忘却の唄・消えかけのアルタイル   作:ツナ缶マン

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おはよーございます!!
そよさんが怪我をしたという幕引きでした。
感想ではイマジンかとか想像が出てましたが…
結末は…今回の話を…どうぞ!!



65話-崩れ行く仮面

「あの慌て方…まさか、イマジン……?くそっ…士さんとかカグヤ様のカーテンがあればなぁ…!!」

 

燈の電話を受けたユウは全速力で街中を駆け抜けて、RiNGへ向かって駆け抜けていく中で最悪の事体を想定して来ていた燕尾服の中に忍ばせていたベルトに手をかける。

 

「見えた…!!RiNG!!イマジンの感じはないけど…隠れてるのか?」

 

駆け抜けたその先にRiNGを見つけたユウは周囲にイマジンの気配を感じられないことに不信感を覚えたが、そんなことを考える前にユウはRiNGの入口に飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 

「ついた…!!」

 

「あっ!!ユウさん!!」

 

「2階か…!!」

 

乱暴に扉を開けてRiNGに飛び込んだユウ。

その音を聴いた愛音が2階から声をかけてくると、ユウは正面の階段を一気に駆け上がり―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふっ…!!」

 

「飛んだ!?」

 

ユウは階段の中腹辺りの手すりを足場にして飛び上がり、2階の床の縁を掴むとそのまま片腕で一気に身体を持ち上げて2階の手すりに飛び乗る。

 

そんな彼の常識外れの動きに愛音だけではなく、RiNG内にいた他の客たちの視線を集めていたが、それを気にする様子も無く彼はその真正面にあったカフェの中に不安そうな表情を浮かべた燈を見つけていた。

 

「おにーさん……?」

 

「燈ちゃん!!」

 

燈に名前を呼ばれたユウは手すりから飛び降りて、イマジンの攻撃から彼女を守ろうと一直線に駆け寄っていくが――――

 

 

 

 

「燈ちゃん!!大丈…ぶ…?」

 

 

 

 

 

「この人!!階段じゃないところから飛んできたよね!?」

 

「ユウさん…!?って、何その服!?」

 

「誰?このコスプレ男…」

 

「えっ…?」

 

 

 

 

 

「えっ……?あれ…?燈ちゃんが慌てて、そよちゃんケガしたって言ってたけど…」

 

「えっと…そよちゃんが階段で足を挫いちゃって…」

 

「イマジン出たのかと勘違いしてた……。って、そうじゃないよね」

 

彼の目の前にはイマジンなどおらず、その場にいたのはRiNGのスタッフである香澄と沙綾、

そして、ケガをしたそよと彼女と同じバンドメンバーの立希が驚きの表情でユウに視線を向けていた。

 

その光景を見たユウは固まってしまったが、そんな彼に燈が事情を説明したことでユウの最悪の考えは勘違いだという事を理解してしまい、頭を抱えそうになっていたが何とか再起動してケガをしたそよの足に視線を向けていた。

 

「足を捻ったのは右で………そこまで痛がってるってことは平気じゃないね?救急車とかは?」

 

「えっと…呼ぼうとしたらそよりんが嫌だって言って…」

 

「なんで呼んでないの?それに応急処置もしてないのは?」

 

「おにーさん…その…そよちゃんが大丈夫って言って……やらせてくれなくて……」

 

ユウは痛がるそよの姿に状況を確認したが、彼の後ろにいる愛音と燈が言うには救急車を呼ぶことをそよが断った挙句、応急処置すらも断って我慢していると聞いたユウは慌てた態度から一転して、ツカツカとそよの元へ向かって歩き出していた。

 

 

 

 

「大丈夫です…!!この位大した事は―――」

 

「そこまで痛がってる怪我人の大丈夫は信用できないよ」

 

「おい!!そよに何を…!!」

 

そよはユウが近づいてきたのを見ると大丈夫と言って拒絶したが、ユウは淡々とした口調で彼女の言葉を遮りそよの足に視線を向けると、即座に2人の間に立希が割って入ってユウのことを警戒し始めたが―――

 

 

 

 

 

「―――退け。邪魔だ…」

 

「「「「――――っ!?」」」」

 

「おにーさん…」

 

「ユウさん怖っ…」

 

ユウは怒りの感情を滲ませながら立希に言葉を投げていた。

 

先ほどまでの心配そうにしていた彼とは一転して、その言葉と表情を見たそよ達は得体の知れない恐怖を感じて震え上がり、彼の事を知っている燈と表情が見えない愛音の2人が小さく言葉を漏らしていた。

 

「聞こえなかった?何もしないなら邪魔だから退け」

 

「………ちっ」

 

 

言葉を聞いても退かない立希にユウは先ほど以上に冷たさを感じる口調で言葉を投げる。

すると、立希はその圧に負けて、舌打ちをして強がってみせながら彼の前からズレていくが、ユウは舌打ちをされたことを一切気にすることなく、そよの前に屈んでいた。

 

 

 

「足首の腫れ…典型的な捻挫の症状だね。靴下があるからよく見れないけど、おそらく内出血もしてるかも…沙綾ちゃんと戸山さんは足を固定するための長めのタオルと―――」

 

「ユウさん!!私、タオル持ってますよ!!」

 

「愛音ちゃん借りていいかな?2人は氷を持ってきてもらえますか?」

 

「えっ…?分かりました!!」

 

「そよちゃん、靴下脱がせるよ?」

 

ユウは足の状態を見て即座にに指示を出すと、それを聞いた沙綾達は慌てた様子ながらも言われるがままに動き出していく。

そんな中でユウはそよが履いていた靴下を脱がせて、怪我している足の状況を確認し始めたが―――

 

「そよちゃん…痛そう……」

 

「これ、まともに歩けないでしょ?椎名さん、そよちゃんはちゃんと歩けてた?」

 

「………歩き方がかなり変だった」

 

「だろうね。とりあえず、足を固定するから動かないで…。愛音ちゃん、悪いけど店長さんに救急車呼んで。症状とか処置について話す必要が出たら俺が話すから、燈ちゃん悪いけど、俺と一緒に病院までついてきてもらってもいい?」

 

「ぁっ…はい…」

 

「分かりました!!」

 

 

「えっ…?ちょっと…!!」

 

そうして、ユウの指示の元であっという間にそよの処置を終えて少し経った頃、RiNGまで救急車がやってくると、そよと一緒に処置をしたユウと燈の2人が乗り込んで病院まで付き添ったが――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そよちゃん。しばらくの間、杖付きの生活になっただけで良かったね。放置してたら重症化してたってさ」

 

「おにーさん、その言い方は…」

 

そよが診察を終えて、彼らはタクシーを使ってそよの家までやってきた。

そして、リビングのソファーに座ったそよにユウからの嫌味のような言葉を言われたが、そんな彼を燈が静止するとそよは僅かに顔をユウの方に傾けて小さく言葉を零していた。

 

「……ごめんなさい」

 

「謝るのは俺じゃなくて、目の前で怪我されて一番心配してた燈ちゃん達にだよ」

 

「燈ちゃん、ごめんね…」

 

「ううん…。私は大丈夫だから…」

 

「そよちゃんを家まで送るけど…家に人に連絡した?」

 

そよはユウに対して謝罪したが、彼としてはその言葉を受けるべきは怪我した時に一緒にいた燈達だと指摘すると、素直にそよは燈に謝罪して彼女はそれを素直に受け入れたのを見たユウはそよに家族について尋ねたが、その問いを聞いて彼女は表情を曇らせてしまった。

 

 

 

 

「それが…したんですけど、仕事のトラブルでしばらく家に帰れないって言われて…」

 

「マジか…流石に怪我人を1人にしておくわけにもいかないよなぁ…」

 

あろうことかそよの家族は家に帰れないと連絡を受けたと告げられると、怪我人を1人にしておく訳にもいかないとユウが困った表情を浮かべていたがそのタイミングで燈はとんでもないことを閃いていた。

 

「おにーさんが一緒に居てあげたらいいんじゃ…?」

 

「えっ…?燈ちゃん…?」

 

「ん~…まぁ、俺は大丈夫だけど…デネブさんに話さないと…」

 

「私が伝えておきますから…」

 

「なら平気かな」

 

「えっ…?」

 

 

「とりあえず、晩御飯…かな?時間も遅いから軽いモノでも作ってくるよ。そよちゃん冷蔵庫の物使わせてもらうよ」

 

「おにーさん、私は…?」

 

「医者の人にも言われてたけど、そよちゃんは2-3日は風呂を控えなきゃだから、身体拭いて着替えを手伝ってあげて?俺は30分はキッチンに籠って料理してるから終わったら教えてね?」

 

「わかりました…」

 

彼女が思いついたのはユウがそよと一緒にいること。

確かにゼロライナーで生活しているユウならば、デネブに説明すれば特に大きな問題もない。

それに、燈から連絡をしてもらえるならユウとしては全く問題ではないと、彼は軽くOKを出していた。

あまりの展開のそよが戸惑っていたが、そんな彼女を他所にユウはマイペースに長崎家のキッチンに入り込んで遅めの夕食の準備に入っていた。

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

「燈ちゃんは帰ったよ」

 

「そうですか……」

 

遅めの夕食を終えて燈ちゃんが家に帰ってしまい、この人と2人きりになってしまった事について、私はリビングのソファーに座って色々と考え始めてしまっていた。

 

 

 

 

正直に言ってしまえば自分の家なのに全く休まらない――――

 

ケガをしたのは私の不注意でも、そうなってしまったそもそもの原因はこの人が二葉先輩の母親だとか言い出したせいで…

 

その事があってモヤモヤして注意散漫になって、RiNGの階段を踏み外して足を捻挫したからやっぱり私はそこまで悪くないのではないかと考えていたが、やっぱり謝ったほうが良いのかと色々と考えていたが―――――――

 

 

 

「さっきのミネストローネは沢山食べてたけど、少し余ってるから明日の朝はそれとパンでも焼いて済ませようか」

 

「……そうですね」

 

そんな私を他所にこの人は私の横に座りながら、呑気に明日の朝食の事を話し始めたせいでそんな気持ちが若干薄れてしまった。

 

私の好物という事もあるけれど、先ほど出されたミネストローネは絶品だったから、普段よりも食事が進んだのは仕方ない。

 

でも、この前にRoseliaの友希那さんや燈ちゃん達に対して”身内贔屓”と言ってしまった事が申し訳なくなってしまうほどだったから、その事を謝罪しないと―――

 

「あの…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そよちゃん。みんなに怪我してるのがバレてるのにやせ我慢したらダメだよ。実体験だけど、余計に心配かけるから」

 

「……」

 

そう思ったのに、またこの人は私に対して説教めいた言葉を投げられたことに私はムッとしてしまった。

なんでこの人はこっちが素直になろうとしたら余計なことを言うのだろうかと考えてしまったが、ただの説教ではなかった。

 

「……余計なお世話です」

 

「病院に行くのを断ったのもお母さんに迷惑をかけたくなかったから…ってところかな?」

 

「……父親の事は言わないんですね?」

 

「食器類を見たけど、使い込まれてる箸は2つだけってのと、父親の話をしなかったら……事情は想像つくよ」

 

「そうですね…両親は離婚して母と二人暮らしですから」

 

この人は事情を察しているのにも関わらず、不躾に家族のことに踏み込んできた。

私はそんなこの人に不満な様子を隠すことも無く、家庭の事情を漏らしていた。

 

離婚してるなんて重たい話をすれば、これ以上踏み込んでこないと打算があったが――――

 

「なるほどね。お母さんと2人暮らしだから親に迷惑をかけない様にしていたってところだろうけど……

 

 

 

でも、親がいるんなら頼ってもいいんじゃない?」

 

「……どういう意味ですか?」

 

その言葉を聞いて何故かこの人の目は私の事を羨ましがるような視線を向けてそんな言葉を口にしていたが、その意味が全く分からなかった。

思わずその言葉の意味を聞いてしまったが――――

 

 

 

 

 

 

 

「俺、3歳くらいで両親と姉―――血の繋がった家族と会えなくなったからね?しかも、俺の事を忘れてるってオマケ付きで」

 

「……っ!?」

 

返ってきた言葉とその表情を見た私は言葉を詰まらせてしまった。

 

小学生の頃に離婚した私の家庭はかなり悲劇的な物だと自負があったけれど、それ以上に悲劇的な人が目の前にいたことに驚きを隠せなかった。

 

「……なんでそんな平気そうなんですか?」

 

「色んな所に行って出会いとか別れとかに慣れちゃったってのもあるんだろうけど、俺のことで真剣になってくれた人がいたから…かな?」

 

「………」

 

「血の繋がってない人達でもそうだったんだから、そよちゃんのお母さんはもっと真剣になってくれるはずだよ」

 

平気そうにしていた理由を思わず聞いたが、その答えの理由を考え始めてしまった私にその人は私に優し気な視線を向けながら、呑気に頭を撫でてきた。

 

 

 

 

普段だったら嫌がるはずなのに、不思議と全然嫌じゃない。

それどころか頭の上のある彼の手は、幼い頃に父に撫でられた感覚と重なって妙な安心感を

憶えてしまい、そんな安心感を憶えてしまった私はケガによる疲労が襲い、それに加えて目の前の彼に対して警戒心や緊張感が解けてしまったことも相まって、身体から一気に力が抜けていくような感覚と共に徐々に体が倒れこんでしまったが―――

 

 

 

 

 

 

 

「ぁ……」

 

「おやすみ―――」

 

意図せずに私の頭は彼の膝の上へと落ちると、彼はその事を咎める訳でもなく起きていた時と同じように私の頭を撫で、膝と手の温かさを感じなながら意識が徐々に落ちていく中で聞こえた優しい言葉を最後に私は意識を手放してしまうのだった。




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感想評価は気分次第でお願いします。

こいつ、サラッと生身でパルクール染みた変態機動しとる…
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