忘却の唄・消えかけのアルタイル   作:ツナ缶マン

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おはよーございます!!
ギャグパートに始まり、バトルで現実に戻ってきたら…
最後はやっぱりこうなるんやね…!!
主人公可哀そう…って感じで本章完結です…!!
どうぞ…!!


71話-絶望のゴールを振り切って―――

「始めまして、Morfonicaです!!うちの学校にバンドをしてる奴が出てきたって、注目してくれたり―――」

 

月ノ森音楽祭のステージに初めて立ったMorfonicaのメンバー達は透子のMCを耳にしながら彼女達は緊張の表情を浮かべていた。

それでもこれからの演奏に集中しようとしていた面々だったが、そんな中で突如としてつくしの中から何かが飛び出した。

 

「なんだ…ここ…?」

 

 

 

「「「「えっ…?」」」」

 

「えっ!?何これ!?あたし聞いてないんですけど!?」

 

飛び出してきたのは未来からやってきたウルフイマジン。

訳の分からない物が飛び出してきた状況を前にして、観客の生徒達はおろか壇上の面々も状況がまるで呑み込めずに場内は完全に静まり返るが、そんな中でイマジンは動き出した。

 

 

 

 

「おらぁ!!」

 

「えっ……?」

 

イマジンが壇上の上に居たましろの首を撥ね飛ばしていた。

目の前で人間の首が飛ぶ光景に一同が固まってしまったが、イマジンはましろの首を撥ねてすぐに観客席にいる生徒達目掛けて斬撃を飛ばし、斬撃が直撃した生徒達から流れ出た鮮血が会場を赤く染め上げる。

 

その光景を前にパニックを起こして我先に逃げようとする者、血を噴き出しながら倒れる親しい知人の姿に卒倒する者、反応は様々だったがそこに生徒や教師と言った差はなかった。

 

 

 

イマジンは今の一瞬で音楽祭を悲劇の会場へと変えてしまった。

 

「「「うっ…」」」

 

「何なの……これは……」

 

会場の人間の殆どはイマジンの姿しか見えておらず逃げ出せていたのだが、壇上に居たましろ達はイマジンの手で人が惨殺される光景を直視してしまっていたせいで完全に恐怖で身体が動かなくなってしまっていた。

 

そんな中で、逃げる生徒達を他所にイマジンは壇上で固まったままの透子達に顔を向けていた。

 

「今度はてめぇらだ…!!」

 

 

 

「「「ひぃ…!!」」

 

「「……っ!?」」

 

参上を作った目の前のイマジンの口から次の標的だと宣言された事で完全に恐怖で動けなくなってしまった。

そして、彼女達に対してイマジンが剣を振り降ろそうとしたその瞬間――――

 

 

 

 

 

「らぁああ!!」

 

「がぁああ!?」

 

突如として壁の一部が崩壊し、そこから飛び出してきた何かがイマジンの身体に衝突するとイマジンが悶絶するような声を挙げながら吹っ飛んでいく。

 

状況について行けなかった面々は吹っ飛んだイマジンの方に視線を向けると、彼女達の目には一台のバイクとそれに乗ったゼロノスの姿が飛び込んできた。

 

「バイク…?何がどうなって……?」

 

 

 

 

 

「あなた達、大丈夫?」

 

「えっ!?あなたは…Roseliaの湊さん!?何でここに…!?」

 

完全に状況について行けてなかった彼女達に対して、この場にいるはずのない友希那が出てきたことが更に彼女達の混乱を増長させていく。

そして、そんな中でゼロノスはバイクを降りると、観客席に残っていた唯一の生存者へ向かって歩き出していた。

 

「ひぃ…っ!!」

 

 

 

 

「そよちゃん…」

 

「えっ…?」

 

観客席に残っていた唯一の生存者であったそよは他の生徒の血で顔を汚して、ゼロノスが血の上を平然と歩いて向かってくる姿に自分が殺されるイメージが思い浮かべて恐怖の表情を浮かべていた。

しかし、そんなそよのイメージとは対照的にゼロノスは彼女の名前を呼んだことに困惑していたが、ゼロノスは彼女の顔に着いた血をどこからか取り出した懐紙で拭ってから彼女の脇に両手を入れてそのまま立ち上がらせていた。

 

「えっ…?えぇ…?」

 

「大丈夫…後はパパに任せて?早く逃げて?」

 

 

 

 

「えっ…?えぇ…?」

 

「「「「えぇ!?」」」」

 

「……あなた達も早く逃げるわよ」

 

「シロちゃんが…」

 

「いいから…!!」

 

思わぬ行動に困惑するそよだったが、そんな彼女に対してゼロノスは彼女の頭に撫でながら宥めるながら出口をそっと指差して逃げるように促すと、壇上に居た友希那も未だに壇上に固まっていた透子達に逃げるように促すとそれを聞いた彼女達は何とかこの場から逃げ出す。

 

そして、透子たちがこの場を逃げ出したのと入れ替わるように吹っ飛ばされたイマジンが吹っ飛ばされた壁からゼロノス目掛けて突撃してきていた。

 

「てめぇ!!」

 

「……犬が調子乗んなよ?」

 

「どっちが調子乗ってんだ!!」

 

イマジンは怒りと共に剣を振り下ろすが、ゼロノスは身体を軽く捻るだけで攻撃を容易く回避して見せた。

その動きに苛立ったイマジンだったが、相手は最後に逃げようとしていた友希那を視界に捉えていた。

 

「バカが!!のろのろとこんな場所に出てきやがって!!」

 

「っ…!!」

 

「死ねぇ!!」

 

「デネブ!!」

 

「任された!!」

 

「なぁ!?」

 

イマジンは友希那目掛けて斬撃を飛ばしていたが、ゼロノスがデネブの名を呼ぶと友希那から砂が噴き出して実体化して、イマジンの斬撃を容易く身体で受け止めてみせた。

 

今の斬撃で確実に友希那を倒せると確信していたイマジンはいきなり現れて攻撃を防いだデネブとゼロノスに怒りを向けていた。

 

「てめぇら!!さっきから汚ねぇぞ!!」

 

「無関係の人間を襲うお前が言えることじゃない…!!」

 

「そう言う事だ……」

 

「くそっ!!契約者の知り合いの大人から服とか道具を奪って部屋にばら撒いたとこまでうまく行ってたのに…!!」

 

「むっ…?何のためにそんな…?」

 

「こんな所でやられてたまるか!!」

 

イマジンは怒り任せに叫ぶがあっさりとデネブとゼロノスから反論されると、自身の危機を察してこの場から逃走するために背を向けて入口に駆け出そうとしていたが、それを見逃す二人ではない。

 

「逃がさん!!」

 

「背中から撃つなんてセコイマネしやがって…!!」

 

「当たってないからズルくない!!」

 

 

―――Full Charge―――

 

デネブは入口目掛けて自身の指から弾を撃ってイマジンの逃げ道を塞ぐ。

その行動にイマジンが吼えるが、デネブとしては攻撃が当たってないからズルではないと真っ向から反論していたが、そんな中でゼロノスはゼロガッシャーをサーベルモードに組みながらベルトのカードをゼロガッシャーに装填して構えていた。

 

「これ…決まりだ!!」

 

 

 

「なぁ!?俺がこんなところで…!!」

 

ゼロノスはそう言いながら剣を振り下ろすとそこから放たれた斬撃はイマジンの胴体部を横一文字に切り裂き、その状況が受け入れられなかったイマジンは思わず絶叫するも、すぐさまその身体が2つに別れ、別れた身体がそれぞれ爆発していた。

 

「どうやらグリムだったな……」

 

 

 

 

「何を言ってるの?」

「何を言ってるんだ?」

 

「なんでもないよ…。それじゃ、燈ちゃんもゼロライナーで待ってるし、帰ろうか…」

 

その爆発が収まってイマジンが完全に消えたのを見届けてゼロノスは思わず呟いていたが、デネブと友希那の2人からのツッコミを聞き流しながら、燈の待つゼロライナーに乗って現在へと戻っていくのだった。

 

 

 


 

元の時間に戻ったユウ達3人はレイヤの部屋を目指して歩いていた。

そして、彼の手にはそれなりの量の荷物が収まっていた。

 

「あなた、レイヤの部屋に行くのかしら?」

 

「ん~…憶えてるか分かんないけどね…まぁ、忘れられててもゆきちゃん達の知り合いってことで何とかなるでしょ」

 

「なるんですかね……」

 

「それにあの部屋の状態だと碌にご飯食べてないだろうから作んないとね?にゃむちゃんにもお願いされてたし…」

 

「あなた、そのせいでレイヤが堕落しているのよ?」

 

「ゆきちゃん?自分だって料理できな―――って電話だ……」

 

彼はレイヤの部屋で彼女の料理を果たすため、食材を買い込んでいた。

その事で友希那が彼に突っ込んでいたが、このタイミングで彼のスマホがなると彼は荷物を持ったままスマホを手に取って電話に出た。

 

 

 

「もしも―――」

 

『ユウさん!!どこ行っとるとですか!!』

 

「あぁ、にゃむちゃん?」

 

『何呑気な事言いよるとですか!!レイヤ先輩が大変たい!!』

 

「うん。一旦落ち着いて?お国言葉出てるから」

 

電話の相手はにゃむ。

ユウは彼女が自身の事を憶えていたことよりも、地元の方言が止まらなくなるほどに慌ててる方が気になってしまい、何とか彼女を宥めてようとしていたが――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

『レイヤ先輩が!!起きたと思ったら、”お腹空いた”とか言って着替えもしないで冷蔵庫に入ってたバターにマヨネーズと砂糖をかけてホットミルクをお供に齧り始めてるんですよ!!』

 

「はっ…?」

 

『レイヤさ~ん!!そんなの食べたらお腹壊しちゃいますよ~!!』

 

『大丈夫、ベース弾いて歌えば健康になれるから』

 

『ダメです~!!』

 

「地獄ね……」

 

「あれ…これ……まさか……」

 

レイヤが起きた。

ここまでなら良かったが起きて早々にとんでもないものを食事と言って食べ始めてると告げられたことにユウは驚いたが、にゃむの電話の向こうから漏れて来る声を聴いた友希那達は戦慄している横でユウは嫌な想像が頭をよぎってしまった。

 

そして、彼が考えている通り地獄はこれだけでは終わらなかった。

 

 

「あれ…そよちゃんから電話…もしも―――」

 

『燈ちゃん!!パパと一緒にいるの!?』

 

「えっ…ぁ……」

 

『燈ちゃん!!パパを返して!!』

 

『中島さん、早く戻って私のバイオリンのメンテナンスをお願いします』

 

「Oh……」

 

今度は燈のスマホにそよからの着信だったが、彼女からの第一声はパパ―――ユウのことを聞かれ、その後ろからは瑠唯がユウにバイオリンのメンテナンスを急かす声が聞こえてきたことで、思わずユウの口から英語が飛び出してしまったが、友希那はここであることに気がなって声をあげていた。

 

 

 

 

「ユウ、なんでこうなってるのよ?もう終わったんじゃ…?」

 

 

 

イマジンを倒して時間が元に戻った。

それならばユウと彼女達の関係は元に戻っているはずだと友希那がユウ達に聞こえるように声を挙げたが、この理由は簡単だった。

 

「あっ…2人ともおにーさんがやったから…」

 

「燈ちゃんの言う通りだよ。3人がこうなったのはイマジン関係ないからね…どうしろって言うんだ…」

 

『パパ!!早く帰って来て!!』

 

『ユウさん!!レイヤ先輩を何とかしてください!!』

 

「自業自得じゃない」

 

にゃむとそよと瑠唯。

3人から詰められるユウは思わず頭を抱えてしまったが、これは完全にやり過ぎたユウの自業自得だと友希那に正論を叩きつけられてしまった。

 

確かにユウが最初につくしの事を小学生だと言わなければこんなことになっていなかったし、その後にレイヤとそよの世話をしなけばこんなことになっていなかったかもしれない。

 

「そうだけど…納得出来ない!!」

 

「あれ…?友希那さんが原因を作ってた様な…?」

 

しかし、ユウはこの扱いに余りにも納得が出来ず声を挙げてしまったが、燈はそんな2人の横でこうなった原因の一端は友希那がレイヤ達3人に啖呵を切っていた事だと言うのを思い出していた。

だが、それは誰の耳にも入ることはなかった。

 

『レイヤさん!!とにかくそれはやめてくださ~い!!」

 

『ユウさん!!レイヤさんが肥え太った豚みたいになったら責任問題ですよ!!』

 

「うん。それ俺が責任取れる問題じゃないよね?」

 

 

 

 

『パパ!!帰ってきたら罰としてこれからは一緒にご飯食べて、一緒にお風呂入って、一緒に寝るからね!!』

 

「後の2つは無理かな~…。そよちゃんの年齢的にも不味いし、一緒にいるゆきちゃんと燈ちゃんが凄い目で見てくるし……」

 

『そよりん、それじゃまるで夫婦みたい…』

 

『愛音ちゃん…そうだ!!私がパパと結婚すればいいんだ!!』

 

『そよの奴、バカになったんじゃないか?』

 

 

 

『中島さん。早くバイオリンを作ってください。場所なら広町さんのアトリエがありますから』

 

『あれ?るいるい…?どうして広町が巻き込まれてるのかな……?』

 

『……流石に過労死するんじゃね?』

 

『だったら、私が二葉さんの母親になります…それならいいですか?』

 

「八潮さんも落ち着こうか?同級生の母親って頭悪いこと言ってるし、二葉ちゃんが気にしてたのに追い打ちかけないで?」

 

ユウに対して怒涛の要求が繰り広げられていた。

どれもこれも出来ない事ではないが、流石に全てを同時にこなすのは不可能。

出来ることは多いが彼1人では同時に出来ることには限界であり、どうしようかと考えていた。

 

「こうなったら優先順位をつける…?普通に考えれば怪我してるそよちゃんだけど…」

 

『パパ!!……大好き!!』

 

 

『ユウさんってやっぱり、年下にパパと呼ばせるのが好きなんですか?』

 

「にゃむちゃん?俺を社会的に殺したいのかな?…でも、一番の要介護が必要なのは和奏さんかな…?」

 

『ユウさん…っ!!そうですよ!!あの惨劇見たら誰だってそう思いますよ!!』

 

 

『中島さんはそうやって女性を堕落させて手籠めにするんですね?」

 

「八潮さん、そんな趣味ないんだけど?…そうなると時間かかるのは八潮さんの方が…」

 

『中島さんなら分かってくれると思ってました…』

 

 

『パパはおっぱいおっきい人が良いんだ…!!』

 

「……」

 

同時に出来ないと考えて順序を考えようとするも、誰かの名前を言えば別の所から刺のある言葉が飛び出して完全に八方塞がりになるユウは完全に言葉を失ってしまった。

 

『パパ…!!』

 

『ユウさん!!』

 

『中島さん…!!』

 

どう転んでも地獄ならばどうすれば良いのか?

答えは簡単―――――――

 

「絶望が俺のゴールだ……」

 

「ちょっとおにーさん…!?」

 

 

「今からしばらくゼロライナーに引き籠る!!」

 

「「逃げた……」」

 

ユウは燈からスマホを取りあげると、自身と燈にかかってきた電話の両方を同時に切るとそのままスマホの電源まで落とした。

いきなりの行動に驚いた燈だったが、ユウはすぐにスマホを返しながらとんでもないことを口走っていた。

 

確かにゼロライナーは完全に安全地帯。

だが、そこに逃げたところで事態は悪化するだけでどうしようのないのだが、今のユウには誰にも邪魔されずにクールダウンする時間が必要だったのだ。

 

しかし、その言葉に友希那と燈がツッコんでしまったが―――

 

「よし!!今日の晩御飯は気合い入れて作ろうかな!!」

 

「…仕方ないわね」

 

「おにーさんが良いなら…」

 

2人はユウが作る晩御飯に買収されて、ユウ達3人は地獄のような現状から逃げるべくゼロライナーに逃げ込んでいく。

 

 

 

―――ちなみにその晩飯の味は友希那達から好評だったが、そのメニューは2人のバンドメンバーの好物である筑前煮と抹茶だったのは単なる偶然だったことは取るに足らないことであった。




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