忘却の唄・消えかけのアルタイル   作:ツナ缶マン

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おはよーございます!!
先日はレイヤさんが酷い事()になりましたね…
という事で今回は…この人と言う訳で……
キバって…投稿です!!


64話-ブレイク・ザ・チェーン

レイヤの部屋掃除が終わって数日が経った放課後――――

 

「瑠唯お嬢様、おかえりなさいませ」

 

「……お疲れ様です」

 

 

 

「いやいや!?ユウさん!!ココ学校の前!!」

 

「そうですよ!!それと、なんで燕尾服!?」

 

「桐ヶ谷様、お迎えに上がったまででございます。それと二葉様、これは正装ですよ」

 

 

「あの中島さん?うちは送迎が禁止だったと思うのですが?」

 

「お嬢様。学校側に確認を取りましたが、徒歩での送迎は問題ないとの回答をいただいておりますので問題ございません」

 

ユウは瑠唯に頭を下げると、瑠唯は一瞬だけ表情を歪めながら彼に答えて見せた。

しかし、問題はユウ達がいるこの場所にいるのが瑠唯だけでなく彼女のバンドメンバー達もおり、この場所も瑠唯達が通う月ノ森の前。

 

そして、彼女達が一番気になったのは彼は何故か燕尾服を決めて流れるような所作を見せつけていたことだった。

 

「えっと…ななみちゃん…?どうなってるの…?」

 

「しろちゃん、そんな目で私を見られても分かんないよ」

 

「彼は中島さんって言って、湊さんの親戚らしいわ」

 

「へぇ~…そうなんですね~」

 

「お嬢様。そちらの2人は同じバンドの方でしょうか?」

 

「そうですが…そう言えば紹介してなかったですね…。こちらは広町さんと倉田さんです」

 

 

「ごきげんよ~、広町七深で~す」

 

「えっと…倉田ましろ……です……」

 

その光景に思わず彼を知っている透子とつくしの2人がツッコみ、彼はキャラを作ったまま2人に応えたのだが、そんな中で今の状況について行けない人物達は互いに顔を見合わせて困惑の表情を浮かべていた。

だが、そんな中でユウが初めて見る2人について瑠唯に尋ねると彼女は2人について紹介を済ませると改めてユウに視線を向けていた。

 

「中島さん、その話し方止めてもらえますか?」

 

「分かりましたよ八潮さん。あっ、二葉ちゃん、飴いる?」

 

 

 

「「えっ…?」」

 

 

 

 

「いりません!!子供扱いしないでください!!」

 

「ふーすけ、見た目は子供じゃん」

 

「もう!!透子ちゃん!!」

 

「それデネブさんのじゃん!!それじゃ、あたしは貰います!!これ意外と美味いんだよね~」

 

瑠唯の一言でユウの口調は先ほどまでの堅いものから一気に砕けたものへと変わり、つくしに飴を差し出して急に子供の様に扱い始めた事にましろ達が驚いていたら、つくしが拒否したその飴を透子が貰うとそのまま口に入れて味わい始めていた。

 

 

 

「えっ…?えっ…?」

 

「しろちゃん落ち着いて?」

 

「ななみちゃん、落ち着けないよ…!!」

 

 

 

 

「とにかく、そろそろ移動しましょう。広町さん、彼をアトリエに連れて行ってもいいかしら?」

 

「ん~いいよ~」

 

「みんなの荷物預かろうか?」

 

「マジっすか!?それじゃ~…」

 

「中島さん。桐ヶ谷さんを甘やかさないでください」

 

「この位は大したことじゃないから大丈夫ですよ」

 

完全に理解が追い付かない状況に困惑しっぱなしのましろの横で、瑠唯の一言でいつもの5人とユウは彼女達がバンドの練習をしている七深のアトリエに場所を移そうと移動を始めていた。

 

「広町さんの家にはアトリエがあるんですね?」

 

「そうなんですよ!!私達はいつもそこで練習してるんですよ。しかも、ななみちゃん!!絵が上手いんですよ!!」

 

「なんで二葉さんが自信満々で行ってるのかしら…?」

 

「凄いですね。俺は絵は得意じゃ無いので…」

 

「えっ?でもユウさんは前にドレスのデザインをしてたんじゃ…?」

 

七深のアトリエに向かう彼らの話は絵のことについての話になり、何故かつくしが七深の事を自慢していたが、ユウの方もその事を純粋に褒めていた。

 

しかし、その言葉に透子は疑問を持った。

何故なら彼は以前にドレスのデザインをしていたのにも関わらず絵が苦手と言ったのが腑に落ちなかった。

それをツッコまれたユウは苦笑いしながらその疑問に答えていた。

 

「そうですけど…どうも人の顔を描くのが苦手で…」

 

「あ~…そう言う事なんですね~」

 

人の顔を描くのが苦手。

それならば納得行く理由だったが――――

 

 

 

 

 

 

 

「霧子さ―――警察の世話になった時の影響で、人の顔を描くと警察の捜査に使う似顔絵みたいになっちゃって…」

 

「警察!?」

 

「それは…随分と…変わってますね…」

 

「あはは~。でも、絵って描けば描くだけ上達しますから~」

 

追加で出されたエピソードのせいで彼女達が持っていた彼のイメージがガラリと変わってしまった。

何がどうなったら警察の世話になったうえに、似顔絵しか描けない状態になるのかが理解できなくなったが、七深だけはそんなユウにアドバイスらしき言葉を送って笑っていると、すぐに彼女達は七深のアトリエへと到着していた。

 

 

 

 

「これは随分と本格的ですね…」

 

「えぇ~この位、普通ですよ~」

 

「いや、普通の家にアトリエは無いですよ」

 

「早く行きましょう」

 

アトリエを見て驚くユウに七深が答えたが、その答えに思わずユウがツッコんでいた。

普通の家にはアトリエなんて無い。

だが、その言葉を聞いた七深の顔から笑みが消えたが、そんな彼女をサラッと流して瑠唯がアトリエの中に入っていくと、その後に続いて他の皆もアトリエの中に入っていく。

 

「なぁ、ルイ?なんでユウさん呼んだの?」

 

「桐ヶ谷さんそれは…」

 

「中島さん。説明するより見せた方が早いですよ」

 

「二葉ちゃんの言う通りだね…。広町さん、机を使っても?」

 

「どうぞどうぞ」

 

アトリエに入った透子は瑠唯がユウを呼んだ理由を聞くが、その言葉に被せるようにつくしがユウを急かす。

その言葉を聞いたユウはアトリエの主である七深に許可を取ってから、今までずっと持っていたケースを机の上にそっと置いた。

 

「荷物なんて持ってたんだ…」

 

「倉田さん、最初から持っていたわよ?まぁ、燕尾服に意識を持っていかれたから気が付かなかったのでしょうけど…」

 

「それで、ユウさん!!ふーすけは知ってるみたいですけど!!なんですかそれ!!」

 

「ふーすけ…あぁ、二葉ちゃんか…。中身は…八潮さんが開けてください」

 

「分かりました」

 

ましろは今までユウが荷物を持っていたことに気がついていなかったのだが、そんな彼女を他所に透子は中身が気になってしまいユウに何かを尋ねるが、それに答えることなくユウは瑠唯に荷物を開けるように促して、彼女は言われるがままにユウが机に置いたケースを開いた。

 

「バイオリン……?」

 

「るいさんのじゃないよね…」

 

「うん。これは弦が4本だけど、るいるいのは5本だからね~」

 

ケースの中身を知らなかった3人が中身を覗き込むと、そこに納まっていたのは何の変哲もない普通のバイオリン。

3人はそんなものをどうしてユウが持って来ていたのかが全く理解出来ずに首を傾げていたが―――

 

「これ!!中島さんが作ったんですか!?」

 

「そうだよ。裏板に俺の名前が入ってるからね」

 

「「「えっ!?」」」

 

つくしが言ったその言葉に3人は驚かずにはいられなかった。

今の時代、殆どの楽器は工業製品として大量生産されるモノで、手作りの楽器はほんの一部のモノだけ。

それが3人の認識だったが、目の前のそれは彼女達が思っていた”ほんの一部”で、目の前の男がそれを作ったと言ったことに目を丸くしながら、裏板に刻印されているユウの名前を見て驚いていたのだが、それだけでは終わらなかった。

 

「バイオリニストの人に教わって……作ったのは10年以上前かな?」

 

「10年…!?ユウさん歳いくつなの!?」

 

「20歳」

 

「ってことは…10歳で作ったの!?」

 

 

「……」

 

「八潮さん弾いてみてください」

 

「では…」

 

なんと、彼がこのバイオリンを作ったのは年齢は10歳と言う、嘘のような年齢に驚いていた一同の中で瑠唯だけは真剣にそのバイオリンを見つめていた。

 

そんな彼女へユウが楽器を弾くように勧めると、彼女はその言葉を聞いてから自身のバイオリンケースから弓を取り出し、ユウが作ったバイオリンのチューニングを済ませてから真剣な表情で楽器に向き合い始めると、誰かに言われることも無く彼女は演奏を始めていた。

 

 

「―――っ!?」

 

 

「ルイが驚いてるけど…何か違う…?」

 

「えっと…分かんない…」

 

「弦が少ないから音がいつもと違う気がするけど…?」

 

演奏を始めた瑠唯は弾き始めてすぐに驚いた表情を浮かべていたが、七深達はその理由が分からずにいたが、皆が瑠唯の演奏を黙って最後まで聴き続けていた。

 

「終わった…普段のるいさんと同じみたいだったけど…」

 

「あたしもそう思った…!!」

 

 

 

 

 

 

「……凄いわね」

 

「気に入ってもらえましたか?」

 

「えぇ…普段は5弦ですので、多少は弾きにくいと感じた部分もありましたが…」

 

「ルイ、そのバイオリンはどうだった訳?」

 

彼女達は瑠唯の演奏を最後まで聴いていたが、それでも彼女達は瑠唯が浮かべた表情の理由が分からなかったが、弾いた本人は素直に思ったことを口にすると、透子が瑠唯の感想を求めると、彼女はその問いにハッキリと応えていた。

 

「今の私では文句のつけようが無いわ…。当時10歳でこれを作ったというならば、紛うことなく天才としか言えないわね」

 

「えっ!?ルイがそこまでべた褒めするの!?」

 

「凄い…るいさんがそこまで言うなんて……」

 

 

 

 

「教わった人のはこれ以上だし…それを見せた時には”本体の完成度は俺の8割!!なにより気持ちが欠けてる”って言われたけどね…」

 

「これよりも凄い…?」

 

べた褒めしていた瑠唯に一同が驚いていたが、ユウの師匠はこれ以上の物を作っていたという言葉に瑠唯は驚かずにはいられなかった。

そんな凄いものがこの世に存在するなら見てみたいと思っていたが―――

 

 

 

「ごめん。ちょっと電話…」

 

 

 

 

そんなタイミングでユウのスマホが鳴ると、彼は彼女達から離れてスマホにかかってきた電話を取っていた。

 

 

 

「もしもし…燈ちゃん?えっ?うん…分かった。すぐ行くよ」

 

「ユウさん?どうかしたんですか?」

 

「燈ちゃん…?なんで燈ちゃん…?」

 

「シロ、ユウさんと知り合いだからに決まってんじゃん。ユウさん、何かあったんですか?」

 

ユウの電話の相手は燈。

そんな中で彼女とユウの関係を知らないましろが突然の燈の名前に疑問を覚えていたが、関係を知ってる透子が彼女の疑問に答えると、皆を代表して透子がユウに電話の内容を尋ねていた

 

「えっと、そよちゃんがRiNGでケガしたみたい……ごめん。俺、行ってくるから。八潮さん、バイオリン預かってて」

 

「「「「えっ!?」」」」

 

「中島さん…!!あなたにバイオリン作りを教えた人の名前と、その人が作ったバイオリンの名前を教えてください」

 

ユウは透子の質問に答えると、バイオリンを瑠唯に預けたままアトリエを飛び出そうとしていた彼に皆が驚いていたが、瑠唯はそんなタイミングで彼に問いかけると、彼は扉の前で振り返り――――――

 

 

 

 

 

「バイオリニストの名前は”紅音也”、バイオリンの名前は”ブラッディローズ”…最も、そのどっちもこの世界には存在しないけどね!!」

 

その質問に答えたのと同時に彼はアトリエを飛び出していくのだった。

 





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