忘却の唄・消えかけのアルタイル   作:ツナ缶マン

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おはよーございます!!
壊れちゃったRoseliaとか言われましたが、
この作品で一番壊れてるのは日菜か生活力0やさんかそよちゃんなんだよなぁ…
でも、何で壊れちゃたんでしょうね?
ってことでその回答編…どうじょ!!




86-どうして彼女はあんな行動を取ったのだろうか?

ユウがリサの前から離脱して数十分が経過した。

だがしかし、洗面所では未だに激しい戦闘が繰り広げられていた。

 

「リサちー!!ストップだよ~!!」

 

「ヒナ~!!」

 

「リサちーさっきから変だって!!」

 

リサがユウの元へ強引に向かおうとしているのを日菜が器用に押さえつけて身動きを封じていたのだが、その戦闘は思わぬ形で終結した。

 

 

 

 

 

 

「あなた達……何をやってるの?」

 

「えっ!?友希那!?何で…!?」

 

「友希那ちゃん、聞いてよ!!リサちーがゆーくんの身体にあった傷をペロペロしてたんだよ!!」

 

「えっ……」

 

何故かいないはずの友希那が氷川家におり、彼女は洗面所で騒がしくしている2人の事を覗き込んでいた。

その友希那の姿にリサの動きが止まり、そのタイミングで日菜がリサのしでかしたことを暴露すると、それを聞いた友希那はドン引きしていた。

 

傍から聞いたら”親友がいきなり彼女の知人である男性の傷を舐める。”と言うにわかには信じがたい状況なのだが、彼女にとってはそうではない。

 

 

ユウはリサの弟。

 

 

その真実を知ってしまってる友希那には”姉が弟の傷を舐める”と言うとてつもなく考えたくもない絵面にレベルアップしてしまった結果、彼女の人生で初めてと言えるレベルの衝撃を味わう事になってしまった。

 

そんな友希那に対してリサが言い訳を―――――――

 

 

「だって、ケガしてて唾つければ治るって言うから唾つけてただけだよ!!」

 

「えっ……」

 

……いや、全く言い訳になっていない言葉が飛び出した。

 

確かに”唾をつければ治る”と言う言葉は友希那ですら聞いたことはあったが、所詮は気休め程度しかないことはユウから説明された事もあったし、その言葉をユウが冗談半分で口にしたのだろうという事も彼女は理解したのだが、理解できないのはリサがそれを聞いてなんで傷を舐めるという暴挙に出たのかがまるで分からない。

 

イマジンに操られていると言われた方が友希那には理解出来るし、精神衛生的にもその方が嬉しかった。

しかし、ユウがイマジンの存在を感じ取っている様子を見せていないことからその可能性が潰されたことで友希那は理解することを完全に諦めてしまい、可哀そうなモノを見る様な視線をリサに向け始めていた。

 

 

「そう言えば、友希那ちゃんはどうしてうちに来たの?」

 

「リサの靴を持ってくるようにユウから頼まれたのよ」

 

「そうなんだ~」

 

友希那はユウに頼まれてリサの家から彼女の靴を持ち出してここまで持ってきたと伝えると、日菜はそれで納得していたのだが、未だに日菜に抑えられているリサは全く違った反応を見せていた。

 

「えっ!?友希那、知り合いだったの!?」

 

「えぇ…そうよ」

 

「皆さん、食事の準備が―――って、湊さん?どうしてうちに…?」

 

「あっ!!おねーちゃん起きたんだ~!!」

 

「今井さん、色々と聞きたいことはありますが……」

 

「とりあえずご飯食べよ~!!」

 

リサはユウと友希那に繋がりがあることなど全く憶えておらず、友希那の言葉が信じられないと言った表情を浮かべていた。

 

しかし、そんなリサに友希那も複雑な表情を浮かべて言葉を返したタイミングで目を覚ました紗夜が洗面所にやってきて食事の準備が終わったことを伝えに来ると、日菜と紗夜を先頭にして4人でリビングに移動すると、そこにはユウが待っていた。

 

「ゆーくん!!ご飯~!!」

 

「もう食卓に運んである。ハンバーグ3つのは氷川のな?」

 

「うん!!…って、なんかあたしの小さくない?」

 

「数が多くて食べきれないかもしれないから2人より少しだけ小さく作ったんだよ。それでも肉の量はお前が一番だから」

 

「そうなんだ~。でも、普通サイズでも良かったのに~」

 

「太るぞ?」

 

「アイドルに太る禁句!!」

 

「お前をアイドルとしてみていない」

 

「えへへ……。リサちーとおねーちゃんに友希那ちゃんも早く~!!」

 

ユウの言葉を聞いた日菜は嬉しそうな表情を浮かべて席に着いて早々に自身のハンバーグが小さいことを指摘しながら席に着き、その後に続いて紗夜とリサに友希那も席に着いたのだが―――

 

 

 

 

「ユウ、4人分しかないじゃない」

 

「ゆーくんの分は?」

 

「元々、俺の分作ってないし」

 

「ちょっとゆーくんどういうこと!?」

 

「そもそも氷川と紗夜さんの両親は2人が料理することなんて想定されてなかったんだろうな。

冷蔵庫の中身が女4人分なら何とかなる量だったけど、そこに男1人分追加には足りなかったんだよ。俺は帰ってから食うから気にすんな」

 

食卓には4人分(・・・)の食事しか並べられていない。

友希那がそう指摘すると彼女達の視線はユウに向けられるが彼からは予想外の言葉が返ってきたのだが、紗夜がお菓子を作ることはあるものの、氷川姉妹は普段から料理をしない事を知っている親が食材を買い足していなかったことも納得しかない。

 

それを口にしたユウは4人に食事をとるように勧めたのだが、日菜達3人の手は全く動かない。

レストランでもない家で料理をしてもらった人が食べる訳でもないのに、その人物の目の前で食事をとる行為が憚られてしまったのだが、友希那はブレなかった。

 

「ユウ」

 

「ゆきちゃん?どうしたの?」

 

「あなた、早く帰ってご飯食べなさい。レストランでもないのに料理した人を目の前にして食べにくいわよ」

 

あろうことか彼女は皆が言わなかったことを代弁した上にユウに帰るように伝えていた。

その言葉に紗夜達が驚いた表情を浮かべていたが、ユウはその事に対して合点がいったというような表情を浮かべて友希那達に視線を向けていた。

 

「あぁ…確かにレストランじゃないのにそれもそうだね…ゆきちゃんは送らなくていいの?」

 

「リサと2人だから大丈夫よ。それに洗い物なら日菜達がやるわ」

 

「……そこは自分がって言ってほしかったな~」

 

「私達がやるわ……」

 

「じゃあ、その言葉を信じて帰るよ。氷川、近いうちにシャツ返すわ」

 

「うん……」

 

「えぇ…また明日…」

 

「それじゃ、皆さんごゆっくりどうぞ」

 

友希那と言葉を交わしたユウは彼女の言葉に一部落胆したものの、日菜に借りたシャツを返すことを伝えてからそのまま玄関に向かって歩き出していき、少し後に玄関が開く音がリビングまで伝わると友希那は何食わぬ顔で食卓に置かれた箸を手に取っていた。

 

 

 

 

 

「いただきます……。あなた達も冷めないうちに食べなさい?」

 

そして、その一言によって彼女達はユウが作った食事を取り始めた。

 


 

あの人―――友希那達がユウって言っていた人が作った食事に箸を伸ばした友希那に続くようにヒナが箸を伸ばしてハンバーグを一口頬張った。

 

「特に今日は良い出来ね…」

 

「ん~!!おいし~!!」

 

そんな言葉と共に小さく笑みを浮かべる友希那と満面の笑みを浮かべるヒナ。

そんな2人を見たアタシと紗夜も自分用に分けられたハンバーグに箸を伸ばして小さく頬張った。

 

「「おいしい……」」

 

「だってユウが作ったんだもの」

 

そのハンバーグを食べたアタシと紗夜の口からは言葉が漏れると何故か友希那が胸を張っていた事にモヤモヤしつつもそのまま食事を続けていたが―――

 

「そういえばおねーちゃん?」

 

「日菜?どうしたの?」

 

「いっつも思ってたんだけど、なんでいつもゆーくんと会うとプルプルしてるの?」

 

「それは……」

 

ヒナの口からユウさんに関係する話があがると、紗夜の体が震えるとそのまま箸をおいてヒナに顔を向けていたけど言葉に詰まっていた。

 

アタシも全く分からなかったが、確かに紗夜はユウさんを見て確かに震えて目に見えて分かるほどに距離を取っていた。

 

それはヒナも気が付いていたらくて、ユウさんがいないこのタイミングで紗夜に聞こうとしたのだろうが、その答えが出たのは紗夜の口からではなかった。

 

 

 

 

「よく分からないけれど、紗夜は本能的にユウの事を怖がっているらしいわよ」

 

「えっ?おねーちゃんそうなの!?」

 

何故か友希那が紗夜の事を答えるとヒナが驚いたような表情を紗夜に向けると、紗夜の方が居心地の悪そうな表情を浮かべ始めたと観念したのかすぐに紗夜が白状した。

 

「…そうですよ。何故か分からないけど、あの人を見ると怖くなってしまうの…」

 

「まぁ、確かに。いきなり目の前で関節外したのを見せられたら怖いよね~」

 

「ユウは弦巻さんの家の人達を1人で制圧できるくらい強いんだから紗夜が怖いと思うのは仕方ないわ」

 

「……本当はこれではダメなのは頭では分かってるんですが……」

 

紗夜が友希那の言った通りと白状してもヒナもそれに便乗してとんでもない事を口走っていたのだが、それに対して友希那は彼女の言葉に頷いてから話しかけていた。

 

 

 

「紗夜、怖いと思うことは悪い事じゃないわ。本当に怖いのは怖いと思う気持ちが完全になくなる事だってユウも言ってたわ」

 

「そうですか……」

 

「少しずつ慣れていけばいいのよ」

 

「そうですね……料理を作ってもらって、今日は怪我してまで助けてもらったのにこのままじゃいけないわね…」

 

「あたしも協力するよ~!!」

 

友希那は紗夜を諭すように声をかけると、紗夜もその言葉を聞いて何かを思ったのかユウさんに対しての恐怖心を何とかしようと口にしていた

 

アタシはここ最近の友希那に何故か分からないけど、多少のことで狼狽える様な事は無くなっている成長を感じ取っていた。

 

……それはいい事なんだろうけど、やっぱりユウさんの話が友希那から出ると何故か分からないけどモヤモヤする。

そう思っていたんだけど―――

 

 

 

 

「今日って言えばリサちーだよ!!」

 

「そうね…あなたには色々と聞かないとといけないことがあるのよ」

 

「えっ?アタシぃ~!?」

 

いきなり話が紗夜からアタシの方に向いてきたことに戸惑ってしまった。

完全な不意打ちで変な声が出てしまったが、そんな事など気にしてないかのように3人からの言葉が投げられた。

 

「ヒールが折れたからおんぶしてもらったと思ったらいつの間にか寝てるし!!起きたと思ったら洗面所でゆーくんの身体ペロペロして、意味不明な言い訳してるし!!意味わかんないよ!!」

 

「………」

 

「そもそもですが……ヒールが折れて階段から落ちたのを助けてもらった時から変だったように思えますが…?顔見て固まっていましたし……」

 

ヒナがアタシがやったことを並べていくと友希那が睨みにも似た視線を向け、話題がそれたことで紗夜が追い打ちをかけ始めて来る。

この状況にアタシは完全にどう答えたらいいの分からずに固まっていると、睨んでいた友希那が呟いていた。

 

 

 

 

「……どうして?」

 

たった一言。

でも、その一言には言葉以外の意味が色々とあったのは感じたアタシは今までの事を冷静に思い返す。

 

階段から落ちたアタシを文字通りに身体を張って助けてくれたことや、自身が怪我しているにも関わらず、アタシを心配してくれた時の言葉。

歩けなくなっておんぶされた時に感じた安心感に、アタシを助けた時に出来た傷に唾をつけて治そうとしたあの行動。

 

衝撃的な出会いに甘酸っぱいやり取り、自分のことを相手に残そうとするような行動。

それはまるで前に読んだ愛情表現の重い恋愛小説の様な――――

 

「……っ!!」

 

「リサ?どうしたのよ?」

 

そんな事を考えていたらアタシの中で全てが繋がった。

アタシがあんなことをしたのは全部―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「アタシ、ユウさんの事をどうしようもない位に好きになっちゃったんだ…」

 




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