忘却の唄・消えかけのアルタイル   作:ツナ缶マン

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おはよーございます
お茶目すぎるのから一気にダークにお届けします。
という事でどうぞ…
次回で盤外終わらせたいんじゃ…


Gast01-3_過ぎ去りしモノへの哀歌

 

1986年―――

ファンガイア族の頂点である”キング”が倒されたことで彼らの活動は一時的に沈静化した―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐっ…!!」

 

「ちっ…どけ、キバット族…!!」

 

はずだったのだが、一部のファンガイアは闇に紛れて活動を続けており、その内の1体のファンガイアがキバットバットⅡ世と対峙していた。

 

本来ならば2つの種族は同盟関係。

争うことは無いはずなのだがこのファンガイアにそんなことはどうでもよくなるほどに重要な目的があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「てめぇがキングのガキとクイーンの居場所を知ってることは分かってんだ…!!」

 

「蛾ごときが身の程を知れ…貴様に真夜の事など教える訳がないだろう……」

 

「黙れ!!さっきの人間みたいに生まれたばかりのキングのガキを殺して俺が新たなキングになるんだ…!!」

 

このファンガイアの目的は生まれたばかりの新たなキングとクイーンの身柄。

 

このファンガイアは生まれたばかりの幼いキングを消した後にクイーンを手中に収めることで自身が新たなキングになることを目論んでおり、クイーンこと真夜の居場所を知っているキバットを襲撃した。

 

キバットはファンガイアへの抵抗でかなり消耗していたが、ファンガイアもキバットを襲撃していた際に発生した予想外の戦闘が発生したことで体力を大きく消耗していたのだが―――

 

 

 

 

「………」

 

「人間のガキじゃねぇか……」

 

そんなタイミングで戦いの場に不釣り合いな少年がフラフラとした足取りでその場所に歩いてきていた。

ファンガイアはその少年を見て獲物がやってきたと喜んでいたのだが、キバットはその少年を見て困惑していた。

 

――――着ている服はなんの変哲もないただの人間の子供用のモノ。

それにも関わらず、その少年の空気は明らかにただの子供のそれではなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだ……?その精気の感じられない絶望に染まった虚ろな目は……」

 

キバットが気になったのは彼の顔。

特のその少年の目はまるでこの世の中に絶望したような表情を浮かべていたが、特に目を引いたのはその少年がまるで光を見ていないかのような濁りに濁った瞳。

 

 

この世に生を受けて長い年月を過ごしてきたキバットでも、絶望に染まった虚ろな少年など今まで見たこともなく、そんな少年を見た彼の動きが止まってしまった。

そんな隙をファンガイアは見逃さなかった。

 

「死ねっ…!!」

 

「しまっ―――!?」

 

動きが完全に止まったキバットにファンガイアはいつの間にか持っていた剣を投げつけていた。

飛んできた剣自体には気が付いたが、今からでは回避が完全に間に合わない。

そう察したキバットは剣の衝撃に備えたが―――

 

「ぐっ!?」

 

「なっ!?」

 

キバットは自身を襲った衝撃に言葉を漏らしたが、ファンガイアは目の前の光景に驚きの声を挙げていた。

 

それもそのはずキバットには剣が当たることはなく、キバットを襲ったのは少年が咄嗟にキバットを掴んで地面に転がって剣を避けた光景だったからだった。

 

「小僧、死にたいのか?」

 

「…大丈夫?」

 

「……貴様の腕と違ってケガはない」

 

キバットは自身を抱えた少年に声をかけてしると、今まで無言だった少年は彼の質問を無視して質問していた。

は意図せずに助けられたことと子供の無礼だという事もあってキバットが質問に剣が掠めた少年の腕の傷を見ながら答えると、少年は自身も質問されたことを思い出してキバットの質問に答えていた。

 

「僕はいいよ……生きてちゃダメみたいだから……」

 

「何…?」

 

「ねぇ…この大人の服はどうしたの…?」

 

「青空の会とか言う人間だ。抵抗してきたが…餌にしてやった」

 

少年の答えに疑問を持ったキバット。

しかし、その事を尋ねる前に少年は自身の目の前の地面に転がった大人物の服を指差しながら質問をすると、今度はファンガイアの方が少年の質問に答えていた。

 

「可哀そう……」

 

「そうか…」

 

その答えを聞いた少年はキバットを放して落ちた服を掴んだが、ファンガイアはそんな少年の背後に回って首根っこを掴んでその少年を持ち上げていた。

 

「だから、てめぇも餌になるんだよ」

 

「……」

 

ファンガイアは持ち上げた少年に餌だと告げると、エナジーを捕食するための牙である”吸命 牙”を出現させてゆっくりと少年の身体を貫こうとしたが―――

 

「がぁああああああああ!?」

 

「なっ!?」

 

「……」

 

 

 

 

 

「人間の剣の破片…。あれで目を抉ったのか…」

 

如としてファンガイアは少年から手を放すとすぐに自身の両眼を抑えるようにしながら蹲り始めた事に最初は何が起こったのか分からなかったキバットだったが、その答えは少年の手の中にあった。

 

それは先ほどファンガイアに捕食されて絶命した人間が使っていた武器の一部。

少年はそれを手に持ってファンガイアの目を抉り取って見せていた。

それにも驚くがそれ以上に驚きなのは、自分の手が切れることなど構う様子もなければ、痛がる様子もない。

 

キバットはそんな少年に興味を持ったが、ファンガイアは地面に蹲りながら憤慨していた。

 

「て゛め゛ぇ゛…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前も僕と一緒で生きてちゃいけないやつだったんだ…」

 

「くそがあぁああああ!!」

 

地面に蹲ったファンガイアは捕食した人間との戦闘とキバットとの戦闘のダメージが残っていたこともあり、少年が目を抉ったその攻撃が完全な致命傷になってしまい、断末魔をあげながらガラスが割れるように身体全身が砕けてその命を終えることになってしまった。

 

「小僧…」

 

「……」

 

「っ!?貴様…!!」

 

今までの戦闘のダメージがあったとはいえど、致命傷を与えた少年に驚いていたキバット。

 

しかし、ファンガイアが消滅する景を前にしても少年は虚ろな目をしたままで、呆然としながら手に持ったままの刃を見つめるとそれをそっと自身の首へと当てようとしていた。

キバットはその少年の姿を見ると、そのまま彼が剣を持っていた手に噛みついた。

 

いきなりの状況に少年はその剣を落としてしまうと、虚ろな目をキバットの方へと向けていた。

 

「なんで…?」

 

「不本意とはいえど助けられたからな……」

 

「僕は生きてたらダメみたいだから……」

 

「…貴様に何があったかは聞かん。だが、助けられた人間に目の前で死なれるのも目覚めが悪い……」

 

「……どうするの?」

 

「知っている人間の所に行く。案内するからその通りに進め」

 

キバットはそう言ってユウの頭の上に止まると、少年はその指示に従って彼が唯一信頼している人間である紅音也が住まう屋敷まで歩いていくのだった。

 


 

「これが俺と小僧が初めて会った時の話だな」

 

「「……」」

 

「どうした?…貴様らが聞きたいと言ったことだぞ」

 

キバットは自身とユウが初めて出会った時のことを語った。

しかし、その語りを聞いていた2人は完全に言葉を失ってしまっていたが、キバットは目の前にいる2人の態度に不満そうな表情を浮かべるも、2人からしたら当然のはんのうでしかなかった。

 

「いえ……その…本当にユウなの…?」

 

「当然だ…。最初にあった時はこの世の中に絶望したような表情だったが、しばらくして多少ながらもマシになったな」

 

「今のおにーさんと…全然違う……」

 

「その通りだな」

 

2人が知っているユウはいつもは飄々として面倒見も良くて優しい人間で、決してこの世の中に絶望して虚ろな目で自殺未遂などするような人間ではなく、余りのギャップに頭が痛くなり始める2人を他所に客室の扉が開いた。

 

「お待たせ~」

 

「料理が出来たぞ~…おや?どうしたんだ?」

 

「何かあったの?」

 

開いた扉からは料理のために客室から離れていたユウとデネブの2人が料理を持ちながら客室へと戻ってきたが、ユウとデネブは客室内に居た友希那達の様子にすぐに気が付いた。

 

「気にするな。小僧の昔話を聞かせただけだ」

 

「そうですか…。あっ、キバットさんのリクエストしたスイカがありましたよ」

 

「季節早いから味がちょっと悪いかもしれないが……」

 

「そうか。多少の味が悪いのは我慢するとしよう」

 

「ゆきちゃん?燈ちゃんも食べよ?」

 

「えぇ……」

 

「はい……」

 

ユウの過去を聞いて若干の後悔の感情を抱きながら、2人はこの後のことに備えるためユウとデネブが作ってきた料理を食べ始めるのだった。

 





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