忘却の唄・消えかけのアルタイル   作:ツナ缶マン

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おはよーございます
最初の人は…この人だに!!

ってことで投稿だもんに!!



63話-その血の宿命

 

「そこまで言うならレイヤと八潮さんと長崎さんの3人にユウのことを順番に貸してあげるから、自分の目で確かめなさい!!」

 

友希那のその言葉を口にしてから数日後、ユウはその中の1人に呼び出されていた――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「和奏さん。お待たせしました」

 

「いえ…その、すいません」

 

「気にしないで良いですよ。全部ゆきちゃんが悪いので…とりあえず部屋の前まで行きましょうか?」

 

「はい…。こっちです」

 

ユウはレイヤに呼ばれて彼女の部屋があるマンションの前までやって来ていた。

レイヤは呼び出したことに申し訳なさそうにしていたが、ユウ本人は特に気にしている様な素振りも見せずに笑みを浮かべながら彼女に応えてから、レイヤの部屋の前まで行こうと提案すると、それを聞いたレイヤもユウを自身の部屋の前まで案内し始めていた。

 

 

 

「えっと、部屋の掃除でしたっけ?」

 

「はい…。普段から掃除してますけど……細かい所とかに汚れが気になって…」

 

「それで家具とかを動かす男手が必要ってことですね?」

 

レイヤは部屋の細かい汚れが気になって大掃除を思い立ったが、友希那の言葉を思い出して彼女を経由してユウに連絡を取って今日掃除をする運びになったのだが――――

 

「あの…中島さん?その荷物は…?」

 

「あぁ、掃除するってことはキッチン周りも使えなくなりそうだと思って、お弁当用意してきましたよ?和奏さんの分もありますから」

 

「えっ…あっ……ありがとうございます」

 

彼はあろうことか今日の為に弁当まで持参していたことにレイヤは驚いたが、その後に続いた彼の言葉も彼女を驚かせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、俺はいったん外で待ってますから。先に部屋に行ってもらって…」

 

「えっ…?先に?なんで?」

 

「……ほら、男に見られたくない物とかあるでしょ?」

 

「見られたく…無いもの…?別に何もないですけど…?」

 

ユウは何故かレイヤに部屋に先に入るように勧めたが、レイヤはその行動の意味が分からない。

そんな彼女にユウは遠回しにその意図を伝えようとするも、全く効果は無いレイヤの態度を見たユウは片手で頭を抑えながら、自身が考えていたそれについてハッキリと口に出していた。

 

「ほら…その、洗濯物とか…」

 

「洗濯物…それがどうしたんですか…?」

 

レイヤはユウの答えを聞いてその言葉の意味を考え始め、少し時間が経ってから――――

 

「―――っ!?」

 

「あー…すいません」

 

「いっ…いえ…その、こっちが気が付かなかったのが悪かったので…」

 

「スーツケースとかあればその中に入れて見えなくしてもらえれば…」

 

「はい…じゃあ、準備します…」

 

「それじゃ、俺は外で待ってますから」

 

彼女は彼が言いたかったことをようやく理解して顔を真っ赤にし始めると、ユウは謝罪するも、レイヤはそそくさと部屋の中へと消えていくのを見送り、ユウはそのままレイヤが出てくるまでボンヤリと空を眺めていたのだが――――

 

 

 

 

 

「あれ~…?お兄さん、そんな所で何してるんですか~?」

 

「この部屋の中にいる人を待ってるだけですよ?」

 

「もしかして……レイヤ先輩のストーカー?」

 

「違うけど…?」

 

「ストーカーはみんなそう言うんだけど?警察呼ばなきゃ…」

 

「いや、本当に待って…!?」

 

突如としてユウの知らない少女から声をかけられていた。

女性の言葉に彼は特に気にする様子もなくその問いに答えたが、相手の方はユウに不信感を覚えて警察を呼ぼうとその場でスマホを取り出し――――

 

「お待たせしま―――って、あれ?にゃむちゃん?」

 

「レイヤ先輩!!そん人、レイヤ先輩のストーカーばい!!早う部屋に入って…!!」

 

「…違うけど?」

 

 

 

「えっ…?えぇ~…あぁ~…お知り合いですか?」

 

「そうだけど?和奏さん。この子は…一体…?」

 

「祐天寺 にゃむちゃん。隣の部屋に住んでる子ですよ」

 

それと同じタイミングでレイヤの部屋の扉から顔を出すと、ユウに話しかけていた少女―――にゃむの存在に気が付いたが、彼女はユウのことをレイヤのストーカーと誤認して彼女に部屋に入るように伝えようとしたが、レイヤからの一言ですぐに誤解だと理解すると気まずそうな表情を浮かべ始めていた。

 

「すいませんでしたー!!」

 

「別に気にしてないからいいよ」

 

「それで…その~…レイヤ先輩はその人と何を…?」

 

「えっと…部屋を掃除するからその手伝いを頼んだんだけど…」

 

「あ~!!洗濯物とかを先に片付けてたんですね!!午後から予定ありますけど…それまでなら、私も手伝います!!」

 

「俺はどっちでもいいですけど…?和奏さんは?」

 

「えっと…折角だからお願いしようかな…?」

 

「はい!!」

 

にゃむは即座に謝罪すると、事情を聴いただけでユウが何故外にいたのかまでをすぐに理解すると手伝いを申し出て、レイヤもその提案を受けて3人で彼女の部屋に上がりこんで掃除を始めたのだが――――

 

「う~ん…結構細かいところが汚れてるなぁ…」

 

 

 

 

 

「あれ…レイヤ先輩…もしかしてですけど…」

 

「私達そこまで役に立ててない…?」

 

「そんなことないですよ。にゃむちゃんの反応とか見てて面白いですし」

 

「中島さん…それフォローになってます…?」

 

「いやぁ~配信で雑談とかしてるので~」

 

ただの掃除を思っていたレイヤ達の目の前でユウがかなり機敏な動きで掃除を進めていく光景を前ににゃむが自分達のいる意味を失いかけていたところでユウがフォローになっていないフォローを口にしていた事にレイヤがツッコむが、にゃむの方は満更でもなかった。

 

「にゃむちゃんって、所々で博多弁が出るのが面白いね」

 

「ユウさん、違いますよ~熊本弁ですよ」

 

「俺の知ってる熊本弁と違う…」

 

「中島さん、どんなのですか?」

 

「えっと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

闇に呑まれよ(お疲れ様です)とか、煩わしい太陽ね(おはようございます)とか…」

 

「「なにそれ怖い…」」

 

「違うんだ…」

 

そんな小粋なジョークのような雑談を交えつつ、3人で掃除を進めていき気が付けば時間はあっという間に過ぎて行き、気が付けば時刻が12時を回っていた。

 

「2人とも。もう昼なんで一旦休憩してご飯にしましょうか?」

 

「分かりました」

 

「あっ!?私もう出ないと…!!」

 

「にゃむちゃん。お昼は…?」

 

「ごめんなさい!!食べてる時間ないです~~~!!」

 

「これ、俺のサンドイッチ。移動中にでも…」

 

「ありがとうございます!!それじゃあ、行ってきまーす!!」

 

昼食にしようと言い始めたユウ。

しかし、手伝ってくれたにゃむはもう出なければいけない時間になっており、ユウは慌てる彼女に昼食として持ってきていたサンドイッチのいくつかを持たせて彼女を送り出していたが、レイヤはそんな彼に心配そうな視線を向けていた。

 

「にゃむちゃんに中島さんのお昼あげちゃいましたけど…大丈夫ですか?」

 

「あぁ……そこまで手の込んだものじゃないですし、少し多めに作ってきたから大丈夫ですよ。俺達も食べましょうか」

 

レイヤはユウが自身の昼食をにゃむに渡したのだと思って心配していたが、ユウとしてはほんの一部で全く問題ないと言いながら彼は自身が持ってきた弁当をテーブルに広げ始めていた。

 

 

 

そこまでは良かったのだが―――

 

「えっ…?何これ…」

 

「何って…弁当ですよ?簡単なものですけどね?」

 

「かん…たん……?重箱が…?…簡単な物って言って重箱は出てきませんよ…?」

 

 

問題はその出された物だった。

ユウが弁当と言いながら取り出した3段の重箱。

 

料理について詳しくないレイヤでも、そんなものを見せられて驚かずにはいられなかったのだが、その中身に更に驚愕した。

 

「サンドイッチと――――」

 

一段目には少しの空間が空いていたが、四角形のサンドイッチが詰められていた。

レイヤはにゃむに渡した分が空いているのだと納得したが、その下に詰められたものがおかしかった。

 

 

 

「2段目にはサンドイッチの下は鳥のから揚げとハンバーグに卵焼き、後はほうれん草のおひたしに野菜スティックを詰めて…一番下にはデザートでパウンドケーキと軽食のクッキーを入れましたよ」

 

「えっ……?凄い…」

 

「勿論ですけど、から揚げもハンバーグも冷凍じゃなくて俺が揚げたモノですよ」

 

「簡単って何だっけ…?」

 

「まぁ、とりあえず食べてくださいよ」

 

レイヤは追加出てて来たものに頭を抱え始めてしまった。

下手な売り物の弁当よりも豪華なものを出された上に、冷凍食品で時間を節約など一切せずに手間のかかるはずのものを弁当に詰めていたことにレイヤの中で”簡単”と言う言葉が揺らぎ始めていく。

 

しかし、ユウはそんなレイヤに食べることを勧めたと、彼女は恐る恐るその弁当に入っていたサンドイッチを手に取って口に運んだが、その味は彼女の予想を越えていた。

 

 

 

「っ…!?美味しい…!!」

 

「それは良かったです。ドンドン食べてくださいね?」

 

レイヤは一口食べた途端に目を見開いてその味に驚いたが、ユウに勧められるままに用意された弁当を食べ進め――――

 

 

そして、気が付けば量が多いと思っていたその弁当の大半がレイヤの胃の中へと消えていった。

 

「ごちそうさまでした…。あっ、何か飲み物入れますね?」

 

「大丈夫ですよ、少しゆっくりして…」

 

 

 

「大丈―――あっ…」

 

レイヤは食べ終えた時に自身が大半を食べていたことに気が付き、気恥ずかしさを隠そうと自身で何か飲み物を入れようと立ち上がっていた。

しかし、彼女は今まで座った状態でいきなり立とうとしたことでそのままバランスを崩してしまった。

 

それだけで済めばよかったのだが、不運は重なってしまい―――

 

「うぅ…洗剤…?」

 

「和奏さん!?とりあえず掃除しますから、シャワー浴びて…!!」

 

レイヤの倒れた際に掃除で使っていた道具の中へと倒れこんでしまい、その中にあった洗剤を頭から被ってしまっていたが、そんな彼女をユウはすぐに掃除中に見つけた洋服とおそらく下着類を入れたキャリーバッグを手に持ってそのまま彼女をバスルームへと押し込んでしまう。

流石に汚れたままなのは不味いとレイヤも言われるがままにシャワーを浴びると、着替えて部屋に戻っていく。

 

「おかえりなさい。さっきの所は掃除しておいたので」

 

「あっ…ありがとうございます」

 

「和奏さん。ここに座ってください」

 

部屋に戻るとユウが先ほどレイヤが倒れこんで汚れた場所の掃除を終えて部屋にあった唯一の椅子に座っていたが、レイヤの姿を見て部屋を出ていってしまったユウの事を疑問に思いながらもレイヤは言われるがままに椅子に座ると、ユウはその手にドライヤーとタオルを持って部屋へと戻ってきた。

 

「ドライヤー…?」

 

「和奏さん、髪濡れたままですから乾かしますよ」

 

「えっ…?」

 

レイヤはユウがドライヤーを持ってきたことに驚いたが、ユウはそのままレイヤの濡れた髪をドライヤーで乾かし始めたことに最初は戸惑ったレイヤだったが、慣れた手つきで髪を乾かすユウに安心を覚え始めていた。

 

 

「…んっ……」

 

「眠くなりました?掃除で疲れてますし、ご飯食べてシャワー浴びた後ですから…一旦寝ちゃった方が楽ですよ…?」

 

「んっ……」

 

座った彼女は掃除の疲れと満腹感のせいで眠気に襲われてしまった。

何とか起きようとしていたが、ユウの言葉を聞いたレイヤはその言葉のままにそのまま眠ってしまった。

 

そんなレイヤを見たユウは髪を乾かし終えた彼女をベッドに移してから、彼女が先ほど汚した服が入った洗濯機を回し始め、それが終わるまでの間に数日間の料理の作り置きを作ってから、洗濯が終わった衣類を室内に干し終えると、寝ているレイヤを起こさない様に書置きを机に残してから静かに部屋を後にするのだった。





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