「……………?」
(ここは………どこだろう…………?)
見たことあるようで見たことがない。知っているようで知らない。とある部屋にいる。そんな部屋の椅子に座っていた。そして目の前の机の上にはパソコン。玩具のナイフ。船の人が被りそうな帽子。黒茶色の髪留め。絵本。そして、その横にはギターがある。その机の椅子に腰を掛けていた。
(今………私は……………あ…れ……?)
自分自身のことも思い出せない。手を動かしてみると指が細く、胸もある。そして銀と茶が混ざった落ち着くも輝く長い髪があることに気付く。
自分は女の子。それははっきり解かる。けど、それ以外のことが全く分からない。この場所も、一体何処なのかも分からなかった。
すると、ガチャリと後ろのドアが開く。そこには、綺麗な銀髪のロング、そして眼鏡を掛けた女性が立っていた。
「…………」
その女性は私を見るやいなや近くに来て抱きしめる。なんでこの女性は私を抱きしめるのかと。そう考えてしまう。
「ごめんな…………っ、、本当に…………」
泣き始める女性。
(なんでだろう、私…………この人を知っている気がするのに……思い出せない………けど)
泣いている女性の頭の後ろに手を回し、抱き寄せる。
「ごめん…………ね?」
何故か、こうしなければいけない気がしたからだ。
「…………っ」
女性の目にさらに涙が溢れだす。
「あ………あぁぁぁっ………あぁぁぁぁぁーーーッッ!!」
「………?大丈夫……です……か?」
「いつまでそんなことをしているつもりだ?」
ドアの方から新しい声が聞こえた。見てみると眼鏡をかけていて少し気怠そうな女の人が立っていた。
「そんなことをしていても、何も変わらないんだぞ?そいつには、やらなくてはいけないことがあるんだからな」
「わかってる………けど………ッ」
「今の状況を考えろ。一刻も早くしないといずれここもやられ、計画が水の泡になってしまうぞ?」
「…………っ、あぁ……」
泣いていた女性が、気をしっかりと引き締めたような顔になる。
「ごめんな、こんなみっともない奴で」
「いや、その………別に、泣くことは悪い事じゃないですし………」
「………ふっ、そうかもな」
すると突然、その場が赤く点滅が入りサイレンが鳴る。
『警告。キャンサーがこの施設に進行中。戦闘員、及びセラフ部隊員は至急出撃してください。尚、マザーキャンサーとも思われる個体も出現。状況が悪化した場合は………ありません。』
「やはりな、さて。本当に死ぬ時が来たらしい」
不敵な笑顔になる女性。
「全ては貴様次第だ。こんな風になった世界にしないよう、せいぜい頑張るんだな」
すると気怠そうな女性はその場を離れる。
「っ…………いいか、一度しか言わないからよく聞いてくれ。これからお前は過去に行く」
「え………?」
急な事で分からない。自分のことも分からないのに、過去に行くと言われても、理解は出来ない。
「場所はある程度近い所に設定してある筈だ、着いたら関東に行け」
銀髪の女性が小さなバックに色々詰める。
「まっ、待って下さい………何がなんだか……」
「お前が世界を救う鍵だ」
すると銀髪の女性はバックを渡す。
「あとは………」
渡されたのは、スマートフォンのような物。しかし、何やら形状が違う。
「それが、生き抜く力にもなる」
その瞬間、さらに大きな揺れが襲う。
「いいか!お前の他にも数名仲間がいるはずだ!そいつらを見つけて関東に向かえ!!いいな!」
「え……?え?」
辺りの壁にひびが入り、崩れ始める。
「そして、お前の名前は………
雪歌だ!!!」
その直後、スマートフォンのような物が起動し、私の身体が光に包まれる。
これが、私の覚えている唯一の記憶だった。
息抜きの小説