ドラゴン娘と決闘者   作:偽りの名 ニーサン

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コロコロの最新刊買って最新話読みました。また白凰殿が洗脳されておられるぞー!
まあ新弾のWの名持ちクリーチャーの存在で分かってた事ではありましたが。

X指定パートと時系列的には同時期に起こっていた出来事です。
陽野家にある種厄介な問題が降りかかろうとしていた。


Ep.54:陽野テルタカと縁組騒動

「…………テルタカ。その、なんだ。話がある」

「…………?急にどうしたのさ父さん」

 

──────2025年10月26日。

週に2度の、父と一緒に夕食を取れる貴重な時間。その最中に、テルタカの父雷生(らいせい)が話を切り出した。

 

「……会社の上から、縁談の話が来ていてな」

「縁談って……お見合い?」

「ああ」

 

なるほど、この時が来たのか、とテルタカは得心した。母が亡くなって2年以上が経つ。父も一区切りを付けて、再婚する相手を探していたという事なのだろうと考えた。

 

「そっか、まあ父さんの選んだ事なら。ただ、人柄は知っておきたいし事前に一度会わせてくれれば…………」

「…………いや、そうじゃない。こちらの縁談ではなくてだな」

「へ?」

 

父の縁談ではない?となれば、その縁談の話というのは……。

 

「──────俺?え…………俺にぃ!?」

 

 

* * *

 

 

『誰か…………縁談の角が立たない断り方知りませんか』

『俺らに聞かれても困るが???』

『何があったんだ一体』

 

──────翌日、10月27日。

昼休みの時間、いつもの空き教室に移動中、サキトはチャットに書き込まれたメッセージを見て困惑していた。DGAのデュエルマスター達によるグループチャット、唐突に妙な相談をして来たのはテルタカである。

 

『私達には縁がない話だよねえ』

『多少縁がありそうな光明院さんにまずは聞いたら?』

『わたくしの場合は父が選別しているようですが…………まずどういった経緯で縁談が行われるのですか?』

『なんか会社の上の方から……それも、社長より上の方から話が来たとか言ってて……』

『社長より上て、会長とかクラスか?』

『グループ傘下の企業であれば、そちらの代表という可能性があるな。父親の勤める企業は?』

『AMANOコンツェルンの系列企業で』

『あそこかー……』

 

世界規模の財閥であるAMANOコンツェルンの存在は、当然ユウキやテルタカ以外の皆も全員知っている。そして、もう一つの重要な情報も。

 

『確かグループの御令嬢がドラゴン娘だと情報が来ていたな?』

『はい、わたくしと陽野様がこの目で確かめました』

『でもって、陽野くんがDGAの実働部隊なのも知ってると。うーん、繋ぎを作りたいとか?』

『政略結婚的な奴ですか!それでお相手は!?』

『それが見合い相手の情報は全くこっちに来なくて……どうなってるのやらさっぱりで』

『ふーむ……会う前に話を蹴るのは相手の面子的にも拙いしなあ……』

 

正直に言ってこれだけではサキトには相手の意図が読めない。なにやらテンションが上がっているセイカはさておき、言える事は「会ってみてから何か相手を立てる形で断る」くらいしか無い。そうして返信をしようとしたところで……。

 

「あっと!?」

「あっごめん!!」

 

後ろから誰かにぶつかられた。急いでいたらしく廊下の曲がり角から走って来たために前方不注意だったようだ。サキトはスマホを取り落としてしまい、それを前から来ていた女子生徒が拾う。

 

「あら?護守くん、気を付けなきゃだめよ」

「いやまあ急に後ろから来られたもんで……庵野さん?」

「壊れていなければいいけれ、ど…………」

 

ふと、彼女が画面を見てしまう。映っているのは、グループチャットのアプリのままで。

彼女の表情が固まっていくのが、サキトにも見て取れた。

 

「え……『縁談』……『お見合い』……『政略結婚』…………?」

「あ、庵野さん……その、色々と誤解が、いや半分は誤解じゃないですけどあっちは断る気で動いて……庵野さん待ってくれ!俺のスマホ握ったまま力を入れないで!落ち着いて話し合おう!?」

 

この後滅茶苦茶テルタカに鬼電した。立場上会わずに断る事が出来ないため、一度だけ会う必要があるという話になったのは納得してくれた…………ように見えたのだが。

 

 

* * *

 

 

「未だに相手が誰かあちらから言ってこないって、どういう事なんだ…………?」

 

──────翌週、11月2日。

お見合いの場となる高級料亭、そこの一角に着物姿でテルタカはやって来ていた。父は同席せず、今は相手を待っている所だ。

 

「予定の時刻まではもうすぐ……居心地が悪い……!」

 

店の問題では無く、この厄介な縁談に対する重圧が産む居心地の悪さ。なんとか穏便に断って早い所帰りたいとテルタカは考えていた。

そこに、微かだが足音が聞こえて来た。見合いの相手が到着したのだろう。襖が開かれ、振袖姿の女性が姿を見せて──────。

 

「ごきげんよう、陽野テルタカさん?」

「──────なんで?」

 

その女性が、以前会った天命である事に気付いた瞬間、テルタカは一刻も早くこの場から離れたい衝動に駆られるのであった。

 

 

 

「あー、すみません。こちらでお食事中の友人、陽野テルタカに呼ばれているのですが……」

「申し訳ございません、本日この時間は貸し切りとなっておりまして……」

 

同時刻、サキトは料亭の入り口にて、仲居相手に問答をしていた。後ろにはしゅうらも付いて来ている。

 

「駄目だこりゃ、正攻法では入れそうに無いですね」

「むぅ……どんな人が来たのか見ておきたいのに」

「それだけのために駆り出されるとか思っても見ませんでしたよ……!」

 

そう、しゅうらの要望によりサキトは会場となる料亭をテルタカから聞き出し、見合いの推移や相手の素性を見るべくやって来させられたのだ。流石に最初は渋ったものの、最終的にしゅうらの圧にサキトは屈した。

 

「陽野さんは断ってくれるでしょうけれど、相手が納得するかは分からないもの……!」

「納得しない場合どうするつもりなんですかね」

「乗り込んで行ってわたしが恋人だと宣言するわ!」

「ドラマか少女漫画なんかの見過ぎじゃないですかね!?」

 

そんな風に話していると、料亭の中から騒がしい声が聞こえて来た。

 

『勘弁して、放してくださいよっ!!』

『何故逃げようとするのかしら!?』

『絶対に碌な事にならないでしょうがぁっ!?』

 

「…………」

「…………な、中で何を言い合っているのかしらね…………?」

 

テルタカと見合い相手らしい声が2人にも聞こえて来た。何が起こっているのやら。

 

「…………ん?」

 

ふとサキトが料亭の庭園を囲う外壁の方に目を向けると、何やら暗い表情で壁を見つめる男の姿が目に入った。

 

 

 

「なんで俺が貴女とお見合いする事になってんですか!何の目論見でこんな!?いやがらせか何かで!?」

「失敬ね、そんな事の為に私が嘘の縁談を仕組むとでも?」

「断らせてうちの父を左遷させるとか、そうでもなきゃ猶更理解が出来んのですよ…………っ!」

 

逃げ出そうとしたテルタカであったが、命に手を掴まれ逃走を阻まれる。ドラゴンの力を使っているのか、力負けしてしまい逃げ切れそうになかった。

 

「貴方はあの時…………私の肌を全て見たのだから、責任を取って貰わなくては困るわ!」

「責任ッ!?」

「あそこまで見せるのを許されるのは生涯を共にする人だけに決まっているでしょう!」

「そういう貞操観念の高さはいいですけどそれなら俺の貞操に関しても配慮してくださいませんか!?俺は交際してる方がいるんですよ!」

「──────ええ、知っているわ」

 

命の表情が少し険しくなる。それを見たテルタカはより困惑を強める事となった。

 

「知っていて何で……いや、そもそもどこで知って!?」

「色々と、貴方の身辺は調べさせて貰ったわ。ご家族の事に素行や学校生活の事、そして交際関係も。…………桜龍高校のドラゴン娘の方とお付き合いしていたのには流石に驚いたけれど」

「AMANOコンツェルンこわい……!」

「貴方と交際している方が仲睦まじい事も承知の上よ。それでも──────貴方というひとに、どこか惹かれてしまっている私がいるの」

「なん…………っ」

 

そんな好意を抱かれるような事をした覚えがないテルタカは、戸惑いを隠せない。単純に家やグループの利益のためと言われるよりも縁談を蹴るのが難しい厄介な状況だ。

 

「そ、そんな事言われましても──────」

 

返答に困ったテルタカがどうにか答えを出そうとしたところで──────スマートフォンから警告音が鳴り響く。

 

「「っ!?」」

 

直後、辺りが赤く染まった後…………料亭の一室が、吹き飛ばされた。

 

 

* * *

 

 

「なっ何!?何が起こったの!?」

「っぶねえ…………フィールド展開が間に合って良かった……!」

 

外壁と建物の一部が崩壊した料亭の外にて、サキトとしゅうらは巻き起こった粉塵に巻かれていた。視界が回復すると、そこには先程から料亭の壁を見ていた男がいて…………その両腕は異形の骸骨に変貌し、その背後には、怪物の像が浮かんでいる。

 

「クリーチャー憑きか……!」

「料亭が…………テルタカさんは大丈夫!?」

 

料亭の方を見ると、屋根の一部が崩落していたが…………1か所が盛り上がる様に動くと、その下からテルタカと命が姿を現す。咄嗟にデュエルテクターの展開が間に合い、無事で済んだようだ。

 

「天さん、大丈夫か……!」

「え、ええ…………そういう貴方の方が危なかったでしょう!」

「なに、どうってことは…………っ」

 

咄嗟に命を伏せさせ、自身が覆い被さる形で崩壊した屋根や柱から守ったテルタカであったが……立ち上がった体がふらつく。無視できない程度のダメージがあったのは間違いない。

 

「あれは、たしかPENTADRÉのメンバーとかいう……他校のドラゴン娘の!」

「えっ!?あの人がお見合い相手…………って、そんな事を言ってる場合じゃないわね!2人共危ないわ!」

「は?しゅうらさん!?なんでこんな所に……!」

「それを気にしている場合では、無さそうね……!」

 

虚ろな目をした男がテルタカ達に向かって歩いて来る。何やらぶつぶつと言っているようだが…………。

 

『ははは…………壊れてしまえばいいんだ。こんな店も、ここで行われる縁談も結納も全部……!』

「なんか妙な恨みでもありそうなヤツだな……?」

「幸いこの領域で、店の方は巻き込まれていないようね。今の内に片付けなくては──────」

 

命が構えようとしたところで、男が…………いや、その背後のクリーチャーが動いた。胸にある巨大な口を広げたそのクリーチャーが、一瞬にして距離を詰め──────。

 

「っ!?」

「まず──────」

 

命と、咄嗟に庇おうとしたテルタカを、まとめてその口で──────飲み込んだ。

 

「な…………っ!」

「テルタカさん!!」




次回に続く!テルタカと命の運命やいかに!

何やら14日と15日に日間ランキング入りしていたらしく、閲覧数とお気に入り登録が結構な勢いで増えて驚きました。今後も頑張って執筆して行くので皆様よろしくお願いいたします。
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