忘却の唄・消えかけのアルタイル   作:ツナ缶マン

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おはよーございます
GWという事で頑張ってたら出来たという事で珍しく連日投稿です!!
流石にGW中に章は終わりませんでしたが………
まぁそんな前置きはともかく本編どうぞ……!!



158-After wandering around, I came to a strange conclusion...

ユウが階段から突き落とされた翌日。

彼と燈は友希那に連れられて彼女達Roseliaが所属する事務所の前までやって来ていた。

 

「紗夜さんが謝罪するって言って翌日に速攻で呼び出しか…」

 

「紗夜らしいわね。でも、ユウも高松さんもそこまで緊張しなくていいわよ」

 

「は……はい……」

 

「微塵も緊張とかしてないけど?仕事早いな~って思っただけで」

 

彼がやってきた目的は紗夜が先日言っていた謝罪の件。

彼女は燈と別れた後には動いていて、翌日には謝罪の場を設けると言う仕事の早さを見せつけた。

燈は事務所の大きさに自身は場違いではないのかと緊張してしまっていた一方で、謝罪を受けるユウはその早さに感心するという何とも緊張感の出るはずの場面でいつも通りにしていたのを見た燈も緊張が抜けたのかいつもの調子へと戻っていく。

 

「おにーさん……ぁ……あの…ケガ…大丈夫ですか……?」

 

「昨日で殆ど治ってるよ。まぁ……怪しまれないようにあえて完治させてないけど、激しく動くとかしなかったら問題ないよ」

 

「私は心配だから完治してくれた方が有難いのだけれど……?」

 

「謝罪するって言われたからね。すぐに完治したら余計に不審がられるから抑えてるんだよ」

 

「……とりあえず、中に入るわよ」

 

燈は目の前の状況から話を逸らそうとユウのケガについてに話を変えると、彼はあえて完治させていないと言いながらも何も問題が無いかのように腕を軽く回して見せる。

だが、友希那としてはさっさと治せるなら治して欲しいと不満を漏らすも、彼としては紗夜達に不審がられない程度に回復を抑えていたと意味不明な言葉を口走っていたが、それに誰もツッコむこともなく友希那を先頭にして事務所の中に入っていくと早々に友希那は事務所のスタッフに声をかけられていた。

 

 

 

 

「あっ!!友希那さん。お疲れ様です」

 

「晴海さん。お疲れ様です」

 

「友希那さん。後ろにいるそちらの方々は……?」

 

「2人とも私の知り合いです。紗夜から話があったと思うのだけれど……?」

 

友希那に声をかけてきたのはRoseliaのマネージャーを勤める晴海。

彼女は友希那に声をかけるとその後ろにいたユウ達の事について確認し、友希那の言葉を聞いて合点が言ったというような表情を浮かべていた。

 

「あっ!!リサさんが危険を顧みずに人を助けようとした人ですね?」

 

「あはは……お騒がせして申し訳ありません」

 

「確かに話題になって対応に追われてしまいましたが、リサさんの美談として良いイメージが広まってるので悪い事ではないですね……。友希那さん?どうかしましたか?」

 

「いえ、なんでもありません」

 

「そうですか?あっ、リサさん以外はスタジオの方に居ますよ。私もちょっと練習の確認がしたいので同行しますね」

 

「分かりました」

 

晴海の口から出たのはリサが助けようとしたというユウが警察達に説明した嘘の話。

 

話題になって対応に追われたものの、事務所としてはリサのイメージアップになったと悪く思われてないと口にしたことでユウは笑っていたのだが、真実を知る友希那はその話を聞いてムッとした表情を浮かべてしまったのを指摘されるも、すぐに取り繕って誤魔化すと不審にも思われず、そのまま晴海も一緒にいつも練習をしているスタジオへと向かっていくが――――――

 

「りんりん…あれ…」

 

「なにあれ…………」

 

「あこに燐子?スタジオに入らないで何をしてるのかしら?」

 

「あっ友希那さん~!!あれ?ともりもなんで?」

 

「あの……?友希那さん、後ろにいる方は…?」

 

「紗夜が前に話してた彼よ」

 

 

 

「「ひっ!?」」

 

「ん……?」

 

何故かスタジオの中に入らずに、扉の前であこと燐子の2人がオロオロとしていたが、近づいてくる友希那に気が付くとスタジオから離れてすぐに友希那の元へと駆け寄ってきた。

 

そこで燈と一緒にいた事を疑問に感じていたがそれ以上に気になったユウの事を尋ねるも、返ってきた答えを聞いた2人は紗夜から聞いた話から彼が危険人物だと思い込んで小さく悲鳴を挙げるも、ユウのことを全く知らない晴海は思わず首を傾げたが誰もそれを気にしない。

 

 

 

「ゆきちゃん。これはさっさと中にいる紗夜さんに会って帰った方が良さそうだ」

 

「……ユウ?」

 

「中に入ろっか?」

 

「分かったわ」

 

そんな対応をされた友希那もこの反応には不満を憶えたが、当の本人は全く気にしてる様子を見せておらず、早急に要件を済ませた方が良いと友希那に伝えると、彼女はその言葉を聞いてスタジオの扉を開けた。

しかし、そこにあったのは友希那達の想像を遥かに超える異常な光景だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「紗夜……?何をしているの……?」

 

「死装束………?」

 

「うわぁ…!!時代劇みたい…!!」

 

 

 

「うん。ちゃんと着方も合ってるね」

 

「おにーさん?何で知って……?」

 

「切腹の現場は見たことあるから」

 

「えっ……?」

 

スタジオの中に入った彼らが目撃したのは、白い死装束を見に纏った紗夜がスタジオの中心で正座している異常な光景。

Roseliaの面々がその異常な光景に呑まれていた後ろではユウと燈が空気の読めていない会話を繰り広げていると紗夜がおもむろにその口を開いていた。

 

「……中島さん」

 

「はい。中島です」

 

 

 

「先日は今井さんが大変な失礼を働いてしまい申し訳ございませんでした。今井さんは精神的なショックで倒れて寝たままなので私だけの謝罪になってしまった事。重ねてお詫び申し上げます」

 

「「「えっ………?」」」

 

「あの……土下座されても困るのはこっちなんですけど……?むしろ面倒事押し付けたこっちの方が謝罪する側だと思うんですが…」

 

紗夜はユウが入ってきて早々に土下座で謝罪の言葉を述べるが、彼からしたら紗夜に謝られる謂れなど皆無で、それどころかあんな面倒な状態のリサを押し付けたこちらの方が謝るべきだとすら考えていた彼にとっては完全に予想外の行動に呆気に取られていたが、紗夜はここでアクセルを踏み抜いた。

 

 

 

「湊さん。改めて確認させてください。今井さんが中島さんを階段から突き落としたと言うのは真実でしょうか?」

 

「「えっ……?」」

 

「なにそれ…!?」

 

 

 

「……ユウの背中を押すリサの腕が見えたから間違いないわ」

 

「「「えっ………?」」」

 

紗夜はこのタイミングで友希那にリサの凶行を改めて問いただす。

その言葉に事情を一切知らされていないあこと燐子の2人は驚くも、友希那が返した言葉を聞いて一瞬で驚きが困惑へと変わっていたのだが、その状態の2人を置いて紗夜は更に話を進めていた。

 

「高松さんから聞いたところによると、意識も失って生死の境を彷徨ったと……」

 

 

「「えっ………?」」

 

「生死の境…?そこまで言ってないです……」

 

「紗夜さんも大袈裟ですね?たかが大量出血してから衝撃で一瞬気絶したくらいですよ?」

 

 

 

 

「ちょっと待って!?紗夜さんも友希那さんもどういう事!?」

 

「私達……そんなの聞いてないです……」

 

「話ではリサさんが人を助けたってなってましたが、全く逆じゃないですか!?」

 

続けて飛び出したのはユウが生死の境を彷徨った。と言う言葉。

その言葉にまたしても事情を知らないあこ達が困惑するのを後目にユウが淡々とあの時の状態を語るが、その言葉は更にあこ達を困惑のどん底へと叩き落していた。

あのリサがそんな事をする訳がないと思うが、紗夜も今の話が嘘ならばこんな謝罪はしないはずだと、事情を知らないあこ達は完全にパニック寸前だったのだが―――――

 

 

 

「……紗夜。それでその服装はどういう事なのかしら?」

 

「私は考えました。今井さんのせいで生死の境を彷徨った中島さんに謝罪するにはどうすればいいかを……そして、1つの結論に至りました」

 

「結論……?」

 

そんな状況になってようやく友希那が空気を読まずに紗夜の服装についてツッコミを入れていたが、紗夜は更なるアクセルを踏み抜いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「切腹です」

 

「「「「「はい……?」」」」」

 

「そう言うのは若宮さんの役じゃ……」

 

「ゆきちゃん、ツッコミがなってないよ」

 

「目には目をという事で、こちらも謝罪として生死の境をさ迷えばいいと……短刀を用意出来ませんでしたが、果物ナイフなら用意が出来ました」

 

紗夜から出たとてつもなく斜め上の結論に一同は困惑し、紗夜の方も目はグルグルと回って完全にパニック寸前の状態に陥っていたが、それでも紗夜は自身なりのぶっ飛んだ結論の理由を語り出すと更に一同が混乱し始める。

完全に理解が及ばない紗夜の思考回路に考えた一同の思考もショート寸前に陥ってしまうが紗夜は果物ナイフを手に取って自身の方へその刃を向けると、そのまま覚悟を決めた表情でその刃を自身に向けて突き刺そうとしていたが――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なっ!?」

 

「ちょっと紗夜さん!!何やってんですか!?」

 

「ユウ!?刃を掴んで……!?」

 

「ちょっと失礼しますね」

 

「きゃ…!!」

 

ユウが即座に紗夜との距離と詰めるとその刃が刺さる直前で止まったことに紗夜は驚いていたが、それ以上に驚いたのはユウの状態。

彼は紗夜を止めるために彼女の腕ではなく、ナイフの刃を掴んで彼女を強引に止めていた。この光景に友希那は思わず声を挙げてしまったが、ユウはその状態から力任せに紗夜からナイフを奪い取った。

 

「おにーさん……!!血が……!!」

 

「燈ちゃん、ちょっと切れただけで指は繋がってるから大丈夫だよ」

 

「あぁああ!!警察!?救急車!?」

 

「晴海さんでしたっけ?大丈夫ですから。ゆきちゃん、タオル貸してもらえる?」

 

「えぇ……!!」

 

「紗夜さん。このナイフ安物ですね。こんなんじゃ切れる物も切れないですよ」

 

だが、刃を持った代償として彼の手から大量の血が噴き出していた。

それに慌てる一同だったが、ユウは落ち着いて友希那からタオルを借りるとそのまま手の血を軽く拭ってから奪ったナイフ一瞥してから余りにも場違いな事を口走り――――――

 

 

 

 

 

「よっと…!!」

 

「「「えっ……?」」」

 

「おにーさん……柄じゃなくて刃の部分で折って……」

 

「それもあんなナイフを板チョコみたいに……」

 

軽い口調と共にユウは紗夜達の目の前でまるでチョコを割るようにナイフの刃を半分に折って見せると流石の友希那や燈も驚きで固まってしまっていたが―――

 

「紗夜さん」

 

「はい……」

 

「色々と言いたいことがありますけど……お願いですから着替えてきてください」

 

「はい……」

 

そんな状況でユウは全く空気を読むことなく紗夜に声をかけながら目の前で再びナイフの刃を折りながら些細なお願いをしていた。

だが、この光景を見た一同はそれがお願いではなくただの脅迫にしか見えていなかったがその事を指摘出来る人間はこの場には誰も存在しないのだった。

 




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