ドラゴン娘と決闘者   作:偽りの名 ニーサン

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テクノ・サムライ旗揚げの時!


Ep.38:新たな仲間と新たな『サムライ』

「ん……グラッサ、タレット……」

 

仮面が砕かれた後、意識を失っていたグレンフルールが目を覚ます。それを見て、姉弟は安堵する。

 

「「いつものおばあちゃんだ~~~!!」」

「後遺症とかも無さそうだな。これでひとまず安心だ」

 

サキトが念のためデュエマフォンによりバイタルチェックはしていたが、クリーチャー相手では人間と反応が異なってもおかしくない。今の所、見た限りでは悪影響は無いようでなによりだった。

 

「───見えてたよ。アンタたちの戦う姿。大きくなったね、2人共!」

 

操られていた間も、少しばかり意識はあったらしい。2人の成長に感慨深げに語る彼女を見て、グラッサとタレットは笑みを零した。

 

「アンタもありがとね。え~と……」

「Q.E.Deux!ワタシたちの大事な仲間だよ!」

「仲間……!い、今はそれで(よし)としましょう……。ホントはそれ以上ですが

「愛だね」

「で、そっちは……」

「護守サキトと言います。モルトの戦友、と言っても良いのかなと」

「うちは蒼斬しのぶ、グラッサちゃんとタレットくんとはたまたま会うたばってん、今は仲間ばい!」

 

先の戦い、そしてモルトの友人であるという事で一応フルールに信用はして貰えたようだ。さて、戦いは終えて脅威は去ったが、まだまだ問題はあると言っていい。

 

「しかしまあ、最終的にキング・ロマノフの奴は目的を果たして逃げおおせたようなもんだ。ここで倒せれば良かったんだが、果たしてどうするべきか……」

「んー、それなんだけど……ワタシ達も対抗する必要があると思うのよ」

「キング・ロマノフに対抗するって言うと……まさか、異世界に行くの!?」

「そうよ!」

「どうして!?」

「“発明品”を回収するためよ!」

「ああ……ミロクの発明品をか」

 

キング・ロマノフが先の戦いで言っていた通り、ミロクは様々な発明品を造っては、あちらこちらの世界で実験した後その世界に放置している。

奴は恐らく、兵力増強の為にそれらを狙い始めるだろう。

 

「ミロク、アンタの発明品はまだそこら中にあるのよね?」

「そうよ!」

「威張って言う(こと)じゃないですね」

「ドラグハートや、あん銃みたいとが他にもいっぱい……」

「だったら、それをロマノフの手から、ダレかが守らないと!」

「まあ、確かにヤバいブツだから回収しなきゃならんってのは賛成だが……」

 

キング・ロマノフ絡みのみならず、現地住民が起動させて暴走、世界の危機という案件もあり得る。ミロクの発明品は、放置しておくにはあまりにも危険だ。

 

「Q.ミロクならともかく、グラッサがそんな責任を負う必要は……」

「んっと、それは……」

()()()()ならきっとそうするよね」

「タレット!……うん。サキトも言ってたけど、ガイフレア(あれ)はあくまで父さんの物語から生まれたもの。ワタシはアレで、父さんを超えたなんて思ってない。だから考えたの、どうすればいいかって……」

 

確かに、力を合わせてグレンモルトの物語(ガイフレア)に打ち勝つことは出来た。しかしそれは過去のモルトの力、それも一部でしかないのだ。

 

「父さんは母さんと共に、再び世界を守るため、ワタシ達を置いて旅に出た。ワタシだって2人のように、世界を守るために、できる事がしたい!そうして歩いた王道(みち)の先で、前よりも何百───何千倍に凄くなった、英雄(とうさん)が待っていると思うから───!!!」

 

グレンモルトの戦いは、まだ続いている。そこには新たな出会い、新たな強敵──────新たな物語があるだろう。

そして、グラッサはそれを追いかけ、何時の日か超えるために……新たな戦いに身を置く事を決めた。

 

「なるほど、そのために困難な道だとしても進む事を決めたわけだ」

「うん。まずは追い付く!そして追い越す!それがきっと超えるって事だ!」

 

遠く困難な道のりだろう。それでも、今のグラッサには迷いは無い。それはタレットや、Q.E.Deuxも同じだった。

 

「世界を守る()()()の結成だね!せっかくだしチーム名も決めようよ!」

「え?チーム名、か……」

「名前があると、連帯感が強うなるけんね!何か入れたか言葉とかなかと?」

「それぞれの共通点なら、グラッサ達はドラグハートを扱えるドラグナーだから、関連する言葉を……つっても、今はもうドラグハートは無いんだったな。流石に不適当か」

「場合によっては、共闘者が増えていくかもしれませんからね」

 

チーム名と言われ、考え込むグラッサ。そんな彼女の頭に、一つの言葉が思い浮かんだ。

 

「……サムライ」

「え?」

「そうだ、サムライって言葉を入れたいんだ」

 

サムライ。地球においては、かつての武士階級を指す言葉だが、超獣世界にはそれとは異なる形で、『サムライ』が存在していた。

 

「アタシら一族の遠い祖先、何かを守るため戦った戦士たちの名前だね」

「それに、理由は色々とあるが、別の世界からこちらの世界へ渡って来た者達でもあるな」

 

グラッサに気付かれない程度に、少しばかりミロクに冷ややかな視線を向けるサキト。そのサムライ達がこの世界に来たのは、ミロクによる実験のため異世界から送り込まれそのまま放置されたという経緯があるが……今ここで言ってグラッサの考えに冷や水をかけるような事は言わないでおいた。

 

「ピッタリでしょ?ワタシたちはサムライ!ハゲしき超技術と、アツかりし魂を掛け合わせ戦う、新たなサムライ」

「ミロクの生み出した超技術、テクノロジーを使うサムライですか。つまり──────」

 

 

「──────“テクノ・サムライ”!!」

 

 

「……なるほど、テクノ・サムライか」

 

その言葉は、サキトにも覚えがあった。2025年度のデュエマから登場した、新たなるクリーチャー達の種族──────『テクノ・サムライ』。

偶然かそれとも運命なのか、漂着したこのドラゴン・サーガ世界にて、サキトとしのぶはその立ち上げの瞬間に立ち会う事となったのだ。

 

「うん、かっこよか!良か名前やて思うばい!」

「ありがとね!それで……2人にも、良ければ手伝って欲しいんだ」

「ん、あー……それは」

「もちろん、アンタ達には別の目的があって、去らなきゃいけない事は分かってる。けど……もう2人とも、仲間だって思うから!」

 

流石に、その申し出には少しばかり悩むサキトであったが……グラッサの目は真剣だ。それに、彼にも少々思う所はある。

 

「……Q.E.Deux、この端末に連絡が通じるよう出来るか?」

(ええ)、そのくらいなら簡単です」

「それって……」

「俺達は俺達で、自分の世界でも他の超獣世界でもやる事があるから、常に同行という訳には行かん……が、連絡と必要な座標をくれれば、いつでも駆け付けられるようにはするよ。仲間だからな」

「うちも都合が合えば、一緒に行くけん!よろしくね、グラッサちゃん、タレットくん!」

「──────ありがとう!」

 

形としては、DGAとテクノ・サムライによる、同盟という形になるだろうか。人間世界に帰還した後には、公式に同盟関係を結べるかどうか議題に上げる事となるだろうが……キング・ロマノフという脅威もある以上、2つの組織が手を結ぶ可能性は高いだろう。

 

「それじゃあ、拠点はわたしが用意してあげるから、少し待ってなさい!明日までには移動できるようにするわよ!」

「分かった!サキト達はどうする?もう帰るの?」

「んー、まだ時間がかかりそうだ。とりあえず今夜はこちらで野営でもするかな……」

「それなら皆でキャンプにする?」

「キャンプ……!楽しそうやね!」

 

激戦の後で、それなりに時間は経っていたものの未だデュエマフォンは世界間移動のクールタイムを終えていなかった。予想される時間は、明日の朝頃という見込みが出ている。

こればかりは仕方が無い、サキトは再びデュエラッドを呼び出すと、座席部分を開けてそこから色々と取り出した。

 

「とりあえずグラッサ達と俺達でテントを分けるとするかな?」

「ちょっ、どこに入ってたのよそんなもの!?」

「空間圧縮系の技術ですね。異世界の水文明のものでしょうか」

「まあそんなところかな。こういう事態に備えて色々入れておいてくれたみたいだ」

『夜中の見張りは私がやっておくから安心して。危険なクリーチャーが近付いて来たらその時に警告するから』

 

そうして、森の焼け残りを探し食料等を確保した後、彼らは一晩のキャンプを行う事となったのであった。

 

 

* * *

 

 

──────そして、翌朝。サキトとしのぶが朝食として昨日調達した肉や山菜などを焼いていたところ、グラッサ達も起きて来る。

 

「うぅ……眠い」

「ほい、朝食の用意が出来たぞ。グラッサとQ.E.Deuxは妙に眠そうだな?」

「ダレのせいだと……!」

「……すごいものを見てしまいましたね」

「「??」」

 

……まあ、色々とあったのだ。サキトとしのぶは気付いていなかったが。

 

「それで、サキトさん達は戻れるようになったの?」

「ああ、バッチリだ。それに連絡もあって、どうやら俺の仲間は任務を果たしたようだ」

「皆も向こうで頑張っとったんごたーね」

「それでは、人間の世界に帰るのですね」

「ああ、そうなるな」

「人間の世界に、クリーチャーを使役する存在かあ……見せては貰ったけど、まだにわかには信じがたいね」

 

昨晩の夕食までの間、サキトはQ.E.Deuxとグレンフレール相手にデュエリストの存在を語り、実際にそれほど強くないクリーチャーで実演などもして見せた。

クリーチャーを使役するカードの存在は、2人を大いに驚かせたのであった。

 

「グラッサやタレットもカードに刻まれている。デュエルで何度も世話になっているよ」

「……!わたしもカードになっているのですか!?」

「い、いやQ.E.Deuxについてはまだこちらではカードになっていないな。今回この世界に来て君の存在は初めて知ったよ」

「そうなのですか……」

 

サキトの世界においては未知のクリーチャーとなるQ.E.Deux。当然ながら、この時点では彼女のカードは存在していない。

 

「ばってん、そのうちうちらん世界でもカードになる可能性はあるよね?」

「まあそうだな、そんなに遠くない時期にカード化される可能性はあると思う。グラッサとタレットの新装備共々……」

「でしたら!わたしのカードが出たときは是非使ってください!グラッサと一緒に!一緒に!!」

「わ、分かった分かったから!!」

 

Q.E.Deuxの強い押しに押されて約束させられる。どうにも彼女相手には、色々と調子を狂わされそうだった。

 

「これでそちらでもグラッサと一緒ですね……♡」

「いや、そのカードとワタシたちは厳密には別なんじゃない?ワタシはサキトに会ったのは昨日が初めてだったし」

「うーん……まあ可能性は0じゃないかもだが、あまり期待はせんでくれ……っと、鳴ったな」

 

その時、サキトのデュエマフォンがクールタイムの終了を報せる。人間の世界へ戻れるようだ。

 

「それじゃあ、テントは収納してと。色々と世話になったよ」

「こちらこそ!何かあったら、ワタシたちもそっちに呼んでくれて構わないからね!」

「ボクたちの愛、いつでも頼ってください」

「わたしもです。ありがとうございました、サキト、しのぶ」

「楽しかったっちゃん、きっとまた会おうねー!」

 

超次元ホールが開き、サキトとしのぶがその中へ足を踏み入れる。彼女達の声は遠くなっていき、やがてホールは完全に閉じた。

そして、体感では十数秒の後に……2人は元のDGA本部へと戻って来た。

 

「おかえり二人とも。大変だったんじゃないか?」

「あ、萱野しゃん。お久しぶりばい」

「ええまあ大変でしたけど、色々と得る物もありました。それじゃ、これからすぐ報告書を書いてデータ提出しますんで!」

「超獣世界のデータ、楽しみだなあ!なるはやで頼むよ!!」

 

そうして、サキトの最初の超獣世界での冒険は終わった。彼とテクノ・サムライの共闘の機会は、いずれ訪れるだろう。




そんなこんなで、ドラゴン・サーガ世界での戦いはこれにて!
次回は、一度中略された場面を描いてから、新章世界側での出来事を描かせて頂きます。
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