ドラゴン娘と決闘者   作:偽りの名 ニーサン

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五大龍神絡みの設定資料がフレーバーテキスト以外に欲しい(白目)
公式で背景ストーリーとワールドマップまとめた設定解説本出してくれないかなぁ!


Ep.13:護守サキトと超獣の歴史

「さて、本日は土曜の午後という貴重な時間を使い、集まってくれてありがとう」

 

──────2024年5月25日。

土曜日であり午後授業も部活も無いその日、サキトは校長室へと桜龍高校のドラゴン娘達を集めていた。

 

「今日は皆にこの前の出来事……モルナルクが起こしていた事件に関わる話を説明したいと思います」

「モルナルクさん、確か今はその壺の中に……?」

 

校長室に置かれた壺を皆が注視する。校長が弱体化し小さくなったモルナルクをその中に閉じ込めている事は皆聞かされていた。

 

『フン、忌々しい事に、半端に実体が復活したせいでここから出られぬ』

「校長、たまに外に出してあげた方がいいんじゃない?散歩とかしないと健康に悪そうだし」

「いや犬猫じゃあるまいし、そもそもあの体で健康とか気にするのか?」

「それで、儂らに分かるような説明が出来るのか?」

「ああ、一応彼らについて俺が知る事……デュエマにおける、彼ら五大龍神の事を説明したい」

 

部屋を暗くすると、サキトはデュエマフォン・アプリを起動し空中に立体映像を映し出す。

そこには、いくつかのカードが浮かび漂うような動きでゆっくりと周っている。

 

「先に断っておくが、あくまでこれは『デュエマの背景ストーリーで語られる歴史』であって、実際にモルナルクとその同胞、五大龍神が経験した過去とは齟齬があるだろうと思って欲しい」

『案外、元の作者が古文書などから得たインスピレーションを元に作っているのかもね』

「それでは初めましょう。太古の昔、炎龍神・海龍神・天龍神・地龍神・黒龍神という、世界を統べる5体のドラゴンが存在した……」

 

浮かぶ数多のカードの中から、5枚のドラゴンが大きく表示される。

彼女らが知る白骨で形作られたようなドラゴン、モルナルクと、同格の存在たる4体のドラゴンたち。

そこから最初に拡大されたのは、半ば機械じみた金と白の身体を持つドラゴンだ。

 

「その龍神は、輝く光にふさわしい、ただただ強き戦士を求めた……原初の光文明の主、《天龍神アークゼオス》」

「あ、あれ?このドラゴン校長に……」

「ほっほっほ、他人の空似じゃよ?」

「えぇ……?」

「まあ、本来はモルナルク同様封印されている……はずですから」

 

校長にはぐらかされるアーシュ。下手にそこへ突っ込むと危険な気もしたのでサキトもそれに同調しておいた。

 

「彼の統治下においては、天上コロッセオで強き戦士を欲した天の龍神に仕える戦士を選ぶため、剣闘士による模擬戦が日夜を問わず行われていた事が語られています」

「うーん……それって何のためやったん?」

「見る限りは、穏やかな秩序が保たれていたみたいなので……他文明への侵攻準備とかでは無さそうなんですよね。何らかに備えてはいたのでしょうが」

 

続けて拡大されるのは、赤く燃える翼を持つ凶暴そうなドラゴン。

 

「その龍神は、技術の炎で戦うための兵器を生み出した……火文明の主、《炎龍神ヴォルジャアク》。デュエマにおいて鎧や武器、重火器を持つクリーチャーが火文明に多く、それらのルーツは彼が統治した原初の時代にあります。」

「その割には、本人は武装しとらんね?」

「当人はそれらに頼る必要は無かったが、配下全体の力を底上げするために技術を生み出したのかもしれんな」

「機械仕掛けの計画都市を治めていたようで、そこで最強の兵器を作り出していたとされています」

『こやつが使っている、デュエリストの為の鎧もヴォルジャアクの手で作られたもののようだ』

「Hmm… どこかでそのドラゴンもRevivalしているのでしょうか?」

「技術だけ引き継いだ何者かという可能性もあるがの。まあ、ヒトに協力しているならば害意は今の所ないじゃろうて」

 

3体目は、青い体に鰭のような翼を生やす、海生生物の特徴を持つドラゴン。

 

「その龍神は、水が流れ続けるように常に新しい理論を構築していた……水文明の主、《海龍神クリスド》」

「新しい理論デスカ?」

「前にも説明した通り、水文明という勢力は高度な科学技術を武器とする勢力です。その主であったクリスドも高い知能を活かし技術の発展をさせて行ったと思われるのですが……」

「なんだか歯切れが悪いね?」

「クリスドの統治下勢力だけ、詳細描写が描かれなかったんですよね……この後語る情報にも関りがあるとは思うので意図的なのかもしれませんが」

「モルナルクは覚えていないのでしか?」

『分断されて以降の他文明についてはあまり知らぬな』

「俺としても知りたかったですが、まあ仕方ない。次に行きましょう」

 

そして、4体目は──────

 

「あ、モルナルクさんです!」

「その龍神は、闇の欲求に従い命を美しき宝石に封じ込めた……闇文明の主、皆さんご存じ《黒龍神モルナルク》ですね」

『ここで言う『美しい宝石』は例の復活のため集めていたものと同じかな』

「概ねそういうことかと。虚飾の宮殿という場所に座し、配下に紅き宝石を献上させていたらしいですね」

「命を封じ込めたというのは、例えば魂とかであろうかの?」

「魂であったり、もしくは闇のマナを生み出す負の感情だったり……という考えで合っていますかね?」

『ふん、そのくらいの理解度で構わぬ』

 

そして最後に表示されるは、東洋龍のような細長い体に樹木を生やしたドラゴン。

 

「その龍神は、呪術により大地と森を創り出した……自然文明の主、《地龍神バラフィオル》」

「なんや今までで一番ウチらが考える神様っぽい事しとるな」

「大地の神というのはわらわ達の知る神話でも重要だからな。しかし、呪術の使い手なのか」

「後の世だと魔術や呪術は闇文明の領分になるんですが……より原始的な呪術の類を使ってたんでしょうかね。バラフィオルの統治地域には『呪術の世界樹』という巨大樹があり、そこでは呪術を学ぶべく妖精……スノーフェアリーと呼ばれる種族が集まっていたそうです」

「……あれ?そういえば」

 

ふとアーシュが首を傾げる。これまでの説明に引っかかった所があるようだ。

 

「さっき、穏やかな秩序が保たれていたと言っていましたけど、モルナルクさんは争いで世界は5つに分断された、って……」

「そう、確かに彼らの争いは世界を分断し、文明が5つに分かれるきっかけとなった……と言われていますが、それはあくまできっかけ。完全に分かたれるのは、一つの大きな事件の後です」

 

そう言うと、次なる5枚のカード群が表示される。

ドラゴンに跨り武具を構える一対の神、ドリルのようにロールした緑髪?を持つ人型の何者か、剣を誇示する人型体形のドラゴン、角が樹木となった8つ首のドラゴン……。

 

「五大龍神の統治下にあった超獣世界ですが、ある時この2体……《蒼狼の王妃 イザナミテラス》と《蒼狼の大王 イザナギテラス》を首領とする「蒼狼(せいろう)」を名乗る一族が出現します。一族の王女であった《神歌の歌姫アマテラス・キリコ》は、異世界に接続する力『神歌』を持っていました」

 

サキトが端末を操作し、下段に据えられた2体のドラゴンが拡大される。

 

「キリコは異世界から『古の竜』《暴嵐竜 Susano-O-Dragon》《八頭竜 ACE-Yamata》を呼び出し、五大龍神達へと不意打ちをしかけました。不意を打たれた龍神達は彼らに敗れ、築き上げた秩序は破壊され……かつての支配地域に全員が封印されてしまいます」

『反乱を起こされて、世界の支配権を奪われたんだね』

「ええ。そして蒼狼の一族は海龍神クリスドの支配していた地域に自らの神殿を建立、世界を5つの文明に分けました。更に、自分たちこそが『超獣の始祖』『オリジン』であると名乗り統治を開始します」

「ええ!?それズルくない!?」

「トップの座を簒奪しながら、さも自分たちが正当であるかのように主張する……よくある話ではあるが、聞いていて気分は良くならんな」

「全くですね。さて、その後彼らは新たなる神を超獣世界に呼び出し、信仰を集めるための偶像としました。それらも凄まじい力を持つ者で、彼らの支配は盤石……かに思えました」

「何かあったと?」

「詳細は未だ不明ですが、蒼狼の一族と彼らの神は、何者かの手によって月と大地に引き裂かれ封印された……となっています。この後オリジン達が歴史の表舞台に現れるのは、遥かな時が流れた後になります」

「龍神達を封印した者達は自らもまた敗れ封印されたか。因果応報じゃな」

 

ここで立体映像は切れ、部屋の照明が再び点けられる。

 

「さて、ひとまず俺が知る限りの、超獣世界の太古の話はこんな所ですが……ご本人は何かご存じの事は?」

『……ワタシも封印された直前の事は記憶が判然とせぬ。故に補足できるような情報は持ち合わせていない』

「うーむ……それはそれとして、こちらの世界の古文書とかにクリーチャーや五大龍神の話が書かれているのは俺としても気になりますね」

「基本的には異世界なのでしよね?」

「それなのにクリーチャーワールドのHistoryがこちらに伝わっていたのはunnaturalですわね」

「それはの、時折時空間の歪みが両方の世界を繋げる事があったからじゃ」

「時空間の歪み、ですか?」

 

うむ、と頷いた校長がそのまま続ける。

 

「そのキリコとやらが異世界と接続しそちらの存在を呼び出したように、この人の世界とクリーチャーの世界は時に繋がり、双方の住人が迷い込む事があったのじゃ」

『その中には、脆弱なヒトの身でありながらクリーチャーと心を通わせ、共に戦う事が出来た者もいたのだ』

「そういや言ってましたね、この世界に、クリーチャーとそこまで心を通わせる者が残っているはずはない……つまり昔はいたと」

『双方の世界の時間の流れは異なり、我らの世界で経過した時間よりは短い期間だろうが……それでも、我らの時代に現れたヒトは、こちらの世界ではもう1000年以上前の者達だ。現代のヒトの文明社会よりも世界の持つ生命力……マナにより順応した者達だったと言える』

「マナというSpiritualなPowerを感じやすかった、という事でしょうか?」

「その辺が、俺が持つような真のデュエリストとしての適性に関わって来るんでしょうかね。軽い先祖返りで生まれ持った力を、超獣世界の技術で呼び覚まし増幅、育成していると」

 

ヒトの世界で1000年以上、超獣世界では億を超える年月を超えて現代でクリーチャーとヒトが再び邂逅したと思えば、素晴らしい奇跡の出来事と思えるかもしれない。

……その邂逅が良い影響のみならず、悪い影響も与えているのが現状ではあるのだが。

 

「うむ、概ねこれで説明としては十分かの」

「モルナルクもその仲間も、タイヘンな経験をして来たのネ」

『同情はやめよ、もう過ぎ去った昔の話……いや、そうだな。少しだけその後を聞かせよ。封印されたオリジン共はどうなったのだ?』

「あー、話はだいぶ端折りますが、その後遥かな未来でオリジン達は復活しまして……その時代のクリーチャー達を支配、屈服させんと戦いを挑んだものの最終的に敗北し散り散りになっています」

『ほう、それは少しばかり気分が良いな!』

「やったね!悪は滅びた!」

 

オリジン達の顛末を聞き少しばかり声を弾ませる黒龍神。覚えも曖昧な過去に対して、やはり思う所はあったという事であろう。

 

「さて、改めて今日は集まってくれてありがとう。また何か大きな事があったらこういう場を設けるかもしれないから、その時はよろしく頼みたい」

 

そうして、その日開かれた超獣世界に関する説明会は終わりを告げるのであった。

 

 

* * *

 

 

「んー……この辺りを買っておくかな。マナ落ちを回収する手段になりそうだ」

 

下校後、サキトは行きつけのカードショップ「クラインスペース」へ足を運んでいた。

デッキ調整用に新しいカードを見繕うためだ。

 

「こいつはコマンド種族だし、1ターン生きればこっちのも出せる……よし、とりあえず買っておくか。すみませーん」

 

ショーケースの中にあるカードを買うため、レジの店員へと声をかける。

 

「いらっしゃいませー!……ん」

「あ?……あっ!」

 

偶然か、必然か。そこに立っていた店員は、つい先日見たばかりの顔だった。

 

「井星リュウ……さん」

「……とりあえず、どちらの商品をご所望ですか?」

「あ、はいあちらのショーケースの……」

 

彼は。店員としててきぱきと対応していく。そして、状態確認を終えレジを通した商品と共に、1枚のメモをサキトへ渡して来た。

 

“10分後に休憩が入る、それまで表に待っていろ”

 

「……道理で見覚えがあるはずだ……」

 

案外身近な場所で、彼の同僚が表の生活を営んでいたようだ。

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