ドラゴン娘と決闘者   作:偽りの名 ニーサン

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Ep.25:竜と邪神と蝿の王

クリス=タブラ=ラーサとその眷属達を相手に、シールドを展開したウィンとサキトが対峙する。

 

「ウィン!始まってから言うのもなんだが、これはクリーチャーとの直接戦闘、普通のデュエルとは全く勝手が違うから気をつけろ!」

「分かった……って何だよこれ!?こっちは初期状態なのに向こうはもう展開済みの状態じゃ無いか!」

 

敵はクリス=タブラ=ラーサ本体に加え、《「怪異」の頂天 クリス=ベルゼ》《「奇妙」の頂天 クリス=バアル》《「異形」の頂天 クリス=ゼ=ブブ》が1体ずつ、《奪取のクリス アラカン》が5体、《聖斬のコード アシッド》が2体、《悟りのクリス アラヤシキ》が3体……そのままではオーバーキルにも程がある大群だ。

おまけに、人間を閉じ込めた「水晶マナ」が、18個も設置されている。

 

「おまけにこっちも知らん機能が動いてる……タッグ用ルールか?詳細を回す!」

「うわ、モニター!?」

「ともかく、クリス=タブラ=ラーサを何らかの形で除去する、それが俺達の勝利条件だ!」

 

ウィンの目の前の空中に映像が投影され、現在の状況が表示される。

ウィンとサキトの2人は手札とデッキの管理こそ別だが、特殊ルール下に置かれている。

 

『ほう、バトルゾーン、シールド、マナ、そして墓地の共有か。変則的な決闘になりそうだな』

「なっ、ジャシン!?お前今頃……!」

「本物のジャシン帝か、こうして直に拝めるなんてな」

『気を抜くなよウィン、奴らはすぐさま動いて来るぞ。さあ、お前のターンからだ!』

「っ、オレのターン!《ジーペン=ギーゼン》をマナへ、1マナで《オンサ=マンサー》を召喚!登場時能力により、山札の1番上を確認……!よし、《アビスベル=ジャシン帝》を墓地へ!」

「……何だ?知らないアビスロイヤル?」

 

1コストのブロッカー、音叉で形作られたクリーチャー《オンサ=マンサー》を召喚し、その能力でジャシン帝を墓地へと送り込む。闇文明のデッキは墓地利用を得意とし、墓地のクリーチャーをいかに活用するかが肝となってくる。

 

『脆弱な盾で何が出来よう!食らえい!』

「なっ、オンサ=マンサー!?」

 

クリス=タブラ=ラーサが手を翳すと、オンサ=マンサーが消し飛ばされる。

しかし、破壊され墓地へ行った訳ではない。これは……!

 

「《天頂と停滞と水晶の決断(パーフェクト・ゼニス)》!?アタック・チャンス呪文を使いやがるのか!」

 

特定のクリーチャーの攻撃時にタダで使える呪文、「アタック・チャンス」能力。使い切りだが、野良クリーチャーのクリス=タブラ=ラーサが使ってくるのは想定の外だ。これが悪神の力という事か。

その効果により、オンサ=マンサーはウィンのデッキの底へと送られた。ブロッカーが消えれば、当然……!

 

『受けよ!冥府の風!』

「「うわぁぁっ!?」」

 

ワールド・ブレイカーを持つクリス=タブラ=ラーサの攻撃で、2人のシールドが全て消し飛ばされる。防ぐ手立てが無くては、敗北は必至となろう。

 

「ウィン!」

「先輩!!」

「っつう、大丈夫だ、心配するな──────っ来たか!」

「そっちもか、行くぞ!」

 

「「シールドトリガー、発動ッ!!」」

 

2人の砕けた盾から、それぞれ3枚ずつトリガーが発動する。一度に大量のシールドを砕くワールドブレイカーは、こういったリスクも伴う事となる。

 

「王道の革命ドギラゴンの革命2、ダブル発動!現れろ2体のドギラゴン!更に、光鎧龍ホーリーグレイスもバトルゾーンへ!」

「《ミル=ミルアミール》《ドアノッカ=ノアドッカ》《ア:グンテ》をバトルゾーンへ!」

 

6体のクリーチャーがサキトとウィンを守る様に飛び出す。そして、彼らの本領発揮はここからだ。

 

「ウィン、頼むぞ!」

「ああ!ミル=ミルアミールとドアノッカ=ノアドッカの登場時能力発動!厄介なクリス=ゼ=ブブのパワーを合計15000マイナスする!パワーが0以下になったため、水晶マナを消費し破壊を免れる効果を使ったとしても、破壊され続ける!」

『ちぃ、小賢しい!』

 

クリーチャーのバトルでの勝敗を、パワーではなくコストの大きさを比べる形に変える能力を持つ厄介なクリーチャー『クリス=ゼ=ブブ』を、2体のアビスロイヤルがパワー低下によって始末する。

 

「王道の革命ドギラゴンの登場時能力!デッキの上2枚をマナへ送り、クリーチャーを1体マナから手札へ!これを2回繰り返す!ルピアターン、ドギラゴン閃、栄光ルピア、ドギラゴン剣がマナゾーンへ行き4マナ増加し、ドギラゴン閃とドギラゴン剣を手札へ回収!更にホーリーグレイスの登場時能力、お前の眷属達を全てタップする!」

「ア:グンテの登場時能力と、シールドトリガープラス能力!アラカン1体とクリス=バアル、そしてクリス=タブラ=ラーサをマナゾーンへ!」

『おのれぇぇえぇ……!しかし、ワシ自身は水晶マナが続く限りは不滅よぉ!』

 

そう、クリス=タブラ=ラーサの能力……「クリスターナル・Κ(カッパー)」。マナゾーンに存在する裏向きのカード、「水晶マナ」を3枚表にする事で敗北と除去を免れる力。水晶ある限り、この悪神は不滅なのだ。

 

『貴様ら、良いのかぁ?ワシが水晶マナを消費すれば、この人間どもも無事ではすまぬぞえ!!』

「なんだって!?」

『そぉれ、早速3人が消えるぞぉぉおおぉ!!』

 

人々が閉じ込められた水晶に、罅が入り、砕けてゆく。手を伸ばしたウィンの目の前で水晶が砕け散り──────。

 

『………な、に?』

「ぶ、無事……なのか?」

 

水晶の中から、衰弱してはいるものの、閉じ込めた人間が放り出された。胸は呼吸の度上下しており、間違いなく生きている。

 

「ふぅ……嫌な予感に備えてフィールドを展開しておいた甲斐があった。DGAによるアップデートのお陰だな……!」

「どういうことだ?」

「展開したデュエルフィールド内に限るが、一般人にクリーチャーの攻撃ではない特殊能力により危害が加わりそうな時……被害を抑え彼らの命を守る事が出来る!」

『なんじゃとぉぉお……!?』

『フン、完全な水晶の華と化していればこうはならなかっただろうな。奴が襲撃を急いだ結果と言う訳だ』

「ジャシン帝の言う通り、完全な変質前かつ、俺が同行中の襲撃で助かったよ……しのぶ!行けるか!?」

「うん!うちに任せて!」

 

ホーリーグレイスの光で敵のクリーチャー達が動けない隙に、しのぶが解放された人々を回収しサキト達の後ろに連れて来る。これで再度閉じ込められる心配はとりあえずは無くなる。

 

「これなら、やれるか?」

「ウィンと2人がかりなら、恐らく除去数も足りるはず……」

「一気にケリを付けるぞ!」

 

タブラ=ラーサ達の行動を阻止した事で、サキトにターンが回る。ドローは悪くない、後はウィンの行動を助けるべく……。

 

「バルチュリスをマナへ送り、メンデルスゾーンを発動!デッキの上から2枚を見る!……いいぞ、ハムカツマンとボルシャック・ドギラゴンをマナゾーンへ!」

「よし!これで次のターン、6~7マナまで使える!」

「そして、ホーリーグレイスでアシッドを攻撃!行くぞ……革命チェンジっ!!」

 

光の龍が手札へと舞い戻る。そして現れるのは当然、彼の信頼するエースクリーチャー。

 

『往くぞ、サキト!』

「ああっ!蒼き守護神、ドギラゴン閃!ファイナル革命を発動!デッキの上から4枚を見てコスト合計が6以下になるよう多色クリーチャーを出す!」

 

4枚のカードが表となる。その中に勝利を導く1手は……。

 

「……来た!蒼き王道ドギラゴン超をバトルゾーンへ!登場時能力発動!クリス=タブラ=ラーサを、マナゾーンへ送る!」

『ぬうう……効かぬわぁ!』

 

登場と同時にドギラゴン超が放った必殺の斬撃を、水晶から得た力でタブラ=ラーサが弾き飛ばす。しかしその代償に、再び3つの水晶から人が解放される。

 

「残りの耐えられる回数は4回……!ドギラゴン閃の攻撃は終わっていない!アシッドを叩き斬れ!」

『ぬうう……!数を減らそうと我が配下たるゼニス=セレスも水晶より不死の力を得る!貴様の剣などでは届かぬわぁ!』

 

そう、残ったクリス=ベルゼもタブラ=ラーサと同じく水晶マナを消費して破壊を免れる、「エターナル・Κ(カッパー)」という能力を持つ。通常のクリーチャーによる攻撃だけでは手数を減らせない……が。

 

「だが、その不死身は回数制限付きなんだろう?」

『何ぃ………?』

「続けて王道の革命ドギラゴンの攻撃!この時、革命0の能力が発動する!シールドが0枚の時、バトル中のパワーを+10000し、バトルに勝つたびアンタップする……無限バトル効果だ!」

『ほう、新たなドギラゴンも元祖と似た能力持ちという事か』

「クリス=ベルゼを耐えさせても良いんだぜ?その場合は、水晶の華を使い切るまでドギラゴンがクリス=ベルゼを打ち砕く!」

『おのれぇえぇぇ……!クリス=ベルゼよ、そのまま散れいっ!!』

 

王道の革命ドギラゴンが背負う剣に斬り裂かれ、クリス=ベルゼが沈黙する。更に、ドギラゴンが装甲を展開し砲撃の体勢に入る。

 

「クリス=タブラ=ラーサ以外の、タップされた全クリーチャーに攻撃!ドギラゴン、フルバーストッ!!」

『ドギァァアアァアァァッ!!』

 

放たれる熱線がタブラ=ラーサの眷属達を貫き、焼き尽くしてゆく。フィールド内に取り込んだ眷属達は全て焼却された。

 

「ここまでだ、ターン終了!この時ドギラゴン閃は、アンタップ状態となる!」

『おのれぇい、小癪な連中よ!砕け散れ!冥府の風よ!』

「王道の革命ドギラゴンでブロック!っくぅ!!」

 

流石にクリス=タブラ=ラーサ本体による攻撃は強烈だ。現在並ぶ4体のブロッカー達で、耐え凌ぎながら奴の命を削っていく他に道は無い。

 

「オレのターン!ド:ノラテップをマナへ送り、3マナで《邪侵入(ジャスト・イン・ユー)》を発動!山札の上から4枚を墓地へ送り、その後コスト4以下のアビスを墓地から蘇らせる!」

『来るか、忌々しきジャシンよ……!』

 

ウィンの唱えた呪文により、深淵の闇へと繋がる穴が開く。そこから現れるのは、太古の超獣世界に君臨せし支配者。

 

「深淵より現れろ!《アビスベル=ジャシン帝》!」

『フハハハハ!ようやく余の出番か!』

 

召喚されたジャシンが実体を持ち、サキト達にもはっきりと見えるようになる。その威圧感は見ているだけでも背筋を震わせるものだ。

 

『邪神と共闘する事になるとはな……』

『フン、貴様のようなトカゲと肩を並べるなど今回限りだ』

「言ってる場合か!行くぞ、アビスベル=ジャシン帝の能力により、墓地のアビスは全てアビスラッシュの能力を得る!墓地からアビスをコスト軽減し4マナで召喚!来い、《暴淵(ぼうえん) ボウマ=ダンマ》!!」

 

巨大なハンマーを持つジャシンの眷属、アビスロイヤルが場に現れる。そのハンマーを構えると、タブラ=ラーサへと突撃する!

 

「ボウマ=ダンマの登場時能力により、クリス=タブラ=ラーサを破壊!」

『ぬううう……!ワシの水晶を、ワシのマナを……!』

 

着実にタブラ=ラーサのリソースを削っていく。残る耐性回数は、あと3回。

 

「プレイヤーがいないから、攻撃は不可か……!ターンエンド!アビスラッシュにより召喚されたボウマ=ダンマは、デッキへ戻る!」

「今のも見た事のないアビスだ……こっちでは、まだ世に出ていないカードを持ってるのか……!」

『壁を増やし続けおって、小癪な……!消えよ、ジャシン!』

 

タブラ=ラーサがその4本腕を構えると、再び呪文の力が放たれる。ジャシン帝をデッキへと戻すつもりだ!

 

「くっ、アビスベル=ジャシン帝の能力!オレの手札を2枚捨てることで、場を離れない!」

『この効果は2回発動するぞえ!もう一度は耐えられるか!』

「ならば……ウィンの代わりに俺が2枚手札を捨て、ジャシン帝の能力を使う!」

『ほぉう?』

「場が共有されるという事は、俺にもウィンのクリーチャーが持つ能力の発動権があるという事だ!」

 

手札からホーリーグレイスとルピア・ターンを捨て、ジャシン帝をデッキバウンスから守る。ジャシン帝の持つ能力が戦いを決める鍵となる、ならば全力でジャシン帝を場に維持するのみだ。

 

『ならばワシの手で葬り去ってくれる!』

「させるか!ミル=ミルアミールでブロック!」

 

ジャシン帝の力と、配下のアビスロイヤルの犠牲により戦線を維持する。しかし、この後も《天頂と停滞と水晶の決断》の効果を使われるのであれば、いつまで持つかは分からない。

 

「俺のターン!メンデルスゾーンをチャージ……ジャシン帝!」

『何だ貴様、余に何用だ?』

「ウィンを守り勝利するためだ……お前の力、貸して貰うぞ!っぐぅ……!」

 

ウィンが溜めた闇のマナを使い、力を吸われる感覚に襲われながらも……共有する墓地から目的のクリーチャーを呼び出す。先にウィンが手札を捨てた際に、墓地へ送られた物だ。

 

「アビスラッシュ!《悪灯 トーチ=トートロット》を墓地より召喚する!登場時能力により、相手は自身の場の最もパワーが小さいクリーチャーを破壊しなければならない!」

『ぬう!?今場にいるのは……!』

「そう、お前だけだ、クリス=タブラ=ラーサ!水晶マナを3消費して、残る耐性は2回!」

「更に、場にこのクリーチャーが出た時、オレ達の場の闇のクリーチャーの合計数が3以上であるため……トーチ=トートロットのシビルカウント3が発動する!相手は自身の場の最もパワーが大きいクリーチャーを破壊する!」

『おおおっ!?』

 

1体のアビスにより、一気に2度の破壊がタブラ=ラーサを襲う。残る耐性は、1回となった!

 

「行くぞ!蒼き王道ドギラゴン超で、クリス=タブラ=ラーサに攻撃……からの、革命チェンジだっ!蒼き団長、ドギラゴン剣!!」

 

ドギラゴン超が駆け出すと、その姿がドギラゴン剣へと切り替わり、更に分身するようにドギラゴン超が隣へ出現する!

 

「ドギラゴン剣のファイナル革命発動!手札またはマナから、合計コスト6以下になるよう多色クリーチャーを出す!革命チェンジで手札に戻ったドギラゴン超が、再び場に現れる!」

『キサマ、まさか!?』

「そう、登場時能力の再利用だ!お前をマナゾーンへ送る!」

『だが、攻撃してきたドギラゴンは……返り討ちよ!』

 

ドギラゴン剣の刀が受け止められ、掴みあげられた彼を冥府の風が吹き飛ばす。ドギラゴン剣が場を離れた事で、ドギラゴン超はスピードアタッカーを失い行動出来なくなる。

 

『これで貴様の攻撃も終わりか!全て返り討ちとしてくれようぞ!』

「いいや……次の1手で、決着が付く!ドギラゴン閃で攻撃!」

『!?血迷うたか!?ワシに及ばぬ力で何をする気だ!』

「こうするのさ……行くぞ、ドギラゴン!最後の……革命チェンジだっ!!」

 

ドギラゴン閃の鎧が弾け飛び、新たな鎧が装着されてゆく。2本の脚で立つ直立姿勢となり、頭部へ蒼い兜が、そして全身には、黄金に輝く鎧が!

 

「《龍の極限(ファイナル) ドギラゴールデン》ッ!!」

『オォオオォオォオォォッ!!』

 

かつて『禁断の星』から超獣世界を救った、ドギラゴンの最後の姿。ドギラゴールデンが、悪神を討つべく、再び降臨する!

 

「ドギラゴールデンの登場時能力、発動!相手の場のクリーチャー1体を、マナゾーンへ送る!」

『なんと……っ!?もう水晶が、ワシのマナがぁあぁぁぁっ!!』

『これで終わりだ、滅び去れっ!!』

 

ドギラゴールデンの振るった赤い大剣が、蝿の王を両断する。水晶から得られるゼロの力を失ったタブラ=ラーサに……耐えられる力は、もう残されていなかった。

 

 

 

「これで!」

「完・全・決・着、だぁっ!」

 

 

 

* * *

 

 

「っは!?儂は一体何を!?」

「うう、気分が悪いでし……」

「先輩がVictoryしたのね!2人とも元に戻りましたわ!」

『あの蝿たちも消えたようだね』

 

デュエルフィールドの外で操られた2人を抑え、タブラ=ラーサ眷属の増援もなんとか退けていたジュラ子と∞の2人も、タブラ=ラーサの撃破によりようやく一息つける状態となった。

 

「4人とも、大丈夫!?怪我とかしとらん!?」

「No problemですわ!」

「ぬう、あのような不覚を取るとは……」

「あれは仕方ない、不意打ちでクリーチャー操作能力なんて食らってしまったらなぁ」

『でも、なんで私達は締め出したの?』

「あー、いやね?帝王坂さんと全力で一緒に戦おうとすると……俺らの動きが阻害される問題がね……?」

「え、彼女どんな能力持ちなのさ」

「ゲンムエンペラーの力がな……」

「あー……」

 

∞がドラゴンの力を使い戦い始めれば、コスト5以下の呪文とクリーチャー能力封印が無差別に影響を与え始める。そうなれば、サキトもウィンも初動が阻害され碌に動けなくなるという状態になっただろう。

タブラ=ラーサ側は10以上のコスト持ちが主力だっただけに、猶更こちらの首が締まりかねない。

 

「あの気持ち悪いのも消えて、これで解決なの?」

「ああ、後は……っ、始まった」

 

多数のクリーチャーを撃破した事で、ゾーンが縮小を始めた。それと同時に、ウィン達とサキト達を分かつように障壁が現れる。

 

「これは!?」

『どうやら時空の歪みが解消されたようだな』

「じゃあ、元の世界に戻れるのか!」

「戻れるの!?良かったぁ……あ、助けてくれてありがとー!」

 

障壁の向こうに見える彼らを見るニイカ。それに対し、サキト達も手を振って答える。

 

「気を付けるのだぞ!」

「もし次に会う時は、モデルになってもらうでし!」

『会えるかどうかは分からないけどね』

「Goodbye!マロンを助けてくれてthanksですわ!」

「元気でねー!」

「ちゃんと記憶が戻るよう、願ってるぞ」

 

互いの距離が徐々に遠ざかっていき……そして気が付けば、サキト達は元の神社に戻っていた。

 

「あぁ、マナ吸われたせいか疲れた……DGAに連絡して水晶に閉じ込められてた人らの回収と療養お願いしないと」

『お疲れ様先輩』

「あー!花火がもう打ち上がり始めてるでし!」

「ここでwatchingしていきましょう?」

「うむ。ここなら高さもそれなりにあるので見やすかろう」

 

打ち上げられる花火を見て、疲れた心を癒す6人。夜空に咲く大輪の花が彼らを照らしていた。

 

「先輩、今夜は色々と大変やったね」

「ああ、まあでも………ある意味凄い夏休みの思い出にはなったかな」

 

斬札ウィンとの予期せぬ遭遇。これが、サキトにとっての、異世界の「人間」との最初の出会いであった。




夏休みはこれにて終了、次回からは2学期に入る予定になります。

LOST世界との接点、そして新たなる遭遇も………またいずれ。
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