クロスオーバーのための独自設定も多めです。ご了承ください。
「なんだか最近、この神社の近くで行方不明になる人が多いんだって」
「やだ、何それ?人さらい?」
「目を離した隙に、隣にいた人がふっといなくなっちゃうって聞いたよ」
「えー、眉唾じゃない?」
「うちのクラスでも、友達が居なくなったって子が……」
「──────神隠し、なんて言われてるみたい」
* * *
──────『斬札ウィン』、それはサキトの知るデュエマの原作……漫画及びアニメーション『デュエル・マスターズWIN』の主人公。
主人公では初となる闇文明メインの使い手であり、相棒となった《アビスベル=ジャシン帝》と共に様々な闘いを繰り広げて来た歴戦の決闘者。
しかし、目の前の『斬札ウィン』は──────。
「背格好が全然違うし、その子は誰だ!?ウガタは?カレンは?D4は!?」
「せ、先輩!?ちょっと落ち着いて!」
「ちょっとウィンに何するのよ!?」
思わず肩を掴んでがくがくと揺さぶってしまった。ウィンは目を白黒させて訳も分からず揺すられるだけだ。
「お、お前……オレの事を、オレの過去を知ってるのか?」
「何……?」
「教えてくれ!オレの過去を、オレが何者なのか……!」
肩を掴む腕を掴み返される。かなりの力だ、みしりと骨が軋むような音が聞こえる。だがそれよりも、ウィンの言葉にサキトは驚かされた。
「もしかして、記憶が無いのか……?」
「ああ、だから──────」
「2人とも、そこまでにしといた方が良かよ!」
しのぶの声に周りを見る。喧嘩でもあったのかと、周りの人々から注目を集めてしまっていた。冷静になったサキトはウィンの肩から手を離した。
「……すまん、いきなり掴みかかって」
「え?あ、ああ……」
「別の場所で話そう。神社の裏で待っててくれ」
戸惑う様子を見せるが、ひとまずはその言葉に従うウィン。睨んで来るニイカを連れて、祭りの会場から離れてゆく。
「先輩、どげんしたんいきなり?」
「あー、何というか………」
頭を掻きながら、どう説明するか悩むサキト。
「しのぶは、目の前に漫画やアニメの登場人物が出てきたら……信じられるか?」
「え?」
* * *
「ウィン、あんなの本当に信用するの?」
「手掛かりになるんならそれに越したことは無いだろ?それに、この街の事についても知ってるかもしれないし」
「それはそうだけど……」
斬札ウィンと香取ニイカは、先程急に接触してきた相手の事について話し合っていた。ウィンの事を知っているかもしれないが、本当に信じて良い物なのか。
そもそも、彼らにとってここは未知の場所、警戒するのも当然ではある。
「すまん、待たせたな」
「あ、来た!もう一体何のつもりなの、よ……?」
やって来たサキトを見て文句を言おうとしたニイカは、その言葉を止めた。彼の手には屋台で買った焼きそばが、4人分収まっている。
「とりあえず、迷惑かけた分の奢りだ。落ち着いて食いながらでも話でもしようか」
その美味そうなソースの香りに、ニイカは負けた。
* * *
「………オレが、アニメの主人公?」
「少なくとも、
一通り自己紹介を終え、焼きそばで腹を満たしながら、サキトはウィンへと自身の知るウィンの事を話し始める。ニイカとしのぶも彼の言葉に目を丸くして驚いているようだった。
「『デュエル・マスターズWIN』の主人公、類稀なデュエルのセンスを持ち、相棒となったジャシン帝と共に激闘を繰り広げた……
「ちょっと、ウィンは高校生なんですけど?」
「そこなんだよなぁ……原作漫画が連載中なんだけれど、歳は合わねえし……今はどこに住んでるんだ?」
「東京の新宿だけど」
「俺が知ってるウィンの出身は千葉県のシラハマだし、中学生になってからはマイハマ学園の寮暮らしのはず。高校生のウィンが東京に住んでいた理由、正直に言って現時点じゃなんも分からん」
「空白ん期間が長うて、なんが起こったかしゃっぱりなんやね」
現時点では、判断材料が少なすぎる。一体何が起こってウィンが記憶を失い、東京で暮らしているのかが全くの謎だ。
「それで、さっき言ってたのを聞く限り、この栗茶市日神町にはいつの間にか居たって感じなのか?」
「そうなのよ、昨日の夜、あのよく分からない境界線の向こうに入っちゃって、そこから出たら何故か知らない所に出ちゃって……」
「ゾーンの中に入ったのか!?」
「ゾーン?護守はあの世界をそう呼んでるのか?」
「俺というか、俺達がだな。まず、DGAという組織があって──────」
DGAの存在、そしてその結成理由である、クリーチャーがこちらの世界で引き起こす事件や災害について話してゆく。
「境界線の外にもクリーチャーが現れて、悪さしてるのか……」
「やる事の規模は悪戯レベルで済むものもあったり、友好的なのもいたりでピンキリだけどな。境界線の向こう、ゾーンに出て来る野良のクリーチャーが一番危険なのはそっちの認識とそれほど変わらないと思う」
「ニイカちゃんたちは、ゾーンの外側でクリーチャーに出くわしたことは無かっちゃんね?」
「う、うん。境界線から外には出てこないみたいだけど……」
「うーむ……齟齬があったり、そっちの携帯端末が繋がらなかったりを考えると……何らかの原因で、2人は
先に食べ終えていた、焼きとうもろこしに刺さっていた割り箸で地面に図を描いてゆく。
「こちらの世界って、どういうことなの?」
「よく似ているけど別の世界、いわゆる平行世界って奴かな。この世界がA、ウィン達の世界がBとして、君達はこっちのAの世界に紛れ込んでしまったというところか」
「それで何でスマホが……あ、電波や機器の様式が違うとか?」
「恐らくはな。実際には超獣世界という異世界もあり、その超獣世界自体も多数の分岐した歴史や、平行世界が存在する訳だがまあここでは省略するとしてだ。迷い込んだ原因はやはり、2つの世界で共通する──────ゾーンの存在だろうな」
2つの円という形で両者の世界を描き、接していないそれらに、重ね合わせる形で3つ目の円を描く。
「この3つ目の円、Cがゾーンという所かな。本来交わらないAの世界とBの世界が、Cという異世界を経由して繋がってしまっている。そこを通って、間違った出口……俺達のAの世界に来てしまったんだと思う」
「あ、あのー、あたしにも分かりやすく言ってくれない?」
「んー、そうだな………2人は西口から新宿地下通路に入って、帰りに出ようとしたら迷って東口から出て来てしまった、みたいな?」
「なるほど!」
「あー、それはめっちゃ分かりやすいな」
新宿駅はどちらの世界でも、迷宮なのは変わり無いようだ。ある意味安心する。
「それなら2人は、同じようにゾーンば通れば元の世界に戻るーとかな?」
「……たぶん」
「たぶんじゃ困るんですけど!?」
「んな事言われても前例が無いから手探りにならざるを得ないんだよ……ジャシンは何か言ってないか?」
「ジャシンが?どういうことだよ」
「アビスベル=ジャシン帝は背景ストーリーにおいて、少なくとも2つの世界に出現している。何らかの時空間移動手段を知っててもおかしくは無いはずなんだ」
ウィンの背後にいるだろう、ジャシン帝の姿を見ようとするが……やはり最低でもデュエルフィールドを展開しなければ、実体を持たないクリーチャーの姿はサキトには見えないようだ。
「まあ、俺らが居る場では警戒して話したがらないのかもしれん。後でウィン1人で聞いて貰うってのも手だが──────」
「おや、護守サキトではないか」
「ん?」
呼びかけられた方向を見ると、ドーラを始めとしたアオハル組の皆が集まっていた。
「知り合い?」
「学校の後輩達で、しのぶの友達たちだよ。皆もお祭りに?」
「うむ、蒼斬しのぶの家に行ったらもうお主と行ったと聞いての」
『私は少しは親睦を深めろと引っ張られてきた』
「Fireworksが楽しみですわ!」
「ところでそちらの2人は誰でしか?」
「あー、全部話すと長くなるから簡単に説明するとだな……」
かいつまんで、ウィンとニイカについて説明する。彼女らもクリーチャー絡みのあれこれに巻き込まれてきた身だ、自身の体験もあって飲み込むのは早かった。
『なるほど、平行世界だね。ゲームなんかではよくある話だ』
「信じてくれるんだ!?」
「うちの学校では、不思議な事は日常茶飯事でし」
「クリーチャーが起こす事件はもうちょい頻度落ちてくれても良いけどな……」
「ところで……気を付けた方がよいぞ。この辺りは何やら妙な気配を感じるのよ」
「妙な気配?」
「うむ、何かこの世のものではないような、ただならぬ気配が……」
その時、地平線の向こうに完全に夕日が沈み。日の光が絶えて、境界線が現れる。
「はっ!?何でしかあれは!?」
「こっちに迫って来ますわ!?」
「いかん、皆あの線から離れ──────」
しかし、その拡大速度は極めて速く。彼ら8人は、ゾーンの内部へと取り込まれてしまうのであった。
* * *
「うう、何度見たっちゃ、やっぱりここは不気味やね」
「ここが度々言っていた、Zoneという世界なのですわね?」
「ああ、なるべく巻き込みたくは無かったが……ウィン達にとっては帰る手掛かりになるかもしれん、どうだ?」
「正直やな感覚はするけど……そうだ、ニイカ!スマホは!?」
「え、あ!電波が通ってる!」
『つまり、ここからなら2人の来た世界にも通じてるって事だね』
ゾーン内へ取り込まれてしまったものの、一先ずウィン達の問題は解決の糸口が見えた。
「ところで……5人とも、その角っぽいのって一体何!?」
「あー、彼女らはクリーチャーの力を他者から授けられてて……クリーチャーが近くにいたりすると、こうして力が発現するんだ」
「同化とはまた違うのか?」
「契約による同化と違って、ほぼ強制的に与えられてるうえ自分の意志での制御が効かないらしくてね……」
「ハッキリ言って不便極まりないでしよ……」
「しかし、こういった時の自衛手段にはなろうぞ」
周囲を見渡してみると、マロンが妙なものを見つける。
「これは……水晶の大きな結晶でしか?こんなものが生えてるなんて……」
「Stop,無暗に近付くと危険ですわ!?」
ジュラ子とマロンがその水晶に近付き……直後悲鳴を上げる。
「げひー!?ひ、人がぁ!?」
「Crystalの中に、人が閉じ込められてますわ!?」
「なんだって!?」
その結晶体を見てみると、確かに一人の男性が、苦悶の表情で閉じ込められている。しかも、徐々に身体の末端から変質していっているように見える。
「これは、あの時と同じ……」
「ウィン、もしかして……?」
「こいつは……まさか?」
人が閉じ込められた、謎の水晶。ハッキリ言って嫌な予感しかしない。
その時、彼らに向けてガスのようなものが吹き付けられる。
「うわっ!?なんなのこれ……!」
「毒ガスか!?」
「いや、たぶん人間には影響はない、けど……!」
「げほ、げほっ!?ぅ……っ?」
全員急いで口と鼻を覆うが、ドーラとマロンが少し咳き込み……目が虚ろになってゆく。
「伍代さん!?宿禰さん!?」
「ヤバい、クリーチャーの力を持ってるせいで、操られてる!」
「What's that!?マロンにこんなこと、誰の仕業ですの!?」
「くっ、出て来いよ!お前の狙いはオレだろ!?」
「──────クリス=タブラ=ラーサ!!」
ウィンのその言葉を聞いてか、地鳴りと共に神社の残骸が崩れ、人を閉じ込めた多数の水晶と共にクリーチャーが姿を現す。白い巨大な女性の像で構成されているが、全体のシルエットは……悪魔の如き、蝿の姿。
異世界でジャシン帝が戦ったとされる水晶の悪魔、悪しき神、蝿の王──────《クリス=タブラ=ラーサ》!
「ぎゃぁあぁぁ!?何あれ!?」
「ぶ、不気味なクリーチャーやね……!」
『それに、かなり強そう』
「そうか、2人をあいつの能力で操ってるのか……!」
クリス=タブラ=ラーサの能力。それは、相手の場と墓地のクリーチャーが持つ登場時能力を全てコピーし使ってよいという物。それが、相手を支配し操るという形で現れている!
『ククク……ジャシン帝の契約者、キサマの隙を狙っておったら、面白い物がオマケに引っかかるとはなァァァ』
「その2人をどうするつもりだ!」
『当然、ワシの糧たる水晶の華に変えるまでよ!』
どこから呼び寄せたのか、ガスマスクを被り蝿の翅を生やした怪物たち、奴の眷属「アンノウン・セレス」達が多数その場に現れる。そして操られた2人が、そちらへふらふらと歩いて行く。
「そんな、マロン!Stop,正気に戻って!?」
「儂らの、邪魔をするなぁ!」
『危ない!』
ドーラの拳を、ドラゴンの力を解放した∞が庇って受け止める。このままでは拙い事になる。
「リューバーさんと帝王坂さんは2人を抑えてこいつらから離れて!しのぶは、香取さんの護衛を!」
「先輩は!?」
「俺は……どうにか、こいつを倒す!」
「オレもやる!こいつは、許すわけには行かない!」
『以前のようには行かぬぞ、ジャシンよォォォ!』
『Duel field expansion. Dueltector summoning』
赤い光の幕が戦場と化した神社跡を包み込む。2人の決闘者が挑むのは、不死身の異形、邪悪の神。
「デッキセット!」
「シールド、オン!」
「「デュエルッ!!」」
次回、激闘・クリス=タブラ=ラーサ!
先日デュエプレのホロライブコラボでパックを引いたら、15パックで勝太スキンドギラゴールデン1枚、黒シクドギラゴールデン1枚、プレミアム加工黒シクドギラゴールデン1枚が揃うという事態に見舞われました。
リアルでもドギラゴンとの縁が結ばれつつあるのだろうか……?