「お、陰陽寮……?」
「陰陽師って聞いた事あるでしょう。彼らや技術官僚が「国家公務員」として従事し、吉凶を占って天皇を補佐していた、かつて日本にあった国家機関……」
「よぉ知っとるなぁ。
2人の前に立つセイジは、茨木童子へ右腕の弓を突き付けたまま油断なく構える。既に、シールドも展開済みだ。
「貴様ァ……綱の子孫めが!捻り潰して」
「悪いけど、お前の相手は後でな」
セイジが弓から再び札を撃ち出す。それは茨木童子の頭と残る四肢に張り付くと、五芒星状の光を描き出し完全に動きを止めさせた。
「がぁあっ!?」
「お嬢さんは蟠龍くんと僕の間でおとなしくしときや。蟠龍くん、やれるかいな?」
「あ、ええ。勿論!」
トウリがセイジと背中合わせに立ち、間に初を挟む形でデモニオ達と対峙する。セイジはゴウケン齋とシャカ車輪を、トウリはバクロ法師を対面に捉える形だ。
『モモキングの契約者共々葬り去ってくれる!』
『かかれぇい!!』
「異世界の鬼やったら、これで相手になる。覚悟しときや」
「お前達の企みはここで潰す!」
「「デュエル!!」」
* * *
「自分のターン!《ボルシャック・モモキング・クロスNEX》をマナへ送りターンエンド!」
「僕のターンや。《チャラ・ルピア》をマナに換えてターンエンド。さあ、来なはれ」
トウリとセイジ、共に1ターン目はマナチャージで終わる。セイジへゴウケン齋が、トウリへとバクロ法師が真っ先に襲い掛かって来る。
『喰らえい!』
「くっ!トリプルブレイクされて、シールドトリガー……よし、《進化設計図》と《モモからうまれたモモキング》!デッキの上から6枚を表にして、進化クリーチャーを全て手札に!《ボルシャック・モモキングNEX》、《アルカディアス・モモキング》、《王道英雄 キング・モモキングKG》を加える!そして、モモからうまれたモモキングにより……手札から《夢双英雄 モモキングDM》をタップ状態でバトルゾーンへ!」
『いざ、参る!』
二刀を構えたモモキングが場に現れ、更にその身体が光り輝く。
「モモキングDMの登場時能力!コスト8以下の進化ジョーカーズ・クリーチャーを2体まで、マナからバトルゾーンへ出す!カモン!」
『王来!』
「『スター進化!!《ボルシャック・モモキング・クロスNEX》、ここに参ジョー!!』」
初手で手札に来ていたモモキングDM、それをこの場で活かす可能性を考えた結果、トウリは初手のマナチャージをクロスNEXにしていた。そして、その力がデモニオ達に振るわれる。
「更にデッキの上から2枚をマナゾーンへタップして置く!2枚目のモモからうまれたモモキングと、《武闘英雄 カツ・モモキング》がマナに!そして、ボルシャック・モモキング・クロスNEXの登場時能力によりコスト4以下の相手クリーチャーを全て破壊!」
『受けて見よ、進化せしボルシャック殿の炎!!』
モモキングが大剣を振るうと、刀身から炎が迸り鬼達を焼いてゆく。《ストリエ雷鬼》、《アシガル変化》、《ネブダシ入道》といった低コストの取り巻き達が一気に焼き尽くされ、更にバクロ法師自身も……。
『な、にぃいぃ!?』
「お前は鬼タイムの影響下でパワーが高コスト帯クリーチャー並になっているが、実際のコストは4……よって、クロスNEXの炎からは逃れられない!」
『燃え尽きるでござる!』
『馬鹿なぁ……っ!』
バクロ法師が消え、残る取り巻き達、《ザンジ変化》と《クラヤミ変化》がトウリへ襲い掛かる。しかし、その前にはモモキングが立ち塞がる!
「モモからうまれたモモキングにより、攻撃する相手は可能な限りモモキングへと攻撃しなければならない!」
『これにて悪鬼討滅でござる!』
一刀のもとに下級の鬼を切り捨て、トウリの側は決着が付いた。そして、セイジの側は。
『砕け散れぃ!』
「ダブルブレイクされて……よっしゃ、片方シールドトリガーやな。《
砕けたシールドから、悪魔神が描かれた呪文が発動し、激しい光が放たれた。
「悪魔世界の閃光は次の僕のターンが始まるまで、僕のクリーチャー全員にブロッカー能力を与える。更に、ヨビニオン能力によりコスト5以下のクリーチャーが出るまで山を捲って、条件に合うクリーチャーが来たら、場に出す。1枚目、《竜装 ゴウソク・タキオンアーマー》。2枚目、《竜装 ザンゲキ・マッハアーマー》。3枚目……来やはったな。《ボルメテウス・武者・ドラゴン「武偉」》!」
『──────オォォオォオォッ!!』
蒼い鎧を纏った、伝説の龍ボルメテウスの名を継ぐドラゴン、《ボルメテウス・武者・ドラゴン「武偉」》。巨大な刀を携えるその姿は、デモニオ達を圧倒する。
「ボルメテウスが場に出はった時、僕のシールドを1枚割る事でパワー6000以下の相手クリーチャーを仕留める事が出来る。そっちの《オオガマ童子》を破壊や」
『武者ザンゲキ剣ッ!』
『ぐげぇぇえ!?』
「お、運がええな。割ったシールドからトリガー、《神影剣士ジュウベイ》!」
ボルメテウスが放つ斬撃が大鎌の鬼を断ち、更にシールドから口元を隠した白髪のサムライが現れる。そして、2体のサムライはそれぞれが更なる力を発揮する!
「ジュウベイの登場時能力。手札か超次元ゾーンからクロスギアを場に呼び出せる。言うても、僕のデッキには超次元ゾーンにカードは無いけどな。手札から《天装 タイショウ・アームズ》を場に出して、登場時能力や。デッキの上から3枚を見て、その中から好きな数のサムライを相手に見せてから手札に加える……運がええ、3枚ともサムライや。《竜牙 リュウジン・ドスファング》、《ヴァルキリアス・武者・ムサシ「弐天」》、2枚目のボルメテウスや」
『手札を増やしたところで……!』
「そして、ボルメテウスの侍流ジェネレート。手札からクロスギアをノーコストで出せる。リュウジン・ドスファングを出して……その能力で、サムライ・メクレイド5や。デッキの上から3枚を見て、コスト5以下のサムライを1枚ノーコストで実行!」
白く輝く防御に長けた大鎧と、両腕が刀となった攻撃的な大鎧が場に設置された。それらはセイジに手札の補充と、更なる援軍を呼ぶという恩恵を齎す。
「なるほど、ここはもう一回やな。2枚目のリュウジン・ドスファングを実行し、もう一度メクレイド!……よし、出番が来はったな。さあ行きなはれ、《ヴァルキリアス・武者・ムサシ「弐天」》!」
『ああ!待ちかねたよ、主殿!』
大鎧の力で、強力なクリーチャーが呼び出される。それは、トウリ達が昨日遭遇した、女性の姿のクリーチャー…………ヴァルキリアス・武者・ムサシ「弐天」!
「昨日の金トレジャー版ムサシ!セイジさんの相棒だったのか!」
『ああ!あたしこそ主殿の相ぼ──────』
「嘘つくなや。契約はしとるけど、僕の本命の相棒はこいつとちゃうで」
『主殿のいけず!』
「はよ仕事せえ。ムサシ弐天の登場時能力、場にある火のエレメントの枚数以下のコストを持つ敵を破壊して、その後光のエレメントの枚数分ドローする。火のエレメントは5つ、コスト5以下のクニトリ童子を破壊や。そして光のエレメントは4つで4枚ドロー」
『せぇいやっ!!』
ムサシ「弐天」が刀を振るい、刀を持った鬼、クニトリ童子を叩き斬る。これで残る敵は6体。攻撃を残すはシャカ車輪と、コウモリのような《クラヤミ変化》、看守服の鬼《カンゴク入道》、刀とクナイを手にした鬼《ニンニン童子》、そして鬼瓦のような《ガワラ入道》!
『轢き潰してくれるわぁぁ!』
「すまんなジュウベイ、ブロックを頼むわ!」
『主の命とあらば!ぬうぅうぅっ!』
シャカ車輪の突撃からジュウベイがセイジを庇う。打ち倒されるものの、車輪の軌道を反らしシールドを守り抜いた。
『行け、貴様ら!』
「クラヤミ変化とカンゴク入道の攻撃をボルメテウスとムサシ弐天でブロック!ニンニン童子とガワラ入道の攻撃はそれぞれシールド1枚で受ける!」
『ここは通さないよ!』
残る鬼達の攻撃を受け切り、残るセイジのシールドは0枚。次のターンで仕留めなければ危うい。
「さて、僕のターンや。ドロー。ボルメテウスを一応マナに換えて、ドスファングを2枚ともボルメテウスにノーコストでクロスさせる。そして……行けムサシ!ゴウケン齋に攻撃!」
『あいよ!』
『相討ち狙いか!?』
「そないなわけあらへんわ。ムサシ弐天の攻撃時、革命チェンジ!《時の法皇 ミラダンテⅫ》!」
ムサシ弐天が跳び上がると、後退するように毛色の異なるクリーチャーが現れる。法衣を纏い、時計の文字盤の如く数字が刻まれた円盤を浮遊させる天の龍…………ミラダンテⅫ!
「ミラダンテⅫの登場時、手札から光のコスト5以下の呪文を唱えるか1枚ドロー。呪文《ドラゴンズ・サイン》で、《音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ》が場に。そして、ムサシ弐天の攻撃時能力で、手札の枚数以下のコストを持つ進化でないサムライかアーマードを出す。手札は11枚もある、ムサシ弐天自身を再度出して、今度は4コスト以下を破壊。くたばりや、ガワラ入道。そしてゴウケン齋も、ミラダンテⅫの攻撃で粉砕や」
『『ぬぐわぁあぁ!?』』
「そして、ボルメテウスでニンニン童子に攻撃や。この時、クロスしたドスファング2つの能力で、2回サムライメクレイド5!……1回目はハズレやね。出て来るのはまず、ザンゲキ・マッハアーマー!」
4足の龍のような形状をした鎧が現れる。これ自体は、勝敗に寄与する事は無い。
「そして──────これで終いや。2回目のメクレイドで、ムサシ弐天とラフルル・ラブで
『仕方ないね。さあ行くよ!』
『ええ!』
ラフルル・ラブに跨ったムサシ弐天が、炎と光の渦を生み出す。そこから、新たなる龍が姿を現さんとする。
「僕の本命、切札のお出ましや。天使と交わりし最強のサムライ──────」
それは、戦国武闘会の覇者。不滅の天使と紫電の龍が一つとなった、世界を守った最強のサムライ!
「《
『不滅の紫電、ここにあり!!』
全身を覆う白い鎧。右半身は龍の赤、左半身は天使の青によって縁どられ、4本の腕には刀と光の剣を持つ、聖なる龍のサムライ、シデン・ギャラクシー!
『な、なんとっ!』
「ボルメテウスがニンニン童子を撃破!そして、シデン・ギャラクシーでシャカ車輪を叩っ斬る!」
『我らの刃、受けて見よ!』
シデン・ギャラクシーが、4本の腕で刃を振りかぶる。その斬撃を、シャカ車輪には躱す術は無く。
『がぎゃ…………!』
「討伐完了、ご苦労さん」
* * *
「お、のれ、異界の鬼めらが悉く…………」
「ほな茨木童子、あとは動けへんお前の首を取って終わりやで」
セイジは腰から刀を抜き、茨木童子に相対する。
「お、鬼をその刀で斬れるの?」
「ご先祖様の使ってた刀とおんなじように、霊力や加護が宿っとるからね。妖怪くらいイチコロや」
「ぐ、貴様……!」
怒りと悔しさに茨木童子の顔が歪む。因縁ある武士の末裔に今度は命を絶たれるとなれば、当然の事だろうか。
『──────おおっと、そうは行きませぬぞ』
突如として、暗闇の中から声が響いた。同時に何かが飛来し、茨木童子の身体に突き刺さる。
「っ!?」
「ぐがぁあぁぁぁあああ!?」
「何や!?」
何か金属片のようなものが、茨木童子の身体へ刺さった後に潜り込み──────直後、膨大なマナを発して、セイジの呪符による封印を弾き飛ばした。
そして同時に、赤黒いマナが新たな陣を描いて茨木童子を捉え、空中へ浮き上がらせた。
「が、ぁっ!どういうことだ、何をした!鬼の術者が!」
『次善の策とはなりますが、これで必要な器は得られたという事ですよ』
「なに、あの鬼?」
『お初にお目にかかりますな、元鬼槍の依り代の娘御に、DGAとやらの決闘者殿。我が名は、ヨミノ晴明と申す者』
「晴明さんの名を騙るけったいな鬼か。なんを企んどるん?」
茨木童子の隣に現れた、烏帽子を被る陰陽師姿の鬼…………《「
『それは当然──────ジャオウガ様復活のため、必要な器を確保しに来たのですよ』
「何だと!?」
『モモキングの契約者。次に会う時は──────我ら大鬼札王国の総攻撃となりましょうぞ』
「させるかい!」
「そいつを放して貰う!」
『『Contract armor awakening.』』
トウリとセイジは、同時にコントラクトアーマーを纏う。モモキングJOの力を得たトウリ、そしてシデン・ギャラクシーの力を得たセイジが跳躍しヨミノ晴明へと刃を向け…………。
『では、おさらばです』
届く寸前で、ヨミノ晴明と茨木童子の姿が掻き消えた。
「くっ、逃がしたか……!」
「これ、厄介なことになりそうやなぁ…………」
「さっきあの鬼に刺さったのって──────シューラっちの、欠片?」
初には見覚えが、そして懐かしさを覚える感覚があった。あれは間違いなく…………一王二命三眼槍の破片。一度初のマナを取り込んだ鬼槍の穂先。
それを、
…………これで、条件は整った。『忌々しき支配の鬼』の復活が、いよいよ──────現実となるだろう。
蟠龍トウリと、渡辺セイジの戦い。そして、大きく動き出す大鬼札王国。
最終決戦の時は、近い。
キャラ紹介ページに、渡辺セイジの紹介を追記致しました。そちらもご覧ください。
ますますつよいパックの背景ストーリー、何で唐突にキン肉マンの黄金のマスク編が始まってるんです?(《「正義の記念碑」》に関する解説参照)