忘却の唄・消えかけのアルタイル   作:ツナ缶マン

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おはよーございます。
今日は本来書くつもりはありませんでしたが
今回のIF√はこのキャラで書かせてもらいました

めっちゃドロドロのチョロインやんけ……

でも、名前の通りだからいいね?
という事で投稿です


#2_没IFエンディング02_####の場合

 

「流石に休まないと辛いな……」

 

現代に戻ったユウは行く当てもなく、夜の街の片隅で傷ついた体で座り込む。

 

「あの~………。大丈夫ですか……?凄い怪我してますけど……」

そんな彼に対して1人の少女が声をかける。

ユウは聞き覚えのあるその声がした方に顔を向け―――

 

「高校生でこんな夜中に独りは危ないですよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アイドルとバンドで別々のグループに入っている芸能人なんて特にね?」

 

その人物へと視線を向けたのだった。

 

――来てしまったのが"三角初華(元・自認妹)”の場合――

 

「なんで……私のこと知って………」

 

「まぁ……テレビとかに出てるのは見たことあるから……」

 

「あっ……そっか……それで…その怪我は………?」

 

「俺は大丈夫だから、早く家に帰った方が良いよ?」

 

自身の事について言及された初華はユウを警戒し始めるが、ユウは当たり障りのない答えを聞いてその警戒心を完全に解いて、ユウのケガについて聞こうとするも理由はまるで分からない。

 

彼としても何時消えるかも分からない自分に何をしても無駄だと思って軽く流そうとしてこの場を離れようとしたのだが―――

 

「えっ……でも……そんなケガをそのままにするのは……」

 

「大丈夫だから…」

 

初華はケガをしているユウをそのまま無視することが出来ずに彼の返事を聞いても、オロオロとしながらもその場から離れる様子を見せない。

 

「えっ………でも…」

 

「大丈夫…」

 

「いや……」

 

「大丈夫」

 

「だけど……」

 

「それじゃ、俺はもう行くので……」

 

ユウが初華を突き放そうとするが、初華は何故かユウの言葉に口調が弱いが食い下がり続け

彼女らしからぬ意志の強さを見せていた。

 

流石のユウも色々と考えたが、芸能人である初華と自身が一緒に居ること事体が彼女の迷惑になる。

そう判断して彼は傷ついていた身体で立ち上がってこの場を離れようとしたのだが――――

 

 

「待って…!!」

 

「……腕離してもらえる?これ写真とか撮られたら経歴に傷がつくよ」

 

「でも……そのまま無視する訳にも………」

 

この場を離れようとするユウの腕を初華は咄嗟に掴んで引き留める。

彼の言う通り、こんなケガ人と一緒にいるのを写真に撮られれば経歴に傷がつく可能性がある。

ユウは少しの間だが彼女と一緒に居たこともあって、多少は彼女の事を気を使っていたのだが、彼女の良心が今の彼をこのまま放置することを拒んで引き下がる。

 

 

「正直言うけど、俺よりも初華ちゃんの方が問題ありそうだよ?」

 

「えっ?」

 

しかし、ユウは自身の事よりも初華に問題があると口にしたことで初華は戸惑ってしまった。

 

目の前の怪我人よりも問題があると言われもすれば彼女がその反応を返すのも無理はない。

彼女がそう考えていたが、そんな初華にユウはあっさりと答えを返していた。

 

 

 

 

 

「目の隈が酷い。疲れが出てるね。仕事と学校が忙しくて碌に休めてないんじゃない?」

 

「あっ……」

 

「それに気が付けないのは、精神的にもそこまで余裕がないんだね」

 

確かにユウが言うように今の初華は学生であり、そこにsumimiの”初華”とAve Mujica の”ドロリス”の活動もあり、その負担が大きい事など考えるまでもない。

 

芸能人と言うこともあるが、年頃の女子高生である初華は目の隈を指摘されて何も思わないなんてことはなく、指摘をされたことを気にしてしまい咄嗟に自身の目元を隠し始める。

 

だが、ユウのことを見捨てることも出来ずに腕を掴んだままだったのだが――――

 

 

 

 

 

「あれ……?目が霞んで……」

 

ユウから「疲れている」と言われたせいか、初華の中でダムが決壊したかのように疲労が一気に押し寄せてしまいふらつき始めてしまう。

それでも何とかこの場に倒れないように堪えようとしたのだが、彼女に蓄積していた疲労の前にはそれは完全に無意味な抵抗だった。

 

「あっ………」

 

彼女の身体から力が抜け、地面に吸い込まれていくかのように倒れていく。

何とか体を支えようとする初華だったが、その抵抗の意思も虚しく体は止まらずに視界に地面が迫ってくると、次に来るであろう痛みを想像して目を閉じた。

 

 

 

 

 

「あれ……?いたくない……?」

 

「全く…ケガ人に助けられてたら世話ないよ…」

 

だが、初華は倒れた痛みを全く感じないことを不思議に思って目を開けると、彼女の身体は先ほどまで捕まえていたユウによって抱きかかえられるような状態で支えられていた。

 

「えっ……?えぇ!?」

 

 

「ごめんね。でも、立てる?」

 

「大丈夫…です……あ……あれ……?」

 

いくら芸能人とは言えど、高校生汚初華が男に抱きかかえられるなんて状況は経験なんてある訳がなく、彼女はユウの腕の中で顔を真っ赤にして取り乱し始めるが、ユウの心配の言葉に彼女は慌てて彼から離れようとするも足に力が入らずにそのまま地面にへたり込んでしまう。

 

「力が入らない……それに怠くなってきた……なんで―――」

 

「落ち着いて…?」

 

「えっ……?」

 

 

「救急車は必要なさそうだけど…タクシー呼べる?」

 

「えっと……いつもは歩いて帰ってるから……今はお金が足りなくて………」

 

「俺は財布もスマホももってない。本当に一文無しだからお金貸せないね。コンビニでお金おろしたりは?」

 

「カードとかは…今持ってなくて……」

 

動けない初華は今の状況に軽くパニックになってしまうが、ユウは自身が怪我をしているのに彼女の事を心配して落ち着かせようと声をかける。

 

ケガ人に心配されるという状況に彼女は理解が追い付かなかったのだが、ユウの質問には淡々と答えられていることに初華は不思議に思っても状況はまるで変わらない。

 

 

 

 

「家の人―――いや、一緒に住んでる人に迎えに来てもらう……?」

 

家の人に迎えに来てもらう―――

 

普通に考えたらなんてことはない提案だったのだが、その言葉が精神的にも余裕が無かった初華にとってはその言葉が彼女の中にあった最後のラインを踏み越えてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや………祥ちゃんに迷惑かけたくない……!!」

 

初華が体調不良で迎えに来て欲しい。と伝えれば祥子ならばすぐにでも来てくれるが、祥子に迷惑をかけたくない初華はその言葉を聞いて完全に取り乱し始めてしまった。

 

しかし、このまま放置すればいろいろと問題になることが分かったユウは即座に彼女の口を手で塞いだが、初華は身の危険を感じた彼女は最後に残っていた力でユウを振りほどこうと藻掻いていた。

 

 

「んっ~~~~!!」

 

 

 

「落ち着いて、今の状態を他人に見られて一番困るのはその人だよ?」

 

「―――っ!!」

 

だが、ユウが言った言葉を聞いた初華はすぐに動きを止めた。

確かに彼が言うようにこの状況が他人に見られて拡散でもされれば初華だけではなく祥子にだって大きな迷惑がかかる。

 

 

 

 

それならば自分を押し殺してでも、この後に行われるであろう”考えたくもない事”を我慢する方が良い。

 

 

 

 

祥子に迷惑をかけたくない思いで声を殺したが、耐え切れなくなった初華はその場で声もなく泣き始めてしまったが――――――

 

「仕方ないから、背負って家まで送るよ」

 

「えっ?」

 

「動けるまでここで休んでも良いけど、帰るのが遅くなれば家の人が心配するよ?それに、更に状況が悪化して完全に動けなくなれば休んだ時以上に迷惑かけるよ?」

 

初華に待っていたのは彼女が思っていた”考えたくもない事”ではなく、善意だけの親切心だった。

 

ケガ人にそんな事をしてもらう事への申し訳なさも相まって困惑してしまったが、彼の言うようにこの施しを断れば祥子に心配や迷惑をかけてしまうことは理解したものの、初華は完全に戸惑っていた。

 

 

 

「でも……今までで…男の人に背負ってもらうとか…やってもらったことないから恥ずかしい……」

 

「……周りに顔を見られないように隠してればいいよ」

 

 

普通の子供ならば父親に背負われた経験位はあるが、彼女の生い立ち実の父親にそんなことをしてもらったことはなく、後に出来た義父にもそんな事をしてもらったことはない。

 

そんな彼女がユウに背負うと言われて思わず本音が零れてしまったが、彼女の事を知っていたユウはそんな一般論で返すのではなく恥ずかしさを誤魔化せるような対応を返してからそのまま初華を強引に背負っていた。

 

「行くよ。家はあっちかな?」

 

「はい……」

 

ユウは初華の家の場所は知ってはいたが、記憶の無い彼女に怪しまれないように家の場所の方向を尋ねてからそのまま初華の家へと歩き出していく。

 

時折、家の方向を確認するふりを続けながら歩いていたが、その背中に背負われた初華は規則的に揺れるその背中と溜まっていた疲れのせいか関係ないことを考えていた。

 

 

 

 

なんか安心する―――

父親の背中ってこんな感じなのかな?―――

 

人生で初めて男の人に背負われた。

その背中の安心感を初華は経験したことがなかったが、彼女は母親に背負われた経験や今まで触れてきたドラマなどの創作物で見た内容からそんな事を考え始めていた。

 

でも、父親と言うには若すぎる―――

 

なら、この背中は――――――

 

 

 

 

 

「おにーちゃんかな……」

 

「寝ちゃったか……」

 

初華はそんな事を呟きながらそのまま静かに寝息を立て始めてしまった。

その息が聞こえたユウはそのまま静かに歩き続けて、一切迷うことなく初華の家であるマンションまで辿り着くと、そのエントランスのインターホンですぐに初華の家の部屋番号をコールして、備え付けられていたカメラに視線を向けていた。

 

 

 

 

 

『……どちら様でしょうか?会ったことのない殿方がこんな夜分に訪ねて来るとはどのようなご用件でしょうか?』

 

インターホンから初華の同居人である祥子が夜分に訪ねてきた事が無礼だと指摘してきたが、これに関してはあまりにも真っ当過ぎる反論で何も言い返すことが出来ないがその言い方には刺がある。

 

しかし、彼女からすればインターホン越しのカメラで見ず知らずの男が夜分にいきなり訪ねて来るという状況であり、そんな対応は何も間違っていないとユウがそれを呑み込むと、態度に関して気にすることもなく本題へと入っていく。

 

「すいません。三角初華さんのお宅はこちらでしょうか?」

 

『………違いますわ。お引き取りを』

 

「……失礼。初音さんのお宅で間違いないでしょうか?」

 

『っ…!?』

 

形式的にユウは初華の家であることを確認すると、祥子は警戒してかすぐに彼の質問に嘘の答えを返す。

しかし、ここでユウはすぐに周囲に誰もいないことを確認してから、世間に知られていない秘密をぶちまけたことでインターホン越しで祥子が言葉を詰まらせる。

 

誰も知らない2人の秘密を知られているという事に困惑した祥子だったが、ユウはすぐに自身の向きを変えて背負っている初華の姿をカメラに晒した。

 

 

『なっ!?初華…!?あなた…!!何を…!!』

 

「道端で倒れかけたのでこちらまで送りに来ました。それと彼女は今、寝てるのでお静かにしてもらえると…」

 

『……失礼しました。私がそちらまで引き取りに―――』

 

「完全に意識がない彼女を1人で連れていけますか?」

 

『扉を開けますので、申し訳ありませんが部屋の前までお願いします』

 

初華の姿に狼狽えた祥子だったが、ユウの話をなんとか受け止めるとそのまま彼女はエントランスの扉を開けてユウを中へ入れる。

そうして彼は初華を背負ったまま、彼女達が暮らす部屋の前まで向かうとその扉の前では祥子が1人で待ち構えていた。

 

「初華…!!」

 

「静かに。寝てますから…」

 

「……失礼しま―――っ!?あなた、そのケガは…!?」

 

「大したことじゃないので……」

 

「おひとりで運べますか?」

 

「大丈夫ですわ……」

 

祥子は初華を背負っていたユウの姿を見てすぐに駆け寄ってきたが、ユウのケガを見て思わず固まってしまったのだが、当の本人であるユウはそれを軽く流して話を進めていくと、祥子はユウから初華を受け取ろうとしたが―――

 

 

 

「あなたの事を掴んで放しませんわね……」

 

「その前に1人で運べそうにありませんよね?体支えようとしてふらついてましたし…」

 

初華はユウにがっしりとしがみ付いて離れない。

それに加えて彼女を支えようとした祥子は初華の体重に耐えられずによろけてしまったのをユウに見られてしまった。

 

「すいません。部屋の中までお願いできますか……」

 

「そうですね。ソファーでもあれば、そこで一度起こして放してもらいましょうか」

 

「……随分と懐かれていますわね」

 

「なんででしょうね……」

 

祥子は早々に諦めてユウをそのまま部屋に上げてリビングに通し、彼は背負った初華をそのままソファーに座らせようとしたが、彼女は彼の背中にしがみ付いたまま離れる素振りを見せなかった。

そんな中で祥子は不意に疑問を彼にぶつけてしまった。

 

「疑問なのですが、どうしてあなたは上着の下に包帯だけでしょうか……?」

 

「悪者に剣を刺されて胸に穴を開けらえてから1週間近く寝込んでから、起きてすぐに悪者の親玉と殺し合ったから……かな?」

 

「意味が分かりませんわね………あなたは何者なんですの?」

 

「……探しても見つからない人。かな?」

 

ユウは自身の事について聞かれるとありのままを答えた。

しかし、祥子は完全に理解できずに不審者のような視線を向けて問いかけると、ユウは含みを持った答えを返す。

 

彼の存在は書類上では存在しない人間であり、これだけで完全に不審者なのだが祥子は目を輝かせていた。

 

 

「警察官の中には身分を偽って犯罪組織に潜入して調査する方がいるとドラマで見ました!!あなたもそう言う方なんですのね!!」

 

「……秘密にしてね?」

 

「分かりましたわ!!」

 

「後、初華ちゃんのスケジュールはもう少し余裕を持たせた方が良いよ。

見た目に見えてないけど肉体的にも精神的にもかなり追い詰められてるから、限界が来ていつ爆発してもおかしくないよ」

 

「完全にオフをするのは難しいですが、善処いたしますわ」

 

祥子はユウの話と初華に対しての善意の行動から都合のいい様に勘違いをし始めた。

ユウも面倒事を避けるためにそれに乗っかって話を有耶無耶にするために祥子にお願いをすると、彼女はその言葉を素直に受け入れてそれを了承し、続けてユウからの初華の休みを増やすようにする忠告までも受け入れる。

 

後はこれで初華がユウから離れれば解決する。

 

 

 

「んっ………」

 

「そろそろ起きそうだね」

 

「初華?」

 

「さきちゃん……?」

 

そんな事を言っていたらユウの背中にいた初華がモゾモゾと動き出し、祥子の声を聞いた初華はゆっくりと目を開く。

 

「ここは……?」

 

「家ですわ。この方があなたを運んでくれたんですの。それはそうと早く離れなさい」

 

「ん……」

 

寝ぼけていて状況が分らない初華だったが、聞こえてきた祥子の言葉に言われるがままにしがみ付いていたユウから手を放したことでこれで全てが終わりになる。

 

 

 

 

 

 

 

はずだった。

 

「待って!!」

 

「うわっ!?」

 

「初華!?」

 

あろうことか初華は離れようとしたユウに飛び掛かってきた。

先ほどまで疲労困憊だった初華のこれには流石のユウも反応出来ずそのまま床に押し倒され、祥子も初華の突然の行動に驚きを隠せなかったが、それ以上の驚きが彼と彼女を待っていた。

 

「んっ……!!」

 

 

 

「んんっ!?」

 

「なっ!?初華!?なんでキスをしてますの!?」

 

あろうことか初華からユウの唇を奪っていた。

突然の事にユウも祥子も完全に思考が停止してしまったが、初華はこれで止まらない。

 

 

「んっ!!あっ…!!」

 

「――――――!!」

 

「なっ!?なぁ!?舌まで絡めて…!?」

 

 

「―――――………っ!?」

 

「んっ…!!」

 

初華はタダのキスで止まらずに、ユウの口の中に強引に舌を捻じ込み彼の舌に自身のモノを絡ませ始めると、ユウは完全に思考回路がショートしてしまい、そのまま意識を手放してしまったのだが、それでも初華は止まることなくユウの口内を自身の舌で蹂躙し続けていく。

 

そうして少しの時が経ってから彼女は息をするために彼の口からようやく離れていた。

 

「んっ………ぷはっ…!!はぁ……もう1回……」

 

「初華!?あなた何をやってますの!?」

 

そうして息を整えてもう一度ユウに迫ろうとした初華だったが、咄嗟に祥子が彼女の身体を掴んで引き剥がして彼女の顔を見ると、ほんのりと顔を赤く染まった初華の顔があったのだが彼女の目にはもう光が失われていた。

 

「いつ爆発してもおかしくないと言ってましたが、もう限界でしたのね……」

 

祥子はユウが言っていた言葉を思い出して後悔をし始めていたが、そんな彼女を他所に初華はトロンとした表情を浮かべながらユウへと視線を向けて――――――

 

「これからはずっと一緒だよ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おにーちゃん……

 

彼を味わったことを思い出しながら、この後の事を想像して舌なめずりをするのだった。




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あと1人は確定でこれクラスのヤベーヤツが残ってるのか……
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