ドラゴン娘と決闘者   作:偽りの名 ニーサン

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Ep.27:ドラゴン娘と秋葉原の奇人

「俺のターン!ボルシャック・栄光ルピアをマナへ!」

『ワシらの攻撃を受けるがいいわ!』

『にゃぁぁぁあああ!!』

 

2体の《ステニャンコ》と、《デュエにゃん皇帝》が襲い掛かって来る。シールドで受ける準備をするが……。

 

『先輩、今回は手伝うよ』

「帝王坂さん!?それはちょっと危険……いや、でもないのか、帝王坂さんならこいつら相手でも……!」

『というわけで、私が小さい猫の攻撃を防御するよ』

 

ステニャンコ1体の爪を、ドラゴンの力を現した∞が防ぎ弾き飛ばす。そのパワーによりあっけなくステニャンコ1体は撃破される。

 

『にゃーっはっはっは!ただではやられんぞ!ステニャンコはバトルで負けようと相手を道連れに……あれ?にゃぜに何も起こらない!?』

『先輩が見せてくれた私の能力、確か……コスト5以下のクリーチャーと呪文の能力は無視される』

「ステニャンコもデュエにゃん皇帝も、コストは5以下だから能力は全て封殺される。スレイヤーもあくまでフィールド上で発揮される能力だしな……なんかヌルゲーの様相を呈してきたぞ」

『にゃにぃぃぃいい!?』

 

ともかく、2体によって2枚のシールドが破壊される。デュエにゃん皇帝は本来ダブルブレイカーだが、その能力も無効化され1枚しかシールドを割る事が出来ない。

 

「シールドトリガーは……来た!2枚目のシールドから、ホーリーグレイスがバトルゾーンへ!」

「さくっと片付けるばい!うちも小さい猫に攻撃!」

「当然とどめは、ホーリーグレイスの攻撃時……革命チェンジ!現れろドギラゴン閃!」

『ぎゃぁあぁぁああ!?お、のれ、ワシの最後の能力が……!』

『残念だけどルールだと破壊時効果も無効化されるらしいよ。お疲れ様』

『そんな殺生な~~~~~~!!』

 

∞の存在により、侵略者の中でも弱めの集団とは言えあっさりとデュエにゃん皇帝側は蹴散らされてしまった。無情である。

 

「よし、後はそちらは……!」

「早かったね。こちらもすぐ済ませようか。あ、黒いお嬢さんは戦闘中はあまり近付かないでね」

 

振り返り、この地区の実働部隊の力を見ようとする。その彼のデッキは……かなりの変わり種のようだった。

 

 

* * *

 

 

「僕のターン、《レレディ・バ・グーバ/ツインパクト・マップ》をマナとして、1マナで《冒険妖精ポレゴン》を召喚するよ」

 

帽子を深く被った雪の妖精が現れ、木の櫂を振り回す。コストは1、それほど強いとは言えないクリーチャーだ。

 

『ふん!ワシらの祭りを見るがいいゾイ!そおれええ!!』

 

4体の《雪精 キタサ・カンバY》は攻撃出来ない代わりに、展開されている舞台……D2フィールド《Dの花道 ズンドコ晴れ舞台》と共に《D2Y ヨー・サーク》へと力を与える。

ヨー・サークはD2フィールドがある限り、味方の自然クリーチャーの数だけパワーを6000上げ、シールドブレイク数を1つ増やすのだ。

味方が4体、即ち現在のヨー・サークはパワー25000、1度に5枚のシールドを打ち砕く!

 

「うひゃぁ、これは凄い衝撃……!」

『がはははは!キタサ・カンバ達はワシを庇ってくれる存在でもあるゾイ!盾を無くしたお前にワシを倒せるかな?』

「んー、まあこれなら1発だね」

『なぁにぃ?』

 

男がカードを引くと、何やら異様な幻影が背後に浮かんだ気がした。

 

「では僕のターン……《幻影 ミスキュー》をマナへ変え、《ツクっちょ》を召喚するよ。彼はマッハファイター持ち、出たターンにクリーチャーに攻撃出来る」

 

道路を突き破る様に土筆のようなクリーチャーが生えて来る。これもまた、コスト1でパワー2000のクリーチャーだ。

 

「よ、弱そうなクリーチャーばっかりばってん大丈夫ね?」

「ここからがびっくり幻影ショーの始まりさ。ではコスト1を支払い、ツインパクト呪文《ニンジャ・パンプキン/グローリー・マッスル》を発動!ツクっちょの攻撃力を4000上げ、6000に!」

『その程度でワシに勝つつもりゾイ!?』

 

6000となっても、25000には遥か及ばない。だが男は笑みを絶やさない。

 

「イッツショータイム!ツクっちょで、ヨー・サークに攻撃!からの……」

 

手札から1枚のクリーチャーを見せる。それは、彼の相棒たる特異なクリーチャーであった。

 

「侵略、発動!《超幻影 ワラシベイベー》にツクっちょが進化する!」

『ヘイヨー!太陽ー!』

『なんじゃとぉぉ!?』

 

トーテムポールのような顔を複数持つ、異形のクリーチャーが姿を現した。それを見てヨー・サークは驚愕する。

 

『お、お前さん侵略者でありながら人間側に肩入れするんかい!?』

「彼は僕を相棒として、戦ってくれると決めてくれたらしくてね。さあ、ワラシベイベーの能力発動!彼がバトルゾーンに出た時、自分の他のクリーチャーをマナゾーンへ送るよ!」

『自分のクリーチャーを除去した……?』

 

ポレゴンがマナへと送られ消失する。それと同時に、彼のデッキトップ3枚が舞い上がった。

 

「自分のクリーチャーをマナへ送った後、自分の山札の上から3枚を見る!そしてその中からミステリー・トーテムか自然の侵略者クリーチャーを1体、場に出してもいいのさ!残りは好きな順序で山札の一番下に置かれるよ!」

「さらに仲間ば呼べるんね!」

「よーしよし来てくれた!3枚の中から僕は、《甲獣軍隊 ベアフ・ガンガンオー》を選ぶよ!このクリーチャーは究極進化クリーチャーなので、ワラシベイベーから更に進化する!」

 

ワラシベイベーがその複数の顔から光を放つと、姿が一瞬にして火器を満載した熊型の巨大ロボットに変わる。

 

『さ、更にパワーが上がろうと……!』

「ベアフ・ガンガンオーの登場時能力!彼の持つパワーより下回るパワーの相手クリーチャーを、全てマナゾーンへ送らせてもらうよ!」

『なにぃぃ!?』

 

ベアフ・ガンガンオーはパワー18000。パワー5000のキタサ・カンバ4体は全てマナへ還元されてしまう。

 

『ああーっ!お前たち、行くんじゃなーい!』

「これで仲間を失って……君はパワー1000に戻ってしまうわけだねえ?」

『そ、そんなぁっ!!やめ──────』

 

パワー1000の弱弱しい小さな姿になったヨー・サークを、ベアフ・ガンガンオーが……ぷち、と踏み潰したのであった。

 

「ふー、これでよしと。さて、それじゃあ君達と話したいんだけど良いかな?」

「……その前に自己紹介くらいは頼みたいんだが」

「おっといけない。では改めてと」

 

デュエルテクターを解いたコスプレ姿に戻ると、彼はサキト達へ一礼する。

 

「千代田区担当のDGA実働部隊員、萱野(かやの)シンヤです。以後お見知りおきを、ね」

 

 

* * *

 

 

「DGA、最初期メンバー!?」

「ああ、趣味が高じて都市伝説の中から本物を見つけてね。クリーチャーを追っていたら彼らにスカウトされたんだ」

 

秋葉原の街にあるとある出版社、そこの一室に招かれた3人はシンヤから彼がDGAに入った経緯を聞いていた。

 

「いやあ自分にクリーチャーと交流できるかもしれない素養があったのは、運命的でとても素晴らしい事だと思ったよ。最近では危害を加えてこなさそうなクリーチャーを探して、色々と話を聞くのが楽しみでね」

「な、なんか色んな意味で凄か人やね」

『変だけど、まあ悪い人ではない……のかな』

「それで、俺達に声をかけた理由って何だったんで?」

「ああ、僕としては彼女らのような『ドラゴン娘』というものに興味が──────いや大丈夫、検査とか人体実験みたいな話じゃないから怖い顔をしないで」

 

彼らの緩みかけた警戒度がまた跳ね上がるが、すぐに危害は加える訳ではないと訂正してくる。本当に大丈夫なのであろうか?

 

「知りたいのは、クリーチャーと契約を交わしたサキト君も含め……自身の身体が変わる感覚とか、変身後に新たに生まれる部位の感覚とかだね!いやぁ果たしてどんなものなのか、僕自身も味わってみたい……!」

「「『うわぁ……』」」

 

何か恍惚とした表情で自身の身体を掻き抱くシンヤを見て引く3人。思った以上というか、かなりの奇人変人なのは間違いないようだった。

 

「コスプレも変身願望ん発散先なんやろうか……」

『とりあえず、そういうのは今度文章にまとめてそちらに送るね……先輩経由で』

「アドレス渡したくないからって俺を間に挟む気か!?いやまあ良いけどさぁ……!」

「ああありがとう。楽しみにしてるよ!それとサキト君」

「あー、何ですか?」

 

嫌そうな顔でシンヤの方を向くが、今度は真剣な表情になり話しかけて来る。

 

「DGAは各地のクリーチャー情報を集めているけれど、最近は『侵略者』種族の出現報告が少しずつ増加しているみたいだ。さっきの連中も気になる事を言っていたし、大物の侵略者やイニシャルズは何故か君の周辺に出現が集中している……何かの兆候かもしれないから、くれぐれも注意するんだよ」

「あ、ああ。ご忠告どうも。確かに俺自身もそこは気になってたんで……」

「先輩、侵略者ってなんなん?」

「デュエマにでてくるクリーチャーの種族の一つだよ。デュエマのカードストーリーの中で、俺が契約しているドギラゴンとは因縁の深い連中でもある」

 

サキトにとって馴染み深い「革命編」「革命ファイナル」の敵対種族、「侵略者」と「イニシャルズ」。それらの積極的な襲撃は、ドギラゴンとの関係性が無いとは言えないだろう。

 

『確かに何らかの因果関係はありそうだね』

「それと、もう16歳は超えていたね?それならなるべくバイクの免許を早めに取る事をお勧めするよ」

「はあ、何故に?」

「行動範囲や移動速度が速いクリーチャーの目撃情報も出て来ていてね。まあ、いずれ僕達の活動に必要になるはずだ。出来れば頼むよ」

「うーん……今度から教習所に通うかぁ……?」

「いやーもう少し話したいけれど、これ以上は遅くなってしまいそうだね。今日は会えて嬉しかったよ!それじゃあまた!」

 

そう言ってシンヤはサキト達を帰してくれた。短い時間であったが、何やら疲労感が来る感じがする。

 

「何ちゅうか、よう分からん人やったね……」

『先輩、お疲れ様』

「真面目なとこもあるんだろうけど変なとこのインパクトが強すぎた……同輩としてまた会う事になるんかなぁ」

『とりあえず、遅くなり過ぎないうちに帰ろう』

「そうやね、ちょっと急げば20時前に桜龍学門前に着く電車に間に合いそうばい」

「よし、んじゃ少し走るか!」

 

3人は急ぎ、夜の秋葉原を駆けてゆく。夏は終わり、新たな生活が始まりを告げた。

2学期は始まったばかりだが、今日の出来事はまたトラブル多き学校生活が待っている事を予感させるものであった。




そんなわけで2学期の幕開けです。ドラゴン娘本編で文化祭のある月とかがまだ情報が出て来ていないので、この小説では独自に9月末頃と設定しております。まあ本家でもいずれやりそうな気はしていますが……
しばらくはネタ回なども何度か書きつつ進行して行きたいですね。
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