今回の章、なんもかんも友希那が原因になってるのでは…?
これは不味いですねぇ…
と思いながら初投稿です
「………」
「ユウ……」
「デネブさん。皆まで言わないで…」
友希那を発端にして一悶着があったが、予定とはだいぶかけ離れてながらも何とか打ち上げを行うまでに至った。
そこまでは良かったが、ユウは納得がいかないと言った表情を浮かべながら会場の隅でデネブと共に食事の準備に勤しんでいた。
それもそのはず、何故なら―――
「千聖さん達が用意してくれました飲み物が行き渡ったみたいなので私、千早愛音が乾杯の音頭を―――」
「カンパーイ!!」
「ちょっと日菜ちゃん!?」
「「「「「かんぱーい!!」」」」」」
「なんで呼んでない連中がワンサカいるんだよ!!」
当初はユウとフォトコンテストの際に集まった8人に、そこから会場を提供してくれる予定だったそよを含めて9人と、食事を作る予定だったレイヤと彼女の介護役のにゃむを加えて11人で考えていた。
しかし、突如としてマスキングを始めとした沙綾以外の商店街に関りの深いメンバーが飛び入りで参加すると言い始め、そこから芋づる式に同じコンテストに参加していたひまり組や彼女達の知り合いがぞろぞろと参加してきてしまった。
その結果、最初の8人から数が4倍近くにまで膨れ上がってしまい、料理が足りなくなってしまい、彼らは急遽変更になった会場―――Galaxyの片隅に業務用コンロやらの調理道具一式を持参して未だに料理を続けていたのだ。
「愛音ちゃん達が頑張って作ってくれた餃子と用意が出来てた北京ダック……後はさっき作ったフライドポテトで………って、なんでもうポテトないの!?」
「ポテトは紗夜先輩と日菜ちゃん先生が全部食べちゃったよ?」
「氷川ーっ!!」
「いたっ…!?」
「ひっ…!!」
すぐに出せる料理で一端は凌ごうと考えていたのだが、あろうことかその筆頭であったフライドポテトは既に日菜の胃袋へと消えてしまっていた。
それを彼から少しだけ離れた場所で揚げ物をしていたはぐみから告げられたユウは近くにあった空の紙コップを日菜の額目掛けて全力で投げつけると、彼女から小さく痛みを訴える言葉と横にいた姉―――紗夜から恐怖を覚えた様な悲鳴が聞こえたのを無視して再び調理に戻っていた。
「餃子をメインに油淋鶏、回鍋肉、棒棒鶏と北京ダックに杏仁豆腐って予定だったのに大分変わったな…。
こっちのパエリアとサンドイッチが出来て厚焼き玉子ももうすぐが出来るよ。デネブさんは?」
「こっちも生ハムサラダとサーモンのマリネと…今おにぎりも準備が出来たぞ」
「そっちはどうです?」
「はぐみもコロッケと唐揚げはもう出せるよ!!」
「私が持っていきますね!!」
「ツグミさん!!私もお手伝いします!!」
「わっ…私も!!」
「つーちゃんが手伝いなら広町も手伝います~」
ユウとデネブとはぐみ。
異色の3人組が料理を完成させると、羽沢珈琲店で働く3人とファミレスで接客をしている七深の4人が料理をそのまま運び出していった。
「パパのご飯…!!」
「そよりんは足がまだ治りきってないんだから座っててね~」
「愛音ちゃん、パパの料理取って来て!!」
「中島さんのご飯…取りに行かなきゃ…!!」
「ちょっとレイヤ先輩!?そんな早く動けるなら普段からそうしてください~!!」
「ユウさんの…ご飯…!!」
「さーや!?落ち着いて~!!」
「これ、まだ作んないとダメそうだな…」
「あっ…おにーさん…手伝ったほうが良いですか…?」
「燈は主役なんだからやるなら私が…」
「燈ちゃんも椎名さんも大丈夫だから料理食べてきなよ。北沢さんも…」
「うんっ!!はぐみ行ってくる!!」
ユウ達の食事が並んだ途端に数名が目の色を変えてそれを狙い始めていた光景を見て、ユウは料理の追加を考え始めていた。
そんな彼の元に燈と立希がやってきて手伝いを申し出たが、主賓の燈を手伝わせるのも悪いと思って今まで揚げ物をしていたはぐみと共に食事へと送り出してから、彼は自分達の後ろに視線を向けていた。
「ユウ…」
「こうなってるのはゆきちゃんが原因なんだから反省してなさい。ほら、揚げピーマンに揚げゴーヤ…山盛りだよ」
「うぅ……」
「それ食べたら向こう行っていいから。もしも食べなかったり隠したりしたら…分かってるね?」
「分かったわ……」
全ての元凶の友希那に対してユウは彼女が苦手なものを目の前に差し出し、友希那は涙目になりながらそれを食べ始めたのを後目に準備に戻ったユウの前に以前の事件で一緒だった2人が顔を出していた。
「中島さん…お疲れ様っす…」
「日菜ちゃんがごめんなさい…」
「あぁ、大和さんに白鷺さんお疲れ様です。お2人とも飲み物の差し入れありがとうございました。それに大和さんにはそよちゃん達の送迎までしてもらって助かりましたよ」
「いえいえ!!この位しか出来ずに申し訳ないです!!」
「大和さん、野菜スティックが好きとのことで準備しましたよ。野菜に付けるマヨネーズとソースは手作りなので、それと白鷺さんの好物だっていうアサイーボウルも準備してあるので後で出しますね?」
「ホントっすか?ありがとうございます」
「わざわざスイマセン…」
「ユーくん!!ポテトないよ!!ポテト頂戴!!」
やってきた麻弥と千聖に挨拶と彼女達が用意してくれた飲み物についての礼と2人の好物を用意していることを伝えていた所に日菜が割り込んでフライドポテトを要求し始めていたが、―――
「黙れ氷川!!無くなったのは姉妹で食いつくしたからだろうが!!」
「痛だっ~!?」
「日菜ちゃんに容赦ないですね……あんなのでもアイドルの女の子なんですが…?」
「ケガしないように加減してます。それと氷川の事をアイドルとしても女の子としても見たことは一度もないんで」
「えへへ~そうなんだ~」
「あの…日菜ちゃんが壊れちゃったんですけど…」
「管轄外ですのでそっちで何とかしてください」
「「えぇ~……」」
ユウは彼女に対してポテトではなく空のペットボトルを頭に投げつけていた。
そんなユウの雑な対応に千聖は軽く引いていたのだが、それ以上に”アイドル”としても”女の子”としても見られていない。
傍からはかなり酷いことを言われているのにも関わらず当の日菜が何故か嬉しそうな表情を浮かべたことに引いてしまった。
だが、そんな事はユウにとっては管轄外と千聖達をそのまま追い返してしまった。
そして、すぐに料理へと戻ったユウだったが、彼への来客はまたやってきた。
「これ!!すっごくおいしいです!!」
「上原さん、落ち着いて。お皿から唐揚げ落ちそうだから…」
「危なっ!?」
「ひーちゃん、料理が美味しいからって取り過ぎ…!!」
「あこちゃん、でも美味しいのは本当だよ…?」
「なんだ…太るぞ?」
「ちょっと~!?」
次にやってきたのはひまりに燐子とあこと4人。
彼女達は素直に食事の感想を伝えに来たようだったが、ユウにとってはあまり馴染みのない顔が1人混ざっており、彼は鍋を振りながら彼女に視線を向けていた。
「えっと…そっちの人は…?」
「あこのおねーちゃんです!!」
「あぁ…なるほど…そうなんだ……」
「ちょっと巴になんか冷たくないですか?」
「いや、なんの関係のないあたしが来てる方が間違いなんだから当たり前だろ…。片付けは手伝うんでなんでも言ってくださいよ」
「だったら、その時はお願いしますね」
「はい!!」
馴染みのない人物の正体はあこの姉である巴と聞いたユウはそれだけで意識を鍋の方へと傾けていた。
そんなユウの態度にひまりは不満そうな表情を浮かべていたのだが、彼の対応は当たり前だと言いながら片付けの手伝いまで申し出てきた巴に対してユウは好感を憶えていたが、そんな巴は当然の疑問もユウに投げかけていた。
「あの…その横にいる人?…なんで顔を隠してるんです?」
「おねーちゃん、おデブの事?」
「色々あってあんな姿してて…まぁ、奥沢さんにキグルミ―――ミッシェルみたいな物だと思ってもらえてば」
「何か怪我とか隠してるとか…宗教的な何かなのか……?分かんないけど、ミッシェルみたいなのって思えばいいのか…」
「あはは…はい。これ、俺の作った卵とネギの炒飯ね」
巴はデネブの存在が気になって思わず聞いていたが、ユウはイマジンの事を伏せて雑な説明をしたが、彼女は自身でデネブの事を勝手に想像を膨らませてそれで完全に納得してしまった。
それで話を終えようとユウは炒飯を出して終わろうとしていたのだが――――――
「あの…中島さん?フォトコンテストの打ち上げなのにどうして打ち上げ会場がGalaxyに変更になったんでしょうか…?ここである意味もないですし…それにこんなに人が…」
「あぁ…それは…あの人に絡まれたから…ですかね……名前聞いてないので誰か知らないですけど、ここのオーナーの家族らしいですね」
このタイミングで燐子が当然の疑問とぶつけてきた。
打ち上げでわざわざライブハウスを借りる必要もなければ、関係無い人たちもそれなりに食事をしている状況を不思議に思っていたが、ユウは今回の原因であるマスキングの方を指差していた。
「キング?」
「……なんで炒飯作ってんだ…?」
「燐子さん説明してもらえます?」
「えっと…名前は佐藤ますきって言って、RAS―――って言って分かります?」
「和奏さんと朝日さんのバンドでしたっけ…?」
「はい。そこのドラムで、マスキングって名前でドラムしてるんです」
「へぇ~……」
宇田川姉妹は炒飯を作っているマスキングの姿に首を傾げていたが、そんな2人を他所にユウが燐子に説明を求めると素直にマスキングの事を伝えると、彼はマスキングの事を迷惑そうな目線を向けると、彼女は炒飯を盛り付けるとそのまま巴の元へとやってきた。
「巴!!丁度いいからあたしの炒飯食ってけ」
「あぁ…」
「折角2つあるから味比べてくれよ…!!」
マスキングは自身の炒飯をそのまま巴に渡そうとするが、既にユウが作った炒飯が手元にあったこともあって彼女は2つの味比べを提案するとその場にいた4人はそのままますきの炒飯を一口。
「「美味しい!!」」
「バイトの賄いで出るから味は知ってたけど、良いんじゃないか?」
「具も多くて美味しいです…。それに比べて中島さんの方は卵とネギだけ……」
「りんりん、食べ比べなきゃ!!」
「あこの言う通りだな…」
マスキングの炒飯は具も多く味もいいと絶賛されていた。
それに比べるとユウの炒飯はネギと卵だけと言うシンプル過ぎるもので勝負になるのか疑問に思っていたが、あこの一言で4人は彼が作った炒飯を口に運んだのだが――――
「「「「………」」」」
「なんだ?いきなり黙ってどうしたんだよ…?」
ユウの炒飯と食べたのと同時に完全に黙り込んで動きを止めた。
そんな彼女達はタダならぬ空気を出し始めた事で気が付けば会場の皆の視線が向けられていたが、そんな中でマスキングが声をかけると同時に彼女達は再び動き出した。
「「「「美味しい!!」」」」
「えっ…!?」
「なんで…!!卵とネギだけなのに!!」
「すっごい美味しいです…!!」
「あこ、こんなの食べたことないよ!!」
「正直…ますきのが霞むくらい美味い!!」
美味いと味を評価するとあの燐子ですら、普段の落ち着いた様子とは想像もつかない勢いでユウの炒飯に食らいついていた。
その光景に周囲が驚いていたが、マスキングもユウの炒飯を一口食べると、彼もマスキングの炒飯を一口食べ始めた。
「なんだこれ…めちゃんこうめぇ…!!」
「うん…まぁ、賄いでこれならよく出来てると思うよ?」
「ユウ、賄いとか抜きにして佐藤さんの炒飯はどうだったの?」
「友希那さん…?何を…中島さんも―――」
ユウの炒飯の味に驚愕するマスキングに対して、ユウの方はマスキング炒飯を一口食べて彼女の事を褒めたのだが、友希那がこのタイミングで最悪の燃料と投下した事に燐子が驚くも彼を止めようとしたのだが、遅かった。
「口にした時にコメの水分が多いかな。
バイト先で賄いを作るのと同じ手順で作ったんだろうけど、コンロの火力がバイト先よりも低いのにいつもと同じように作ったのが原因だろうね」
「あぁ!!それだ!!なんかいつもの賄い炒飯と違うと思ったんだけど、それが原因か!!」
「後は具材が豚のチャーシューと卵ににキャベツにニンジン、シイタケ、エビにカニと干したホタテ、鶏ガラスープに隠し味で干した貝柱の戻し汁を少し入れてるけど、具材が色々揃ってたからって欲張って色々と入れ過ぎたで味が喧嘩してる。
それとゴマ油にニンニクの匂いを付けたのは良かったけど――――――」
「なるほど…肉で豚に鶏。そこに海鮮でエビとカニと貝…メインの主張が強すぎたんだな…」
「なんか凄い語ってる…!?って巴も納得してる!?」
友希那の言葉に釣られてユウがマスキングの炒飯について語って的確にマスキングの素材を言い当てながらダメ出しをしまくっていた。
その指摘に巴が納得したように頷いていたが、他の面々はユウが炒飯に対する寝るが強すぎることに驚いていたが、マスキングはその指摘を受けてプルプルと身体を振るわせ―――
「畜生…!!だったら別の日にケーキ…いや、スイーツ…なんでもいいからぎゃふんと言わせてやる!!首洗ってまってやがれ!!」
マスキングは別の勝負を仕掛けると言ってGalaxyから飛び出して行ってしまい、何とも言えない空気になってしまったが、そんな空気の中―――
「…ぎゃふん。宇田川さんこれでいいかな?」
「いや、ダメだと思いますよ?」
「ですよね~…とりあえず料理と…口直しの甘味でも出し始めますか…」
「あれ…?なんかデジャブ感じるんだけど…」
「とーこちゃんの気のせいじゃないかな~」
ユウは現実逃避をするように打ち上げの料理へと戻っていくのだった。
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