ドラゴン娘と決闘者   作:偽りの名 ニーサン

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救援に現れたグレンモルト。そして、光と闇のマスターの戦い。
戦いは最終局面へと向かう。


Ep.69:『悪夢』と『王道』

「モルトしゃん!?」

「モルト!?俺が呼び出したモルトはオール・オーバー・ザ・ワールドの力で……!」

「ああ、オレは普段サキトがカードから呼び出している再現体じゃない。お前を助けるため、意識のみではなく体ごとカードを通じてここにやって来たところだ!」

 

DEADMANとの戦いの最中、思わぬ援軍として現れたグレンモルト。頼もしい事は間違いないが、相手は超弩級のクリーチャー、オール・オーバー・ザ・ワールド。打ち倒す手段は……!

 

「…………いや、あのドラグハートがあれば或いは……っ!」

『グレン……モルトォォッ!』

「鬼の歴史とやらの存在でも、そんな姿になり果ててもオレの事は覚えているようだな!」

 

グレンモルトの姿を見た途端、DEADMANは怒りの咆哮を上げオール・オーバー・ザ・ワールドを動かす。

世界を隔てた平行世界、その異なる歴史においても、重要な歴史上の出来事は似た様な事が起こるのが超獣世界であるという。であれば鬼の歴史におけるグレンモルトも、デッドマンとの関わりは深いはずであった。

 

『来ます……!』

「やれるか!?」

「大丈夫だ!あの後旅の中で手にした剣が、オレにはある!」

 

彼がその背に背負った大剣を手にすると、刀身から灼熱の劫火が溢れ出す。ガイハートに見た目が酷似したその剣は、モルトが冒険の中で手にした新たなる力であった。

 

「その剣、まさか…………」

「ガイアール、鬼丸、カツキング……オレに力を!」

『オォオォォォッ!』

 

迫り来るオール・オーバー・ザ・ワールドの拳に向けて、モルトは大剣を振るい──────その一撃で、巨大なクリーチャーの上半身と下半身が泣き別れになる。

 

『ナ…………ッ!?』

「打ち砕け──────ガイLEGENDッ!!」

 

炎の刃が天へ伸び、振り下ろされ…………星をも断ち切る一刀がオール・オーバー・ザ・ワールドを両断した!

 

『また、してモ…………っ!グレンモルトォォォ──────ッ!』

「完・全・決・着ッ!」

 

オール・オーバー・ザ・ワールドが吹き飛び、その爆発に飲み込まれDEADMANも消し飛んだ。戦場に最後に立っているのは、新たなる剣を手にしたモルトだけだ。

 

「あ、あのクリーチャーを一撃で!すごか……!」

『その、ドラグハートはいったい……』

「モルト自身が生み出した、モルトだけのドラグハートだ。銘は、《伝説龍剣 ガイLEGEND》……!」

「やはり知っていたか。そちらでカードにでもなっているのか?」

「ああ!」

 

《伝説龍剣 ガイLEGEND》。『ドリーム英雄譚デッキ グレンモルトの書』で登場した新たなドラグハート・ウェポンである。使用条件が重いものの、これを装備したクリーチャーは比類なき力を手にする──────あのドルマゲドンにすら、正面から打ち勝てる程の力を。

 

「しかし助けに来たのはいいが、どういう状況なんだ?」

「実は…………」

 

モルトにこれまでの事情を説明する。鬼の歴史による侵攻である事を知ると、彼は大きく頷きアチーチ・タウンの方角を向いた。

 

「分かった。お前達がジャオウガの所へ向かわなければならないなら、オレが残りの連中を相手にしよう!」

「良かと!?そりゃ助かるばってん……」

「前にアイラを助けて貰った分の礼も返しきれてないからな!さあ、行ってくれ!」

「…………分かった!ここは任せるぞ、モルト!」

『サキト、気を付けて……』

 

DEADMANとの戦闘が終わった事で、Q.E.Deuxと意識がリンクしている再現体はその姿を霧散させた。それを見届けると、サキトとしのぶは再びデュエラッドに跨り世界をつなぐ柱の跡地へ向けて走り出した。

 

「よし、オレも突っ走るとするか!」

 

 

* * *

 

 

「シールドトリガー、《魔弾アルカディア・エッグ》!アンタップされている《クサリ変怪 <バジュラ.鬼>》を破壊します」

『ガァァアア!?』

「更に、手札から《魔光大帝ネロ・グリフィスII世》が戦場へ!登場時能力によりデッキの上から5枚を見て…………《アルカディア・スパーク》、《幻双の絆》、《煉獄魔弾グレイテスト・ゲート》を手札に加え《悪魔聖霊ジェミニアス》と《双子悪魔バレンタス》を墓地へ」

『おのれ、厄介な……!』

 

《鬼星の絆 ウコン丸&サコン丸》に率いられる鬼札王国の軍団が、光文明の領域でユウキと戦いを繰り広げていた。以前人間世界で倒された彼らはヨミノ晴明の術により反魂され蘇っていたが、結果として以前倒された相手との戦いを強いられる事となっていた。

 

『行けいカラクリ入道!』

『ご命令とあらばァ!』

「スレイヤー持ちですわね……我が騎士よ、お願いします」

『お任せあれ、我が主!』

 

ネロ・グリフィスがカラクリ入道の攻撃からユウキを守る。当然、スレイヤー能力により破壊されてしまうが、それも織り込み済みだ。

 

「ナイトクリーチャーが破壊されたため、ネロ・グリフィスII世の能力により手札からナイト呪文を発動します。行きなさい、グレイテスト・ゲート!」

『そのクリーチャー自身が破壊されても能力を使えるというのか!』

「ええ。舞い戻りなさい、ネロ・グリフィスII世!ナイトが場に存在するようになったため再詠唱、墓地からジェミニアスを場へ!ジェミニアスの登場時能力によりそちらのクリーチャーを選ばせて破壊!」

『我が主は傷付けさせません』『鬼さんこちらー』

 

ネロ・グリフィスII世とジェミニアスが墓地より復活する。破壊したはずの壁となるクリーチャーが復活する、おまけに更に敵が増えるという状況には苦しめられるばかりだ。

 

『コチラモ忘レラレテハ困ル……!』

『ぬうっ!?』

『受ケヨ!天ニ煌メク龍終ノ裁キ!』

 

光文明の守護者たる龍、サッヴァークが裁きの紋章を輝かせながら《センメツ邪鬼 <ソルフェニ.鬼>》へと迫る。その紋章の威光はその場にいる鬼達を全て動けなくさせ、サッヴァークには更なる力を与えた。

 

『裁キノ剣!受ケルガイイ!』

 

サッヴァークの手に現れた大剣が、センメツ邪鬼を両断する。その身に鎧を纏い翼を広げたその姿は、スターMAX進化を遂げたもの…………《サッヴァーク-MAX》!

 

『我らが正義の拳、受けて見よ!』

「これで終わりに致しましょう。ジェミニアス!我が騎士よ!」

『ぬぅ、ああああ!!』

 

《「正義帝」》が率いるチーム銀河のクリーチャー達が、そしてユウキが指揮するジェミニアスとネロ・グリフィスII世が攻撃を仕掛け…………ウコン丸とサコン丸が魔弾に射貫かれ、光文明の戦闘は一時終結したのであった。

 

「共闘していただき、ありがとうございました」

『君の持つ信念もまたよい正義だった!いずれまた脅威が訪れた際は共に戦おう!』

「はい。それではわたくしは、任を果たすためジャオウガのいる火文明の領域へ参ります」

『残ル鬼ガ攻メテ来タナラバ、我々デ迎エ撃トウ』

 

他のマスター達も火文明へ向かっているはず。そう信じ、ユウキは柱の跡地から火文明の領域へ向かい降りてゆく。

 

 

* * *

 

 

闇文明の領域、龍頭星雲が存在するそこは他よりも大規模な侵攻が行われていた。

 

『ジャオウガ様のため、邪魔なデュエルマスターとやらを排除するのよ!』

『オォオォォォッ!』

 

ジャオウガとはまた異なるカリスマ性を持つ女鬼、《コオニ鬼麗》に率いられた鬼達が龍頭星雲の向こうから渡って来る。それを迎え撃つ闇のマスタークリーチャーがリュウと契約しているがために、彼はこの場を離れるタイミングを掴みかねていた。

 

「チッ……!《モロハ夜叉 <オルゼキ.鬼>》の攻撃はブロックせず…………よし、2枚ともトリガーだ。《「すべて見えているぞ!」》、更に《逆転の影ガレック》!これ以上の攻撃は不可となる!」

『ぐぅうっっ!?』

 

リュウのシールドトリガーが発動し、黒い炎で鬼達を包み込みその動きを完全に止める。更に、場には特殊なゴーストが現れ強力無比な力を発揮した。

 

「更にガレックの能力は墓地肥やしを2回、蘇生を1回選択。ヴォゲンム、ガル・ラガンザーク、ドゥグラス、卍夜の降凰祭、バレッドゥ、ボックドゥが墓地へ落ち、ザンバリーの召喚時墓地へ落としたドゥポイズを蘇生」

『ドゥポポポポポ!』

「《復活の儀》完遂、山札から2枚を墓地へ。これで墓地枚数が9枚になったため《墓地の儀》も完遂、《クラヤミ変怪》のパワーを-3000して破壊だ。そしてドゥポイズの登場時、ガレックとドゥポイズ自身を破壊して相手クリーチャーを選ばせ破壊する」

『グレンマ入道、贄となれ!』

『うぉぁぁあぁあ!?』

「この能力で3体が破壊されたため《破壊の儀》が完遂、墓地から闇のカード……《卍夜の降凰祭》を手札に戻す。さあ、俺のターンだな」

 

ガレックの能力と、墓地から復活したドゥポイズの能力により零龍の儀が次々と達成されてゆく。デッキに1枚しか入れられない事が懸念事項であったが、こうして肝心な時にその力を発揮してくれるというのはデュエルマスターとしての資質故であろうか。

 

「ドロー!……よし、《卍 デ・スザーク 卍》をマナへ。2マナ使用し《堕魔 ドゥグラス》を場に。そして、場のザンバリーとドゥグラス、墓地のバレッドゥとボックドゥを山札の下へ戻して手札から《卍夜の降凰祭》をコスト無しで発動する…………開け、無月の門・終!」

『なんですって!?』

「手札のジグス★ガルビと、デッキのバケドゥ、ヴォゲンム、ザンバリーを陣とする。グリ・ドゥ・ザン・ゼーロ……現れ出でよ、無月の魔凰《卍 デ・スザーク 卍》!《バクエン変怪 <シグマ.鬼>》を登場時能力により破壊!」

『キィイィィイイィッ!』

 

デ・スザークが鬼スター進化クリーチャー、バクエン変怪を焼き尽くし進化元となった鬼の姿にさせる。そして、これで今この場における鬼達は…………全滅が確定した。

 

「ターンを終了する……この時俺の手札が0枚であるため、《手札の儀》が完遂。GR召喚、ドゥザイコGR。そして……全ての儀式は完遂された」

『ひ…………っ』

「生まれ出でよ……零龍卍誕!全てを無に帰せ、零龍!

『任せて、リュウ。さあ、消えちゃえ!』

『じゃ…………ジャオウガ様ァァァァァァ!』

 

零龍が卍誕し、その力を解放する。この場にいた大鬼札王国の軍団全てがブラックホールに呑まれ、1つのタマシードを残して全て消え去った。

 

「よくやった、零龍。しかし、問題はまだ龍頭星雲から連中が来る事だな……」

『もう、これはキリが無さそうだね』

 

リュウの懸念通り、龍頭星雲の向こうから再び鬼達が姿を現し始めていた。火文明の領域にこのままでは向かう事が出来ない…………。

 

「…………っ!?」

 

その時、異様な気配が龍頭星雲から発せられた。その気配の主が、鬼達を蹴散らしながら……近付いて来る!

 

『…………』

「こいつは……ゲンムエンペラー?いや、《ゲンム-MAX》か!」

 

彼らの前に現れたのは、消息が分からなくなっていた闇文明のもう1体のマスター・クリーチャー……チーム零のキング、∞龍ゲンムエンペラー。そのスターMAX進化を果たした姿であった。

 

『…………』

「…………本物はやはり無口だな。悪いがゲンムエンペラー、俺は火文明の領域でジャオウガを封じ込める作戦に参加しなければならん。この場を零龍と共に任せられるか」

『……………………』

 

ゲンムエンペラーはその三つ首で鬼達が迫って来る方を一瞥すると、翼を広げ夢幻の無を生み出し始めた。どうやら、このままここで鬼達を迎え撃つ事に同意してくれたようだ。

 

「助かる。零龍、この場を頼めるか」

『むぅ……分かったよ、リュウ。でも君の目は貸したままでいてくれるね?』

「無論だ。行くぞ、デ・スザーク!」

 

リュウがデ・スザークの体内へ飛び込むと、魔凰はその翼を広げ飛翔した。ジャオウガの元へ、一直線に向かってゆく…………。

 

 

* * *

 

 

『各マスター、交戦を終えジャオウガの元へ移動中。もう少し抑えてくれ』

「簡単に言ってくれますね…………っ!」

「この鬼、とても強いデス……!」

『ジャハハハハハハハ!』

 

世界をつなぐ柱の跡地にて、トウリとゼオスがジャオウガ相手に奮戦していた。モモキングのスター進化を駆使し打ち合うトウリと、サッヴァーク†のパワーを得て戦うゼオスの2人がかりでもこの鬼の王相手は容易ではない。

 

『人間の力とやらがあってもその程度か、モモキング!』

『ぬうっ!相変わらず出鱈目な力の持ち主でござる…………っ!』

「けれど負けるわけには行かない!」

「ミンナが帰りを待ってマスからネ!」

『下らんなぁ、その皆とやらも全て……鬼に変わる!』

 

…………かつてのジャオウガとの決戦の時と同様に、超獣世界に徐々に鬼の歴史の影響が表れ始めていた。様々な場所で、クリーチャーや物体の鬼化が始まりつつある!

 

『貴様らは何故か耐性があるようだが…………時間の問題だ!ジャハハハ!』

「ぐぅう…………っ!」

『喰らえい!』

 

ジャオウガがその金棒と一体化した右脚でトウリを蹴り飛ばす。撥ね飛ばされたトウリをどうにかゼオスが受け止めるが、そこに隙が生じた。

 

『圧し斬れるがいいわ!』

「ッ!」

「まず…………っ」

『ぬおおおりゃぁぁああ!!』

 

その時、2人を踏み潰し、断ち切らんとしたジャオウガの左の斧脚を、1つの影が割って入り止めた。光の盾を構えたその姿は……!

 

「先輩!」

『すまん、遅くなった!おらしゃぁぁあっ!』

「行くばい!蒼龍泳破!」

『ぬうっ!?』

 

サキトが盾でジャオウガの脚を押し返し、同時に懐へ入り込んだしのぶが水流を纏った蹴りを食らわせ大きくバランスを崩させる。さしものジャオウガも、片足を振り上げた状態では重心が崩され…………自ら背後へ跳ぶことで転倒を防ぎ態勢を整えた。

 

「しのぶちゃん、ナイスネ!」

『もうすぐ全員が揃う!それまでこいつを足止めするぞ!』

「了解です!」

「うちらは絶対に負けんばい!」

『ふん、小賢しい…………』

 

これで4対1、彼らに宿るドラゴンの力を持ってすれば作戦の次の段階まで耐えられるはずだ。

 

 

 

──────ジャオウガが、更なる力を発揮しなければ。

 

『ならば──────貴様らに悪夢を見せてくれるわ!』

 

 

 

ジャオウガが火と闇のマナを解放する。吹き荒れる嵐のようなそのマナが、奴の姿を変貌させてゆく。身体に生えた棘は黒々と染まり、肩の鎧は重厚さを増し、両足と同化した金棒と斧はより硬く、重く、破壊力を増す。

 

「何を!?」

『あれは、まずい……!』

『ジャハハハハハ!見るがいい!これこそが我の力よ!貴様らが持つ夢の力…………こちらも同じ力を使えないと思ったか!』

 

新たなる姿となったジャオウガが、咆哮する──────!

 

『我こそは!《鬼ヶ覇覇覇(ハイパー) ジャオウガ》なり!ォオオォオォオォッ!!』

 

その咆哮が凄まじい衝撃を産み、サキト達が吹き飛ばされる。トウリとモモキングを除く3人は、耐えきれずドラゴンの力が、戦闘態勢が解けてしまう!

 

「皆さんっ!」

『まずは1人!貴様の仲間を奪ってくれるわ!』

 

ジャオウガはまず倒れ伏した1人、しのぶを狙い左脚を振るった。大斧が一体となった脚から斬撃が放たれ、彼女へと迫り──────。

 

「がっ──────!」

「っ、あ──────」

「「先輩ッ!!」」

 

──────その前に立ち塞がったサキトの身体から、鮮血が迸った。

 

 

* * *

 

 

「…………っ、あ?」

 

気付けば、サキトは暗闇の中にいた。しのぶを庇おうと身を挺して、意識が飛び…………どうなったのか彼自身も分からない。

 

『──────サキト』

「その声、ドギラゴンか!?そういえば、前もこんな事があったな…………」

『全く無茶をする。また彼女を泣かせる気か』

「そうだ、しのぶはどうなった!?トウリは、サーヴァさんは!?」

 

サキトの問いに応えるように、声が聞こえて来る。

 

『先輩!先輩!いや、嫌ぁ!目を覚まして!!』

『おぉぉぉおおっ!ジャオウガァッ!!』

『許せマセン!このぉぉぉおっ!!』

 

しのぶの恐怖と悲しみに震える叫びが、トウリとゼオスの奮起する叫びが遠く響く。拙い状況である事は間違いなかった。

 

『サキト、君は致命傷を負った。私と1つとなってはいても、あの傷では再生する前に命が尽きる』

「っ、それは駄目だ……しのぶと約束したのに死ぬわけには行かん!何か、何か方法は無いか!?」

『君の道は2つ…………いや、違うな。3つだ。1つはこのまま死を受け入れる事だが、それは無いだろう』

「当然だ!」

『もう1つは……私の全ての力を使って君を蘇生させる事だ。ギリギリだが、今の私であれば可能だろう』

「っ、それは……!」

 

それはつまり、ドギラゴン自身の命を完全にサキトのものとする事。生き返る事は出来るだろうが…………ドギラゴンは、どうなってしまうのか。

 

『何、元よりドルマゲドンとの戦いで私は死んだ身だったんだ。君の持つカードに引かれ、少しばかり消えるのが先延ばしになっていたに過ぎん』

「駄目だ!ドギラゴンを犠牲になんて出来るか!それに、ドギラゴンが消えたらこの場で戦う事は……!そうだ、3つ目は何なんだ!?」

『──────サキト、君と私が、“永遠”となる事だ』

 

その言葉に、サキトも言葉が詰まる。確かに、「アレ」を受け入れるならば、蘇る可能性はあるかもしれない。しかしそれは──────。

 

「…………すまん、ドギラゴン。それは1人では決めがたい」

『そうか、しかし時間は──────』

「ここに…………しのぶを呼べるか?もしくは言葉が通じるようになるだけでも」

『…………分かった、何とかしてみせよう』

 

ドギラゴンの気配が一時薄れると、遠くなりつつあったしのぶの声が、はっきりと聞こえて来るようになった。

 

「…………しのぶ」

『え、先輩!?起きて……っ、え、まだ起きてなか……!』

「すまん、声だけをドギラゴンに届けて貰ってる。ちょっとばかり時間がない……!」

 

幸い、声がちゃんと届いたようだ。サキトの言葉がしのぶへとハッキリ伝わっている。

 

「しのぶ…………俺が“人とは違う時間”を生きるようになったら、どうしてくれる」

『えっ!?こ、こげん時に何ば言うて』

「大事な事なんだ!しのぶは…………俺と最期まで一緒に来てくれるか。それとも、別の道を行く事になるか。俺は、しのぶがどちらを選んでも構わない」

『…………っ!』

 

その言葉で、しのぶも1つの事を思い出した。以前彼がしのぶと∞に語った、永遠の守護者の話。彼女は息を飲み──────すぐに、その答えを返す。

 

 

 

『一緒におりたか!どげんことがあったっちゃ、うちゃ先輩から離れたりしぇん!ずっとずっと、一緒におるけん!』

「…………ああ、分かった。ごめんな、しのぶ。そして──────ありがとう」

 

 

 

その言葉で、サキトは覚悟を決めた。途端に、彼の内からマナが噴き上がり、相棒たる龍とその身を1つにしてゆく。

 

「ドギラゴン、決めたよ──────この世の果てまで、一緒に付き合ってくれ!」

『──────勿論だ、サキト!』

 

そして──────凄まじいマナが、弾けた。

 

 

* * *

 

 

『何だ!?』

「これは……!」

「先輩の、カラダから光ガ……!」

 

倒れ伏していたサキトから、膨大なマナが溢れ出る。それは周囲の環境を変え、焼けつく火文明の荒野に緑を広げ、太陽の如き光を齎してゆく。

 

そして、立ち上がったサキトは、新たなる姿へと変わっていた。蒼い鎧には金の縁取りが増え重厚さを増し、その両腕には大きな手甲が備えられている。そして彼の身を守るかのように、『星』『王』『鬼』『紅』『勝』の字が刻まれた端末のような物が浮遊していた。

 

『蘇っただと……!何だ、貴様は!?』

 

さしものジャオウガも驚愕を隠せない。その言葉に対し、サキトが口を開いた。

 

「俺は、()()()()()()()()()()()……護守サキト」

 

彼は、ついにその称号を名乗る。それは覚悟の証、新たなる守護者としての宣言。

 

『そして、その友として、半身として共に歩む者』

 

そして、サキトの口から彼とは異なる声が響く。それは彼の相棒の声、永遠に共にあり続ける事を誓った英雄。彼もまた、サキトと共に…………進化した!

 

 

 

「『《剣轟の団長 ドギラゴン王道(キング)》!!』」




──────覚醒、デュエルマスターキング!
次回、激闘の最終決着!!
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