『デュエルマスターキング…………だとぉ?』
「『そうだ。超獣世界の守護者として、俺達は1つになった』」
「先輩が、デュエルマスターキングに……!」
「これまでに無い、パワーを感じマス!」
サキトとドギラゴンの声が1つに重なり響く。深く一体化し新たな力を得た彼らの身からは、これまで以上に莫大なマナが溢れ出している。それこそ、先程のように周りの環境を変え得る程に。
「『行くぞォッ!』」
『小癪!』
サキトが一歩踏み込み、ジャオウガへと挑みかかる。真正面から組み合った互いの力は…………互角に近い!
『おのれ、あの時の彼奴と近い力……!最後の最後に立ちはだかるは、龍ということか!』
左脚の斧で蹴りを入れようとするジャオウガ。サキトは即座に手を離すと背後へ跳びそれを躱す。そして、両腕の手甲から剣を出現させた。
「『東木さん、状況は!』」
『残るマスター達の総員到着まで、1分もかからない』
「『了解、それまでここに押し止める!』」
「モモキング、自分達も!」
『承知!おぉぉおおぉっ!』
トウリとモモキングも力を再び高め、二刀を振り翳しジャオウガへと挑む。2人の連携による4刀の連撃が、ジャオウガに手傷を与え始める。
『ぬうぅぅうぅっ!猪口才な!』
「『ぬぅぅあっ!』」
「『せぇぇぇえい!』」
2人の攻撃は着実に効いている。しかし、このままジャオウガを押し切るには時間がない。鬼の歴史の影響は増し続け、ジャオウガの力もまた増してゆく。最終的に、世界の鬼化が先に閾値を超えてしまうだろう。
『…………全員到着。こちらも最終段階に入る』
「待たせた!無事か、4人とも!」
そこへ、アチーチ・タウンの方角からバクテラスの背に乗ったテルタカが現着する。続けて、上方からは新章世界の各層へ出ていたヨウコ、セイカ、ユウキ、リュウも降りて来た。
「お待たせーって、何その恰好!?」
「おお、ドギラゴン王道の剣!新たなドリーム・クリーチャーですね!」
「ジャオウガ相手に対抗しうる力となり得るなら、何よりですわ」
「時間が無い、行くぞ」
『『『『『Contract armor awakening.』』』』』
各人のデュエマフォンが輝き、彼らはそれぞれの相棒と1つになる。そして、ジャオウガと戦うサキトとトウリの周囲を囲むよう、配置に付く!
「……こちら東木、こちらも作戦区域に到着。これより…………作戦を開始する」
「『了解!』」
打ち合っていたサキトとトウリが背後へ跳び退る。そして、5人のデュエルマスターが掲げたカードが、光を放った。
「『《
「『《
「『《
「『《
「『《
五色の光が彼らから放たれ、陣を描く。円柱のように結界が伸びて、円と五芒星の中心に立つジャオウガの力が削がれてゆく。そして、放たれるマナが破壊された世界をつなぐ柱を修復し、天の彼方まで光となって伸びてゆく!
『ぬうぅぅうぅっ!?これは……!』
「5種のパーフェクト呪文による結界陣は想定通りに動作中。ジャオウガの弱体化と、柱の修復を確認」
『こちらもモニター出来てる!鬼の歴史による影響を押し返しているよ!』
柱が修復されて行くことで、再び世界を隔てる力が機能し始めた。鬼の歴史の接近を押し返し、鬼化しかけていたクリーチャーや新章世界の環境も元に戻りつつある。
「『決着を付けるぞ!ジャオウガ!』」
「『全ての力を振り絞る!カモン!王来!スター進化ッ!!』」
サキトが全力を解放し、背負う外套の下に隠れていた第6の端末が出現する。そして全ての端末から、輝く刃が現れた。
同時に、トウリもこれまで温存していたスター進化の力を使う。ジャオウガも知らない王道の鎧…………《王道英雄 キング・モモキングKG》へと姿を変えた!
「「『『いざッ!!』』」」
『ぬおぉおおぉぉおっ!?』
ドギラゴン本来の得物を咥え、浮遊端末と共に9つの刃で攻め立てるサキト。太刀に力を収束させ、一刀で連撃を放つトウリ。対照的な剣技で同時に攻める2人を相手に、ジャオウガは押されてゆく!
『チィッ、忌々しい龍共め…………ならばァッ!』
「『ぬぁっ!?』」
「『くぅっ!!』」
しかし、ジャオウガも簡単には倒れない。世界を揺るがすような衝撃を再びその身から放つと2人が押しのけられ、同時に結界が激しく震えた。
『ジャハハハハ!この厄介な陣、我の力で破壊してくれる!そうすれば再び柱も消失する!』
結界陣によって力を削がれていても、ナイトメアクリーチャーと化したジャオウガの力は強大だ。衝撃波が何度も放たれ、結界に罅が入り始めた!
「『拙い!?結界が保たないかもしれん!』」
「『そんな!?ここまで来て……!』」
「『流石にここまでとは想定外でしたか……っ!』」
「──────いや、これも想定内だ。こちらの
その言葉と共に、スミトの背後に2体のクリーチャーが現れた。彼らは、この場に集うデュエルマスターの誰もが知る、自由の銃士達……!
『ジョニー殿!?ジョラゴン殿!』
『久々だな、モモキング。こんな形で再び会うとは思っていなかったが』
『再会の喜びは後だ!スミト、俺達の仕事をしようぜ!』
「ああ」
『Contract armor awakening.』
データを観測しバックアップを務めていたスミトが、前に出る。その身にジョニーが1つとなり、機械的な装甲が身体を覆う。そして、赤い大きなウエスタンハットとロングコートが現れ……同化が果たされた。
「あれって……先輩と∞ちゃんば助けたっちゃ人……!?」
「『《ハイパー・ザ・ジョニー》……行くぞ、ジョラゴン』」
『おうっ!』
スミトを背に乗せたジョラゴンが空へ舞い上がり、ジャオウガの真上に付ける。そして、彼らはそれぞれの得物たる銃と砲を、眼下へと向けた。
「『『これが最後のピースだ……《
『ぐぉ、あ…………ッ!?』
放たれた弾丸と砲弾が、ジャオウガを貫く。無の属性、自由の弾丸がその力を発揮し、ジャオウガの持つ能力が一時的に封じ込められる。
そして同時に、罅割れかけた結界はドーム状に変化し、より強固となった。これで最早破られる心配は無い!
『ぬ、ぉ、おぉ…………っ!』
「『ナイスです!さっすがうちのもう1人のエース!』」
「『好機だ、決めてしまえ!』」
「『了解です!』」
「『これで決める!』」
サキトとトウリが最後の一撃の態勢に入る。力を削がれ、封じられたジャオウガは最早為す術も無い、筈…………!
『な、ん、のぉぉおおぉぉっ!』
「『っ!?』」
その瞬間、ジャオウガの体内から何かが飛び出して来る。見覚えのある二振りの鬼の槍…………ジャオウガ復活の贄となった茨木童子の体内に埋め込まれていた、一王二命三眼槍!
それらが、サキトとトウリへ射出され襲い掛からんとする。攻撃態勢にあった2人は躱す事は不可能だ。邪悪な槍の穂先が迫り──────。
「テヤァァアァッ!」
「しつこかっ!もう先輩に手出しはしゃしぇんばい!」
ゼオスの拳が、しのぶの蹴りが、その奇襲を弾き槍を砕いた。彼女達もただ見ていただけではない、2人と共に戦うべく備えていたのだ。
『おぉ…………っ!おのれ、鬼の歴史が……完全に押し返される…………!?』
「『今鬼の歴史に抗っているのは、龍の歴史だけではない!俺達、人の歴史が共にある!』」
「『全てを征服し支配して来た、自らの力を加算し続けてきただけのお前には分かるまい。自分達は共に戦い、掛け合わせる事で……その力は何倍にもなる!』」
そして、サキトとトウリの力が極限まで高まった。全てに決着を付けるべく…………解き放つ!
「『飛べ!『竜』『星』『王』『紅』『鬼』『勝』!』」
「『1つ瞳を光らせた、2つ不死身の桃の龍。3つ醜い悪の鬼──────倒してくれよう、モモキング!!』」
ドギラゴン王道の端末が、それぞれに宿る龍の力を持つ剣によってジャオウガを貫き縫い留める。そして、モモキングの力が金色の刀へと収束する。
「『断ち切るッ!!』」
「『悪鬼、討滅ッ!!』」
そして、サキトの三刀が、トウリの一刀が同時に交錯し──────。
『グ、オオォォ……!!……そんな、馬鹿な事が!グアアアアアア!!!!』
ジャオウガの肉体が完全に断ち斬られ、その身に溜め込んだマナが、大爆発を起こす。その威力に、最早ジャオウガ自身は耐えられない。強靭であった鬼の王の肉体は、完全に…………この世から消え去った。
「「『『最・終・決・着ッッ!!』』」」
その爆発を背に、サキトとトウリは刃に付く血を払うように振るい、戦闘態勢を解いた。それぞれの鎧が宙に溶け、トウリの隣にはモモキングが実体を持って現れる。
『ジャオウガの撃破を確認!鬼の歴史が急速に押し返されて…………それどころか、これまで以上に遠くへ弾かれていく!』
「『時空の彼方へ、もう2度と交わらない所まで行くのでしょうか』」
「『さあな……万が一また来るにしても、遥か先の時代であることを祈るとしよう』」
世界をつなぐ柱が、元通りの姿を取り戻す。そこにはジャオウガとモモキングの身体は無く。完全にかつての柱と同じものとして修復された。
そして、鬼の歴史は遥か遠く。龍の歴史と完全に隔てられ、彼方へと去った。2つの歴史が再び邂逅する時は、遠い時の彼方となるだろう。
「先輩!」
「トウリ君!」
「「うわっ!?」」
決着を付けた2人へと、しのぶとゼオスが抱きついて地面に倒れ込む。大きな一仕事が終わり、すっかり気が抜けて……彼らはみな、笑い声を上げるのだった。
次回──────最終回!