ドラゴン娘と決闘者   作:偽りの名 ニーサン

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時期は、12月上旬。超獣世界に、大いなる決戦の時が訪れる。


Ep.65:桜龍高校と邪鬼襲来

『止まれ!貴様、何者だ!』

 

超獣世界、光文明の領域、世界をつなぐ柱の近辺。

DGAと他文明からの要請を受け、柱の警備を強化していた新たなる十二神騎。その前に、空間を斬り裂いて突如何者かが現れた。

 

「オ、ォオォォ……ッ!」

『様子がおかしいぞ、全員構えろ!』

『おおっと、邪魔立てはなりませぬな』

 

男の声がどこかから聞こえると、十二神騎達を黒い炎が襲い、鎖のように彼らを縛り付ける!

 

『何ッ!?』

『さあ、これで邪魔は入りませぬぞ。やっておしまいなさい、茨木』

「ガァァアアァァアァァァアァッ!」

 

着物を着た男…………茨木童子の右腕が膨れ上がり、3つの目を宿した刃のように変貌する。雄たけびを上げた彼はそのまま、世界をつなぐ柱へと右腕を突き立て──────そこから、柱が大きくひび割れてゆく。

 

『馬鹿な!』

『あれはもしや、件の人の歴史の力を持った者……!?』

『さあ、お迎えに参りましょうぞ、ジャオウガ様!』

 

姿を現した鬼の術者、ヨミノ晴明が茨木童子を連れ、罅から柱の内部へと侵入してゆく。それを、十二神騎も追いかけてゆく。

彼らは罅が拡大し崩れ行く柱の中を、下の層へと向けて落ちてゆく。そして──────。

 

『おお、おお!お懐かしゅうございます、ジャオウガ様……!』

 

時が凍り付いたかのように、微動だにしない2つの影…………この柱の礎となったクリーチャー。ジャオウガと、モモキング!

 

『あれは……拙いぞ!』

『さあ、お目覚めなされい!』

 

固まったジャオウガへ向けて、ヨミノ晴明が茨木童子を蹴り飛ばす。彼がジャオウガの身体に触れると……メキメキと音を立て、その身体がジャオウガへと飲み込まれてゆく!

 

「ガァァアアァァアァァァアァッ!やめ、やめろォオォオォォォォッ!!」

『お喜びなさい。望み通り貴方は強大な鬼の王を蘇らせるのですから。まあ──────貴方の知る鬼とは異なりますが』

 

断末魔の叫びを上げながら、茨木童子が完全に飲み込まれ──────ジャオウガの目が開いた。

 

『グ、ォオォ……ッ』

『何という事だ……!』

『奴が…………ジャオウガが目覚めた!』

 

固まっていたジャオウガが、徐々に動き出す。そして完全に目を覚ますと。コリをほぐすかのようにその両腕を大きく回した。

 

『ジャオウガ様!』

『ヨミノ晴明か。ここは…………なるほど、我を飲み込んだあの虹の柱が物質化したものの中という訳だな』

『あれからしばしの時が流れております!まずはその身体をお癒しくださ…………』

『その必要は無いわ』

 

ジャオウガが、その全身に力を込めてゆく。十二神騎達は、その身から溢れ出さんとする力に戦慄した。

 

『いかん!総員、ジャオウガを取り囲め!』

『超獣世界を、そしてモモキングの身体を守るのだ!』

『フン、雑魚共が…………!』

『!?こ、この場では拙い……っ!ジャオウガ様、なりません!三度の再来に世界は耐えられな……』

 

ヨミノ晴明が言葉を言い切る前に、ジャオウガが力を爆発させ──────凄まじい衝撃波が全方位へ放たれた。

 

『ぬおおぉおおぉおっ!』

『ぐわーっ!!』

 

その衝撃波は、取り囲んだ十二神騎達を、そして同時に傍に立つヨミノ晴明をも巻き込み消し飛ばした。十二神騎が威力を減衰させながらも、そのまま広がってゆく衝撃が、この超獣世界そのものを大きく揺るがしてゆく。

ひび割れた柱は、その力で一気に崩れ去った。ジャオウガとの決戦の時より立ち続けて来たそれが消え…………再び、世界に危機が訪れる。

 

『ジャハハハハハハハ!さあ、今度こそこの世界を奪い尽くしてくれるわ!』

 

 

* * *

 

 

「というわけで、有名な三国時代が終わり中華を統一した晋ですが、その天下も長くは続かず。中国史は最大の混乱期に入っていく事となります」

「おお……ロマンの欠片もねえ……っ」

 

──────2025年12月10日。

1年1組の教室にて世界史の授業を受けていたハヤトは、ここから先で学ぶ古代中国史の有様に頭を抱えていた。

八王の乱から五胡十六国時代という真の乱世が始まる事で、比較的シンプルだった中国史は暫しの間とても分かり辛くなるのであった。

教壇に立つ歴史の担当教師、玖五零壱もここからの範囲を分かりやすく教えるにはどうしたものかと悩んでいた。

 

「それでは今日はここま……?」

 

その時、教室の掃除用具を入れるロッカーがカタカタと音を立て──────直後、地鳴りと共に大きな揺れが襲って来た!

 

「うわぁっ!?」

「きゃぁあ!」

「皆、机の下に!」

 

急いで机の下に隠れる生徒達。騒音と悲鳴が桜龍高校全体に広がっていく。しかし、何故か彼らのスマートフォンには、緊急地震速報は全く流れずにいた。

 

「この規模の揺れなのにどうして…………収まったの?」

 

次第に揺れは収まり、ひとまず安堵する生徒達。校庭に避難を始めようとした時……1人の生徒が、異変に気付いた。

 

「お、おい、何だよアレ……」

 

桜龍高校の上空が、赤黒い雲に覆われていた。異様な雲は渦を巻き、その中心は昼間だというのに黒い闇となっており…………そこに、何か小さな光が飛んで行くのが見えた。

 

直後、ハヤトのスマホから、けたたましく警報音が鳴り響いた。

 

「っ!?」

 

その警報音は、校内の他の個所からも鳴っていた。2年生の教室と3年生の教室からそれぞれ。それは──────デュエマフォンから発せられる警報。それも、最高クラスの危険度であった。

 

「これは……まずい、皆避難を!」

 

ハヤトがそう叫ぶと同時に、空の黒い闇から、何かが落ちて来た。それは何体もの異形の存在……頭に角を生やした、鬼のクリーチャー達!

 

「うわぁあぁあっ!!」

「ば、化け物っ!」

 

グラウンドへと落ちて来た鬼の大群。それは、4月に桜龍高校を襲った際の軍勢より遥かに多く。

──────鬼の世界との決戦は、否応なく桜龍高校を、人の世界を巻き込もうとしていた。

 

 

* * *

 

 

「会長達は皆の避難を!校長も校内放送を用意しているはずです!」

「は、はいっ!」

「なんなんあの数は!」

「トウリ君はどうするんデスカ!?」

「迎撃、と行きたい所ですが……拙いです、モモキングの意思がカードから離れて……!」

「ええっ!?」

 

2年2組の教室では、生徒達が教室から我先にと出て行く中で生徒会メンバーとトウリ、そして初が鬼の群れを窓から見ていた。

 

「何故奴がキサマの元から離れる!?」

「恐らく原因は…………モモキングの肉体と共に封印されていた、ジャオウガが復活したのかと……!」

「ジャオウガって、シューラっちが言ってた鬼のトップ?」

「はい。そうなると、モモキングは奴自身を食い止めるために身体に戻ったということに」

 

トウリの推測は、的中している。先程空の黒い闇へと飛んで行った光は、カードを抜け出したモモキングの魂だ。ジャオウガの復活を察知したモモキングは、急ぎ自らの身体へと戻りジャオウガと戦わんとしている!

 

「トウリ!いけるか!?」

「あ、先輩!」

「すみません先輩、モモキングが自分から離れて行ったので、戦えるかどうか……!」

「マジか……っ、超獣世界に急ぎ行かねばならんというのに、こちらの襲撃に対応出来る戦力が足りん!」

 

サキトはこの事態に対処すべくDGAから連絡を受け、超獣世界…………新章世界へ向かい、この事態の元凶たるジャオウガと直接対峙する事を要請されていた。

 

「……!拙いぞ、さらにデカいのが来る!」

「ええっ!?」

 

空の闇から更に、3体の大きな影が姿を現さんとしていた。

金色の鎧を纏った、黒い翼の天使を思わせる鬼…………《イカズチ邪姫 <アレフ.鬼>》。

黒い服に外套を纏った、赤い金棒を手にする鬼…………《ウシミツ童子 <マルバス.鬼>》。

光る眼のような文様を持つ、木々と緑に覆われた機械のような鬼…………《カンゼン邪器 <不明.鬼>》。

他の鬼より一際大きな3体の鬼レクスターズが、校舎の方を睨み付け、直後…………カンゼン邪器から光線が放たれた!

 

「全員伏せ──────」

 

退避が間に合わない。そう思った瞬間──────。

 

 

 

「──────《光開の聖霊サイフォゲート》でブロック!」

 

 

 

校舎の前に、金色に輝く大きな影が立ち塞がった。光線を受け止め霧散するが、背後の校舎には傷一つない!

 

「っ、あれは!?」

「やあ、護守くんに蟠龍くん。そして後輩の皆。危なかったね」

「天道さん!」

 

栗茶市を守る実働部隊員の1人、天道アンナが窓の外に……彼女に呼び出されたクリーチャー、ウェルキウスの肩に立っていた。

 

「あの空に開かれた超次元の穴による影響で、デュエルフィールドが張れない状態のようだけど……代わりにこうしてフィールドが無くともデュエルテクターを使えるようだね」

「良かった、来てくれましたか……!」

「もう1人、隣の市から助っ人も来てくれているようだよ?」

「え…………?」

 

「コントラクトアーマー、展開っ!」

 

次の瞬間、グラウンドに声が鳴り響くと…………ウシミツ童子へと巨大な鉄の拳が殴りかかった。

そこに立っていたのは、青を基調としたカラフルな装甲を纏う、鉄の巨人…………!

 

「『超奇天烈ッ!ガチ!ダイッ!オォォォォォッ!!』」

「スーパーロボットだーっ!?」

 

侵略者でありながらもこちらの世界のデュエリストに力を貸すクリーチャーの1体。《超奇天烈 ガチダイオー》。即ち、あれと同化しているのはその相棒、五文寺市の実働部隊員、海原コウジ!

 

『こちら五文寺市担当、海原!緊急事態に付き栗茶市への救援に来た!護守、無事で何よりだ!』

「なんか思っていた同化と違う!」

 

デュエマフォンのモニターに映し出されたのは、コックピットのような空間に座るコウジの姿。まるでガチダイオーを搭乗型巨大ロボットの如く乗りこなしている。

 

『ここは我々が引き受ける、急ぎ超獣世界へ向かえ!デュエルマスター!』

「それは……!」

「もう他のデュエルマスター達も、準備を済ませているようだよ。だから護守くんも行くといい。それとも、私達が信頼できないかい?」

 

その言葉を受け、サキトは覚悟を決めた。この場を任せ、彼は…………超獣世界へと向かう。

 

「分かりました。すぐに超次元ホールを開き、新章世界へ向かいます!」

「先輩!自分も連れて行ってください!自分も…………契約者として、モモキングと共に戦わなければ!」

「っ…………分かった!」

「先輩っ!」

 

そこに、別棟から走って来たしのぶと∞が現れる。彼女達もこの騒ぎを受け、サキトを探してここまでやって来たのだ。

 

「しのぶ!帝王坂さん!」

「先輩、もしかしてまた、戦いに行くと……!?」

「ああ。この事態を収束させるには超獣世界へ行かないと──────」

「うちも一緒に行くけん!」

「はぁっ!?」

 

サキトの腕にしがみ付くしのぶ。彼女の言葉には流石にサキトも面食らった。

 

「この状況で何を…………!」

「前ん時は置いてけぼりにされたばってん、もうそげんのは嫌と!うちも、先輩と一緒に行って、戦うけん!」

「そんな事言ったってなあ……!」

『先輩、こうなるとしのぶは言い出したら聞かないよ。それに、1人だと不安なのは私も同じ』

「~~~~~~~~っ、分かったよ!付いて来ても良いが、無理はするな!」

「うん!」

「ナラトウリ君と一緒に、朕も行きマス!」

「ちょっ、ゼオスさんまで!?」

 

しのぶに便乗して、ゼオスまで同行しようとして来る。ハッキリ言って問題しか無いが、四の五のと言っている時間は無さそうだ。

 

「今のトウリ君ハ、モモキングさんがいないデショウ?だから代わりに、彼の所まで朕が守ってあげマス!」

「それは、確かに自分も危険ですが……!」

「ええい仕方ない、4人で行くぞ!」

「キサマ、クリーチャーの世界に行くなら…………気を付けるのだぞ!」

「ハイ!すずちゃんも、アーシュちゃん達も気を付けテ!行ってキマス!」

「超次元ホール、展開っ!」

『Hyper dimension hole open.』

 

教室に、異界へと続く穴が開かれる。この先に待つのは大決戦、凄まじい激闘が彼らに待つ。

仲間と共に、守るべき世界のため──────彼らは穴へと飛び込んだ!

 

「行ってきます!こちらは、任せました!」

「はいっ!先輩達も、お気を付けて!」




 特 報

それは、狂った歴史との戦い。

『熱血無くしてクリーチャーにあらず!』
「まさか、あのドギラゴンがこうなるとはな……」

立ち塞がるは、あり得ざる夢の産物。世界を支配するドギラゴン。

「先行した部隊との交信途絶!」
「一体何が起こった!」

そして、もう1人の最悪の敵──────。

『この歴史を、守ってみせるッッ!行くぞォォォォォッ!!』
「そんな──────」



──────護守サキト!



「先輩──────っ!!」



ドラゴン娘と決闘者 特別編!

「2体のドギラゴン!熱血とビクトリーのカレーパン!」




















     *      *
  *     +  うそです
     n ∧_∧ n
 + (ヨ(* ´∀`)E)
      Y     Y    *



新弾の世界観を聞いてつい書いてしまいました。
逆札編第2弾の世界に行ったらサキトはマッハで熱血Ⅴ堕ちすると思われます。ドギラゴンにカレーパンを勧められて食わない訳がない……!
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