前回はMygo!!!!!が迷子してましたが、今回は色んな迷子が発生してますね…
という事で投稿です
「燈ちゃん!!こっちこっち!!」
「うっ…上原さん…こっ…こんにちは…」
羽沢珈琲店でひまりと燈がコンテストに参加することになった日から3日が経ち、彼女達は各々の準備について話そうとCiRCLEに集まることになっていたが、最初にきてたのはひまりと燈のモデル達。
燈は先に来ていたひまりに呼ばれておずおずと言った雰囲気で彼女の元に向かうと向かいの席に縮こまるように座り込むと、そんな燈にひまりが話しかけていた。
「燈ちゃん!!そっちの準備はどうなってるの?」
「えっと…その……一昨日の夜に見に行ったんですけど…おにーさんが指輪を作ってました…」
「嘘っ!?本当に作ってるの!?」
「でも…ドレスとかはその…色々あってよく分かんなくて…」
「私もドレスは色々写真見たんだけど、種類があって悩んじゃっうよね~!!」
「えっと…はい…」
ドレスを着れるという事でハイテンションなひまりと、どちらかと言えば内気と言える燈。
対照的な性格の2人は会話が続かなそうに思える2人だったが、ひまりのコミュニケーション能力の高さが燈からどんどん言葉を引き出していく中でこの2人の輪に更に人が増えていく。
「ひまりさん!!おっ…迷子の人も来てるじゃん!!」
「こっ…こんにちは…」
「透子ちゃん!!」
「ドレスのデザイン考えてたんですけど…色々考えてたらテンション上がっちゃって!!」
「分かるっ!!」
「ちょっと…ドキドキしてきた…」
「えっと…そのドキドキしてるって……あれの事?」
「えっ…?」
次にやってきたのは透子、彼女もドレスのデザインと言う大仕事にテンションが上がっていた。
その熱に当てられたのか燈も胸が熱くなるような感覚を憶えていたが、透子は燈から出たドキドキの理由を何か別のものと勘違いしてCiRCLEの建物の影を指差したが――――
「燈の男…見極めなきゃ…」
「やばっ…!!りっきー…ともりんがこっち見てるから…!!」
「燈の男…抹殺しなきゃ…!!」
「この間のそよりんとダメな合体してる…!?」
「あのちゃんに立希ちゃん…?」
「あはは~…気になっちゃって…来ちゃった」
そこにいたのは燈のバンドメンバーである愛音と立希。
立希が燈の方を見ながら謎の呪詛を口にしていた横では愛音は燈に気づかれたことを察して隠れるのを止めて立希を引き摺って燈達3人の所まで顔を出していた。
「立希ちゃん…?」
「燈…!!大丈夫!?変なことされてない?」
「りっきー。写真撮るだけなんだから、落ち着きなって…」
「そっちも気になるけど、あたしのドレスを着たひまりさん見とけよ~!!」
「いやいや、ともりんも可愛いからドレスによってはいい勝負になるかもですよ~?」
「燈は最高だっ!!私が燈と結婚するんだっ!!」
「あのちゃん…立希ちゃんも…凄い…」
「みんな楽しみにしてくれてるね~」
「お待たせしました!!」
「ロック!!」
「あれ…?」
「ご紹介します。頼りになるカメラマン、沙綾先輩です」
事を決める切っ掛けとなったロックが、カメラマン役を依頼した沙綾を引き連れて現れた。
そこまでは良かったのだが―――
「……」
「沙綾先輩?」
「ごめん。私こっち側だから」
「「えぇ~~~~~!?」」
「沙綾先輩が…裏切った!?どうなっとるんや!?」
「あれ…本気だったんだ…」
「ともりん…これ不味いんじゃない…?」
沙綾はロックの横を離れると燈の背後に回り込んでいた。
突然の行動に驚きの声を挙げるひまりと透子だったが、連れてきた張本人はこんなタイミングで裏切られるなど微塵も思っておらず、完全にパニックに陥っていた。
この行動のせいで―――1名は殺気だっていたものの、和やかムードが完全に空気が一転してギスギス全開の空気に変わってしまい、モデルの2人の後ろに別れるよう互いを無言で睨み合い始めるが―――
「待たせたわね…」
「友希那さん…!!」
「友希那さん!!聞いてくださいよ!!ロックがカメラマンを頼んだのに!!沙綾先ぱ…い…が……?」
「そうですよ!!沙綾…が………急に裏切っ……て?」
「「へっ…?」」
このギスギスし始めたタイミングで友希那が現れた事で空気が一変し、皆がその原因である友希那の左手のある1点に視線が吸い寄せられていた。
「友希那さん…あの…」
「その左手の薬指にしてるのは…?」
「上原さん、見ればわかるじゃない…指輪よ?」
「「「「えっ…?」」」」
「「はぁ…?」」
友希那が左薬指に指輪を嵌めてこの場に現れた上に、その指輪を愛おしそうに右手で触り始めると、事情を知っている燈以外の全員から言葉が漏れ出した。
そんな友希那を見たひまりと透子は自身の目を疑って互いの頬に手を添えると全力で互いの頬を引っ張り始めていた。
「「
「2人とも!?どうしていきなり頬を引っ張り合ってるんですか!?」
「うわぁ…飾り気のないシンプルな指輪だけど綺麗…どこのですか!?」
「これ、手作りよ」
「手作り…!?」
「お待たせ…」
「ユウ。遅かったじゃない…」
引っ張り合い始めた2人だったが、感じる痛みが目の前の友希那が現実のものだという事を叩きつけられてしまい、愛音はその指輪に完全に見惚れて言葉を漏らしながら指輪の事を尋ねると、友希那は満足そうな表情を浮かべて言葉を返したその時、その指輪の制作者であるユウが彼女達の前に姿を現した。
現れた彼の両手の中指には通常よりもはるかに大きいサイズの指輪を嵌めていたが、表情は完全に死んでいた。
「あの~…大丈夫ですか…?」
「あはは…愛音ちゃん大丈夫だよ………燈ちゃんのを本気で作るのを決めてからさっきまでずっと指輪作ってたから…」
「そうなんで…あれ?私の名前知ってる…?なんで…?」
「こいつストーカーか…抹殺しなきゃ…」
「はいはい。りっきーは落ち着いてジュース飲もうね~」
「ユウさん!!凄い隈ですけど寝てないんですか!?」
「大丈夫…出来てから30分は寝た…って、あれ…?沙綾ちゃん…?まぁ…いいか……」
「なんかつぐみ先輩の店で見た時と全然違いますね…」
「そうだね。なんか前見た時みたいと違って力が抜けきってるように見える…」
ユウは目の下に特大の隈を作っており、その事を愛音と沙綾の2人からかけられた心配の言葉に返事をしたが、ユウは最近あっていなかった沙綾が自分の事を覚えていたことに驚いていたが、その事について考えられるような余裕は今のユウには全く残っていなかった。
彼の事を記憶しているひまりやロックは以前に羽沢珈琲店で見かけた時とは余りにもかけ離れた力の抜けた姿に驚いていたが、そんな中で透子はユウが嵌めていた2つの指輪から目が離せなくなっていた事にユウが気が付ていた。
「んぁ…桐ヶ谷さん…?どうしたの…?」
「あの…その指輪って自分で作ったんですか!?」
「ん…そうだよ~…。今のゆきちゃんのもね~…」
「っ…!!」
透子の問い掛けにユウは言葉を返したが、その言葉を聞いた透子は絶句した。
彼女は自身のブランドを持っている他と比較にならないほどにはファッションに関する知識は豊富で、実家が老舗の呉服屋と言う上流階級のお嬢様でもある彼女は極上の芸術品を数多く目にしてきた経験もあった。
片やファッションに合わせるための素材として、片や高度な技術が使われる芸術品として、アクセサリーに対する知識やその審美眼は並大抵の人には負けないと自信があった。
だが、その知識や経験が彼女の目の前にある指輪の事を見抜いていた。
友希那の嵌めているモノは宝石や模様など一切入っていないシンプルなストレートタイプの指輪で殆ど目立たずに目を惹くようなモノではないし、ユウの嵌めている大きすぎる指輪は嵌め込まれているのは人工の宝石で大した価値もなく、存在感が強すぎるせいでファッションになど使えるものではない。
だが、その2人の指輪は加工の技術と言う点だけでは極上―――とまではいかないが、透子が評価を出すには十分すぎるほどの完成度を誇っており、そんなのを見せられたら、彼が作ったという
「中島さん…!!本番用のって見せてもらえますか!!」
「良いよ~…」
透子が食い気味にユウに声をかけると、彼は透子の思いなど全く知らずにOKを出してポケットの中からリングケースを取り出し、燈に見えるようにケースを開いて見せたが――――
「…友希那先輩のと似とるけど…」
「本番用って言ってたのに…」
「りっきー落ち着きなって…よく見て見なよ…ちょっと捩じれてる様に見えるけど…」
「なにそれ?失敗作?そんなの渡して許されるとでも?」
透子が食い気味に見たがっていた事もあってみんなが期待していたが、そんな中で出てきたのは宝石などの装飾が施されていないシンプルな指輪。
遠目で見たら友希那のと同じようにしか見えないが、愛音は友希那のとは違うことを見抜いていたが、指輪の事などろくに知らない立希には捩じれがただの失敗作にしか見えずにユウに怒りが爆発寸前になっていたが―――
「わぁ~!!メビウスリングだ!!」
「メビ…?」
「ひまり、それってなんなの…?」
このタイミングで今回のために結婚式関連を調べに調べたひまりが指輪を見て声を挙げたが、他の面々は結婚指輪の知識など皆無で首を傾げていると、ひまりが胸を張ってその説明を口にした。
「えっとね。捩じれてる輪っかなんだけど、表面をなぞっていくと裏面に行ってからまた表に戻るってデザインの指輪で、”永遠の愛”って意味があるんだよ!!」
「永遠……」
「ひまり先輩、凄いです…!!」
「えへへ~…」
「こいつ…やっぱりしばく…」
「りっきーストップ!!ダメだって~!!」
「あなた達…何をやってるの…?」
ひまりの説明にロックが感心する一方で立希は燈にそんな意味の言葉を持つ指輪を着けさせようとするユウを敵視して、彼を殴りつけようと近くにあった椅子を持ち上げようとしているのを愛音に必死に止めている光景に友希那からツッコまれていた中でユウは話を続けていた。
「上原さんの説明に捕捉すると、そのデザインは無限とか永遠って意味もあるけど、途切れない絆って意味もあるんだよ」
「ユウさん、それって何か違うんですか?」
「えっとね。燈ちゃんは”一生バンドしたい”って前に言ってたのを聞いたから、このデザインがピッタリかな~って思って、それにあくまで燈ちゃんが主役だから指輪が派手である必要ないしね~…」
「えへへ…。おにーさん、ありがとうございます」
「ふーん……少しは燈の事分かってんじゃん」
「りっきー……もう見てられないよ…」
「ユウさん!!私も欲しいです!!」
「特に作ってないから…今、嵌めてるのでいいならいいよ~」
「やった!!」
ユウは以前に聞いた燈の言葉を思い出してデザインを決めた事を説明を聞いて嬉しそうに燈が笑みを浮かべたのを見て、立希は燈の事を考えていたことを見て態度をほんの少しだけ態度を変え、沙綾も指輪を強請るとユウが今まで嵌めていた指輪の1つを沙綾に譲り渡して大変満足そうな笑みを浮かべ、皆が指輪に盛り上がっていたが―――
「…………」
透子だけは違っており、悔しそうな表情を浮かべていた。
最初に見た友希那とユウの指輪や、今見ている燈用の指輪も、以前に七深とコラボして作った指輪*1と比べれば加工の精度は同程度でもデザイン性と言う点を考えれば、あの時のモノの方が上だという自信はあった。
だが、彼が作った指輪は燈が言葉にした思いを”指輪”と言うデザインに落とし込んで表現して見せたのだ。
そもそもとして、景品として作った七深の指輪と撮影用として作ったユウの指輪では作られた目的が全く別で比べること自体が間違っているのだが、そんなことは関係ない。
何故なら、透子は友希那達Roseliaと同じでプロ―――
ライブ等の例外はあるものの、基本的には音楽と言う”見えないもの”を作って表現する彼女達と違って、透子の場合は”ファッション”と言う”目に見える物”で表現するプロなのだ。
それに対してユウが出したモノは、最上のプロには勝てないものの、プロでも十分に通用するものレベルの一品であり、素人にそんなものを出されてしまった透子は強い敗北感を感じずにはいられなかった。
しかし、透子が感じたのは敗北感だけではなく――――
「中島さん…いえ、ユウさん!!
……私達と勝負です!!」
同じモノで表現する者として
そんな彼に対するライバル意識にも似た純粋で強い感情だったのだ。
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