ドラゴン娘と決闘者   作:偽りの名 ニーサン

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ついに姿を現す黒龍神。
サキトはいかにして戦うのか。


Ep.9:ドラゴン娘と龍神の復活

「まずいな、この反応は──────!」

 

──────2024年5月18日。新入生交流会当日。

早朝に桜龍高校へと向かっていたサキトは、学校の方角に現れたクリーチャー反応を見て駆け出していた。

極めて微弱だった反応が一気に膨れ上がり、これまでにない規模のものとなる。

不完全なようだが、これは……!

 

「ビッグネームが出て来たな、間に合ってくれよ………っ!」

 

 

* * *

 

 

桜龍高校のグラウンドでは、生徒会と伍代ドーラが対峙していた。

決闘を申し込まれ、ドーラの拳を受け止め防ぎ続けていたアーシュ。

そして、友達になりたいという言葉がドーラの心を動かそうとした時……異変が起こり始めた。

 

「力をくれ…!儂に力をくれーーェッ!!!」

『その言葉を待っていたぞ!』

 

俄かに日が陰り、降りしきる雨の中で伍代ドーラの身体が闇に覆われてゆく。

彼女が抱える負の感情を糧に、闇の力が封印を破ろうとしていた。

天へと魔力が迸り、巨大な骨と闇で形作られたドラゴンが、その上半身を魔法陣から出現させた。

 

『まだ満ち足りないか。だが、この世界を蹂躙するには十分……』

「貴様、一体何者だ!?」

『人はワタシをこう呼んだ……黒龍神モルナルクと……』

 

アオハル組に力を与え、闇のクリーチャーを放っていた黒幕。それこそがこの、《黒龍神モルナルク》。

原初の超獣世界に君臨した5体の大いなるドラゴン、五大龍神。彼らの争いによって、超獣世界は分断され5つの文明が生まれたとされている。

そして、その争いの中でその身を封印されたモルナルクが、現代のヒトの世界に蘇ったのだ。

 

『アオハル組もこれで用済み……世界はワタシの闇で染まるのだァッ!』

「アイツ、何する気や……!?」

『ワタシの闇を喰らうがいい……!』

 

黒い闇のマナがモルナルクの周囲に集まってゆく。

 

「こんな所で暴れられたら、新入生交流会の準備が水の泡だぞ!」

「そうはさせるか!」

「テヤーーッ!!」

 

メガとゼオスがその攻撃を阻止せんと挑みかかるが、モルナルクの方が一手早い。

 

『全員まとめて這いつくばれッ!』

「「「「「うわァッ!?」」」」」

 

放たれた一撃に5人は叩き伏せられてしまう。

 

『まだ不完全か……更なる力のためにも、この器を闇で満たさねば』

 

そう呟くと、モルナルクは自らが生み出した異空間へと消えてゆく。

その体内にドーラを抱えたまま……。

 

「待って!ドーラさんッ!!」

 

「行かせる、かぁっ!!」

 

そして、それを追い闇の中へ飛び込む人影を彼女達は見た。

 

「え………っ、護守先輩!?」

 

 

* * *

 

 

『ほう………奴らよりも先に貴様が追って来たか』

「その子を放して貰うぞ、黒龍神モルナルク……!」

『ふん。その鎧と機械技術……あやつらを思い起こさせる、気に食わぬわ』

 

闇に包まれた空間の中で、モルナルクとサキトが対峙する。

黒龍神が生み出したこの闇の中、デュエルテクターが無くては5分と立っていられないだろう。

 

「この場であんたを足止めして、力を溜める時間を奪うために……俺が戦わせて貰う」

『ふん、ドラゴンの力も持たぬ脆弱な人間が……そのような事をして何になる?貴様の使役するクリーチャー共では、ワタシに勝つ事などできぬぞ』

「俺はデュエルしか出来んが、実際にその子とぶつかって交流した彼女達は違う方法を見出せるはずだ。ならば俺は俺のやり方でそれを手伝わせて貰う!」

 

カードと言う剣を引き抜き、黒龍神との戦いが始まる。

ドギラゴン超をマナへチャージし、準備を整える。モルナルクを除去できる手段ではあるが、今のモルナルクは取り込んだ伍代ドーラと複雑な結びつき方をしている。

下手にマナへ還元すればドーラにも影響が出かねない。

 

『貴様もワタシの闇を受けるがいい!』

「ちぃっ!」

 

シールドが3枚叩き割られる。モルナルクは復活の途中故か戦闘した相手を破壊する「スレイヤー」効果も失っているようだが、それでもサキトのデッキのクリーチャーよりパワーがある。

 

「ドロー!ボルシャック・ドギラゴンをマナへ送り、メンデルスゾーン発動!」

 

デッキの上から2枚は、ボルシャック・サイバーエクスと2枚目のメンデルスゾーン。1マナしか増加が行われない。

 

『ふん、運が無いと見えるな!』

「ちぃ、っ来たか!シールドトリガー発動!カツキング!そしてホーリーグレイス!」

 

更なる攻撃で割られた2枚のシールドから2体のドラゴンが現れる。カツキングはデッキからドギラゴン閃をサキトの手へと導き、ホーリーグレイスは光によりモルナルクの目を晦ます。

しかし、最早シールドは無い。次に一撃を受ければ終わりだ。

 

「ドロー!手札の2枚目のホーリーグレイスをマナへ送り、Ⅾ2フィールド《Ⅾの牢閣 メメント守神宮》を展開!俺のクリーチャーは全てブロッカーと化す!」

『成程、そうやって時間を稼ぐつもりか』

「そして、カツキングで……攻撃だ!」

『何!?』

 

シールドが0枚となった事でカツキングはパワーを15000まで上げているとはいえ、モルナルクのパワーには及ばない。

しかし、彼の狙いはそこには無い。

 

「革命チェンジ!来てくれ、ドギラゴン剣!登場時に、ファイナル革命発動!」

 

カツキングと入れ替わりに、蒼い鎧のドギラゴンが躍り出る。その能力により、手札から2体の鳥が飛び出して来た。

 

「2体のボルシャック・栄光・ルピアをバトルゾーンへ!登場時能力により、マナをチャージ!」

『成程、壁の頭数を増やすか!だが、そのために捨て駒を切る気か?』

 

メンデルスゾーン、ソウルピアレイジ、バルキリールピアがマナゾーンへ送られ総計マナは7となる。

しかし、突撃してゆくドギラゴン剣は、やはりモルナルクのパワーに一歩及ばない。

 

「……すまない、ドギラゴン」

『……!』

 

その言葉にドギラゴンは頷き、躊躇いなくモルナルクへ刃を叩き付ける。

 

『ふん、小賢しい!』

 

刃を受け止めたモルナルクは、そのままドギラゴンを叩き伏せ破壊した。

とはいえこれによりサキトを守るブロッカーは3体、召喚を更に行えば十分に凌げる……と、思われた。

 

『その程度のクリーチャーを使役したところで、ワタシを止めきれると思うのか?』

「ああ……どうやらもう少しで皆がここに来る、それまで俺の仕事をこなせばいいだけだ。さっきのような攻撃を乱発出来ないよう消耗させればな!」

『ならば……貴様に絶望をくれてやろう』

 

そう言うと、モルナルクの前に次元の穴が開かれる。そこから異形のクリーチャーが姿を現した。

頭部、胸部、両掌、下半身に顔を持つ悪魔の龍……《墓標の悪魔龍 グレイブモット》!

 

「グレイブモットだと!?」

『まだワタシの力が完全ではない故に、自ら攻撃を行えぬこの程度のドラゴンしか呼び出せんが……貴様がそのカードでワタシの力を知っているというならば、何が起こるか分かるだろう?』

「しまっ───」

 

モルナルクの能力。自分のドラゴンが出た時、自分の山札の上から3枚を墓地に置いてもよい。こうして墓地に置いたドラゴン1枚につき……相手のクリーチャー1体を破壊する。

そして、かの龍神の下に、アオハル組から回収したドラゴンの力が5つ。それらが疑似的に山札となりモルナルクの能力を扱う糧と化す。

 

『滅びよ!』

 

サキトを守るクリーチャー3体が、一瞬にして破壊される。そして、モルナルクの一撃が迫り──────

 

 

* * *

 

 

「ナンテ真っ暗なの……!?」

 

闇の中へ突入したドラ娘生徒会の5人は、ドラゴンの力で身を守りながら暗闇の中を進んでいた。

 

「ぬあッ!?」

「気をつけろ!油断すれば心も体も闇に飲まれかねん!」

 

そして、段々と闇の向こうにモルナルクの姿が見えて来る。

 

『やはりここまで追って来たか……』

「モルナルク!」

「あ、あれは………っ」

 

モルナルクの眼前には、闇の中に倒れ伏す一つの影──────

 

「「「「「先輩ッ!?」」」」」

「う、ぐ……っ、すまん皆、もう少し消耗させるつもりだったが……!」

 

体の末端が闇に飲まれかけている。デュエルテクターがダイレクトアタックから生命をかろうじて守ったが、戦う力を失ったサキトはこの場に立つことも出来ずにいる。

 

「まずいよ、先輩が!」

「俺に構うな!皆は伍代さんを助け出すんだ………っ」

「くっ……ドーラちゃんを返してくださいッ!」

『いいだろう、このワタシを……倒せるならなッ!』

 

黒龍神との、決戦が始まる。

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