2章ほど出番がなかったリサ姉が襲来。
そのせいで主人公君のメンタルがゴリゴリ削れる音がする。
もっとも、主人公と同様に身内の恥でメンタルが削れてる人がいますが…
まぁ、そんなこんなで投稿です
今井リサ―――
明るい性格で面倒見も良く、周囲への気配りを怠らない社交性の高い女の子。
Roseliaのベーシストで湊友希那の幼馴染であり――――
そして、今井ユウの血の繋がった正真正銘の姉であった人物。
「えっ……ぁ……」
最初は誰かも分からなかったユウ。
しかし、自身が助けた人物の正体がリサだと知ってしまったせいで頭が真っ白になってしまい、彼は言葉を上手く口にすることが出来なくなってしまっていた。
「あっ……」
その一方で、リサの方もユウの顔を紅く染めながらユウの顔を見つめて固まってしまってしまい、2人の間に妙な空気が流れ始めていたが、その時間もすぐに終わりを迎えることになった。
「ぃ…今井さん…っ!!」
「さっ…紗夜… !?」
「今の悲鳴なに!?ってリサちー!?何これ!?」
「ヒナも!?」
このタイミングで歩道橋に居た紗夜がリサ達の元―――と言うには少し離れた位置から2人に声をかけると、先に行ってしまったはずの日菜が悲鳴を聞きつけて戻ってきた。
思わぬ2人の登場にリサがユウの上に乗ったままパニックになってしまいオロオロし始めてしまったが、日菜はリサの下敷きになっていたユウの姿を見て驚かずにはいられなかった。
「って、ゆーくん!?大変だよ!?頭とか手とかすっごい血が出てる!!血だらけだよ!?」
日菜の言うように今のユウは頭部を始めとして身体が血で朱く染まっていた。
そんな彼を見て周囲の人間は慄いていたが、ユウはそれを気にせずにリサの下敷きになったままの状態で日菜に声をかけていた。
「……派手に見えるけど問題ない。それにこの人も大きなケガはないと思うから」
「そんな訳ないよ!?ドバドバ出てるよ!?救急車!!」
「うるさい。騒ぐな。救急車もいらん……」
「ぇっ…!?その……だ…大丈夫ですか……?」
「紗夜さんも落ち着いて……骨とかも特に問題ないですから」
「で……ですが……」
「本当に大丈夫ですから。俺よりもまずは妹の方を黙らせてください」
ユウを見た日菜が大騒ぎし始め、遠くに居た紗夜にも震えながらユウのことを心配していると、ケガをした張本人が言葉をかけて何とか状況を鎮めようとし始めていた。
「その…離れてもらえますか………?」
「えっ…?あっ…スグにどきますね……」
氷川姉妹との会話で何とか我に帰れたユウは自身の上に乗っているリサに何とか声をかけると、彼女もなんとか我に帰るとゆっくりとユウの上から移動して地面に力なく座り込むとユウはゆっくりと立ち上がってリサの方に視線を向けていた。
「その…ケガは………?」
「えっ…あっ…アタシは大丈夫ですけど……」
ユウはリサにケガがないことを聞きつつも、自分の目でも彼女にケガがないかを軽くだが確認していたが、彼は彼女のある一点を見つめていた。
「ブーツのヒールが折れてますね…」
「えっと……階段降りようとした時に丁度折れて……バランス崩しちゃって……」
「そうですか……」
ユウはリサの足―――正確に言うならば、彼女が履いていたブーツの底を見ると、本来あったであろうヒールがポッキリと折れていた。
彼女は階段を降りようとした時に運悪くヒールが折れてしまい、悪い運が重なりそのままバランスを崩して紗夜が登っていた階段から落下していってしまったのだ。
だが、リサにとって運が良かったのはユウがこの場に居たこと。
もしも彼が居なかったらリサは紗夜も巻き込んで階段から落ちてそのまま2人揃って大怪我をしていたのは必至。
だが、彼が居たことでリサは紗夜を傷つけることもなく、自身も怪我を負わずに済んだのだ。
もっとも代償としてユウは派手なケガを負ったのだが、これが一番被害が少なくなる状況だと考えていた彼はこの状況を全く問題には思っておらず、あろうことか立った彼はそのままゆっくりを歩き出そうとしていた。
「ちょっとゆーくん!?どこ行くの!?」
「……帰るんだよ」
「いやいや!?大怪我してるんだよ!?」
「氷川、問題ないって言ったろ?」
「ぃぇ…でも……」
「紗夜さんも大丈夫ですから……」
氷川姉妹は去ろうとするユウを止めようとしたのだが、彼としては姉であるリサと居づらくて彼女の前から逃げたかった。
しかし、彼がリサの横を通ろうとしたのだが―――
「っ……!!待って……!!」
「えっ……?」
「えっと…ケガしたのもアタシのせいですし……その……」
「そうだ!!ゆーくん!!うちでケガ診てあげる!!」
「そうです…病院行かないならその位はしないとダメだと思うので…」
座り込んでいたリサが突如としてユウの足にしがみ付いた。
その思わぬ行動にユウは固まってしまうと、日菜がユウのケガを診ると言うとリサも同じことを言い始めてしまったが、ユウはあっさりとそれを拒否した。
「もう傷が塞がり始め―――
じゃなくて、血も止まりかけてるからいらないんで…」
「なんで!?ゆーくん!!早すぎるよ!?」
「それと素人に診てもらうなら自分でやるし……氷川とかケガ人を引っ叩いてきそうだし普通に罰ゲーム…」
「そんな事しないよ!!むしろ、それご褒美だからされたい…」
「日菜……」
ユウの身体からは既に出血は止まっており、傷も少しずつだが塞がり始めていた。
自身の特異な身体を理解していて、知られると事体が面倒になるのが分かっていたからこそユウはこの場を離れたかったから日菜の事を悪く言って逃げようとしたのだが完全に逆効果出会った上に、彼の思いなど一切知らないリサはユウから離れようとはしない。
「それに…アタシのブーツ…ヒール折れて歩けないので……」
「だったらうちまで連れてってよ!!あたしの靴ならリサちー入ると思うし!!」
「はぁ……」
リサは縋りついているユウの顔を上目で見つめていた。
相手は覚えていないとは言えども彼女は自身の血の繋がった姉で、こんな状態の彼女を放置することは出来ないとユウは完全に諦めて、そのままリサに背を向けて腰を下ろした。
「背中に乗ってください……運ぶんで……」
「えっ…?でも、ケガが……」
「大丈夫ですから…」
「じゃあ…失礼します…」
「足掴みますね……」
ユウにそう言われるがままにリサは彼の背中にしがみ付くと、彼はしがみ付いたリサの足を持って彼女をおんぶした状態で何事もないかのように立ち上がっていた。
「氷川、さっさと案内しろ」
「ゆーくん、あたしとリサちーで対応違い過ぎない?」
「お前なんて雑に扱ってもいいだろ」
「あんっ///なんかゾクゾクしちゃう///」
「……紗夜さん、このバカが使い物にならないんで案内をお願いしても良いですか?」
「えぇ……分かりました……」
ユウは日菜に案内を頼んだのだが、何故か彼女は顔を赤らめてモジモジし始めて全く使い物にならなくなった。
そんな彼女を無視してユウは出来るだけ刺激しないように紗夜に案内を頼むと、彼女から少し距離を開けながらリサを背負ってその背中を追いかけていくのだった。
今日起きてからアタシの運は最悪だった。
朝起きて髪をセットした時もお気に入りのヘアゴムが切れて、着替えてから食べた朝食の珈琲を溢して服に染みを作ると言う小さな不幸に始まった。
その後、家を出てからも授業中にお気に入りだったペンが壊れ、昼食で買ったランチも人とぶつかってしまったはずみで床にひっくり返す。
そして、歩いている最中に落としてしまったスマホが動かなくなってしまい、そのせいで練習が中止になった連絡を受け取れずにそのまま事務所まで無駄足を踏んでしまった。
そんな踏んだり蹴ったりの出来事が続いた今日を何とか乗り切ったけど……
「スマホ修理…いや、これは買い替えかな……はぁ……」
壊れてしまって完全に動かなくなってしまったスマホに思わずため息が零れてしまった。
確かにスマホが壊れてしまったこと事体もかなりショックだったが、それ以上にショックだったのは―――
「写真とか消えちゃったな……」
スマホの中にあった思い出の写真や動画が全て無くなってしまった。
何とかしようと店に持って行ったものの、余りにも状態が酷くてデータを映すことも難しいと言われたショックは泣いてしまいそうになったが何とか堪えて家に帰っていたが、今でも思い出の写真達が無くなった事が未だに受け入れられない。
「いつもとは違うことして誤魔化そう……
アタシは少しでも気持ちを紛らわせようといつもは使わない歩道橋を使って道路を渡り、階段を降りようとした――――
「えっ…」
その瞬間、階段に足を着こうとした右足に違和感を感じた。
先ほどまでと感覚が全然違って、自身に何が起こったか分からずに困惑していたらアタシの身体は宙に浮いて地面に落下する感覚に襲われていた。
「きゃあぁぁぁぁぁぁああああ!!」
訳も分からず叫びを挙げたが、夕日のせいで顔が見えないがアタシが落ちる先には誰かがいるが、自分ではもはやどうしようもない。
色んなものを失った不幸続きの今日だったが、最後に他人を巻き込んで自分の命を失うのか―――
死ぬ間際には走馬灯が見えるなんて言うが、そんなものは全く見えず、目の前が真っ暗になるような感覚で完全にパニックになってしまったのだが、突如として抱きかかえられるような感覚を憶えてからほんの少し遅れて身体に衝撃が襲った。
「っ…!!」
「いったぁ~……!!あれ…?そんなに痛くない…?」
「大丈夫ですか?ケガは……?」
「えっ…はい。大丈夫です…」
死の痛みと言うには余りにも痛みがなく、それどころか自分は何かに守られている様な感覚を感じていたのだが痛みが無いわけではなく言葉を漏らす。
そんな時に自分を気遣う声が聞こえると戸惑いながらも答えると、その声が聞こえた頭の上―――いや、倒れているから上と言う表現で良いのかは分からないが顔を挙げるとそこには男の人の顔があった。
この人が助けてくれたのだと分かったのだが、そこからはよく覚えていない。
だが、助けてくれた人にしがみ付いて滅茶苦茶なことを言って、アタシは助けてくれた人におんぶされてその場にいた紗夜達の家まで行くことになった。
その途中でなんとか冷静になったアタシはおんぶしている男の人の背中に視線を向けていた。
「……」
何故か分からないが懐かしいようなそうでないような―――
言葉でなんて言えばいいのか分からないがその背中からは伝わる安心感を身を委ねて、眠るようにアタシは意識を手放すのだった。
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