作中の時期は、主人公に使わせたいカードの都合上原作のストーリー編4話目を2024年4月中頃としております。
『緊急事態発生!緊急事態発生!校内にて不審な生き物が複数体暴れ回っておる!部活動で残っている生徒達は直ちに避難せよ!直ちに避難せよ!』
──────2024年4月15日。
私立桜龍高校の校内に、校長による緊急の校内放送が響き渡る。
不審な生き物……クリーチャーが突然何体も現れたのだ。
一般生徒達はすぐさま放送に従い避難を始めたが、“彼女達”は違った。
「校内で暴れまわっとる不審な生物とやらを儂らで捕まえるんじゃ。多く捕まえたチームが予算の決定権を持つ、どうじゃ?」
そんな空手部に所属する生徒の提案を皮切りに、生徒会役員5名と5つの部活動に属する女子生徒達が「クリーチャー捕獲勝負」を始めたのだ。
生徒会の「流星アーシュ」「真久間メガ」「地封院ギャイ」「熊田すず」「サーヴァ・K・ゼオス」。
空手部の「伍代ドーラ」ゲーム部の「帝王坂∞」水泳部の「蒼斬しのぶ」テニス部の「ジュラ子・リューバー」美術部の「宿禰マロン」。
彼女らには、常識外の存在たるクリーチャーを恐れない理由が存在した。
* * *
『ヘドゥル~~……!』
『汚しまくるぜ~~……!』
校舎3階の廊下の一角に跳ねまわる、黒板消しに黒い粘液の人体が生えたような姿のクリーチャー……その数8体。
そして、それらに囲まれる男子生徒が一人。
「よーしいいぞ、よくついてきた………」
否、彼───「
「白昼堂々出て来やがって、ここで一気に───」
彼は懐からスマートフォンを取り出す。アプリを起動し、画面が強い輝きを放ち始めたその時。
「∞ちゃんあそこ!しゃっきのがいっぱいおるばい!」
『すぐに捕まえる』
「タイヘン、誰かが囲まれているワ!」
「そこの生徒!早く避難せんか!」
「げっ!?」
後方から4人の声。捕獲勝負中の4人がクリーチャーと彼を見つけて近付いてきたのだ。
予想外の乱入者に驚愕する彼。だが、起動したプログラムは止まらない。
光が5人と8体を包み込む。
一瞬の後、彼らが立っていた廊下は薄赤い光の幕に包まれていた。
「なんなのだこれはー!?」
「なんだかヘンな感覚がするワネ?」
「マジかよ……!」
彼は驚いていた。ただ見られただけならともかく
しかも彼女達からは
『護守先輩』
「う゛っ」
「あ、ゲーム部の副部長しゃんやね?」
おまけに内二人が顔見知りとあっては、はっきり言って逃げ場は無かった。
「あー……4人ともすまないが、そのまま後ろに下がっててくれ───危ないから」
そう言うと同時に、サキトの姿が変わった。
アニメか、日曜朝のヒーロー番組に登場するキャラを思わせるような装甲がその五体に装着される。
そして前方には5枚の光の板が壁となり、彼の手元には同様の板が盤の如く展開された。
「よし、最良の手札だ。それにこんだけ寄せ集めた甲斐もあった」
手に持つのは5枚のカード、その中から赤い印のカードを盤面へと逆さに置く。
「《ボルシャック・ドギラゴン》をマナゾーンへ置き火のマナをチャージ、そして……8体の《消男》が存在することにより、こいつのコストが7軽減される!」
掲げた札が炎を纏い、盤面へ叩き付けられると同時に大きく膨れ上がる。
そして、その中から赤い甲殻に包まれたドラゴンが姿を現した!
「《メガ・マグマ・ドラゴン》を1マナで召喚!焼き尽くせ!」
逃げ惑う小さなクリーチャー達を、紅蓮の炎が一気に焼き尽くしてしまう。
それを見届けるとドラゴンは猛々しく吠えながら姿を消した。
サキトがスマホを操作すると、光の幕も消えて元通りの廊下へ戻ってゆく。
「よし、一先ずはこれで───」
「あ゛ーっ!!貴様あの生物どもを消してしまいおったなぁ!?わらわ達が捕まえようとしていたのに!」
「はい!?」
“エリア”が消え元の姿に戻った護守はすずの予想外の台詞に面食らう。
自分がドラゴンを召喚した事について聞かれるかと思いきやそんな文句が飛び出すとは思いもよらなかった。
「うちら、あれを捕まえる勝負ばしとったんばい」
『他を探す。先輩、また今度』
「ええい遅れを取ってなるものかー!」
「あ、ちょっと待……」
まだまだ校内にいるはずのクリーチャーを探しに、3人が駆けてゆく。
サキト側からも彼女達には聞きたい事があったのだが──────
「アナタ、後で生徒会室ニ来てくれるカシラ?色々聞かせて欲しいノだけれど」
「あっハイ」
少々圧を感じる言葉に思わず敬語になりながら彼は返事をした。
正直言って厄介なことになりそうだが………。
(まあ、彼女達が
* * *
『生徒会役員の4名、そして2年3組の護守君。至急校長室へ来るように』
「へ?」
生徒会室の扉をノックしようとしたところで、護守サキトは固まった。
クリーチャー騒動は一段落した様子だったので、約束通り生徒会室へ顔を出しに来たら校長からの呼び出しである。それも生徒会のメンバーと一緒に。
『なんやこんな時にあのクソ校長』
『何の用だろねー?』
『さっきの彼モ呼び出されたミタイね?』
『あー、あの2年生のことか。あの校長も気付いていたのだな』
ガラガラと生徒会室の扉が開く。当然、直前にノックしようとしていたサキトは扉の目の前だ。
「あー、なんやお客さん?悪いけど今からウチら……」
「アラ、もう来ていたのネ」
「あっ!もしかして一緒に呼び出された人!?」
「そうなん?」
「あ、ああその通りで……2年の護守サキトです」
「ならちょうど良い、さっさと校長室に行くぞ」
「あー、あの校長も関わっていると………」
そうして5人は校長室へと歩を進める。校長室の扉を開けば、そこには校長と生徒会長、流星アーシュの二人が待っていた。
「おお、待っておったぞ諸君」
「あの、校長先生?なんで生徒会じゃないその人まで───」
「単刀直入に聞こう、護守君。君は彼女らがドラゴンの力を宿している事を、気付いておるな?」
その時、サキトはこのいい加減でマイペースな校長から初めて強い圧力を感じた。
つい数日前に足を踏み入れたばかりの、人外の世界で生きる者達が発するプレッシャー……それも一際大きな物を。
「……え、ええ、まあ。直接確認したのは熊田さんとゼオスさんの二人ですが、今ここに揃って呼ばれたという事は他の皆さんも同様なのだろう、とは」
内心の恐れを抑えつつ答える。今の所明確な害意は無さそうだが、それでもその存在感は絶大だった。
「うむ。それでは君の事情を話して貰おうかの?クリーチャーやドラゴンを知っている理由、そしてクリーチャーを倒す手段を持っている理由を」
「……それじゃあ、改めて自己紹介をさせて貰います。私立桜龍高校2年3組所属であり───」
サキトがスマホを操作すると、画面から光が放たれ空中に映像が投影される。
描き出された物は、「DGA Duel Guardians Alliance」と書かれたロゴらしきものであった。
「『C案件対策機関 DGA』……クリーチャーが起こす事件から人々を守るため結成された秘密組織の構成員、護守サキトです」
Q:メガちゃんと被ってるメガ・マグマよりVTでよくね?
A:主人公のデッキには不純物になる事と、バウンスではない除去を目的としたためにこちらを採用。バウンスがNGな理由は次話で語る予定。