忘却の唄・消えかけのアルタイル   作:ツナ缶マン

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おはよーございます
なんでここのキャラ達はすぐに暴走するんですかねぇ…
しかも暴走する方向性もヤバすぎる…
と思いながらも投稿です


50話-この迷える女の脳にフルスイングを―――

燈のブライダルフォトコンテスト出場が決まった次の日の朝、ゼロライナーの中でユウは絶叫が響いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ~~~~~~~~~!!ダメだ!!ダメだ!!ダメだーーーーーーーーー!!」

 

「ユウ、危ない…!!昨日から徹夜じゃないか…」

 

その手には粘土のようなものが握られていたが、彼の目の前には色々な道具が広げられていたのだが、その中にはバーナーのような危険物まで広がっていた事もあって流石のデネブもユウのことを止めに入り、ユウの前に転がっていた指輪達に視線を向け始めていた。

 

「ユウ、どこがダメなんだ?俺にはよく出来ていると思うが…」

 

「こんなんじゃダメだ!!よく見て!!どれも全体で太さが微妙に違う!!」

 

「そうなのか……?パッと見たら気にならないが……」

 

デネブはユウが作った指輪を見たが、彼の目からしたらユウが言うような太さの違いなど全くと言っていい程分からずに首を傾げたが、その言葉を聞いたユウは普段の彼とは思えないほどに力の入った口調でデネブに詰め寄っていた。

 

 

 

「よく見たら全然違うんだよ!!結婚指輪みたいに飾り気のないシンプルなモノだからこの微妙なミスでダメになるんだよ!!」

 

「そう言うものなのか…?」

 

「そうなの!!あぁ…!!面影堂で作った時はもっと出来が良かった…やっぱり粘土じゃなくてシルバーを削り出しで……ダメだ!!ここじゃ設備が足りない…!!

削るのにゼロライナーのドリルを使う訳にもいかないし、伝手も無い以上は……ここで作るしかない!!」

 

「ユウ、一度休んでからの方が…」

 

「ダメだ!!休む時間はない…!!明日には撮影の打ち合わせがあるんだから今、納得するモノを作らないと…!!」

 

「ダメだこりゃ…」

 

ユウは謎のこだわりのせいで完全に暴走状態に入っていた。

こうなってはもうデネブですら止められないと肩を竦めていると、そのタイミングでゼロライナーの客室の扉が開かれた。

 

「おはよう…」

 

「……」

 

「友希那か…。どうしたんだ?」

 

「ユウの様子を見に来たのだけれど……朝からやってるの?」

 

その扉を開けた人物は友希那。

彼女は客室に入って来たのにも拘らず無言で手元に集中しているユウを見て、朝から作業していると感心していたが、実際はそうではなかった。

 

「友希那…ユウは昨日から寝ないで作業してるんだ…」

 

「なんですって?」

 

「ユウの悪い癖だ…真剣に何かをしだすと満足するまで止まらないからな…」

 

「そう……指輪にしては大きいわね…」

 

「最初のいくつかで作った…リハビリ用と言っていたが…」

 

「折角なら貰っていいかしら?」

 

友希那はデネブから状況を聞いて驚くと、彼が作ったであろう大きめの装飾が付いた指輪を手に取っていた。

 

デネブ曰く、久しぶりの指輪制作という事でリハビリがてら作ったものらしいが、友希那はあまり見ないデザインのそれに興味を引かれて貰おうと思っていたが――――

 

 

 

 

「ダメ」

 

「どうしてかしら?」

 

「練習で作ったやつだし、ゆきちゃんの指のサイズに合わないと思うから。渡すならちゃんとしたのにするよ」

 

「そう…」

 

「…うん。一旦気分転換ついでにゆきちゃんのを作ってみるか…」

 

「気分転換…えぇ、構わないわ」

 

ユウは友希那の言葉に反応してハッキリとNOを突き付けた。

そんなハッキリと拒絶されたことに友希那はムッとした表情を浮かべて理由を尋ねるが、返ってきた答えを聞いた友希那は驚いた表情を浮かべていた。

そんな中でユウは気分転換も兼ねて友希那への指輪を作ることを決めると、彼女は驚いた表情からニコニコとした表情に変えてユウの作業を見物するのだった。

 

 

 


 

一方、ユウがゼロライナーで暴走していることなど露とも知らない燈はバンド活動に精を出しており、今日もRiNGのスタジオに入って練習を行っていた。

 

「ふぅ…」

 

「今の良い感じだったかも…!!あっ…スタジオの時間終わっちゃう…」

 

「そうだね…今日はここまでにしよっか」

 

「あの野良猫…練習最後まで来なかったな…」

 

「まぁまぁ…りっきー落ち着いて。とりあえず片付けないと…」

 

しかし、気が付けばスタジオの終了時間が目前に迫っていたこともあり、彼女達はスタジオ内の清掃をしてから鍵を返して練習を終えていた。

 

「ねぇ!!カフェ行かない?」

 

 

 

「う~ん…どうしようかな」

 

「行かない。帰る」

 

「ぁ…あのちゃん」

 

「ともりん?どうしたの?」

 

そして練習を終えたこともあり愛音がカフェに行くことを提案するも、そよは乗り気ではなく煮え切らない態度を示し、立希はすぐに断ってRiNGを出ていこうとしていた。

しかし、このタイミングで燈が愛音に声をかけると、立希は振り返らずに立ち止まって燈の言葉に耳を傾け始めていた。

 

「あの…あのちゃんに相談したいことがあって…」

 

「うん!!じゃあ、カフェで話そっか」

 

「うん…」

 

燈は愛音に相談があると言って愛音と共にカフェに行こうとしていたが、その話を聞いた立希は尋常ではない速さで振り返ると燈の元へと引き返していた。

 

「燈、私も行く」

 

「あっれ~?りっきーは行かないって言ってなかった~?」

 

「黙れ。お前に相談する燈が可哀そうだからだよ」

 

「りっきー素直じゃないなぁ~」

 

「喧嘩売ってる?」

 

「私も行こうかな……ここで帰ったら私が空気読めない人みたいになっちゃうし…

 

帰ろうとしていた立希が参戦するせいでここで1人帰ったら空気が読めないみたいに思われると悟ったそよもイヤイヤながら空気を読み、4人でカフェに向かうとそこにはバイトの香澄が彼女達を出迎えていた。

 

 

「あっ!!立希ちゃん!!練習お疲れ様!!珈琲でいい?」

 

「戸山先輩、お疲れ様です。ホットでお願いします」

 

「私は…あのちゃんと一緒ので……あのちゃんはどうする?」

 

「うーん…じゃあ、そよりんと同じので!!」

 

「ふざけてるの…?」

 

「本気だって」

 

「はぁ……じゃあ、ダージリンで」

 

 

 

「ふふっ…はーい。さーや!!」

 

「聞こえてるよ~」

 

燈達は席に着くのと同時に注文を取られると、その注文が聞こえていたバイト中の沙綾がすぐに準備を始め、少し経ってから席に飲み物が運ばれると立希は神妙な表情で燈を見つめていた。

 

 

 

「…燈、相談って何?」

 

「あれ~…ともりんは私に相談したはずなんだけど、なんでりっきーが仕切ってるの?」

 

「ホント、燈ちゃんに対して甘いよね~…。それで燈ちゃん、相談って…何?」

 

「そよりん、ブーメランって知ってる…?」

 

 

「えっとね……その……これ……なんだけど……」

 

食い気味な立希とそんな彼女に呆れるそよの2人が燈の相談事を聞き出そうとし始め、そんな2人の姿に愛音が呆れた様なポーズを見せていたが、燈がカバンから取り出したモノは彼女達の脳を焼くには十分すぎるモノだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっ…結婚…雑誌……!?燈が…結婚……けっこ…こけっこ…!?」

 

「えっ!?燈ちゃん…!?」

 

「りっきーが壊れちゃった…後、そよりん?落ち着いてるフリをしてるけど、カップ持つ手が震えすぎて飲み物がほぼ全部零れてるよ?」

 

 

燈がこの場で取り出したのは結婚雑誌。

完全に予想外のモノが飛び出してきたせいで立希とそよの2人は目に見えるほどに動揺していたが、余りにも動揺しすぎた2人がいるせいで愛音はツッコミを入れられるほどには落ち着くことが出来ていたのだが、愛音を他所に2人は暴走を続けていた。

 

「燈!!私は結婚なんて認めないからな…!!」

 

「りっきー、私達は高1なんだから結婚できないでしょ?」

 

「結婚……まさか………燈ちゃんがママに…!?」

 

「そよりんも落ち着いて、話を聞いてからでも」

 

 

 

 

「なんで愛音は冷静なんだよ!!」

「なんで愛音ちゃんは冷静なのよ!!」

 

「2人が慌てすぎてるせいなんだけど…」

 

 

 

「えぇ~!?燈ちゃんが結婚~!?」

 

「あの…香澄先輩?バイト中なんじゃ…」

 

愛音は暴走する2人を何とかしようとしていたが、2人は突如として愛音に噛みつき始めていた。

しかも、間の悪い事にバイト中の香澄も騒ぎを聞きつけてこの状況に油を注いで騒ぎ出していたが、周囲が慌てふためているせいで返って冷静になってしまった愛音は思わずツッコミを入れながら燈の相談に乗ることにした。

 

「それで…ともりん?改めて聞くけど…相談って…それのこと?」

 

「うん…こういうのは…あのちゃんなら詳しいかなって…」

 

「あはは…流石に結婚雑誌に載るような話題はそこまでかな~…」

 

愛音は結婚雑誌に載るような話題などそこまで詳しいわけではない。

あえて言うならば女の子の憧れとしてドレスのファッション等について少し知っている程度で、結婚に至るまでの恋愛などはドラマなどからの知識程度で役に立ちそうにもないと考えていると、最初に立希がこの話題に参戦していた。

 

 

 

「相手が燈に相応しい奴か確かめる…」

 

「りっきー?どんな相手ならいいの?」

 

「バイトしてて、作曲も出来て、燈とバンドをやってる花咲川に通ってるドラマーじゃなきゃ認めない」

 

「それだとりっきーしか当てはまんないじゃん…」

 

「高松立希……いや、椎名燈……悪くないね…」

 

「りっきー?バカなの?」

 

「立希ちゃん、変な事言ったらダメだよ」

 

「ほら、そよりんもこう言って――――」

 

しかし、立希は燈の相手が相応しいか確かめると言いながら、間接的に自分が燈の相手に相応しいと言い始めた。

そんな彼女に対して愛音だけでなく、そよまでダメ出ししたのだが―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「燈ちゃんの相手を確かめるんじゃなくて、社会的にも生物学的にも抹殺しなきゃ……」

 

「そよりん?黒すぎるんだけど…」

 

「えっと…あのね…そうじゃなくて…」

 

立希の遥か上を行くほどにヤバい思考を口にしたそよに愛音はドン引きしていた。

自分が相応しいと言っていた立希の方が遥かにまともに見える程に、そよの発想はぶっ飛んでいた。

何をトチ狂えば抹殺などと言う選択肢が最初に出せるのかが全く理解できないが、正直に言えばそんな思考回路など愛音は理解を拒んで頭を抱えていた。

 

 

 

「あ~………もしかしてだけど…フォトコンテストかな?」

 

「ぁ…はい……」

 

「「フォトコンテスト…?」」

 

「あの~……なんで沙綾先輩が知ってたんですか…?」

 

「ロックから話を聞いてね~。ひまりもそれに応募するからカメラマン頼まれたんだよね~

明後日に打ち合わせするらしいからその時にひまりに伝えるんだけどね…」

 

「うっ…上原先輩が…!?」

 

だが、この場にいた最後の1人である沙綾が燈の相談事について言い当てると、状況が理解できない立希とそよを他所に愛音が何故それが分かったのかをサラッとネタバラシをすると、憧れのバンドメンバーの名前を聞いた立希が目を輝かせて始めていた。

 

「燈ちゃん…なんでそのコンテストに出ることになったの?」

 

「そよちゃん…えっとね…友希那さんに言われて…

最初は友希那さんが出ようとしてたんだけど…。その…事務所に入ってたらダメだからって…」

 

「なにそれ…自分の代わりに燈ちゃんに無理やりやらせようとしてるの…?」

 

「いや!!流石はRoseliaのリーダー!!燈をモデルにすれば最高の物が出来るって分かってるんだ…」

 

「りっきー…流石に気持ち悪いよ…?」

 

「付き合ってられない…帰るね」

 

「そよりん!?って行っちゃった…」

 

燈から出る理由を聞いたそよは不快感を全く隠そうとせずにそれを口にすると、そのままカフェを出て行ってしまうが、それに対して立希は燈をモデルにすることを勧めた友希那の事を大絶賛するも、その熱量には愛音ですらドン引きしてから、燈の要件を纏め始めていた。

 

「要するに、ともりんはそのコンテストに出るから色々相談したかったってこと?」

 

「うん…あのちゃんはよく写真を撮ってるから詳しいかなって…」

 

「燈ならどんなドレスも似合うと思うけど、どんなの着る予定なの?」

 

「りっきー…キモイ…」

 

「黙れ愛音!!お前も真剣に考えるんだよ!!」

 

「あはは…私も前に花嫁衣裳来て結婚式場のモデルやったことあるけど、その時は用意されたのだったからな~…」

 

燈の相談事を聞いて愛音は内容は理解したが、その横で鼻息荒く燈に話しかける立希の存在は全く理解できなかった。

そして、そんな燈に花嫁衣裳を着てモデルをしたことがある沙綾も話に加わろうとしたが―――

 

 

 

 

「えっと…ドレスとかはおにーさんに用意してくれるから……そのどうやって写真に写ったらいいのか教えてほしくて…明後日までに自分でも考えようって思って…」

 

 

「えっ…?」

 

「ともりんにお兄さんっていたっけ…?」

 

 

燈は言ったその言葉で立希の表情が完全に死に、愛音は一人っ子の燈が兄と言ったことに首を傾げていたが、その兄と呼ばれた人物を沙綾は憶えがあり、それを聞いた沙綾は目の色を変えて燈の両肩を掴んでいた。

 

「待って…!?その人って…!!ユウさん!?」

 

「えっ…?はい…」

 

 

 

 

 

 

「燈ちゃん、カメラは任せて!!」

 

「えっ…?先に頼まれてたんじゃ…?」

 

「ロックの依頼?それよりもユウさんにいいとこ見せなきゃ…!!」

 

「えっ…?えぇ…?」

 

燈の肩を掴んで質問した沙綾だったが、返ってきた答えを聞くや否や、突然のカメラマン立候補と先にお願いをしていたロックを裏切ると宣言した沙綾に困惑し始めてしまった燈。

 

 

 

 

「はっ!?男がドレスを用意する…?それってつまりサイズ計るために燈の裸を…!?コロス……絶対にその男をぶっ殺してやる…!!」

 

「りっきー、ハウス。とりあえずおうちに帰ろうね~」

 

そんな彼女達のすぐ近くでは記憶にないユウに対して殺意を覚えた立希とそんな彼女を引き摺ってカフェから出ていく愛音の姿があったのは2人以外の記憶にしか残らないのだった。





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