の斜め上で完全に言葉を失ってしまい、ユウの頭を撫でていた友希那の手が止まってしまい、空気が悪くなってしまったが、ここでユウは完全に斜め上の行動に出ていた。

 

 

 

 

 

「もう……そんな顔したらダメでしょ」

 

「ちょ…ユウ、何を―――」

 

「顎の下撫でてる。猫カフェでやってたでしょ?」

 

「私は猫じゃ……!!んっ……」

 

 

 

「楽奈ちゃんみたい……」

 

「ん……?」

 

ユウは何を思ったのか頭を撫でられた友希那に対して左腕を伸ばすと彼女の顎の下を撫でるという仕返しを決行し始める。

流石の友希那もこれには驚いたのか声を挙げるが、ユウは猫カフェでやっていたと全く理由になっていない理由を口にしつつもその手を止めることはなく撫で続けていく。

友希那はそれが気に入ったのか気持ちよさそうにしながらその目を細めていくが、燈にはその姿がバンドメンバーと重なってしまった。

 

「えっと……バンドの子で……」

 

「あぁ……俺があったことない子ね……。タイミング悪いのかいつもいないんだよね。会ったことないけど避けられてる?」

 

「それは……」

 

「要さんは猫みたいな子だから、避けられてるんじゃないかしら?…ユウ、手を止めないでちょうだい」

 

「はいはい……」

 

 

「高松さん、あなたもやってもらったら?」

 

「俺は別にいいけど」

 

「………じゃあ……」

 

だが、そんな他愛ない話は友希那の空気の読まない要求を前に一瞬で霧散し、燈の目の前では大学生の先輩が年上の男に猫の様に扱われているという何とも言えない光景が広がっていた。

しかし、燈にはその事をツッコむ気力もなく呆然とその光景を眺めていたが、ここで友希那は更に斜め上の提案をし、ユウもそれを了承すると燈も友希那がされているのが気になったのか控えめな空気を出しつつもユウに近づいていくのが微笑ましいのかユウは笑みを浮かべた。

 

「ゆきちゃん退いて?」

 

「分かったわ」

 

 

 

 

「ぁ……何となく気持ちいいかも……」

 

友希那は自身が提案したからか若干名残惜しそうにユウの左手から離れていくとそこに燈が入れ替わるようにして収まるとユウに顎の下を撫でられていく。

それが存外気持ち良かったのか燈も目を細めて気持ちよさそうにし始めると友希那は満足そうに頷いていく。

 

「そうでしょう?」

 

「うん。ゆきちゃんが威張ることじゃないよね?」

 

「それじゃ、私はこっちで……」

 

「一応、右肩怪我してるんだけど?まぁ…傷はある程度塞がってるからいいけど……」

 

そして、燈がされているのを見て我慢できなくなったのか友希那はユウの右腕を持ち上げると自身の頭の上へと乗せ始めるが、その行動にユウは一応は怪我人であるとボヤキながらも彼はそのまま友希那の頭を撫で始める。

 

何とも言えない状況が繰り広げられていたが、燈はユウに伝え忘れていた事を思い出した。

 

 

 

「そういえば………紗夜さんが……リサさんと一緒に謝りに行きたいって……言ってました……」

 

「紗夜らしいわね……。多分紗夜の性格からすると…明日の放課後とかになりそうね……」

 

「完全に傷を塞ぐのはやめておいた方が良いかな?もっと食べれば完全に塞がるけど、それは普通の人間だとおかしいから、次にデネブさんが持ってきたのを最後にしておくか……」

 

紗夜からの伝言をこのタイミングで伝えた燈だったが、ユウは流石に大怪我を一日で完治させるのはおかしいと思われると考えると完全に傷を塞ぐことを止めると訳の分からない常識を発動させてしまっていた。

 

 

 

 

 

「お~い。ユウ、おかわりが出来たぞ~……って何をしてるんだ?」

 

「よく分かんない内に流れでこうなった。とりあえず今はそのおかわりで最後にするよ」

 

「分かった。おかわりはこっちに置いておくぞ。それじゃ俺はここにある空いた皿とキッチンの片づけをしてくるからな」

 

そんな状況でデネブがおかわりと共に客室に戻ってきたが、そこで繰り広げられている光景に首を傾げながらもあまり深く聞くことをせずに料理だけを置いて客室を後にするが、その光景はデネブが片付けを終えて客室に戻ってくるまで続いていくのだった。




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