忘却の唄・消えかけのアルタイル   作:ツナ缶マン

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おはよーございます
前回の続きになります。
この杉田お茶目すぎるな…
と思いながら初投稿です


Gast01-2_その羽はどうしてやって来たのか?

新しい敵―――ファンガイアの逃亡を許してしまったユウ。

 

彼は友希那と燈、そこで出会ったユウの過去を知る1匹を連れて、一度ゼロライナーのへと引き返していた。

 

「キバットさん、あのファンガイアは何なの?それ以外にも色々と聞きたいことはあるけど…」

 

「ユウ、色々と聞くのはいいが…とりあえずお茶をどうぞ」

 

「紅茶か……。うむ…良い香りだ…」

 

「気に入ってもらえて何よりだ。ストローあったほうが飲みやすいだろうか?」

 

「いらん…」

 

「ぇ……ぁ……」

 

「ユウ?…その蝙蝠モドキは……?」

 

ゼロライナーに戻って早々にユウがキバットに色々と聞こうとしたが、そんな彼に割って入る形で紅茶を差し出すと、キバットは羽根を器用に使ってカップを持ち上げて香りを堪能していた。

そんな光景が繰り広げられていたことに友希那達は言葉を失っていたが、この状況で何とか言葉を捻り出したのだが―――

 

「貴様…」

 

「キバットさん。こっちが悪かったから落ち着いて…」

 

「ふんっ…小僧に免じて許してやろう」

 

「偉そうね…」

 

「友希那…落ち着いて…」

 

「ぁ…それでその……おにーさんとは…どういう?」

 

その言葉がキバットの琴線に触れたも、爆発する前にユウが何とか宥めたがキバットは不遜な態度を崩さない様子に友希那は余計な一言を漏らしてしまうも、これ以上空気を悪くさせないようにデネブが宥めながら燈が話を変えた。

 

しかし、燈の言葉にユウは困った表情を浮かべていた。

 

「えっと…その……」

 

「小僧、何を言葉に詰まらせているのだ?」

 

「いや…なんかなんていうか…魔族を指すときの3人称ってどうしようかなって思って…人

じゃないし、なんて言えばいいのかなって…」

 

 

「…下らん。もういい。自分でやる」

 

ユウは2人にキバットの事を説明しようとするが、この世界に喋る蝙蝠―――改めて”魔族”などという存在は創作物の中でしかいない。

そんな存在を説明するのにユウはどうやって呼ぶべきかと考えていたのだが、キバットは呆れた表情をユウに向けていた。

 

「俺の名はキバットバットⅡ世。13の魔族の内の1つキバット族の者だ」

 

「すっごい端折って言うと、元の世界ではキバット族って分類される魔族で、その中での名門…分かりやすく言えば貴族みたいな感じかな?」

 

「貴族……凄い」

 

「小娘。もっと敬っても構わないぞ」

 

 

 

「魔族…?キバット族…?」

 

キバットの簡単すぎる自己紹介にユウが簡単に説明を付け足す。

その説明にあった”貴族”と言う言葉を聞いた燈が漠然と凄いと思いながらキバットに視線を向けると、その視線を感じたキバットは自身が上に見られていることに満更でもなさそうな対応を見せていた。

しかし、そんな彼女達に対して友希那は既に説明についていけずにパンク寸前になってしまっていた。

 

「魔族って言うのはキバットさんのいる世界では13の種族の事で、キバットさんのキバット族と、さっきあこちゃん達を襲ってたファンガイアと…人間も魔族の1つだよ」

 

「えっ…?」

 

「……ユウ、何であこ達が襲われてたのかしら?」

 

「簡単なことだ。ファンガイアにとって人間などライフエナジーを捕食するための食料程度にしか認識していないからだ」

 

「「えっ?」」

 

「キバットさん達の世界ではそう言う認識で、ファンガイアは生きた人間の生命力を餌にしてるってこと。

人間も肉とか魚とかの生き物の死骸からエナジーを吸収してるから魔族って扱いらしいんだけど……まぁ、その辺のお話はまた時間があるときにするとして……」

 

ユウがそんな彼女に簡単に説明するもその説明が逆に友希那達を混乱させてさせていた。

だが、今一番重要なのはそんな話ではなく―――

 

 

 

 

「キバットさん、本来この時間軸に存在しないはずのあなたがどうしているんですか?」

 

「そうだな。それとあのファンガイアについても聞きたいが…」

 

「……」

 

一番重要なのは”存在しないはず”のキバットとファンガイアがこの時間軸に存在する理由。

それを知っているユウとデネブはキバットに問いかけると少しだけ考えるような素振りをしてからその理由を語るために口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「知らん」

 

「「「えっ……」」」

 

「…来る前に何をしていたんですか?」

 

だが、キバット自身すらこの時間軸に流れ着いた理由を理解出来ていなかった。

その言葉に全員が驚いていたが、ユウはすぐに我に返って彼がこの時間軸にやってくる直前の出来事を尋ねると、何気ない様子でその時のことを語り始めていた。

 

「あれは…未来から来た孫のⅣ世達と共に未来に渡ってネオファンガイアを名乗る者たちと戦いを終えて現代に戻った直後の事だった―――」

 

「Ⅳ世…?」

 

「ゆきちゃん、すいません続けて下さい」

 

「うむ…。現代に戻った我々はⅢ世達の屋敷に赴いたのだが、そこに先ほどのファンガイアが侵入していてな。

そこから逃げ出し、あやつが逃げ出したその先に出来たの穴に飛び込んだのを追いかけていたら先ほどの街の中に出てきたのだ」

 

「…その穴ってどういうものでした?」

 

「そういえば、その穴は未来から来たⅣ世達が来た時に見たものと同じものだったな…」

 

「あれ…?」

 

 

「燈ちゃん?」

 

「小娘、話してみろ」

 

どうやらキバットは先ほどのファンガイアを追いかけて気が付けば街の中に居たらしいのだが、その会話に燈が首をかしげていた。

そんな様子の燈にキバットが気になることを尋ねると、彼女はおずおずと言った様子でその疑問を口にしていた。

 

「ぇ…ぁ…その…未来と繋がってるの穴と同じものって言ってたのにどうしてここに来たんだろうって…」

 

「……そういえば、あの人間族の鎧の攻撃が当たっていたな。

なるほど、それが原因で時間移動ではなく、別の時間軸に飛ばされたと言う訳か…」

 

「何やってんだよ名護さん!?

 

…とりあえず、名護さんはいつか会った時に〆るとして…。キバットさんはなんであのファンガイアを追いかけてきたんですか?そこら辺のアクアクラスを相手にキバットさんがそこまでムキになる理由が分からないですけど……」

 

疑問の答えを聞いたユウは今回の騒動になった原因を理解してしまい、しかもその原因は彼の知ってる人物によるものであった事に声を挙げてツッコんでいたがすぐに元に戻って別の疑問を聞いていた。

 

皆がファンガイアを追いかけていたと言っていたが、先ほどのファンガイアは彼らの時間軸にいる並程度の存在を相手に全員でそのファンガイアを追いかける意味が理解出来ず、その上キバットが謎の穴に飛び込んでまで追いかけるほどの理由が分からなかった。

 

だが、そのことを聞いた途端にキバットは怒りの表情を滲ませながら、その追いかけてきた理由を叫んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

「あやつはあの人間と真夜が作ったバイオリンを盗んだのだ!!」

 

「はぁ!?ブラッディローズを盗んだ…!?」

 

「ユウ、何故そのバイオリンを盗んだのかしら?全く理由が分からないのだけれど」

 

キバットの言葉を聞いてユウが目を丸くして驚いていたが、キバットがここまで動く理由も納得することが出来た。

だが、外野になってしまっている友希那や燈、デネブは全く理解できていないが、そんな3人に対してユウはそのバイオリンについて話始めていた。

 

「えっと…俺にバイオリンの制作とか教えてくれた音也さんと真夜さんの2人で作ったバイオリンなんだけど」

 

「あのバイオリンは特別なもので、ファンガイアが暴れたりすると音を出すのだ」

 

「…つまり、それを盗んでしまえば人間を襲っても気づかれないと言う訳だな」

 

「デネブさん。大体正解だと思うよ」

 

「特別な楽器……。思い入れのある楽器なのは分かったけれど、どこに繋がるか分からない物に飛び込んでまで取り返そうとする必要があるのかしら?」

 

話を聞いたデネブがファンガイアの目的を言い当てて見せるが、その話を聞いた友希那はいくら思い入れのある楽器と言えどもそれを危険を承知で取り返そうとしたことに疑問を感じたが――――

 

 

 

 

 

「あの人間の遺したものだからな」

 

「まぁ…形見だからね」

 

「……ごめんなさい」

 

「キバットさん、とりあえず俺も取り返すのを手伝うよ」

 

「すまぬな」

 

特別なものだというのは分かったのだが、それが形見であるなど微塵も思ってはいなかった友希那はキバットとユウの言葉を聞いて友希那は顔を青くすると即座に謝罪をした。

そんな友希那を手で制したユウはキバットの方に向き直っていた。

 

「それで、こっちに来たファンガイアはアイツだけでいいの?」

 

「先ほど見つけたアレ以外にはいない。1体だけならば小僧の嗅覚で探せるはずだ」

 

「…モモタロスに仕込まれたのが役立ってよかったよ」

 

 

「ユウ。ただ見つけるだけじゃダメじゃないかしら?バイオリンも一緒に見つけないといけないし」

 

ユウはキバットの手伝いをする事を決めた。

彼にとってはファンガイアを見つけること自体は簡単なのだが、友希那の言うようにただファンガイアを見つけるだけではなく、相手が盗んだバイオリンも一緒に見つけ出さなければいけない。

 

しかし、ユウはバイオリンの方をそこまで気にはしていなかった。

 

「それなら問題ないと思う。あのバイオリンは完成度もだけど、見た目もかなり特徴的だからバイオリンの蒐集家は間違いなく飛びつくものだからね」

 

「なるほどな…。バイオリンを餌にして、捕食される人間の方から来てもらうならば先ほどの様に街中で襲い始めるよりもリスクが少ないと言う訳か。あやつはかなり消耗していたが危険を冒してまで捕食する程ではなさそうだったな」

 

ユウとキバットの1人と1匹は今の状況と相手の動きを考えて策を練ると、ユウはおもむろに立ち上がって話を終わらせることにした。

 

「そう言う事だから。食事してから俺が探しますよ。それで何食べます?」

 

「俺はスイカが食べたい」

 

「キバットさん、スイカの時期はまだ先だけど…探せばあるかな…」

 

ユウはキバットの言葉を聞いて困ったような表情を浮かべて客室を後にした。

そんなユウを見送ったキバットは感慨深そうな表情を浮かべて彼の背中を見送っていた。

 

 

 

「あの小僧も時間が経てば随分と変わるものだ」

 

「コウモリモドキ、あなたユウの過去を知ってるのね?」

 

「断る。…娘、口の利き方には気を付けるべきだな」

 

「あの……昔のおにーさんの事を教えてくれませんか?」

 

「…よかろう。食事が来るまでの間だけなら話してやろう。ありがたく思え」

 

友希那はユウの過去を知っているキバットに聞こうとしたが、キバットは友希那の態度に一度拒否をした。

しかし、燈からのお願いされたことでキバットは少しだけ考えるような素振りをするとユウの過去について語り始めるのだった。





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