ドラゴン娘と決闘者   作:偽りの名 ニーサン

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私用と風邪引いてのダウンが重なりだいぶ遅れました。申し訳ねえ!

2年生の修学旅行も近いある日、桜龍高校にまた新たな騒動が…………。


Ep.56:ドラゴン娘と電界の戦い

「はぁ~、来週からいよいよ修学旅行ですね……!」

「今年の行先は京都・奈良やったね。楽しみだわ」

「ギャイは京都は行った事無いの?」

「関西にいた時の引っ越し先は大阪やったからな……そっちは初めてなんよ」

 

──────2025年11月10日。

11月に入り、2年生の修学旅行まであと1週間という時期になっていた。アーシュ達生徒会メンバーも全員が4日間京都へ行く事となっており……。

 

「なので、普段の生徒会の仕事を誰かに代行して貰わないといけないので……仕事の手引きとか資料を作っておかないと……!」

「うむ、わらわ達全員が桜龍高校を離れている間は生徒会の雑務を誰かに任せねばならないからな」

「あちゃー、そういえばそういう事になっちゃうんだったね」

 

生徒会の仕事には結果として大きな穴が空いてしまうだろう。故に、アーシュとすずは生徒会室のパソコンとにらめっこしながら、彼女らが不在の間の仕事を簡易的に纏めている真っ最中だ。

 

「流石アーシュちゃんとすずちゃん!備えあれば嬉しいなネ!」

「『憂いなし』だぞ」

「言うても、先生から任される雑務以外は目安箱の中身を回収するくらいやん?」

「後は、臨時の校内放送があった場合の対応とか……」

「それで、誰に任せるの?」

「一応時間が空けられるとの事だったので、護守先輩と赤坂君に」

「あー、まああの2人くらいしか校内だと任せられへんね」

 

生徒会の裏業務……校内のクリーチャーへの対処も考えた場合、ドラゴン娘かDGA実働部隊員以外に仕事を任せるのは難しい。というより、それが生徒会の業務であると一般生徒に知られてしまっては問題だ。

 

「受験勉強中の先輩に頼むのは心苦しいですけど、赤坂君だけにそちらを任せるという訳には行かないですし」

「流石に1人は無理があるからな、あちらが引き受けてくれたのは助かる……よし、こんなものでどうだ?」

「良さそうです!さすがすずちゃん!」

「それじゃあ朕がナデナデしてあげマス!」

「ぎゃー!放せキサマー!」

 

資料作りが一段落して一息つく2人。しかし…………急にパソコンの画面にノイズが走る。

 

「わ!?なにこれ!!」

「パソコンの様子がおかしいわネ?」

「なにぃ!?」

 

ザザザザ、とノイズが画面を乱し、それが治まった後には──────。

 

「し、資料が……!」

「いやぁぁあぁ~~~!?せっかく完成したのにぃ~~~~~~~!?」

 

文字化け、誤った変換、そして消去された個所まである文書。完成したはずの資料は、一瞬にして無惨な有様になっていた。

 

 

* * *

 

 

事は、生徒会室のパソコンのみに止まらなかった。

職員室のPCは全滅、パソコン室のものも全て不具合が発生。更にはゲーム部の備品となっているゲーミングパソコンにもその影響は及び……。

 

『これは……ちょっと生徒会室に行って来るね』

「先輩にも連絡をしておきます!」

「ちょ、部長!?赤坂!?」

 

その段階で、ハヤトのデュエマフォンから警告音が鳴り響き……今回の事件は、クリーチャー絡みであると断定される事となった。

 

 

 

『えー、ネットワーク上のクリーチャー案件という事で呼び出されたわけだが。そちらで敵の概要は把握出来てるか?』

「はい、オレの端末には《サイバー・R()・コンストラクション》であると出ました。サイバー・コマンドの一体ですね。人間に憑いてない野良であることも解析できたみたいっす」

 

現在生徒会室では、ハヤトのデュエマフォンから展開されたホロスクリーン上にサキトの映像が映り、リモートでの作戦会議が行われていた。ゲーム部からは高性能PCが一時的に持ち込まれ、回線の接続作業中だ。

 

『野良クリーチャーか……それはそれで厄介だな。もう既に都内では大規模な通信障害が起き始めている。この通信もDGAの特殊回線が無ければどうなっていたやら』

「それもクリーチャーの仕業なのか?」

『それは間違いないですね。そして通信障害のみならず様々な機器の誤作動も起き始めている……行きつく先はウォーゲームか?』

「ウォーゲーム……ですか?」

『あ、会長は知らんかな?昔のデジ○ンの映画』

「あー、無料公開されてたのを見た事あったかも!」

 

流石に四半世紀前の作品ともなれば、当時生まれていなかった彼女らの大半はその作品を知らないのであった。閑話休題。

 

『ネットワーク上に生まれた電子生命体がデータを食い荒らして急成長、世界を大混乱に陥れる敵に立ち向かう話なわけですが……』

「ど、どないなことになるん?」

『後半で、そいつが米国の軍事基地に侵入して核ミサイルを発射するところにまで発展しまして』

 

アーシュ達の血の気が引く。サキトがこの例を出すという事は……今回のクリーチャーであれば、同様の事を起こせても不思議ではないと言っているようなものだ。

 

「流石にソレはマズいわネ……」

『アメリカに限らず、核保有国のどこかで事を起こされたら厄介』

『なので、今回は既に助っ人を呼んで外国サーバーに繋がれないよう手を打ってもらった。そんじゃあ自己紹介をよろしく』

『はーい、桜龍高校の皆さん初めまして!DGA電脳対策班所属、水文明のデュエルマスター・水原セイカ!護守先輩の要請でリモートでお手伝いさせて貰いますよー!』

 

スクリーン上にウィンドウがもう1つ現れ、ベージュの髪に青い瞳の少女、セイカが彼女達に挨拶する。今回のような事件は彼女ら電脳対策班の出番であった。

 

『うちのもう1人のエースも呼んであるので、万一にも海外サーバーへは行かせないよ!』

「おぉ~、ネット上でもクリーチャーと戦ってるんだ!」

「それで、こちらは何をすれば?」

『とりあえず高スペックなパソコンの用意が終わり次第、デュエマフォンを接続して赤坂くんの相棒を送り込んで貰いまーす!下手なスペックだと処理落ちして大変だから気を付けてね!』

「それでゲーム部からゲーミングパソコン一旦持ってきたんやね……」

 

やる事はシンプル。サキト、ハヤト、セイカがそれぞれの相棒を送り込み対象クリーチャーを殲滅する!

 

『生徒会の皆さんは、相手が現実世界に出て来た時に備えて待機しててくださいね!』

「で、出て来るんですか!?」

『被害が始まったのが桜龍高校だったので、何らかの緊急避難手段を仕込んでいる可能性はあるかもですねー。それじゃあ行きますよ!』

『こちらの設置もよし。ナビゲートもしておくよ』

「じゃあ行きます!レッドゾーン!」

『おうよ!』

 

レッドゾーンのカードをデュエマフォンが読み込み、その力と意識が電脳空間に送られる。サキトのドギラゴン閃、セイカのマーキュリー・スターフォージも送り込まれ、準備は万端だ。

 

『クリーチャーを見つけた。回線を開くよ』

『こちらは平行してプログラムを構築中なので帝王坂さんがいてくれてめっちゃ助かります!ありがとう!』

『それじゃあ、行くぞ!』

 

視覚化された電脳世界に開かれた回線のゲートへとドギラゴン、レッドゾーン、スターフォージが飛び込んで行く。目指すは、サイバー・R・コンストラクションの潜むサーバー!

 

 

* * *

 

 

『開、通ッ!』

「よし…………ッ!気を付けろレッドゾーン!」

 

一番に飛び込んだレッドゾーンへと、上方から青い光弾が放たれた。身体を捻りかわすと、彼の視界に映ったのは4体のクリーチャー!

 

『オイ、増えてやがるぞ!』

『みたいだな!他のは……《サイバー・A・アイアンズ》、《サイバー・W・スパイラル》に、《サイバー・J・イレブン》!』

 

サキトがすぐさま敵のデータを送る。そんな彼らの前で、4体のサイバー・コマンドの姿にノイズが走り──────。

 

『何……!?』

 

それぞれのクリーチャーが、2体に増えていた。

 

「増殖した!?」

『本格的にウォーゲームめいてきたな……次の分裂があるならあとどのくらいだ!?』

『あー、これはまずそう。あと30秒しないうちにまた増えそうな感じ!』

『なにぃ!?次増えたらアウトだぞ!』

「どういうことですか!?」

『敵の1種、《サイバー・J・イレブン》は自軍の水文明クリーチャーが合計11体以上になった時特殊勝利する!問答無用でやられる!』

「そんなご無体な!?」

 

現在の敵の数は8体、また増殖すればその数は16体。余裕でその効果が起動する!

 

『ならぶっ飛ばすまでだ!レッドゾーン──────ダァァァァァァッシュ!!』

 

邪道のレッドゾーンが駆ける。大軍を一掃するのはお手の物、パワーが比較して低いイレブンとスパイラルが、轟速の炎に焼かれ瞬時に纏めて吹き飛んだ。

 

「ナイスネ!」

「とはいえ、他はまた増えそうだぞ!?」

 

そう、イレブンとスパイラルを倒したものの、アイアンズとコンストラクションは増殖し敵の数がまた8体になっている。一気に倒さなくてはキリが無さそうだ。

 

『とりあえず本体がいるはずなので、それをどうにかしちゃいますね!』

『出来るの?』

『勿論!ただ、どれが本体かの解析は現地に行った方がより精度が高くなるので──────』

「現地って、そこはネットの中ですよ!?」

 

そう、戦場はあくまで電脳空間。以前アーシュはゲーム内に閉じ込められるという経験をしているが、自発的にそれを行う事は出来ない…………はずであった。

 

『大丈夫大丈夫!──────プログラム構成ヨシ、デュエマフォンにロード!セイカ、いっきまーす!!』

『何をす…………なにぃ!?』

 

セイカの姿がモニターから消える。すると、電脳の戦場を映し出すモニターの中に、セイカが姿を現した!

 

「で、電脳空間に入った!?」

『それじゃいくよ、私の相棒!』

『Contract armor awakening.』

 

セイカとスターフォージの身体が光を放ち、1つとなる。水色に染まった髪が伸び、背には4枚の翼が生える。鉤爪を備えた4本の腕が浮遊し、彼女自身の手には電流の流れる槍が現れた。

 

『『《愛銀河マーキュリー・スターフォージ》!フルスペックで行くよ!』』

 

その全身が光ると超速度で解析と演算が行われ、敵の本体…………コンストラクションとアイアンズの本体と呼べる個体にマーキングを施し、更にそれぞれの弱所と呼べる場所がドギラゴンとレッドゾーンの視界に表示された!

 

『そいつを狙えばいいんだな!?』

『よし、やるぞ!』

 

ドギラゴンとレッドゾーンが、剣と拳でその弱点を貫いてゆく。スターフォージと同化したセイカも、電磁槍を振るいサイバー・コマンド達を葬ってゆく。

形勢不利とみたサイバー・R・コンストラクションとサイバー・A・アイアンズは、逃走を図る!

 

『させるか!』

『逃がさん!』

 

ドギラゴンとレッドゾーンが跳ぶ。しかし、直前で…………2体が再度分裂した。

 

『『ちぃっ!?』』

 

分裂体が直接ぶつけられ、それを叩き伏せた隙に本体が離れようとする。このままではアーシュ達の下に2体が逃げ込んで暴れかねない──────。

 

 

 

『引き金は2度引かねえ、一発が全てだ!』

 

 

 

瞬間。銃声が鳴り響き、サイバー・A・アイアンズの脳天が撃ち抜かれ消滅する。それに動揺したか、動きを止めたコンストラクションへセイカが迫り。

 

『『これで、ミッション終了!』』

 

電磁槍がサイバー・コマンドの身体を貫き、完全に消滅させたのであった。

 

 

* * *

 

 

「あ、資料が元に戻りました!」

「クリーチャーの力で書き換えられたからか、ヤツが消えた事で戻ったようだな」

「これで安心して、お仕事を託せマス!」

 

サイバー・R・コンストラクションの消滅により、桜龍高校から始まった首都圏全体のトラブルは終息へ向かっているようだ。重大な事故や事件が起こる前に終わって何よりと言える。

 

『さっきの声、もしかしてもう1人のエースという?』

『そうそう、ジョーカーズ使いのお兄さん!直接会った事はないけど、頼れる人なんですよー!』

「へぇ…………」

『前にも私達は助けられたね』

 

有名ゲーマー「Johnny the sheriff」のアカウントを持つDGAの電脳対策班エース。同僚のセイカですら直接の面識は無いらしく、徹底してその身を晒さないよう活動しているようだ。

 

「いやあ、急に呼び出されたうえ助けてくれて、皆おおきにな」

『いえいえ、仕事ですから!それでは機会があればまたー!』

「ありがとねー!」

 

セイカは挨拶をすると早々に通信を切る。電脳対策班は、色々と忙しいのだろう。

 

『来週から会長達は修学旅行か。気を付けてな』

「一緒の学年でないのが残念です……会長、楽しんできてくださいね!」

「はい!」

「何かあった場合も、トウリ君も一緒だから安心ネ!」

「そもそも何も無ければ良いがな……」

 

かくしてこの日起こった騒動は終わりを迎えた。

いよいよ来週には、2年生最大のイベントがやってくる。




そんなわけで修学旅行前に起こった一騒動でした。
ぼくらのウォーゲームが四半世紀前などと書いててセルフダメージを受ける羽目になりました。何もかも皆懐かしい……。
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