忘却の唄・消えかけのアルタイル   作:ツナ缶マン

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おはよーございます!!
いやー!!今回は今までのシリアスが嘘のような混沌空間になってますねぇ!!
いとおかし…という事で投稿です


38話-こうして彼女は燃料を投下する―――

「やっぱり!!君がおねーちゃんを怖がらせてたDV彼氏だったんだね!!しかも、おねーちゃん捨ててその目の前で花音ちゃんと浮気してるなんて…!!」

 

日菜から放たれたその言葉にユウが、紗夜が、花音が全く話を理解できずに固まっていた。

だが、そんな状況でも日菜は全く止まらない。

 

「だって、おねーちゃん!!自分のスマホでその彼氏の写真を見てたんだよ!!」

 

「なっ!?なぁ~!?」

 

日菜の突然のカミングアウトだったが、不幸なことに日菜の言葉に何一つ間違っておらず、紗夜は自宅にいた時に自身のスマホでユウが写りこんでいた写真を眺めていた。

それを暴露された紗夜は声にならない声を上げてしまったが、それだけではまだ分からいことが残されていた。

 

「でも、写真を見ただけでどうして彼氏ってことになっちゃったの…?」

 

「花音ちゃん!!だって!、おねーちゃんが泣きそうな顔で写真を見ながら「怖くない」って震えながら呟いてたの見てたんだから!!絶対にそのDV男がおねーちゃんと付き合ってて、おねーちゃんはDVされたけど惚れてるから「怖くない」って自分に言い聞かせてたんだよ!!」

 

 

 

「ふえぇ~…」

 

「色々とツッコミ所しかないんだけど…」

 

日菜の言葉を聞いてユウと花音は状況を理解してしまった。

 

実際に紗夜はユウの写真を見ていたのは間違いないが、違うのは紗夜がそれを見ていた理由。

 

日菜としては”紗夜がユウと付き合っていて、そこで暴力を振るわれたものの惚れた弱みでそれを受け入れようとしている”と考えているようだが、それは事実無根の妄想でしかない。

 

おそらくは”ユウに感じている恐怖心を克服しようと、自分に言い聞かせながら写真から慣らそうとしていた”と言うのが紗夜が写真を見ていた本当の理由だと2人は思い至った。

 

「おねーちゃん!!こんなDV野郎なんて別れたほうがいいよ!!」

 

「なっ!?日菜…!?なぁああああ!?」

 

 

「まず紗夜さんと付き合ってないし、そもそも紗夜さんに暴力どころか触れたことすらないけど?」

 

「嘘だ!!こんなにおねーちゃん可愛いのに手を出してないとかあり得ない!!なんでおねーちゃんに手を出さないの!?」

 

「うっわ……どう言っても文句言われるとか、マジでめんどくせぇ…」

 

日菜に見当違いの事を言われて人間の声とは思えないような声を上げて困惑する紗夜を後目に、ユウは日菜の勘違いを指摘したも日菜は”紗夜に触れたことすらない”と言うユウの発言に文句をつけると、その言葉にユウは本音がポロっと零れてしまったが、そんな言葉は日菜の耳に入らずに不満をぶちまけ続けていた。

 

そんな中で――――

 

 

 

 

 

「私にはお姫様って言ってたよね…?」

 

「ちょっと松原さん!?ややこしくしないでくださいよ!!」

 

「あっ…」

 

突然、味方と思っていた花音からの思わぬ攻撃が飛んできたことにユウは花音に声を上げたが、それに花音が気が付いた時には既に手遅れだった。

 

「やっぱりおねーちゃんより花音ちゃんの方が良いんだ!!おねーちゃんを捨てて花音ちゃんに行くんだっ!!」

 

「ふえぇ~…」

 

「いや、さっきも言ったけど、紗夜さんとも松原さんともそんな関係じゃないんだけど…」

 

「なんでおねーちゃんより花音ちゃんなの!!」

 

 

 

「ヤバい…話が通じなさすぎる…。このまま帰って良いですかね?」

 

「ふえぇ~…置いてかないで~!!」

 

「なら一緒に逃げましょうか…?」

 

「ふえぇ~~~!!」

 

日菜は花音の言葉を聞くと、姉である紗夜が花音に負けたという事を認められず、ユウにブチ切れていた。

その言葉を聞いて花音が鳴く横で、ユウは勝手な妄想で怒られている現状に頭を抑え始めて逃げ出そうとするも、花音はこんな状態の氷川姉妹を相手に出来る訳もなくユウに縋りつく花音を見て一緒に逃げようと考えていたが――――

 

 

「そうか…!!分かった…!!」

 

「ふえぇ…日菜ちゃん…何が分かったの…?」

 

唐突に日菜は花音を見て声を上げると、その言葉に花音が思わず聞き返すと、部外者である通行人達の視線も集める中で日菜はそんな事はお構いなし素っ頓狂な持論をぶちまけ始めた。

 

 

 

「確かに花音ちゃんもアイドルやれるくらい可愛いけどさ!!だけど、あたしはアイドルなんだよ!!それだったら双子のおねーちゃんだって同じくらい可愛いでしょ!!」

 

「う~ん…花音さんが可愛いのは否定できないし、紗夜さんが魅力的なのは間違いないな」

 

「ふえぇ~!?」

 

「なぁぁぁああ!?」

 

「でしょ!!」

 

「でも、紗夜さん達をお前と同列にするな。お前が一番格下だよ」

 

ユウは日菜の意見に同意を示すとその言葉を聞いた花音と紗夜の2人が恥ずかしさから絶叫し、日菜は姉が褒められて嬉しそうな表情を浮かべていたが、ユウは自身を紗夜達と同列に語っている日菜に悪態をつくも、姉を褒められた日菜にその言葉は届ず、そんな中で日菜は自身の中で導いた結論を述べていた。

 

 

 

 

 

「……おっぱいだよ!!だって!!おねーちゃんは可愛いけど!!花音ちゃんの方がおっぱいおっきいし!!それ以外に浮気するなんてありえないよ!!」

 

「ふえぇ~~~///」

 

「……何言ってんだ?」

 

「うるさい!!むっつりスケベのおっぱい魔人!!」

 

その答えを聞いた花音は顔を真っ赤にしながら胸を腕で隠しはじめ、ユウもあまりにも予想外の言葉が出てきたことに完全に困惑していたところで日菜から見当違いの罵倒を受けていた。

 

日菜のせいで完全にこの場の空気が混沌としてきたが、そんな中でも希望はやってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの~…これは一体何がどうなって…」

 

「ふえぇ~!!麻弥ちゃ~ん!!」

 

「あっ!!麻弥ちゃん!!その男から離れて!!」

 

「うえぇ!?日菜さん!?いきなりどうしたんですか!?」

 

 

 

 

 

「麻弥ちゃん!!あの男!!おねーちゃんの彼氏なのに、おねーちゃんよりも胸の大きい花音ちゃんと浮気してるサイテー男なんだよ!!」

 

「えぇぇぇ!?紗夜さんに彼氏!?それに浮気ですか!?」

 

「違います!!」

 

「違うんすか!?」

 

「麻弥ちゃん、違うよ!!」

 

「どっちなんすか!?」

 

幸いなことにこのタイミングで麻弥が学校から出てきて、目の前で繰り広げられているこの状況を理解しようと声をかけると、日菜が麻弥をユウから隠すように自身の後ろに引っ張って自分の考えを麻弥に語ると彼女はそれを信じそうになるが、ユウも即座に否定すると麻弥も一瞬でこの混沌とした空気に呑まれそうになった。

 

「いや…その…えっと…とりあえず、そちらの方の話を聞いてからでも…」

 

「麻弥ちゃん!!あたしとあの浮気野郎とどっちを信じるの!?」

 

「いえ…とりあえず話を聞いてから考えないと…」

 

「分かりました。とりあえず今までの話からを――――」

 

そうしてユウは後から来た麻弥に全てを話した。

 

友希那に頼まれて紗夜へと届け物をしに来たことから、その道中で日菜に絡まれたこと。

そして、日菜が離れたタイミングで紗夜と合流したが、彼女が泣きそうになったことからそのタイミングで花音と離れた日菜がやって来て日菜が勘違いを始めたこと。

 

その事実だけを淡々と説明し終えると日菜も自分の考えていることを感情的にぶちまけ、その2つを聞いた麻弥は徐々に苦々しい表情を浮かべ始めていた。

 

 

 

 

 

 

「―――麻弥ちゃん!!これあっちの男の方が悪いよね!!」

 

「えっと…そちらの男性の方…中島さん?でしたか?」

 

「はい。中島です」

 

「ジブンとしては中島さんの方が正しいことを言ってるようにしか聞こえませんが…?」

 

「えぇ~!?」

 

「いや、冷静に話を聞きましたが、それに比べてそちらの中島さんは淡々と話してましたけど、日菜さんの方は主観入ってるじゃないですか…」

 

「麻弥ちゃん!!騙されてるよ!!」

 

「ですが、松原さんも中島さんの話に頷いてましたし…」

 

冷静に話を聞いた結果、麻弥はユウ達の話を信じていた。

だが、その結果を聞いた日菜は不満そうな表情を浮かべたが、彼女は紗夜に自分の話に同意してもらおうと紗夜の両肩を掴んで身体を揺すり始めていた。

 

「おねーちゃん!!おねーちゃんはあの彼氏と2人で大人の1歩のジャイアントステップしたんだよね!?それで浮気までされたんでしょ!!」

 

「日菜さん!!落ち着いて!!」

 

「私は中島さんと…男女の関係になんてなっていません!!」

 

日菜は必至になって紗夜に同意を貰おうとしていたが、その言葉は完全に他人には理解不能な言葉を口走るも麻弥がそれを止めに入ると、そんな状況で紗夜は日菜からの意味不明な質問に答えた。

そして、その答えは日菜の話を完全に否定する言葉に日菜は驚愕の表情を浮かべたが、ユウの話が正しいと証明されてこの場は収まるはずだったが――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まだ!!」

 

「「「「まだ…?」」」」

 

余計な一言も一緒に言ってしまい、ユウを含めて周囲が完全に沈黙してしまった。

そして、その沈黙の中で紗夜は何とか我に帰ると、先ほど自身が口走った言葉を思い出して徐々に顔が赤く染まっていき――――

 

「~~~~~~~~!!」

 

「うおっ!?」

 

「ふえぇ~!!紗夜ちゃ~ん!!」

 

「おねーちゃん!!…あたしはおねーちゃんに彼氏なんて認めてないからね~!!」

 

紗夜はユウが持ってきていた荷物を奪いとると、そのまま校舎の方へと逃げるように駆け出すと、日菜もそんな姉を追いかけるように校舎の方へと走り出してしまったことでこの状況は終了したが、遅れてきた麻弥を含めて残された3人は疲れからかゲッソリとした表情を浮かべていた。

 

「俺、疲れたから甘いモノ欲しくなってきました…」

 

「あはは…私も…です…」

 

「ジブンもです…」

 

「近くのカフェでも行きますか…」

 

そうして、この苦境を乗り越えた3人は頭に糖分を補給すべく、大学の近くのカフェへと脚を運ぶのだった。

 





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