ドラゴン娘と決闘者   作:偽りの名 ニーサン

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Q.E.Deuxは本家の力を受け継いだ美少女なので、実質ドラゴン娘なのではないか?(暴論)

相対するは、未知のクリーチャーと、元凶の物語……真なる邪悪。


Ep.34:異世界ドラゴン娘と元凶の物語

Q.E.Deuxと名乗った少女は、大斧を手にしたままグラッサ達を見据えている。その姿は、確かに彼のドラゴン、《龍素王 Q.E.D.》と同系統の意匠が見て取れる。

 

「───Q.E.D.?」

 

グラッサも当然、その名には聞き覚えがある。父の物語に出て来た、かつての水文明に存在したドラゴンであり、ドラグハートへと封じられたクリーチャーの1体だ。

 

「デュエプレで出て来た擬人化されたQ.E.D.に、似ているが違う……俺にも未知のクリーチャー……っ!」

 

全くもって未知の相手と対峙し、サキトはその身を震わせて…………。

 

「──────って、何で目を輝かせてんの!?」

「当然だろ!?過去にどのカードでも言及の無い、全く知らないクリーチャーと人類で初めて遭遇したんだ!俺ァワクワクすっぞ!!」

「サキト、アンタってなんか思ったより変な奴だね!?」

 

緊張感が一時途切れるが、対峙するQ.E.Deuxはグラッサが背負う剣の柄を見ると笑みを零す。

 

「───そう、あなたが()()()()()()()()()()()の──────」

 

地を蹴る音と共に、青い龍の少女が跳躍する。華奢な手足からは考えられない程に、大斧を軽々と扱い振り下ろして来る!

 

『ちぃっ!?』

「くっ!?」

 

グラッサはガイサーガの刀身を盾とし、サキトはドギラゴン閃の鎧を纏い光盾で刃を受け止めた。

 

「Q、ミロクは、どこ?」

「ミロクはどこって……っ、その武器もドラグハート!?」

『気を付けろグラッサ、今のこいつは結構なパワーのはず……!』

「アンタも大事な“物語”を利用されたの!?実はワタシも同じで───」

 

グラッサが話を聞こうとしたところで、Q.E.Deuxは斧の構え方を変え、下から掬い上げるように振るう。その勢いでグラッサは大きく撥ね飛ばされ、サキトも一気に後退させられる。

 

「がっ!」

『グラッサ!!』

「Q、ミロクはどこ? (こたえ)以外はいらない」

『質問に質問で返すなってか……悪いが、それは言えんな。どうせすぐ会えるだろうが』

 

サキト個人としては、ミロク一人を狙うならいっそ行かせても構わないとは思っていた。恨みを買う謂れは多々ある者であり、どうせそう簡単にはやられないはずだ。

しかし、今はしのぶ達にミロクとタレットを任せて来た身。ここで通せば確実に巻き添えを食うだろう。

 

「お姉ちゃん!」

「先輩、大丈夫!?」

『どうやら、接敵したみたい』

 

──────それに。派手に騒いだ以上、心配してあちらからここへやって来るだろう事も、十分に予想が出来た。

 

『やっぱりなぁ……!』

「ミロク……」

「っ!逃げて!!」

「えっ……?」

 

タレットとしのぶ、そしてミロクに気付き、Q.E.Deuxがそちらを向く。ようやく見つけた相手へ向かって、距離を詰めてゆく。

 

「いいから早く!」

「ミロクしゃん、うちん後ろに!」

 

しのぶがミロクを庇い割って入ろうとした所で──────彼女は、急に跪いた。

 

「ありがとう、ミロク──────やっと言えた……」

「はぇっ?」

『……なんて?』

 

直前まで剣呑な雰囲気だったQ.E.Deuxは、何故かミロクに感謝を伝えている。サキトもグラッサも理解が一瞬追いつかず、来たばかりのタレットとしのぶは猶更だ。

 

「ア、アンタもしかして……」

(はい)。わたしはQ.E.D.が空母エビデゴラスに遺した、バックアップ(クローン)です───」

「ドラゴンのクローンなんになんで人型と!?」

「“禁断の星”撃破の際、ドラゴンがこの世界から滅びた影響です。欠けた部分をリキッド・ピープルやヒューマノイドのデータによって補い、結果としてわたしはこの姿になりました」

『なるほど……ドルマゲドンⅩの影響がこんなところに』

 

──────ドギラゴールデンとドルマゲドンⅩの最後のぶつかり合いの際、その余波によってか──────ドラゴン・サーガの世界から、ドラゴンは姿を消した。

その後十数年の時を経て、ドラゴン達は復活しつつあるようだが…………当時からクローンを用意していたのであれば、影響を免れる筈も無い。

 

「わたしの()()()()()であるQ.E.D.は、天才的な研究者でした───ですが天才ゆえの苦悩というべきか、わたしを理解してくれる者は多くはなかった。そんな時、“かれ”は現れたのです」

 

Q.E.Deuxは、Q.E.D.の当時の記憶を思い起こしながら語る。彼女と、その共同研究者の話を。

 

「“かれ”はわたしと同じ、研究者でした。かれの夢はミロクを超えるような武器を生み出す事。わたしたちは研究者同士すぐに心を通じ合わせ、よき理解者となりました」

「愛だね」

『……そうかぁ?』

 

サキトには、その話に出て来る共同研究者に心当たりがあった。ただ、そのクリーチャーに対する印象は彼女が語る物とは異なるものであり──────。

 

「しかしそれも一時のこと。後に“ラプラスの魔”と呼ばれる実験。その最中に起きた事故によりわたしは肉体を失い、最初のドラグハートとなり……」

『《真理銃 エビデンス》だな』

「知っていたのですか。それを切っ掛けにかれは、今まで以上に研究に没頭するようになった。ドラグハートとなったわたしにも意識はあり、彼の様子を見ながら思っていました───ああ、もどかしい。なにもしてやれぬ、身動き1つとれないこの身体が。そして───憎い。かれを惑わす彼奴(ミロク)の発明が!!」

 

彼女の、『ラプラスの魔』事件に対する認識は、そのようなものだったという事だ。問題はそこに、大きな誤解が存在する事だが──────。

先程のダメージからどうにか立ち直ったグラッサが、ガイサーガを杖代わりに立ち上がりながらQ.E.Deuxに問いかける。

 

「ちょっと待って!アンタさっきありがとうって───」

(そう)。わたしはQ.E.D.(わたし)の意思を継ぎ、ミロクの発明を破壊するつもりでした。このドラグハートを、手にするまでは」

『……おい、やめろ!Q.E.D.の記憶を引き継いでいるなら、奴が()()()()()()()()知らない筈は無いだろう!』

「かのじょの発明はわたしたちを、20年ぶりに再会させてくれたのです」

「ハッ!やめなさい!!」

 

ミロクとサキトが止めようとするも、彼女は斧頭から生えた頭蓋骨のような装飾に口付けし──────。

 

 

 

「龍 解!!!」

 

 

 

その力を、解き放った。自然のマナ、緑色の光が激しく放たれ周囲を照らす。

 

『く、ゼッちゃんは一旦あっちに戻っていろ。奴と交戦するのは今のお前は危険だ』

『……了解、2人とも気を付けて』

「なんが起こっとー!?」

「“龍解”。封じられたものを一時的に開放する、ドラグハートの秘技───!」

「ミロク!あの武器何から造ったの!?」

「……“物語”よ……ガイサーガが英雄の物語なら、デッドアックスは()()()()()。Q.E.D.のかつての研究仲間にして、()()()()()()()()()()()!」

 

光の中から現れたのは、二本の斧を携えた、顔全体が不気味な触手で覆われている異形の獣人。かつての姿と異なるのは、腹部に開いた丸い空洞。

 

「デッドマンよ!!」

『オォオォオオオオ!!!』

 

《真なる邪悪 ザ=デッドマン》!!

 

「龍解、完了!」

『出やがったか……!』

 

ドラグハート・クリーチャーとして蘇ったこのデッドマンのパワーは、15000に達している。ドギラゴンの力のみでは良くて互角と言ったところか。

 

「さあ、デッドマン。ひさしぶりに、力を見せて」

 

その言葉と共に、デッドマンとQ.E.Deuxがグラッサへと襲い掛かる。ガイサーガを狙うつもりだ!

 

「ぐぅっ!!1人でもやっかいだってのに……!」

『タレットとミロクは下がれ!しのぶ、牽制を!』

「任せて!」

「させない!」

 

デッドマンの膂力を前にグラッサとサキトは防戦を強いられる。しのぶが手裏剣で牽制するが、それをQ.E.Deuxは龍素のレーザー砲で的確に撃ち落としてゆく!

 

「この力!まさしくデッドマン!これで続けられる!昔のように!また2人で研究を……!!」

『っ、まずい!』

 

デッドマンの左腕が大きく振るわれようとする。その狙いを見て、サキトは跳躍し──────。

 

「っ、あ゛っ……!?」

『がっは……!』

 

無防備だった“Q.E.Deuxへの”攻撃を庇わんとして……無理な体制が祟り、斧の一撃で諸共に吹っ飛ばされ木に叩き付けられる。

 

『ぐ、ぅ……言わんこっちゃねえ……っ!』

「な……っ、どうしたのです、デッドマン!わたしです!Q.E.D.です!」

『よせ、Q.E.Deux……!』

「あなたは蘇ったのです!また2人で、夢を追いかけるため──────」

 

 

『ダレだオマエハ』

 

 

「……え?」 

 

完全に虚を突かれた顔で、Q.E.Deuxの動きが止まる。心を許した相手の言葉が信じられずにいた。

 

「そいつはアンタが思ってるようなヤツじゃない」

「どげな事!?」

『奴は武器に龍の魂を封じるための触媒たるものを求めていた。それが、水文明が発見に至った……『龍素』なんだ。そして──────』

『───あぁ、思い出しタ。わたしの研究に利用しテ、用が済んだかラ……』

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()──────』

 

 

──────デッドマンの研究は、当初は“禁断”に対抗するための力を求めての研究であったと、超獣世界の歴史には記されている。

しかし、その禁断が振りまいた悪意により力と欲望に溺れたデッドマンは──────Q.E.D.による龍素の発見から程なくして、共に研究していた仲間を最初のドラグハートへと封印し、ドラグハートの製造技術を完全なる物とした。

そして、歴代のデュエル・マスターズ優勝者をその手にかけ、次々とドラグハートへと変えていく。

 

「──────」

 

信頼関係を築いていると思い込んでいたQ.E.D.は、その悪意を感じとることができなかった。そうして、嘲笑うデッドマンを見た彼女(Q.E.Deux)は、二度目の裏切りによって真意に気付き──────涙を流した。

 

『消えロ』

 

凶刃がQ.E.Deuxへと振るわれる。迫る死の刃を受け止めたのは……炎纏う大剣だった。

 

「グラッサ……っ」

「あなた……Q、どうして!?」

「ちょっとだまってて!」

 

グラッサはガイサーガを正眼に構え、デッドマンと対峙する。その背は紛れもなく、新世代の英雄の卵たるもので。

 

「こっちは全然気持ちの整理がついてないってのに……次から次に面倒事に巻き込みやがって……!!このっ!!」

 

ガイサーガを振るいデッドマンを後退させる。その姿を見て、デッドマンは忌々し気に歯ぎしりを鳴らす。

 

()()()……()()()ォ……!』

「ワタシは英雄(モルト)を超える者、グレングラッサだ!」

 

父の宿敵に啖呵を切るグラッサ。そして、これまでに学んできた剣術をもって挑みかかってゆく!

 

『中々言うじゃないか、グラッサ。ともかく俺も加勢し……っ!Q.E.Deux、伏せろ!』

「なっ!?」

 

まだショックから立ち直りきれていないQ.E.Deuxをサキトが伏せさせ──────直後に、彼らの頭上を斧が掠めた。

 

「今度はなに!?」

『懐かしい気配を感じて来てみれば……デッドマン様が蘇っているとはなァ!』

『こいつ、この忙しい時に……イメン=ブーゴ、いや、得物からしてイメン=ボアロか!』

 

割れた仮面を被った龍人、《覇王類虹色目 イメン=ボアロ》。20年前のデュエル・マスターズにて、当時自然文明の代表的な立ち位置にいた《龍覇 サソリス》に反旗を翻したドラグナー、《龍覇 イメン=ブーゴ》の強化体と言える立ち位置のクリーチャーだ。

叛逆から後の動向が不明であったが……こちらの世界では生き延びていたらしい。しかも口ぶりからして、言わば『デッドマン派閥』と言うべきグループを作っていたと見える。森の陰から、手下と見えるビーストフォークの獣人たちが距離を詰めて来る。

 

『デッドマン様を、そのドラグハートをこちらへ渡して貰おうかァ!』

『そういう訳には行くか……グラッサ!』

「何!?」

『こっちの連中による横槍は俺が防ぐ。そちらは任せたぞ!』

「簡単に言ってくれるわね!?」

 

文句は言うものの、その闘志に揺るぎは無い。むしろ、剣を握る手に更に力が入った。

 

『「行くぞッ!!」』




次回、VS・ザ=デッドマン、&イメン=ボアロ!
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