忘却の唄・消えかけのアルタイル   作:ツナ缶マン

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おはよーございます!!
本編開始!!
話描いてたのですが…主人公が出てきません!!
でも、次から出て来るやろ?ってことで投稿です


Kapitel-8
72話-心外商店街


地蔵通り商店街。

ここは巷で人気のガールズバンドのメンバー達の実家やバイト先等が多く集まっている馴染みの深い場所。

 

「ミッシェル~!!」

 

「あっつい…ミッシェルは疲れる…」

 

 

今ではガールズバンド”ハロー、ハッピーワールド! "のメンバーだが、元々ミッシェルは商店街のマスコットキャラクターであり、ミッシェルこと奥沢美咲は店番をしている同じバンドのメンバーであるはぐみに手を振りながらもチラシ配りに精を出していた。

 

キグルミのせいもあって疲れが徐々に出てきた美咲だったが、そんな彼女の向かいから見覚えのある人影が歩いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「~~~~~♪」

 

「湊…さん……?」

 

その人影の正体は湊友希那。

 

一時期は孤高の歌姫とも言われていたが、今はRoseliaのボーカルにしてリーダーとしてメジャーデビューまで果たして界隈では知名度もある少女が鼻歌交じりに商店街を歩いていた。

 

鼻歌交じりで歩くその姿は彼女らしさの欠片も無いが、それが些事だと思えるほどの上機嫌なのだと疲れた頭で考えようとしたのだが――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すいません。鶏むね肉6枚と豚バラ肉を800gをお願いします」

 

「「えっ…!?」」

 

疲れなど一瞬で消し飛ぶほどの衝撃が彼女達を襲った。

友希那が北沢精肉店に足を止めただけでも驚きなのだが、それ以上に彼女が総菜ではなく食材を購入したという出来事が信じられずにいた。

 

 

 

「あの~……鶏むね肉6枚と豚バラ肉を800gが欲しいんですが…」

 

「えっ…?あっ…はーい!!」

 

様子のおかしい友希那が再びはぐみに声をかけて注文を口にすると、はぐみは驚きを隠せないままだったが何とか注文通りのモノを準備し始める。

 

そんな友希那の様子を見ていた美咲は声をかけずにはいられなかった。

 

「あの~湊さん…?」

 

「……」

 

「あの~!!湊さん」

 

「えっ…あっ…どうも…」

 

思わず彼女の元へと歩み寄って声をかけるが、ワンテンポ遅れて受け答えを返した友希那。

美咲はそれが少しだけ気にはなったが、それ以上に気になるのは彼女が持っているモノだった。

 

「湊さんがなんで肉を買ってるんですか…?」

 

「…?肉だけじゃなくて、エビも買ってあるぞ?」

 

「いやいや確かに肉だけじゃないですけど…って、そうじゃなくて!!なんで湊さんが食材を買ってるんですか!?

 

 

あっ!!もしかしてRoseliaで何かやるんですね?それで、リサさんがお使いを頼んで―――」

 

 

 

 

「いいや…?関係ないが…?」

 

「えっ………じゃあ…なんで…?」

 

「みなとさん、お待たせしました」

 

 

 

「何って、自分達で料理を作るために決まってるじゃないか…?」

 

「「えっ……」」

 

「あぁ…肉の準備が出来たのか……これ、お代に…持っていたからキャンディどうぞ」

 

今目の前にいる友希那が大量に食材を買い込んでいる光景に、美咲はRoseliaで何かをやるのだと勘ぐったが、返ってきた答えはまさかに自分で料理するためと言う言葉に美咲も店番のはぐみも困惑が隠せない。

 

2人ともあの友希那が料理をするなど微塵も思っていなかったのだから当然だが、当の本人は2人の態度がまるで分らず首を傾げながらもお代と持っていたキャンディを置いて彼女はそそくさと店を出て別の店へと歩いていた。

 

 

 

 

 

 

「すいませーん」

 

「はい。いらっしゃ―――って、友希那さん!?なんでうち(八百屋)に来てるんですか?」

 

「…?八百屋に買物以外に来ることがあるのか…?」

 

「へっ…?あっ…それもそうっすね…」

 

「トマトにキュウリにキャベツに長ネギ、ショウガとニンニクを…あぁ、後はこの紙に書かれたものを……。袋に入れてもらえると助かる」

 

次の標的は”銀河青果店”。

そこはRASのドラマーであるマスキングの父親の店で娘のマスキングがたまたま店番をしており、彼女も例に漏れず買物袋をぶら下げて現れた友希那の存在に目を丸くしていた。

 

そんなマスキングを他所に友希那が注文を口にしながら彼女に紙を渡すと、それを一瞥した彼女はそのまま注文通りに商品を用意し始めると友希那は店に背を向けてマスキングが注文を用意し終えるのを待っていた。

 

そして、注文の準備を終えたマスキングは背を向けていた友希那に声をかけた。

 

「お待たせしました!!トマトにキュウリにキャベツに長ネギ、ショウガ、ニンニク…後は紙に描いてあったピーマンです!!」

 

「……っ!?」

 

「湊さん、どうしたんすか?」

 

「……いえ、なんでもないわ。お代はこれで足りるかしら?」

 

「お釣りっす」

 

「どうも」

 

友希那は注文した商品を持ってきたマスキングの言葉に身体が一瞬だけ震えたが、すぐに元に戻って何食わぬ表情でお代を渡し、返ってきたお釣りと商品を受け取ってそそくさと店を後にしていたが、そんな友希那を追いかけるように美咲とはぐみが八百屋に顔を出していた。

 

 

 

「ますきん!!」

 

「ん…はぐみにみさ―――ミッシェル?どうしたんだよ」

 

「なんでそんな落ち着いてる訳…?」

 

「最初は驚いたけど、Roseliaで集まるからリサさんに買い物を頼まれたんじゃねぇのか?」

 

「それ違うってさ。自分で料理に使うって言ってたよ」

 

「…はぁ!?」

 

追いかけてきた美咲に先ほど友希那と話した内容を伝えると、マスキングは驚きで目を見開いていた。

彼女もまた美咲達と同じように友希那が料理をするなんて微塵も考えておらず、彼女も先ほどの美咲達と同じように驚きの表情を浮かべていたが、マスキングはすぐに動き出していた。

 

 

 

「湊さんの跡をつけようぜ!!」

 

「おもしろそう!!ミッシェルも行こ!!」

 

「ちょっと…!!」

 

面白がるマスキングとはぐみ。

そんな2人に巻き込まれる形になった美咲の3人で買物をしている友希那の跡をつけ始めていたが、すぐに友希那は不審な行動を取っていた。

 

「ちょっと…裏路地に入っていったんだけど…?」

 

「何があるんだろ…?」

 

何故か友希那が買い物袋をぶら下げたまま裏路地へと入り込んでいってしまった。

そこには何もない筈なのだが、そんな場所に入っていった友希那の事が気になっていたのだが――――

 

 

 

「ぁぁあああああああああ!!」

 

 

 

 

 

「悲鳴!?」

 

「みなとさんが行った方からだよ!!」

 

「行ってみようぜ!!」

 

突如として友希那が消えた路地裏の方から悲鳴が挙がった。

それを聞いた3人は思わず友希那が消えていった路地裏に飛び込んでいったのだが―――

 

 

 

 

 

 

 

「待て友希那!!関節はそっちに曲がるように出来てな…あぁあああああああ!?!?!?」

 

「なんで……!!ピーマンなんて……買ってるのよ……!!!!」

 

 

 

「「えっ……?」」

 

「にーちゃんが見てたプロレスで見たことある…!!ギャグエビ固め…?って奴だ……」

 

路地裏に入った3人の目に飛び込んできたのはボロボロになった黒い服の男と、その男に逆エビ固めを決めながら文句をぶつける友希那の姿だった。

余りの衝撃にますきと美咲が言葉を失ってしまったが、2人はそれに気が付いている様子はなく友希那は力を入れ続けていた。

 

 

「デネブ!!なんで…!!ピーマンを…買ったのよ…!!」

 

「今日のメニューに必要だか―――待て友希那!!話せばぁああ!?」

 

「いらないわよ…!!ピーマンなんて…!!」

 

 

 

「「「………」」」

 

「なんか凄い悲鳴が聞こえたけど!!」

 

「みんな、大丈……えっ…?」

 

「さーや!!つぐ!!」

 

友希那がデネブをそのまま折檻する光景に悲鳴を聞いて見に来た3人は友希那の思わぬ行動に固まっていたが、そんなタイミングで商店街に住むつぐみと沙綾の2人もその場にやって来てしまった。

 

 

 

 

「邪魔しないでくれるかしら、山吹さ………えっ…?」

 

そして、やってきた沙綾の声に気が付いた友希那はデネブに技をかけたまま顔を挙げたが、そこにいた美咲やマスキング達の姿を見て思わず困惑の言葉を漏らすのだった。

 





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