忘却の唄・消えかけのアルタイル   作:ツナ缶マン

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おはよーございます。
今明かされる衝撃の真実……!!
という所ですが……楽奈ちゃんは平常運転ですね……
まぁ、ここから何かあるんだろ…ってことで投稿です


166-いのち/つみ

「あの化け物についてはこれから話してやる。昔話ついでにガキの頃にこの時間から消えた理由もね」

 

「何ですって……?」

 

友希那が幼かった頃のある日、彼女の記憶を除いた全てからユウが消えてしまった。

その理由を目の前にいる詩船が知っている。

その言葉に友希那は完全に意識を持っていかれて彼女に視線を向けたが、彼女は急に冷静になっていた。

 

「……信じられないわ」

 

「なんだい……?私がこんな状況で嘘を言うって?そんな事をして何の意味がある?」

 

「それは………」

 

ユウが消えたことについて知っていると言われたが、いきなりそんなことを言われても信じられる要素がない上に、目の前の詩船とユウとの繋がらない。

詩船が言うようにこの状況で友希那に対して嘘を言う理由は皆無であることは確かだが、そんな事を言われても彼女としては信じられる要素は一切なかったのだが――――

 

 

 

 

 

 

「ここでの話で私は嘘をつかない。音楽と一緒だ」

 

「っ…!!……分かりました」

 

詩船はプロとして活動した後、ライブハウスを立ち上げた程に音楽に真摯に向き合っている事は友希那もプロとして活動を始める前にそのライブハウスでライブをしたこともあって知っていた。

 

その詩船が音楽と一緒と言い切るほどの覚悟を見せられたのだ。

 

そうなれば今の友希那にはその言葉を信じるに値すると判断せざるを得なかった。

 

「まずは理由を話す前に誰がこの時間からアレを消したのか話そう」

 

「14年前にユウを連れて行った犯人……」

 

「そうだ。アレをこの時間から消した犯人は――――――」

 

友希那の返事を聞いた詩船はユウが消えた理由―――ではなく、消した犯人が誰なのかを伝えようとするも、詩船は犯人について語るのを勿体ぶるような素振りを見せたが、その目は真っすぐ友希那の方に向けて時間をおいてからようやくその口が動き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――私だよ」

 

「えっ……?」

 

だが、出てきたその言葉は余りにも衝撃的だった。

 

2人が知る詩船はそんな事をする様な人間だとは思えないし、それにユウが今まで歩んできた地獄のような経験も聞いたことのある彼女達は詩船がそんなことをしたとは思いたくはなかった。

 

「えっ……?なっ……?えっ……?」

 

「湊、聞こえなかったのかい?私が3歳くらいの人間だったあの化け物をこの時間から消したって言ったんだ」

 

特に幼いユウを知っている友希那は感情がグチャグチャになり始めていくが、そんな彼女を見た詩船は溜息を零してから真っすぐに友希那に視線を向けて先ほどよりもより露悪的な言葉を投げつけると同時に彼女の怒りが爆発した。

 

「よくもユウを……!!」

 

「友希那!!ダメだ!!」

 

友希那は怒りに身を任せてらしくもなく詩船に掴みかかろうとしたが、その腕は彼女に届く前にデネブによって抑えられるも、彼女は未だに暴れ続けていた。

 

 

 

「デネブ!!放しなさい!!」

 

「ダメだ!!相手は老人だ!!暴力はいけない!!」

 

「ユウが消えた時はたった3歳の子供だったのよ!!それがこの女のせいで人並みの人生を全て消されて!!今までの人生でどれだけ辛い思いをさせられたか分かっているでしょ!!」

 

「それは……きっと何か理由が………」

 

「どんな理由があろうともそんな子供を地獄に突き落としていい理由にはならないわ!!」

 

「……確かにそんな事をした私も、アレとは別の人間の皮を被った化け物だね」

 

「ふざけないで…!!そう言えば自分のやったことが許されるとでも…!!」

 

友希那をデネブが宥めるが、ただの3歳児でしかなかったはずのユウから家族や友人を奪っていい理由はどこにもないと彼女は感情のままに言葉を吐き出し続ける。

余りにも感情的な言葉ではあったが友希那の言葉を否定できる要素はどこにもなく、あろうことか詩船自身も自身の事を人でなしだと言って自虐し始めたが、その言葉は友希那にとっては詩船が自信を許すための免罪符にしているようにしか思えなかったのだが―――

 

 

 

 

 

 

「それにアレが生きてるせいでこの時間が消えるって言われてもそんなことが言えるかい?」

 

「「っ!?」」

 

ユウが生きていればこの時間が消える。

その言葉に友希那だけでなく一緒にいる燈までもが、その迫力を前に言葉を呑んでしまったのだが言葉の意味が分からずに困惑する友希那達に詩船が更に衝撃的な事実を伝えていた。

 

「お前達は自分が特異点だって言ったね?」

 

「……えぇ」

 

「確かに高松はただの特異点だけど……湊。アンタも分岐点だけど、ただの分岐点じゃなかったんだ」

 

「……どういう事かしら?」

 

友希那はただの特異点ではない。

その言葉を言われた彼女は全く状況が呑み込めないでいた。

だが、その言葉を聞いてハッキリと状況が分ったのが1人だけいた。

 

「まさか……っ!?友希那が分岐点の鍵…!?」

 

「あぁ。イマジンの言う通り。湊は特別な分岐点の鍵だった」

 

「鍵……?」

 

「そうだ。湊。お前が未来を決めた。その結果が今の時間だ」

 

「私が……未来を決めた……?」

 

分岐点の鍵―――

デネブだけはその言葉を理解して驚くも、新たに出てきたその言葉とそれが友希那だったが、未来を決めたなどと言われても彼女にその自覚は皆無で自分の行動の結果が未来を変えたと言われてもピンとこないのは何も間違いではない。

彼女が首を傾げるも詩船は淡々と分岐の事実を語り出していく。

 

「湊。アンタがあの5人でバンドを組んでFUTURE WORLD FES. のオーディションに出た………それが分岐点だ」

 

「Roseliaが……?オーディションに落ちたのは決まっていたとでも……?」

 

「ステージに立った事が分岐を決めたんだ。その後の結果は分岐とは一切関係ないよ」

 

 

 

「あれ…?おにーさんが関係ない……?」

 

友希那が今のメンバーを揃えてRoseliaを結成してFUTURE WORLD FES. のオーディションに出る。

それが分岐点だと言われた友希那は自身が原因でオーディションに落ちたと考えそうになったが、詩船があくまで出ることが分岐を決めたとすぐにそれを否定していた。

 

しかし、今の説明では燈が言うようにRoseliaを結成してオーディションに出るのが分岐ならば、ユウの存在の有無は一切関係がないはず。

だが、ユウはこの時間から消されたと言う事実があり、今の話ではユウが消えることに話が行きつかない事に気が付いたのだが詩船がここで友希那が特別だと言った残酷な理由を叩きつけた。

 

「簡単だよ。ただ湊が今の5人でバンドを組むだけじゃなくて、特異点でもないアレがこの時間に存在した痕跡が完全に消えていること………

それがこの時間に繋がる分岐だったってだけだ」

 

「「……っ!?」」

 

「もしも今井の性格が今のままなら、アレが弟だったら構ってばかりでバンドをやることはないだろう。

もしもアレに何もしていなかったら別の時間に繋がってたかもしれないが、そのまま時間が丸ごと消える可能性もそれなら知らないガキの1人を犠牲にするかしないかは……比べるまでもないね」

 

友希那がオーディションに出たのが分岐点だったが、それだけでなくユウの存在が完全に消えている状態で出ると言う余りにも残酷な条件に友希那達は息を呑んでしまって言葉が出てこなかったが、詩船は更に追い打ちをかけるかのように自分の

 

 

 

 

 

 

 

「まるでユウがこの世界に生まれた事が間違いだったとでも……」

 

「そうだ湊。アレが生まれてきたこと自体が許されることじゃなかったんだ。

最も、人間を辞めて化け物になってこの時間に帰ってきた事―――いや、今のアレも生きてること自体が許される物じゃないけどね……」

 

ユウが生まれた事が間違いだと言われてるように感じてしまった友希那は思わず言葉を漏らしたが、その言葉を聞いた詩船はハッキリと肯定した。

しかも、それだけでなくユウが地獄のような時間を過ごしてこの時間に戻ってきたことすらも間違いだと言ってのけた事で友希那の怒りは完全に爆発した。

 

 

 

 

 

「あなた……っ!!よくも……!!」

 

「友希那さん…っ!?」

「…っ!?」

 

「うおっ!?ダメだ友希那!!」

 

彼女はあろうことか抑えていたデネブを振り切って、怒りに任せたままに詩船の胸倉を掴みかかろうとしていた。

その行動には燈だけでなく、今まで我関せずと言った空気で状況を見ていた楽奈ですらも驚き、デネブは言葉で止めようとしていたのだが詩船はまるで抵抗する素振りも見せずに座ったまま、伸ばされた友希那の腕が詩船の胸倉へと手が伸びていくが――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゆきちゃん。ストップだよ」

 

「ユウ!?あなた…!?なんでここに…!?」

 

友希那が伸ばしたその腕は詩船に触れる前に割って入ったユウによって静止させられたのだった。

 




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