サキトの元に新たな仲間と力が集う!
「んんー…………ちと多色が多いが、対クリーチャー戦ならこれで行けるか」
「先輩、新しかデッキが出来たと?」
「ああ。少しばかりバランスに難儀したが、たぶん大丈夫そうだ」
──────2025年10月19日。
穏やかな日曜の朝、サキトはしのぶと一緒に軽いジョギングを済ませた後デッキ作成に勤しんでいた。
前日に発売された「王道vs邪道 デュエキングWDreaM 2025」のカードを盛り込んだ、新たな対クリーチャー戦用のデッキ。新たな相棒のカードも取り入れた事で進化を遂げた……と言えるかどうかは、実際に試してみなくては分からない所も多いだろう。
「とりあえずもう何回か回して使用感を確かめたいところだな。適当なクリーチャーを仮想敵として対面に置いて、1人回しでも……」
「それもよかばってん、今日はちょっと気分転換に出かけん?最近勉強も忙しかね?」
「ん、あー……そうだな、ちょいと行ってみるか」
10月も半ば、大学の入試も近付いてきた時期。ゲーム部を引退したサキトは受験勉強に時間を割く事が多くなっている。
「それじゃあ駅前で色々店でも見て回るか」
「うん!」
とりあえず、彼等の行先は栗茶駅周辺に定まった。駅ビルでのショッピングや食事も、駅周辺の店を回るのも良いだろう。
「今日はバスで行くか。栗茶駅行きのバスはもうちょいだったな」
「お昼もあっちで食べてしまう?」
「ああ、駅ビルのレストラン辺り行ってみるとするかね」
そうして、2人は近くのバス停留所へ向かい、そこから栗茶駅へと向かう…………。
* * *
日曜日の昼頃。秋も半ばのこの時期、サキトもしのぶもまずは冬に向けて服を見て回ろうとしていた……のだが。
「結局休みの日にもこれか!」
「クリーチャー達はほんなこつ空気が読めんね!」
サキトのデュエマフォンに連絡が来る。栗茶市の元大型プール施設、老朽化により閉園され新たな施設を作るべく更地にされていたそこに、クリーチャー達が現れたという。現場に近い駅周辺に来ていたサキトに、出動要請が下ったのだ。
『確認されているのは水棲系クリーチャーのようです。それなりに強いクリーチャーの反応もあるため、注意してください』
「了解!しのぶ、しっかり掴まっててな!」
「うん!早よ終わらしぇようね、先輩!」
早めに片付けてデートを再開すべく、デュエラッドに跨る2人は空中を高速で駆けてゆく。数分もせずに、現場のプール跡地が見えて来た。
『この感じ、少し覚えがあるかも』
「覚え?知っとークリーチャーん気配でもあると?」
「ゼッちゃん……レッドゾーンZが知ってるなら、ランド大陸周辺にいたクリーチャーってとこか……?よし、行くぞ!」
現場に着くとデュエラッドを急停止させながら、デュエルフィールドを展開する。閉鎖され工事中であったが故に一般客には被害は及んでいないが、このクリーチャー達が施設内の他の水場などに向かっていくと厄介だ。すぐに封鎖する必要性があった。
『む?何者だ貴様ら』
「DGA所属、デュエルマスター……護守サキトだ。悪いが早々に退場して貰うぞ」
『ほざけ!水のほぼ無いこの場に出た理由は分からぬが、ここから我ら──────邪眼海賊団の名をこの世界の海に轟かせて見せようぞ!』
首領と見えるクリーチャー、髑髏の面で顔を覆い、二丁の銃を構えるドラゴン──────《邪眼大帝 ラスト・ロマノフ》が咆えた!
「邪眼海賊団……って、もしかしてあんキング・ロマノフってクリーチャーん部下ね?」
「…………」
「せ、先輩?何なんそん微妙な表情?」
「あー、こいつはな…………勝手にロマノフの末裔を名乗っているだけで、実際は無関係の一般クリスタル・コマンド・ドラゴンなんだ」
「そうなん!?」
そう、目の前にいるこのクリーチャー、ラスト・ロマノフは…………デュエマ公式曰く、勝手にロマノフ一族の末裔を名乗るだけで実際には無関係であるという。恐らく、現在のキング・ロマノフ率いる真邪眼騎士団とも全くの無関係であろう。
邪眼海賊団なる組織はデュエプレのフレーバーテキストで登場したが、そこでも「邪眼財閥の歴史上、邪眼海賊団という組織は存在したことがない」と明言されている。ロマノフの『海賊版』という事なのであろうか。
『行くぞ!かかれぇい!』
『『『アイアイサー!』』』
「取り巻きは《水晶恐皇クリアハデス》に《T・ビウオ》《K・リミー》《K・マノーミ》《A・ザラシー》か。しのぶ!俺のみで何とか出来る範囲だ、買った荷物を守っておいてくれ!」
「う、うん!」
「行くぞ、俺のターン!グレンリベットをマナゾーンへ、ターンエンド!」
『喰らえぇい!』
二本の曲刀を振り翳す髑髏顔のドラゴン、クリアハデスがサキトに斬りかかる。シールド2枚が砕かれ破片が飛散するが……そこから光の呪文と、新たな仲間が飛び出した。
「シールドトリガー発動!ドラゴンズ・サインで手札から王道の革命ドギラゴンを出す、更に来てくれ──────《次世代龍覇 Q.E.Deux》!」
「わぁ!Q.E.Deuxしゃんね!」
デュエキングWDreaMにてカードとなった、Q.E.Deux。サキトのドラグナーデッキに加入した彼女が、早速その力を発揮する。
『ここは任せて、サキト』
「あっちのQ.E.Deuxと意識共有してんのか!?まあいい、2体の登場時能力を発動!ドギラゴンの能力でデッキの上から2枚をマナゾーンへ、そしてクリーチャー1体を回収する。Q.E.Deuxとドギラゴン剣が加わり、ドギラゴン剣を回収!続けてQ.E.Deuxが相手のエレメント1つをバウンス、T・ビウオを送還!」
『にゃにぃぃ!?』
「更に超次元ゾーンから、マナゾーンにあるカードと同じ文明を持つコスト4以下のドラグハート・ウェポンを呼び出し、装備する!来い、《爆勇王剣 ラッシュ・ギガハート》!」
『これはグレンモルト……
Q.E.Deuxの手に、刀身に星空が浮かぶ蒼き大剣が現れる。ギガハートの新たな姿、ラッシュ・ギガハート!
「ラッシュ・ギガハートが場に出た時、山札の上から5枚を表に!その中から1枚を手札に加え、残りはデッキ下に。そして、手札に加えたカードが火文明を持ち、マナゾーンに水文明のカードがあれば相手のエレメントを手札に戻す!手札に加えるのは……《夢双龍覇 モルトDREAM》!火文明持ちのため、K・リミーをバウンス!」
『そんなぁ~!』
残るはロマノフを含め4体、残るシールドは3つ!それを、ラスト・ロマノフが銃で撃ち抜いて来る。
『受けるがいい、我が魔弾!』
「魔弾でもなんでもないただの銃だろうが!そして呪文使用は無しか!トリガーは……よし、《新世代龍覇 グレングラッサ》!」
『行くよ、サキト!』
「そっちもか!グラッサの登場時、Q.E.Deuxと同じくマナと同じ文明のコスト4以下のドラグハートを装備!《爆熱剣 バトライ刃》!」
『父さんの剣、使わせて貰うよ……!』
グラッサがQ.E.Deuxと並び立ち、手にバトライ刃を携えて構える。Q.E.Deuxの方はどこか表情が満足げだ。
『わぁぁあっ!』
「攻撃してきたA・ザラシーをドギラゴンでブロック!返り討ちだ!」
『がら空きねー!』
「K・マノーミの攻撃で最後のシールドがブレイク、トリガーは無いが……問題無い、決着はこれで着く!」
数には押されたものの、防ぎきる事には成功した。そして、ここからサキトの反撃が始まる。
「俺のターン、ドロー!モルトDREAMをマナゾーンへ、メンデルスゾーン発動!デッキの上から2枚、2枚目の王道ドギラゴンと《最終龍覇 グレンモルト》がマナに!そして、行くぞ!ドギラゴンでクリアハデスに攻撃し──────革命チェンジ!《蒼き団長 ドギラゴン剣》!」
『行くぞっ!ファイナル、革命だっ!!』
「ファイナル革命により、手札かマナからコスト6以内の範囲で多色クリーチャーを場に出す!さあ、行くぞ。俺のもう一人の相棒──────」
サキトの手札から、1枚のカードが飛び出す。描かれた者は、
「《双龍覇王 モルトVERSUS》ッ!!」
『いざ勝負ッ!!』
新たなる姿のモルト、モルトVERSUSが戦場に立つ!
『父さん!』
『
『
『まさか……グラッサか?大きくなったな……!』
「すまんが家族団欒はまたの機会にしてくれ!モルトVERSUSの能力、登場時及び自分ターンの初めに2枚ドローし、手札から1枚を超次元ゾーンへ置く!その後マナゾーンにあるドラゴン・カードの枚数以下のコストを持つエレメントを超次元ゾーンから呼び出す!来い……!」
『《爆勇将龍剣 ガイア・オウバーン》!』
モルトの手に、ガイオウバーンの新たな姿たる剣、ガイア・オウバーンが現れた。赤い大剣が、モルトに更なる力を与える!
「ドギラゴン剣で、クリアハデスを撃破!」
『イィィヤァアッ!』
『ぐぉおぉおぉ!?』
「K・マノーミにグラッサで攻撃!バトライ刃の効果が発動……!デッキトップは《「GG」-001》!グラッサに重ねて、NEO進化!」
『輝け!ゼノテクアーマーッ!』
グラッサの姿がゼノテクアーマーを纏った姿に変わる。サイバーガイサーガを出現させ、バトライ刃との二刀流でK・マノーミを斬り裂いた!
「そして、ガイア・オウバーンによりモルトは「パワーアタッカー+5000」「マッハファイター」「パワード・ブレイカー」を得る。これにより即座にクリーチャーを攻撃可能に!ラスト・ロマノフを攻撃ッ!」
『行くぞ!爆流剣術……紅蓮の太刀!』
モルトがガイア・オウバーンを構え、一気に距離を詰めた。その鋭い一撃にラスト・ロマノフは反応も出来ず──────。
『シャオラァッ!!』
『ぬう、ぉぉおおぉぁぁあああぁッ!?』
「『完・全・決・着!』」
爆流剣術の前に両断され、戦いに決着が付いたのであった。
「助かったよモルト、グラッサ、Q.E.Deux」
『まさか、父さんと一緒に戦えるなんてね』
『とはいえ、俺達にとっては夢のような形で意識がカードと繋がっている状態らしい。起きた時に覚えているかどうかは分からないな』
『でも……少し嬉しいよ。ありがとう、いつか現実に会って一緒に戦いたいね』
『約束通り、グラッサと共に戦わせてくれてありがとう、サキト。覚えていたらお礼をします』
「出来れば変な礼じゃないのを頼むよ……」
戦い終えた後、デュエルフィールドを消す前に少しだけ彼らと話す時間を取った。戦闘で破壊された個所の修復もその間に済み、全ては元通りだ。
『では、また共に戦おう』
『しのぶも、またね!』
「うん!今度またそっちに行くね!」
『私もいつでも駆け付けましょう』
「ああ、頼りにしてるよ」
そうして、デュエルフィールドが消失し、サキトが完全に戦闘態勢を解くと共に彼らの姿も消えて行った。
「ふぅー、何とかなったな。今後も戦う時はマナの置き方には注意しないと」
「お疲れ様、先輩!みんな格好良かったばい!」
「ああ、モルト達には今後も頼る事になりそうだな」
特に、新たなモルトはドギラゴンのファイナル革命で登場できる範囲となったのが大きい。彼の能力やラッシュ・ギガハートの能力はマナゾーンへのマナの置き方等に注意は必要だが、今後の戦いに役立ってくれるだろう。
「さて、戻ってデートの続きをしようか、しのぶ」
「うん!お腹が空いてしもうたし、お食事に行く?」
「ああ、空いてるレストランにでも入るとするか!」
そうして2人は、栗茶駅の方面へと戻ってゆく。
サキトの新たなデッキと新たなる力。その初陣は、良い形で終わる事となったのであった。
というわけで新デッキとなりまして、モルトVERSUSが導入!やはり良いカードですな。
次回本編の前にX指定パートを挟みます。ドラ娘クライアッシュシク版の自引き記念になります。
通常版ながらしのぶちゃん仕様のミュートも特典パックから出て来て万々歳!