忘却の唄・消えかけのアルタイル   作:ツナ缶マン

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おはよーございます。
ここで一発ガス抜きを…
いや、これで抜けてるか?
と疑問に思いながらも投稿です


84-観念しろ!!ここは双子の城

 

「ここです……」

 

「素敵な家ですね」

 

「えへへ~。そうでしょ~」

 

「紗夜さんの家でもあるから文句が言えねぇ……。とりあえずはここでいいですかね?」

 

「そっ……そうですね…。後は靴があれば………」

 

紗夜の先導によってユウは氷川宅の目の前まで到着した。

ユウは社交辞令的に家について褒めると、日菜が満更でもない表情を浮かべ始めていた。

その表情と先ほどまでの行動のせいもあって日菜に文句の1つでも言おうとしたが、紗夜の家でもあることを思い出して、何とかその言葉を飲み込んで話を続けようとして本来の目的を果たそうとした。

 

 

「氷川、お前の靴―――「今の脱げばいいんだよね?」家から持ってこいバカ。それしてるならここまで来てないっての!!」

 

「いっ…一応、今井さんの……足のサイズを……その……確認しておいた方が……」

 

「それもそうですね…てか、最初に確認すべきでしたね…」

 

ユウは最初の目的通りに日菜に靴を持ってこさせようとしたのだが、あろうことか自身の靴を脱ごうとしたことにツッコむと、紗夜が念のためサイズを確認しようと言い始めると真っ当なことを言い始めると3人がユウの背中にいるリサに視線を向けたのだが―――

 

 

 

「zzz…」

 

 

「寝てる…」

 

「その…服を掴んでますね…」

 

「ジャケットだけなのは不幸中の幸いですね…」

 

「リサちーおきてー……起きないね~。こうなったらうちに入るしかないね!!」

 

話に中心であったリサはユウの上着をがっちり掴んだ状態のまま、スヤスヤと眠りについていた。

その状況に困り顔を浮かべたユウと紗夜に対して日菜が彼女を揺すったが、一向に起きる気配が無かったのを見た日菜はユウが家に上がる口実が出来たとニコニコし始めると、彼は今日2度目の諦めモードに入っていた。

 

「はぁ……いいですか?」

 

「いいよ~!!」

 

「おめぇじゃねぇよ」

 

「はい……今井さんを…その……そのままにしておくわけには……私の部屋のベッドでいいので……」

 

「それじゃ失礼しますね?」

 

 

「あたしとおねーちゃんで全然対応が違う……でも、それが良い///」

 

ユウは日菜の存在を完全に無視して紗夜の許可を得て氷川邸へと足を踏み入れると、彼はそのまま紗夜の部屋に入ると、リサをベッドに寝かせたのは良かったのだがここで1つ問題が起こってしまった。

 

「ぁ…あの……」

 

「紗夜さん?どうしました?」

 

「ジャケット……脱げるんですか…?」

 

「どういう事です?」

 

「えっと…左腕が…その曲がらなそうですが……」

 

リサをベッドに横にしたのは良かったのだが問題はその後。

ユウがリサから抜け出すためにジャケットを脱ごうとしたのだが、リサが掴んでいた場所が悪くて腕を曲げようにも曲がるような状況ではなくなっていた事を紗夜が伝えたのだが、ユウは笑みを浮かべていた。

 

「あぁ……大丈夫ですよ。紗夜さん、部屋から出てもらってもいいですか?」

 

「えっ……?いや…今井さんを……その…男の人と2人だけにするのは…その…」

 

「なら、目と耳を塞いでもらっても?」

 

「えっと……」

 

「嫌なんですね……ならいいですけど」

 

ユウは紗夜に退室を頼んだのだが彼女は自分の部屋に男女を2人きりにすると言うことが認められずその頼みを断る。

その返事を聞いたユウは少しだけ考える様な素振りをしてから別案を出すもそれも却下されたことで諦めたが、紗夜はその選択を後悔することになった。

 

「ぁ……でも…どうやって?」

 

「腕が曲がらないんですよね?だったら――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

曲がるようにすればいいだけですよね?」

 

ユウが紗夜の問いに笑みを浮かべて答えたその瞬間――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴキン―――!!

 

そんな音2回ユウの方から聞こえたその瞬間。

ユウの左腕から力が抜けたと思ったら、彼の右腕を使って左腕を人体の構造上あり得ない方向へと曲がりながら力を失った左腕をジャケットの袖から引き抜いた。

 

紗夜はその音と光景で何をしたのかを察していたが彼が何をやったのかを聞かずにはいられなかった。

 

「ぇ……なっ……何を……」

 

「肘と肩の関節を外してから、腕を曲げて袖から抜いただけですけど?」

 

「ひっ!!」

 

「おねーちゃん!!どうしたの!?」

 

あろうことかユウは紗夜の目の前で自身の関節を外して、人体ではあり得ない角度に曲げて腕を抜くと言うトンデモナイ暴挙を行ったのだ。

その言葉を聞いた紗夜はユウに対して先ほど以上に怯え始めてしまい、小さな悲鳴を挙げるとリビングに居た日菜が最近の彼女では考えられないほどに機敏な動きで紗夜の部屋へと飛び込み、すぐに紗夜の元へと駆け寄るとユウの状況を確認して目を丸くしていた。

 

「ゆーくん!?腕どうなってるの!?」

 

「どうって……関節外しただけだけど?」

 

「ちょっと!!それあたしにもやって!!…ってそれをおねーちゃんに見せたの!?」

 

「神経痛める可能性あるからやらん。それに紗夜さんには部屋を出るようとか、頼んだのと目と耳を塞ぐように頼んで断られたから仕方なくね?」

 

「ゆーくん!!だったらその腕元に戻して!!おねーちゃんにいつまで見せてるの!!」

 

「…氷川に正論言われてムカつくけどその通りだな」

 

「紗夜さん。これで元通りですよ?」

 

日菜は一瞬危ない発言をしていたが、それを除けばほぼ正論でユウを責める。

その言葉にユウはムカつきを覚えたものの完全に正論でしかない彼女の言葉を受け入れて言われた通りに右腕で関節の外れた左腕を持ち上げると、紗夜達に警告することも無く先ほどと同じように音を響かせてすぐに関節を戻すと、紗夜に見せるように左腕を見せつけたのは良かったのだが彼女からの返事は無かった。

 

ユウはそんな紗夜の顔を覗き込んだのだが―――

 

 

 

 

「気絶してる…」

 

「あんなの見せられたら気絶もするよ!!」

 

紗夜は目の前の凶行に堪え切れずに意識を手放してしまった。

たまらず日菜がユウに苦言を呈すると、流石のユウも日菜相手に申し訳なさそうな表情を浮かべたが、その程度で彼女は止まらない。

 

「ちゃんと起きたら謝ってよ!!」

 

「…そうする」

 

今回の件は完全にユウが悪い。

それを理解している彼は日菜が出した要求を素直に受け入れたのだが、そこから彼女の要求は加速していく。

 

「お詫びとしてあたし達とリサちーにご飯作って!!」

 

「詫びなら…仕方ないか……。紗夜さんの好きなものを教えてくれ」

 

「おねーちゃんもあたし、ジャンクフードとか好きだよ!!」

 

「っ!?随分意外なモノが出てきたな……冷蔵庫のモノと相談だけど、出来るならハンバーガーとかフライドチキンとかかな?流石にドーナツとかは夕食って言うには厳し―――

 

って、料理するなら流石に着替えないと……。血がついてるシャツは変えないとダメだ」

 

まず最初に夕食を依頼されたが、料理は嫌いではない彼がそれをすること自体は問題ではないし、詫びと言うならば作るのは仕方ない。

 

だが、紗夜の好物がジャンクフード系だという事を聞いたユウは見た目の堅そうなイメージに対してのギャップに驚いていたが、彼は至って真面目に献立を考え始めたが、彼の服装がまず問題だった。

流石に身体の傷が塞がって血が止まっているとは言えども、服が血で汚れた状態では流石に料理をする訳にはいかないが、日菜はそこは考えていた。

 

「だったさ、お父さんのシャツなら入ると思うから…新品の奴あげるよ!!」

 

「お父さん可哀そうだろ……」

 

「おかーさんが用意したヤツでおとーさんは知らないから大丈夫!!それにゆーくんが帰ったら戻ってくるか分かんないし!!それだったらシャワー浴びちゃいなよ!!」

 

「……お父さんスイマセン」

 

日菜は自身の父の新品のシャツを渡すと言い始め、娘に雑に扱われている姿にユウは見たこともない彼女の父親に思わず同情して謝罪の言葉を口にした。

そうして彼は日菜に言われたままに紗夜への詫びを開始しようとしたのだが―――

 

「お義父さんなんて気が早いよ~後!!関節外したの!!あたしにもやって!!」

 

「最後のはノーサンキューだ」

 

「えぇ~!?なんでよ~!!」

 

「戻すときにミスると神経が傷つく。そうなるとギター弾けなくなるかもしれないぞ?」

 

「ちぇ~…って、それならゆーくんも危なくない?」

 

「まぁ、俺の場合は慣れてるから大丈夫……それに、傷ついても治るしな…」

 

要求を受け入れ続けるユウの姿に最後の最後で日菜が自身の欲を満たそうと馬脚を現したが、自分に非があったこともあって珍しく日菜の話を真面目に聞いていたユウはその要求だけは当然のように拒否するのであった。

 




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