ドラゴン娘と決闘者   作:偽りの名 ニーサン

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ワルスラ戦後の後始末。そして、しのぶとの……


Ep.21:護守サキトと燃える想い

大凡2時間後。保健室で意識を取り戻したサキトはしのぶと共に校長室へ呼び出されていた。

 

「さて、体調は良さそうかのう?」

「ご迷惑をおかけしました……」

「いやいや、今回は一般生徒に危害が加わる前に対処してくれて助かったわい」

 

女子更衣室への立ち入りは、緊急を要する事態だったため御咎め無し。血だらけのサキトを見て水泳部生徒達は混乱に陥ったが、警察とDGAスタッフが場を収めてくれてなんとか事なきを得た。

血塗れでズタボロになったサキトの私服は、DGAスタッフが回収し新しいものを用意してくれたので心配はない。

 

「蒼斬しのぶは……完全に落ち着くまではもう少しかかりそうじゃな」

「ごめんなしゃい、先輩が死んでしもうたかて思うて取り乱して……」

「まあそれに酷い目に遭わされかけたわけですし……解毒はうちのスタッフが一応はしてくれたみたいですが」

 

あの直後、しのぶは気絶したサキトを抱えて大騒ぎしていたらしい。スタッフがどうにか落ち着かせるまで大変だったと起きた直後にサキトは伝えられた。少々揶揄われる事になったが……。

それと、回復や一般人を眠らせる効果は実働部隊ではないスタッフにも使用可能な簡易機能であり、完全とは言えないが二人の体調をある程度整えてくれたようだ。

 

「今日はもう部活どころでは無かろう、帰って休みなさい。部の顧問にもワシから伝えておくからのう」

「俺が家まで送ります。蒼斬さんもそれでいいかな?」

「あ、ありがとう先輩……お願いします」

 

 

* * *

 

 

帰り道の途中、コンビニで昼食として買ったおにぎりを食べながら、2人は歩いていた。しのぶの家はもうすぐそこだ。

 

「ふぅ、うまかね……奢って貰うてよかったと?」

「まあ小遣いに余裕はありまくるからね、DGAの仕事のお陰で」

「そんなに給料が良かと?」

「俺の預金残高見たらたぶんびっくりするよ、賭けてもいいね」

 

他愛無い話をして心を落ち着ける2人。そこに、しのぶが1つ、期待を込めて話を切り出す。

 

「先輩……聞かせて貰ってよか?」

「ん?」

「さっき、戦うとった最中に……大事だとか、大切だとか」

「あ、あー……」

 

頬を掻きながら目を逸らすサキト。痛みに苛まれた中での興奮状態で、言う気が無かった事まで口走ってしまった事を覚えている。今更誤魔化すというわけにも行かないだろう。

 

「まあ、そのなんだ……前に部活帰りに送ったとき、蒼斬さんを妙に気にかけてた、分からなかった理由が今はちゃんと分かってな」

「……うん」

「んん……っ、蒼斬さん」

 

改めて彼女へと向き直り、咳ばらいをしてサキトは覚悟を決めた。

 

「俺は、蒼斬さんの事が好きだ。友達とか先輩後輩とかではなく………その、女性として」

「……っ!」

 

正式な告白を受け、しのぶは思わず喜びに身を震わせた。

 

「うちも……うちも、先輩のことば好きやけん!」

「あ、ああ、ありがとう……っあー、どうしたものか……」

「え……付き合うてくれんとね?」

「いや、そのな?………正直女の子を幸せにできる自信が無くてな」

 

サキトの悩みの種はそこだ。カードゲーム趣味に関してはしのぶは受け入れてくれるだろうが、もう一つ彼を躊躇させていた理由がある。

 

「今日みたいに、一歩間違えればいつくたばってもおかしくない仕事だからさ。恋愛も結婚も俺にまともに出来るのか?相手を残して逝ったらどうする?って考えると……」

「やったらっ!」

 

しのぶがサキトの手を握り、自身の胸へと掻き抱く。そして真っすぐに目を見て、自身の意志をぶつけていく。

 

「やったら、うちが信じるけん!今日みたいに、いつも先輩ん事ば信じる!先輩は必ず勝って帰って来るって信じて、先輩ん力になるけん!」

 

力強く言い切られ、サキトは目を丸くし……気が抜けたように笑ってしまう。

 

「な、なんが可笑しかと!?」

「いや、ごめん……女の子って強いんだなぁ、こりゃ敵わん。それじゃあ、改めて……俺で良かったら、お付き合いしてくれますか?」

「……っ、はい!喜んで!」

 

断る理由など、彼女にはどこにもなく。満面の笑顔で、しのぶはサキトの想いを受け入れた。

 

「………それでその、そろそろ……手は解放してくれると助かる、んだけど……」

「ん………っ」

 

しのぶがサキトの手を胸元に抱えたまま離さない。いつものスク水越しに、体温やら鼓動やら感触やらが伝わって来て、少しばかりドギマギしている。

 

「あの、ちょ……っ!?」

 

胸元から放してくれたものの、今度は手を握ったまま急ぎ歩き始めた。彼女の家に着くと、サキトは玄関へと引き込まれた。

 

「ちょっ待、お、お邪魔しま……っ」

 

ドアを閉めた途端、しのぶが抱き着いて来る。その瞳はまた熱に浮かされたように潤み、息が荒くなっている。

 

「先輩……今日はうちん親は用事で出かけとーけん……」

「蒼斬さん!?薬が抜けきってなくねえか!?」

 

襲われた時に飲まされたであろう、色々と与太者に都合のいい薬の影響がぶり返して来たか。しのぶはまた興奮状態になっていた。

乱暴に引き剥がすわけにも行かずサキトは玄関で押し倒される。

 

「はぁ……っ、しのぶって呼んで欲しかよ……っ」

「それはいいけど待って!?これはまだ色々と早えし、こんな所で……っうおぉ力強……っ!?」

 

相手が運動部とはいえサキトもトレーニングをしている身、体格も一応上である以上押し返せないはずはないというのに、全力をもってしても起き上がれない。

 

「ええい、一体何、で………」

 

その時、顔を近づけて来るしのぶの頭から、角が出ているのをサキトは見た。

 

「こんな事の為にドラゴンの力を使うんじゃない!?あ、待っ、あ──────」

 

 

* * *

 

 

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禁断の封印(ねんれいせいげん)が施されています。封印解除の条件を満たしてください※

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* * *

 

 

あの後滅茶苦茶親御さんにご挨拶した。詳細は伏せられたようだが、娘が事件に巻き込まれたと連絡があって、予定より早く帰って来たため見事かち合う羽目になったのであった。

色々と緊張と混乱で口走った気がするサキトだが、結婚を前提にお付き合いする事、学業に支障をきたさない範囲での交際をする……という形でなんとか納得して貰う事が出来た。

 

「あお……しのぶ、やっぱりうちに来るってのはちょっと……」

「大丈夫、ちゃんと許しは貰うて、荷物も用意したけん」

「そういう問題じゃなくてな?……ここまで積極的とは」

 

ただ、今度はサキトの家にしのぶがお邪魔するということになってしまった。しかも今夜はそちらに泊まりたいと言い出し、両親の許可も得て荷物まで持ちついて来てしまっている。

 

「誰かと一緒やなかと、思い出してえずうなりそうやけん……先輩と一緒なら、きっと大丈夫になるけん」

「くっ、そういう事言われると断り辛くなる……っ」

 

既に尻に敷かれそうな未来が見えつつあるサキトであった。ともあれ何事もなく家へ辿り着き、玄関の鍵を開ける。

 

「ただい──────」

「「サキトっ!!!!」」

「まあ゛ぁあぁ!?」

 

ドアを開けた途端、帰りを待っていたのかサキトの両親が抱きしめて来た。

 

「良かった、本当に良かったわぁ……っ!」

「大丈夫か!?怪我したらしいが痛い所は無いか!?」

「ぐ、ぐるじい……っいまだきつぶされていだい……っ」

「せ、先輩のお父しゃんお母しゃん落ち着いてくれん!」

 

バンバンと2人の背中を叩きながら訴えるサキトを見て、しのぶも慌てて止めに入る。

 

「おや、お嬢さんはどちら様で?」

「えっと、うちは──────」

 

 

* * *

 

 

「いやーはっはっは!折角の誕生日に事件に巻き込まれたと聞いて肝を冷やしたが、無事だったうえ彼女さんまで連れて来るとはめでたい!」

「初めましてしのぶさん。今日は大変だったでしょうから、うちで良ければゆっくりくつろいで疲れを癒していってくださいね」

「ありがとうございます、おふたりとも」

 

護守家の主大河(たいが)とその妻鐘凜(しゅり)は、しのぶの話を聞きすぐさま彼女を受け入れた。誕生日祝いに用意していたちょっと豪華な夕食───良い肉を使ったすき焼きだ───もサキトと一緒に好きなだけ食べるよう勧めて来る。

 

「息子をよろしく頼むよ、しのぶさん!いやあ全く、こんな可愛らしいお嬢さんを家に連れて来るとはなぁ」

「そうねえ、サキトは女の子との接点が少なそうな趣味にのめり込んでいるし、少し心配だったのよ」

「趣味の事は余計なお世話だよ!」

「しかしまあ、その趣味が長じて学生の身でもう働く事になるとはなあ……」

「(先輩はもうご両親にクリーチャーん事ば話したと?)」

「(まあ、親にはいつまでも黙ってる訳にもいかんしね)」

 

遡る事6月半ば頃、流石にDGAの仕事を秘密にし続ける訳にも行かず、サキトはスタッフと共に両親へと彼の『仕事』に関して説明を行った。

当然心配され、反対もされたが、サキトが持つ力と替えが効く仕事ではない事を丁寧に説明され、一応の納得はして貰えていた。

危険かつ秘密裏な仕事をする事となった息子が、良い人を見つけ結婚できるか心配していた2人であったが……こうして恋人が出来たという事にとても喜んでいた。

 

「しのぶさん、うちのサキトはこれから何度も心配をかけると思うし、危険な目にも遭うと思うが……本当にそれでもいいのかい?」

「大丈夫ばい。先輩は何があっても必ず帰って来るって信じてるけん」

「ああ、本当に良いお嬢さんを貰ったのね……!」

「孫の顔が見れるのも近いかもしれないなあ……」

「気が早え!彼女の学業に支障が出ないようあちらのご両親と約束したんだってば!?」

 

ぎゃあぎゃあと騒ぎながらも、この晩は祝いの日に笑顔が絶えない食卓となった。

護守家へ一晩お邪魔する事になったしのぶは、きっとこの先も良い関係を築けそうだと確信する事が出来たのだった。

そうして、激動の1日は過ぎて行った……。

 

明日は──────栗茶fesの本番が、やって来る。




しのぶちゃんの家族描写カットなのは公式で未登場故致し方無し。
アオハル組の家族構成話とかも公式で掘り下げて欲しい所でございますね……。

禁断解放したDKDMX指定部分はもし需要あれば別枠でお出ししようかなと思います。

禁断解放の需要、あります?

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