忘却の唄・消えかけのアルタイル   作:ツナ缶マン

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おはよーございます(でん)
さてと、最後のIFエンディングです。
今回はある意味で一番期待されていた方が多かった彼女です。(でん)

うん。
どう転んでもカオスにしかならなそうですが……どうしてこうなってしまったんでしょうかねぇ…
という事で細かいことは置いておいて最後のIFエンディング……どうぞ!!


#4_没IFエンディング04_????の場合

「はぁ………」

 

現代に戻ってきて夜の街を歩いていたユウ。

しかし、彼は深いため息を零しながらも彼は横へと視線を向けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんでゼロライナーの操縦席で寝てたの燈ちゃん……」

 

「ぁぅ………」

 

現代に戻るためゼロライナーを呼び出したまでは良かったのだが、彼の予想外だったのはその操縦席の片隅で燈が蹲るようにしながら眠っていたこと。

 

そして、燈が起きないうちに現代に戻ろうとした最中に彼女が目を覚ましてしまい、そのまま彼が逃げないようにその腕にしがみ付き始めて今の状況に陥っていた。

 

 

 

 

 

「最後のカードを使って消えるはずだったから、みんなに見られないようにしようとしたのに……台無しだよ」

 

「………」

 

「……分かった。今の無し……」

 

本来ならばひっそりと消える予定だったのだが、燈と言うイレギュラーが彼の考えを完全に粉砕されてしまった。

 

小言を燈に漏らしてみれば、彼女から返って来るのは迫力こそないが力の籠った無言の視線。

彼からすればその視線に怖さこそ感じない。

だが、無下にすることも出来ないと早々に諦めて空いている手を上げて降参の姿勢を見せると、彼女の視線は全く弱くなる気配がない。

 

「………私怒ってます。おにーさん。なんで……あんなことを……黙ってて……」

 

「まぁ、最初はカードが残る計算だったから」

 

「何時から……足りなくなって……」

 

「RiNGで戦った時、あの時にカードを撃ち抜かれたから」

 

燈はらしくもなく怒っていた。

最後のカードを使えば消える事を最後の最後で知らされもすればそれを黙っていたことに対して怒っていた。

だが、それと自分にはどうしようもないという事は分かっているせいで燈は怒ってはいるものの心の底から怒れていないような何とも煮え切らない感じになっていた。

 

しかし、彼は異変を感じていた。

 

 

「……でも、変なんだよな。最後のカード使ったのに消える気配がない。

前例からすれば俺はもう消えてないとおかしいんだけど…」

 

「………消えないことはいい事なんじゃ……?」

 

「そうだけど……こうなんでか気になるでしょ?俺にはさっぱり分からないんだけど、燈ちゃんはどうしてだと思う?」

 

「ぇ……その……おにーさんが分からないのに……」

 

「ちゃんとした理由じゃなくても、テキトーな予想でいいよ」

 

「う~ん………ぁ……もしかして……カードをベルトに通してないから……とか?」

 

 

「とりあえずはそう言うことにしておこうか」

 

前例から考えればユウは消えていなければおかしい筈なのだが、彼は未だに消える気配がない。

その事を不思議に思っていることを燈に伝えつつその理由について燈に聞いてみる。

彼女はそれらしいことをなんとか頭から捻りだして考えを伝えると、ユウはとりあえずはそう考えるようにした。

 

 

 

 

「おにーさん……あの……お腹すきませんか…?」

 

「あはは……1週間寝てて全く食べてないからお腹空いてるけど、財布は持ってないから我慢するしかないんだよね」

 

「だったら……今日は私がごちそうして……」

 

「後でお金は返すよ。どこか安い場所を探して、そこでゆきちゃんとデネブさんにする言い訳考えないと……」

 

そうして燈はユウに食事を提案すると、彼女はユウの腕を引いて夜の街へ再び歩き出そうとしたのだが―――――――

 

 

 

 

 

 

 

「燈ちゃん!!待って!!」

 

「っ!?そよちゃん……!?」

 

 

「燈!!」

 

「ともり~ん。私達もいるよ~」

 

「立希ちゃんにあのちゃんまで……っ!?」

 

―――”長崎そよ(自認娘のヤベーヤツ)とその一行”にエンカウントしてしまった場合――

 

ユウと燈が一緒にいたところを愛音達に発見された。

そして彼らは――――

 

「「………」」

 

「ぅ………」

 

 

 

「何これ……?いきなりRiNGのカフェに連行されたり、今睨まれてることとか色々と謎なんだけど…?」

 

「えっと、説明ありがとうございます」

 

「愛音ちゃん?俺は説明したつもりないし、むしろ説明求めてる側なんだけど?」

 

RiNGのカフェテリアに連行されていた。

だが、連行されてから今までの間、燈はユウの腕を放していない事が不満なのか立希とそよの2人はユウのことを睨みつけられている。

まるで意味が分からないが、愛音が茶化すような言葉にユウは言葉を返すも彼女はそれを気にせずに彼の腕に視線を向けていた。

 

「も~!!そよりんもりっきーも睨んだら可哀そうだよ。それにしてもともりんがずっと腕掴んでるなんてめずらし~」

 

 

 

「そうだ!!燈!!早く離れて……!!」

 

「立希ちゃん……?でも……」

 

「まさか……何か弱みを握られて――!!」

 

「立希ちゃん。そういうのじゃなくて……」

 

「椎名さん。落ち着いた方が良いと思いますよ?」

 

 

 

「――――――きっと、燈に対してイヤラシイ事を……汚らわしい…!!」

 

「立希ちゃん。自分の欲望が口から漏れてるよ。燈ちゃんに見られてるよ?」

 

「……はっ!?」

 

自身の欲望が漏れ出していた立希だったが、横で指をいじっていたそよに指摘されて我に返ると再び無言で彼を睨み始める。

これで少しは落ち着いて話が出来るかと思っていたのだが ―――

 

 

 

 

 

「でも、燈ちゃんがずっと離れない理由は気になるかな?」

 

「そよちゃん……?」

 

今度はそよの方から仕掛けてきた。

彼女からしても燈がユウにベタベタしているのを見て気分が悪く、今すぐにでも強引に2人を引き剥がしたいところだが、それを表に出すことなく笑みを浮かべて取り繕いながら淡々と攻めていく。

 

「普通に考えればこんな状況でも男女でくっ付いていられる関係って限られると思うんですよ。

家族とか恋人とか」

 

「そよちゃん……えっと……おにーさんとはそういうのじゃ……」

 

強引に迫ってきた立希とは違い、淡々と話してくるそよに燈は何とか答えを返していた。

確かに2人は燈が言うようにそう言った関係ではなく、伝えていることに何一つ偽りはなかった。

そよは2人の関係を洗いざらいにしてやろうと画策していたのだが―――

 

 

「お兄さん…?ともりん、1人っ子だよね?どういう関係?」

 

「愛音ちゃん……」

 

燈は1人っ子で兄弟はいない。

 

冷静さを欠いていたそよの頭からはその事実が完全に抜け落ちていたが、ここで愛音から思わぬ援護が飛び出した。

 

彼女の性格を考えれば、燈よりも間違いなく年上である彼を燈が呼ぶのならば、間違いなく名字にさんをつけて呼ぶであろう事はそよでも想像に難くないのだが、燈はそうしておらずおにーさんと呼んでいる。

 

 

そよから見れば完全に燈が彼に対して何かを感じているという事の裏返しで、自分達や学生スタッフ(香澄と沙綾)の事を名前で呼んでいるのは燈からすれば好意的だから。

 

なら、逆に名前を呼ばない彼の事は好意的に見ていない。

それにも関わらず、彼の腕を掴んで離さないという事は――――――

 

 

 

 

「やっぱり!!立希ちゃんが言ったみたいに人には言えないようなことしてるの!!不潔!!」

 

「そよもそう思うよな!!」

 

「立希ちゃん!!アイツ、やっぱり燈ちゃんにイヤラシイ事してる変態だよ!!燈ちゃんを助けないと!!」

 

「だったら力づくで―――!!」

 

―――この男は立希が言ったように燈の弱みを握って人には言えないような事をしている鬼畜外道だという結論に至った。

 

そうして立希もこのタイミングで復活してそよに同調すると彼を燈から引き剥がそうと強硬手段の構えを取ろうとした。

 

 

 

「ちょっと~。りっきーもそよりんも話が飛び過ぎだよ~。ともりんの話をちゃんと聞かないとさ~」

 

「元はと言えば愛音ちゃんが呼び出したのが原因でしょ!!」

 

「愛音が呼んでなきゃ来てないから、愛音のせいだな」

 

そんな2人に対して愛音が待ったをかけていた。

話が飛び過ぎていて異次元過ぎるやり取りをしている2人に愛音が付いて行けないこともあるが、空気の読める愛音は燈の意見を完全に聞いていないことを指摘すると、今度は愛音が詰められ始めてしまっていた。

 

「だって、ともりんが男の人の腕と掴んで一緒に居るんだよ!?2人がそれを後から知ったら絶対に呼ばなかったことに怒るじゃん!!」

 

「当然でしょ!!燈ちゃんが心配でしょ!!」

 

「正直言うと、こんなの見る原因になった今の愛音にもキレてるけど」

 

「りっきー。自分で言うのもアレだけど理不尽すぎない?私、どうあがいてもりっきーにキレられるじゃん!!」

 

「そんなこと私が知るか…!!」

 

 

 

 

 

「もうりっきーストップ!!」

 

「愛音!!退け!!」

 

「もう何やってるのよ……」

 

半分以上理不尽に詰められた愛音だったが、このタイミングで立希が暴走してユウに掴みかかろうとし始めると、愛音がすかさず間に入ると意図せずに愛音と立希の2人で両手の掴み合いと言う状況になってしまっていた。

 

立希は強引にでも引き剥がしてユウと燈を引き剥がしたいが、愛音としてもこのまま立希を行かせると面白いネタが無くなってしまうのを避けたい。

 

そうして掴みあう2人に注意が向くそよ。

 

これはユウ達にとっては都合が良かった。

 

 

「燈ちゃん、今のうちに逃げよっか?」

 

「そう……ですね」

 

この状況の最中で2人は逃走することを選んだ。

 

逃げても状況としては全く変わらないどころか悪化するのは明白なのだが、彼らも空腹で店に入ろうとしていた状態で余りにも面倒なこの状況にはいたくないと判断してこの場から逃げようと静かに席を立ってこの場を離れていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ!!燈ちゃん!!どこ行くの!!」

 

「「なっ!?」」

 

 

 

「み……見つかった……」

 

「抱えるから一気に逃げよう」

 

 

 

「待って!!」

 

しかし、逃げようとした2人は取っ組み合いに参加していなかったそよに見つかってしまった。

だが、逃げている途中だったこともあって2人とそよの距離は少しだけだが開いていて、この状況で燈を抱えて逃げようとユウは燈を抱えて走ろうとすると、そよも2人を追いかけようと席から立ち上がって2人の元へと駆け出したのだが―――

 

 

 

 

 

「きゃ……っ!!」

 

座っていた状態からいきなり立ち上がって駆け出そうとしたそよ。

しかし、体は彼女の気持ちに着いて行けずに数歩走ったところであろうことか自身の足に足を引っかけてしまい、小さく悲鳴を漏らしながらそよはそのままバランスを崩してそのままずっこけてしまった。

 

 

「うっ………」

 

 

「おい、そよの奴ぶっ倒れたぞ」

 

「うわぁ……そよりん、顔……いや、おでこかな?でも、モロに行ったね……。アレは痛い奴だ……」

 

「どうすんだよこれ……。愛音どうにかしろよ」

 

「りっきー、私に言われても困るよ。そよりんの自滅だし、むしろここでバイトしてるりっきーがどうかしたほうが良いと思うけど?」

 

そして、そよは呻き声を上げてそのまま意識を手放してしまい、その情けない光景を見た愛音達は掴み合いを止めて、そよの擦り付け合いと言う見にくい争いへと変わっていた。

 

「……とりあえずバケツに水張ってぶっかければ起きるか?」

 

「それ……下手したら死んじゃわない?」

 

 

 

「おにーさん…………あの……」

 

「はいはい。ちょっと様子見ろってことね?」

 

「ちょっと何をして…!!」

 

「立希ちゃん。待って……!!」

 

目の前で物騒な事を言い始める立希と愛音。

そんな中で燈の言いたいことを察すると、彼女を下ろしてゆっくりと倒れていたそよの元へと向かっていくと、そのままそよに触れることなく彼女の事を確認し始めていく。

その光景が気に食わなかった立希はユウをそよから引き剥がそうとしたものの、燈の言葉を聞いてイヤイヤながらも言う通りに動きを止めていた。

 

 

 

 

「うつ伏せだから分かりにくいけど、呼吸は正常にしてる……。意識消失してから大体30秒くらいか…?

愛音ちゃん、今すぐに救急車呼んで」

 

「えっ!?」

 

「アンタ、テキトーなこと言って…!!」

 

「椎名さん。脳のダメージ入ってるかもしれない状態で無理に動かすと、麻痺とか起こる可能性が跳ね上がるけど?」

 

 

 

「りっきー、とりあえずマジっぽいから言う事聞こ?」

 

「ちっ…!!」

 

 

 

 

「おにーさん、前は救急車を呼ばなかったですよね?」

 

「呼ぶつもりではあったけど……色々あったでしょ?」

 

「そう……ですね……」

 

そよの状態を見て救急車を呼ぶように伝えたユウの言葉を、素人判断だと立希が反抗しようとしたが、立希に視線すら送らずにそよを見る視線と真面目な言葉に舌打ちを零してその光景を見守っていた。

 

燈は以前の時と対応が違う事を指摘すると返ってきた答えに納得したのと同時に察してしまった。

 

 

 

 

 

 

「あっ……これって前と同じじゃ………?」

 

この状況は以前の時と全く一緒であることに―――――――

 

「んっ………?いたた……何が…?」

 

 

 

 

「そよりん!!大丈夫!?」

 

「そよ…!!」

 

「愛音ちゃん、脳にダメージが入ってる可能性があるのに起きて早々に大声出さない。椎名さんもすぐに起こそうとしない」

 

そよはぶつけてしまった額を抑えはじめた姿に2人はすぐに大声を出してしまい、それをユウに咎められる。

 

「そよちゃん。転んじゃって頭ぶつけちゃったんだよ?」

 

「燈ちゃん……そうなの?」

 

「えっと……落ち着いて…気持ち悪いとか、首が痛いとかある…?」

 

「大丈夫だよ……」

 

燈は静かにそよに話しかけると、落ち着いてそよはその言葉に答えを返す。

傍から見れば特に問題なさそうで安心しそうではあるが、ユウはそうではなかった。

 

「愛音ちゃん、救急車は?」

 

「あっ!?まだ連絡してない…!!」

 

「だったら呼ばないでいいけど、そよちゃんは病院には連れてく……救急外来どこか知らないから調べないとかぁ……」

 

 

「誰……?」

 

ユウは未だにそよの状態を観察しており、とりあえずは病院に連れていくことは確定させていたのだが、今のユウは燈の姿で視界が遮られてしまい、そよから完全に見えない位置にいた。

そよは自分が病院に連れていかれると聞いて、流石に誰がそんなことを言っているのか気になったのかゆっくりと起き上がって、燈の姿に隠れていたユウを視界に捉えて――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「パパっ!!」

 

「「はぁ!?」」

 

「えっ……?」

 

「あっ………」

 

ユウの姿を見たことで消されたはずの最悪の記憶が復活してしまった。

 

そよがユウのことを”パパ”と呼んだ事でこの場は完全に凍り付いたが、そんな中で元凶のそよだけは元気に起き上がってそのままユウの懐へと飛び込んでいた。

 

「パパ…!!」

 

「んっ……?んんっ!?」

 

「燈ちゃん、何時までパパにくっ付いてるの?」

 

「ぇ……ぁ……」

 

そよに再び父親と誤認されたユウは完全に理解が追い付かずに混乱し、燈はユウの近くにいたことを圧の籠った視線を向けらて固まってしまう。

 

 

「おい、そよの奴がぶっ壊れたぞ?」

 

「脳のダメージ入っるってマジだったんだ……。どうする…?」

 

「頭打った相手を強引に動かすのは不味いって言ってただろ?」

 

「そよりん、あんなに動いてるのに?……とりあえず、元に戻った時にネタにする動画撮っておこ!!」

 

 

 

「愛音ちゃん!!パパをカッコよく撮ってね!!」

 

そんな状況を前にして、先ほどまで暴走していた立希がいきなり冷静になって壊れたそよをどうしようかと愛音と静かに話合うも、当然だがどうすれば良いかなど結論が出る訳もなく、

愛音は諦めて後からそよをネタにするためにカメラを回し始めてしまった。

 

記憶が飛んで暴走するそよ。

彼女に抱きつかれて完全に思考が停止してしまったユウと、その横でオロオロとし始める燈をノリノリで撮影する愛音。

 

そんなカオスな状況で一番大暴れしていた立希が一番冷静になるという何を言ってるか分からない状態に立希も困惑してしまったが、思わず思っていたことを素直に口から零してしまった。

 

 

 

 

「でも、そよとあの人が親子って全然似てないだろ……」

 

「立希ちゃん。喧嘩売ってるの?」

 

「いや、明らかに父親って年齢じゃないだろ。どう見てもパパ活とかそう言うプレイをしてるようにしか見えない」

 

「まぁ、確かに。見た目が大人っぽいそよりんとその人が親子は無理あるよね~」

 

「立希ちゃんも愛音ちゃんも……?やっぱり喧嘩売ってるよね?」

 

立希から見てもユウの外見年齢は20代程度。

燈もおにーさんと言っていることからも、そこまで大きく見立ては間違っていないはず。

 

そんな彼が15歳のそよに父親扱いされる年齢であるはずもなく、そよの言葉には明らかに無理がある。

だが、当の本人はその事を否定されたことで不満を立希にぶつけるも、この状況で思ったことをスラスラと零していき、愛音もそれを肯定して今度は三人で取っ組み合いになりそうな空気になってしまったが―――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そよりんとその人。親子じゃなくて子あり夫婦っぽいよね」

 

ここで愛音の口からこの状況を一変させる神の一言が飛び出した。

 

「えっ…?愛音ちゃん?」

 

「だってほら!!見た目年齢近そうだし!!それに子供の前だと奥さんが旦那さんの事をパパって呼んだりするでしょ?」

 

「確かに……その方がしっくりくるかも……」

 

 

 

「あ~……そよちゃん?一度状態確認したいから少しだけ離れてくれるかな…?」

 

愛音の一言に驚いたそよだったが、彼女の言葉には立希すらも納得してしまった。

たったこれだけの事で3人の間に流れていた一触即発の空気を完全に霧散して良い感じの空気になり始め、後はそよがユウから離れれば一旦は落ち着く。

 

 

はずだった――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐぇっ!?」

 

「おにーさん!?」

 

「ちょっとそよりんなんで突き飛ばしたの!?」

 

「そよ!?なんで馬乗りになってる訳!?」

 

ユウが離れる様に言うと、あろうことかそよはその答えとばかりに彼女はユウを思いっきり突き飛ばすと、彼もこれは想定していなかったのか思いっきり床に倒れてしまい、そよはそのままユウに馬乗りになって彼を見下ろし始める。

 

まさかの行動に一同が唖然としていたのだが、そよの暴走はこれだけで止まらなかった。

 

「立希ちゃん言ったよね?パパと夫婦みたいだって」

 

「えっ?あ~………確かに親子よりはそう見えるって言ったけど…」

 

「そよりん?それとどういう関係が…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パパ(父親)パパ(旦那)にするのよ!!」

 

「ちょ!?そよりん!?ストップ!!スカートの中に手を伸ばしてパンツ脱ごうとしないで!!」

 

あろうことかそよはユウを押し倒しただけでなくそのまま事に及ぼうと、馬乗りになった状態で自身の下半身の衣類を脱ごうと手を伸ばしだす。

この言葉にこの場の空気が固まってしまったが、それ以上に感じた危機感が立希達を即座に再起動させていた

 

「ヤバい。愛音!!止めるぞ!!」

 

「うん!!流石にバンドメンバーが強姦罪で逮捕なんてシャレにならないからね!!ともりんも手伝って!!」

 

「えっ!?」

 

ユウは命をかけた戦いが終わったはずだった。

しかし、彼女達とのこの一件のせいで、今度は”自身の貞操(溶原性細胞流出)の危機”と言う、別の意味で命がけの戦いが幕を開けてしまったのだった。




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